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更新日:2026.06.30

家の名義変更とは?手続き方法や必要書類を「相続」「登記」などケース別に解説

家の名義変更のアイキャッチ

この記事のポイント

  • 家の名義変更は、不動産登記の所有者を書き換える手続きであり、相続のみ義務と期限(3年以内)が定められている
  • 名義変更しないと売却・担保設定ができないほか、固定資産税の通知や相続手続きで支障が生じる
  • 相続や離婚など複雑なケースでは司法書士など専門家に依頼するほうが確実

「相続した家の名義をまだ変えていないけれど、このままで大丈夫なのだろうか?」
「離婚後に家の名義を移す必要があると言われたけれど、手順や必要書類が全くわからない……」

家の名義変更は、人生の節目で突然向き合うことが多く、初めての人にとっては不安が大きいものです。

この記事では、名義変更が必要になる場面や理由、手続きの流れ、注意点までを整理して解説していきます。複雑に見える内容も順を追って理解できるようにまとめたので、読み終える頃には、自分が何から着手すべきかが自然に見えてくるはずです。

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逆瀬川勇造さん

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

監修者 逆瀬川勇造さん

  • 所属:

    合同会社7pockets

地方銀行、住宅会社勤務を経て住宅や不動産を中心としたライターとして活動。現場で多くのお客様の対応で経験させていただいたことをもとに、専門知識に基づいた分かりやすい記事執筆に取り組んでいます。

記事の構成

家の名義変更とは?必要になるケース

家の名義を変える場面は限られていますが、いざ手続きが必要になると、まず「何をどう変えるのか」が気になるところです。

ここでは、名義変更の基本と、義務や期限が発生するケースを解説します。

名義変更は登記の変更のこと

名義変更とは、不動産登記の所有者欄を書き換える手続きです。

登記は法務局が管理している公的な記録で、誰がその家の所有者なのかを証明する役割があります。売買や相続、贈与などで所有者が変わった場合は、登記を最新の状態にそろえる必要があります。

名義が古いまま残っていると、後で売却や担保設定を行う際に手続きが進みにくくなる場合があります。

家の名義変更が義務なのは相続時のみ

名義変更が法律で義務付けられているのは相続の場合だけです。相続登記は2024年4月以降、申請が必須になり、放置すると過料の対象となる可能性があります。

一方、贈与・売買・離婚に伴う財産分与などを理由とする名義変更は義務化されていません。

参照:相続登記が義務化されました|東京法務局

家の名義変更に期限があるのは相続時のみ

期限が設けられているのも相続の場合のみで、相続発生から3年以内の申請が必要です。

一方で、売買・贈与・離婚といった理由では期限は定められていません。ただし、関係者が増えたり、書類がそろえにくくなったりする前に手続きを済ませておくほうが、後々の負担を減らせます。

理由にかかわらず、名義変更は早めに動いておくことが大切です。

家の名義変更をしないことで生じる不都合

名義変更は義務ではない場面も多いものの、先延ばしにしてしまうと日常の管理から将来の相続まで、思わぬところで負担が増えることがあります。

ここでは、名義を変えないままにしておくとどのような不都合が起きるのかを紹介します。

不動産の「正式な所有者」として認められない

登記の名義が変わっていない場合、法律上の所有者はあくまで前の名義人のままです。実質的に住んで管理しているのが自分であっても、登記の情報こそが公的な証明として扱われます。

そのため「本当の所有者である」と主張したくても、登記が更新されていなければ証拠として成立しません。

売却や担保設定ができない

名義が前の所有者のままだと、不動産を売却したり、住宅ローンの借り換えなどで担保に入れたりできません。買主や金融機関は登記名義人と取引するため、現在の所有者と名義が一致していないと契約が成立しないためです。

急いで売却したい事情があっても、名義変更をしていなければ最初の一歩が踏み出せない状況が続きます。

固定資産税の通知や納付トラブルが起きる

固定資産税は、登記名義人宛てに自治体から通知されます。実際に住んでいる人とは異なる名義のままだと、前の所有者に通知が送られ続けたり、誰が支払うべきかの取り決めでトラブルになることがあります。

名義が整理されていない状態が長く続くと、税金の未納や滞納リスクにつながる場合もあります。

相続の際に手続きが複雑化する

名義変更をしないまま相続が発生すると、遺産分割協議に参加すべき人が増えてしまい、話し合いがまとまりにくくなる傾向があります。

たとえば、名義が祖父のまま放置され、その子どもや孫まで相続人が広がると、数十人規模での同意が必要になるケースもあります。署名や必要書類の準備に時間がかかり、登記完了まで数年を要する例も珍しくありません。

【理由別】家の名義変更の必要書類

名義変更に必要な書類は、理由によって異なります。ただ、どのケースでも共通して求められるものがあり、そこに相続・贈与・売買・離婚といった事情ごとの書類が加わるかたちです。

まずは全体像を一覧で把握しておきましょう。

名義変更の必要書類一覧(理由別)
書類の種類 相続 贈与 売買 離婚(財産分与)
登記申請書
登記原因証明情報 〇(戸籍・遺産分割協議書など) 〇(贈与契約書) 〇(売買契約書) 〇(財産分与協議書など)
住所証明情報(住民票)
印鑑証明書 〇(相続人全員) 〇(贈与者・受贈者) 〇(売主・買主) 〇(夫婦双方)
当年度の固定資産課税明細書
関係者の戸籍(相続のみ)
協議書(相続・離婚) 〇(遺産分割協議書) 〇(財産分与協議書)

※上記は一般的なケースの一覧です。状況によって追加書類を求められることがあります。

どの理由でも必要な書類

名義変更の前提となるのが、以下の3つです。

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報
  • 住所証明情報(住民票)

登記申請書は法務局の様式に沿って作成します。手書きでもパソコンでも構いませんが、後で修正が入りやすいため、パソコン入力のほうが扱いやすいでしょう。

登記原因証明情報とは「なぜ名義が変わるのか」を示す書類です。理由によって内容は変わりますが、共通して事実関係を示す資料が必要になります。

また、所有者として記録される人の住民票も必ず添付します。マイナンバー記載のものは不可なので、窓口で「個人番号のない住民票」と伝えると確実です。

相続による名義変更

相続の場合は、最も書類が多くなる傾向があります。必要となるのは主に戸籍一式・遺産分割協議書(協議がある場合)・固定資産課税明細書などです。

まず、被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までを確認できるすべての戸籍が必要になります。結婚や転籍をしている場合は戸籍が複数にわたるため、古いものから順にそろえていきます。戸籍は本籍地の市区町村で取得でき、郵送請求も可能です。

相続人の戸籍謄本も合わせて準備します。法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束を何度も提出する必要がなくなり、手続きが進めやすくなります。

遺産分割協議をした場合は、相続人全員の署名と押印がある協議書が必要です。印鑑証明書は協議書に押印した実印の証明として添付します。

固定資産課税明細書は毎年4月ごろに自治体から送られるもので、登記に必要な不動産の評価額を確認できます。

参照:相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等|法務局

贈与による名義変更

贈与の場合は、贈与契約書が登記原因証明情報になります。書面で契約内容を残しておくことが前提で「誰が・何を・いつ贈与したか」を明記しておくと登記もスムーズです。

贈与者と受贈者の印鑑証明書も必要です。贈与契約書に実印を押すため、同じ印鑑の証明書を添付します。住所証明情報として住民票も用意します。

なお、贈与税がかかる可能性があるため、契約内容や金額によっては税務署への申告が必要になります。名義変更と税務手続きを同時に意識しておきましょう。

売買による名義変更

売買の場合は、不動産売買契約書が登記原因を示す書類です。多くの場合、不動産会社や司法書士が関与しているため、必要書類はスムーズにそろうケースが多いです。

売主・買主の印鑑証明書、双方の住民票、固定資産課税明細書などが必要です。契約書の記載内容に誤りがあると登記が受け付けられないため、住所の表記や地番などは特に注意して確認しましょう。

離婚による財産分与(離婚に伴う名義変更)

離婚の場合は、財産分与協議書または公正証書が登記原因証明情報になります。夫婦間で話し合い、住宅をどちらが取得するかを明確にした書面を作成します。

協議書には必ず夫婦双方の署名と押印が必要で、印鑑証明書も添付します。住民票や固定資産課税明細書も合わせて準備します。

協議内容によっては住宅ローンの扱いが別で必要になるため、ローンが残っている場合は金融機関との調整も早めに進めると負担が減ります。

家の名義変更手続きの進め方

名義変更は、決められたステップを順に進めれば大きく迷うことはありません。

ここでは、どの理由でも共通する基本の流れを整理しつつ、事情によって注意したい点があれば補足して解説します。

1)名義変更の理由を確認する

まずは名義変更の理由を明確にしましょう。相続なのか、贈与なのか、売買や離婚による財産分与なのかで、準備すべき書類も手続きの組み立て方も変わります。

相続であれば戸籍をそろえる必要があり、離婚による財産分与なら協議書を作成します。

2)必要書類をそろえる

書類を集める段階が、名義変更のなかでも時間がかかる部分です。

住所表記や氏名の表記がズレていると補正の連絡が届くため、契約書・協議書の内容と公的書類の表記が一致しているかを丁寧に確認しておきましょう。

3)登録免許税を確認・納付する

名義変更では、所有権移転のための登録免許税を納付します。税額は、固定資産課税台帳に記載されている不動産の価格に税率を乗じて計算されます(相続の場合は1,000分の4)。

相続では免税措置が適用されるケースもあるため、固定資産課税明細書をもとに税額を確認しておきます。納付は収入印紙の貼付、または領収証書の添付によって行われます。

4)法務局で登記申請を行う

書類がそろったら、管轄する法務局へ登記申請を行います。窓口に持参する方法のほか、郵送申請やオンライン申請も選択できます。

書類に不足があった場合は法務局から電話で連絡が入るため、申請書には日中に連絡が取れる連絡先を記載します。相続では戸籍の枚数が多いことがあり、原本還付を希望する場合はコピーに署名押印をして添付します。

5)登記完了後、新しい登記識別情報を受け取る

登記が完了すると、法務局から登記完了証と登記識別情報(12桁の符号)が交付されます。これは不動産の「鍵」のような役割をもつ情報で、次回の売却や担保設定に使います。

受け取りは窓口または郵送が選べますが、再発行はできないため、失くさない管理が必要です。

【理由別】家の名義変更のポイント・注意点

名義変更の基本的な流れは共通していますが、相続・贈与・売買・離婚といった事情によって、追加の工程や気を付けたい点が変わってきます。

ここでは、それぞれの理由に応じて押さえておきたいポイントを解説します。

相続による名義変更のポイント

相続の場合は、戸籍の収集に最も時間がかかる傾向があります。出生から死亡までを確認できる戸籍を漏れなく集める必要があり、転籍歴が多い人ほど手間が増えます。

さらに複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議書の作成が必須です。相続人全員の署名押印が必要なため、連絡が取りにくい人がいると手続きが滞りやすくなることも……。

協議が長引くと不動産の管理や売却が進められないため、早めに話し合いを始めておくことをおすすめします。

贈与による名義変更のポイント

贈与では、契約内容を明確に書面に残すことが重要です。贈与契約書には「贈与する物件・日付・当事者情報」を正確に記載し、贈与者と受贈者の印鑑証明書を添付します。

また、贈与税の申告が必要になることが多いため、登記と税務手続きを一緒に考えておくと混乱を避けられます。特に親子間の贈与では、特例制度の適用可否を事前に確認しておきましょう。

売買による名義変更のポイント

売買契約書に記載された住所や氏名、地番などが登記申請書と一致しているかを丁寧に確認しましょう。契約書に誤りがあると、登記の補正依頼が入り、スケジュールが遅れてしまいます。

また、住宅ローンを利用する場合は、金融機関が指定する司法書士が手続きを担当するのが一般的です。買主の資金計画や決済日と連動して登記を行うため、事前に関係者との調整を済ませておくとスムーズです。

離婚による財産分与での名義変更のポイント

離婚の場合は、財産分与協議書または公正証書の内容が手続きの要になります。誰が不動産を取得するのかを明確に記し、夫婦双方の署名押印をそろえます。

住宅ローンが残っているケースでは、名義変更とローン名義の扱いが一致しないことが多く、金融機関との調整が必須です。

家を取得する側が単独で返済できるか、保証人変更が必要かなど、登記以外の論点も発生するため、早い段階で相談しておくと混乱を防げます。

家の名義変更にかかる費用

名義変更で必ず発生するのが登録免許税です。税率は名義変更の理由によって異なり、相続だけがほかの理由より低く設定されています。以下に目安をまとめます。

登録免許税の税率目安
理由 登録免許税の税率
相続 固定資産評価額 × 0.4%
贈与 固定資産評価額 × 2%
売買 固定資産評価額 × 2%
離婚(財産分与) 固定資産評価額 × 2%

相続だけ税率が低いのは、相続が「対価を伴わない取得」であり、経済取引としての性質が弱いとされているためです。一方、贈与・売買・離婚による財産分与は、所有権の移転に一定の取引性があるとみなされ、税率が2%に設定されています。

司法書士へ依頼する場合は、手続きの内容によって報酬が変わります。料金相場については後述します。

家の名義変更は自分でもできる

家の名義変更は、司法書士に依頼しなければならないという決まりはありません。登記申請書の作成や必要書類の収集ができれば、個人で手続きを進めることも可能です。

オンライン申請の仕組みも整っているため、比較的シンプルなケースであれば、自力で完了させている人も少なくありません。

登記原因によっては専門家に任せるほうがベター

自分で手続きできるとはいえ、登記原因によっては専門家に依頼したほうが現実的なケースがあります。

たとえば相続の場合、相続人が複数いると、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成で手続きが複雑になりがちです。連絡を取る相手が多いほど時間もかかるため、司法書士に依頼して全体を整理してもらうほうが進めやすくなります。

離婚に伴う名義変更では、協議がまとまっていない段階で書類を整えるのが難しい場合もあります。ローン名義の調整など、金融機関との連携が必要になるケースもあるため、早めに相談しておくと安心です。

また、贈与では税務の判断が必要なことがあり、税理士に確認しておくと誤りを防げます。

ケースによって、司法書士・弁護士・税理士のいずれがかかわるべきかが変わる点も押さえておくとよいでしょう。

司法書士への依頼費用相場

司法書士に依頼する場合の費用は、名義変更の理由や書類の難易度、物件数などによって変わりますが、おおむね数万円〜10万円前後が目安です。相続は戸籍を多く収集する必要があるため、ほかの理由より高めになる傾向があります。

依頼前には、報酬の内訳や追加料金の有無も含めて確認しておきましょう。

【FAQ】家の名義変更に関するよくある質問

最後に名義変更を進めるうえで、迷いやすいポイントをまとめました。

ローンが残っている家の名義変更は可能?

住宅ローンが残った状態でも名義変更は可能ですが、金融機関の承諾が必須です。ローンが担保として不動産に設定されているため、所有者を変えるには、金融機関が「返済能力に問題がない」と判断する必要があります。

また、名義はそのままにしてローンの名義だけを変更することは原則として認められていません。返済義務者と担保提供者の一致が基本のためで、離婚時の名義変更でもこの点が大きなハードルになります。

不動産の種類によって名義変更の仕方に違いはある?

戸建て・マンション・土地といった種類によって、必要書類や手続きの流れが大きく変わるわけではありません。

ただし、マンションでは敷地権の記載など、確認すべき項目が増えることがあります。分譲マンションの場合は、専有部分と敷地権の両方が対象になるため、登記内容を正確に読み取ることが大切です。

名義変更は名義人の許可がなくてもできる?

原則として、名義人本人の意思なく登記を変更することはできません。売買や贈与、財産分与など、所有権を移す理由には当事者の合意が必要だからです。

ただし例外的に、名義人が認知症などで判断能力を失っている場合は、家庭裁判所が選任する成年後見人が代理して手続きすることが可能です。この場合でも、本人に不利益が生じないよう、後見人の判断が適切かどうかが裁判所により慎重に確認されます。

まとめ

家の名義変更は、理由に応じて必要書類や手続きが変わるものの、基本的な流れを理解していれば自分で進めることも十分可能です。

ただ、相続人が多いケースや離婚に伴う名義変更のように、話し合いや書類の調整が複雑になる場面もあります。状況によっては、司法書士など専門家の力を借りたほうが確実で、全体の負担も軽くなります。

また、名義変更は登記手続きだけで完結するものではなく、売却や住み替え、相続全体の見直しといった周辺の課題が同時に生じることもあります。こうした不動産に関わる判断は、一つの選択が後の資産計画に影響するため、早めに専門家へ相談しておくと安心です。

不動産SHOPナカジツでは、このようなご相談はもちろん、相続や売却を含めた不動産全体の状況整理まで一貫してお手伝いしています。まずは現在の状態を知るところからでも構いません。気になることがあれば、いつでもお気軽に近くの店舗にご相談ください。

逆瀬川勇造さん

逆瀬川勇造さん からのコメント

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

家の名義変更には、過去、罰則などが設けられておらず、実質的に義務化されていない状況でした。これにより、家を相続したものの長期間名義変更されず、放置されることで、各相続人が亡くなるなどして、さらに関係者が増え、実質的に手続きを進めることが難しく、放置せざるを得ない家が増えるなど問題視されてきました。2024年の相続登記義務化はこうした問題に対処したものです。また、2026年4月には所有者の住所が変わったときの登記も義務化されました。不動産の所有者が変わったり、住所が変わったりして実際の状況と登記が異なる状況のまま放置するとさまざまな問題が発生してしまいます。ペナルティの有無に関わらず、登記と実際の状況が変わった場合にはできるだけ早く手続きすることが大切です。

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