陶器の食器などの焼き物を一般に「せともの」と呼びますが、その呼び名の由来となったのがこの瀬戸市です。白く上質な粘土が取れたこの地は焼き物の街として栄えました。その始まりは平安時代からであり、なんと千年もの長い間焼き物の街として発展してきたのです。市内には現在も40軒以上もの窯元が残っています。そこでは毎年春と秋の2回「窯めぐり」というイベントが開催されており、貴重な工房の見学や作品の購入ができ人気を博しています。また、市内には窯垣と呼ばれる垣根が点在しています。これは焼き物を作る過程で不要になった窯道具などを積み上げて作られたものです。素朴な佇まいの幾何学模様がとても美しいこの垣根は、全国でも瀬戸市でしか見ることができません。特に市内の焼き物の中心地であった洞町には400mも続く窯垣が見られ「窯垣の小径」として散策できるようになっており、周辺にはギャラリーや資料館もあります。現在も焼き物は市の産業として未来へと発展を続けています。それと同時に歴史的価値のある街並みも、市の財産として大切に保存されています。瀬戸市は千年の歴史を次の世代に受け継ぐ街なのです。