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「不動産を売却したいけど、住民税が上がると聞いて不安」
「不動産売却後に上がった住民税を支払うタイミングが分からない」
不動産の売却を考える際、住民税がいつ、どれくらい請求されるのか分からず不安を感じていませんか?
実際、不動産売却で利益(譲渡所得)が発生すると、その翌年の住民税が上がります。売却から時間が経った頃に、予想以上の住民税が課税されることもあるため、事前に納税額や納税タイミングについて理解しておくことが大切です。
この記事では、不動産売却と住民税の関係について詳しく解説します。これを読むことで、なぜ住民税が増えるのか、その背景や対応策を理解し、安心して不動産を売却できるようになります。
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地方銀行、住宅会社勤務を経て住宅や不動産を中心としたライターとして活動。現場で多くのお客様の対応で経験させていただいたことをもとに、専門知識に基づいた分かりやすい記事執筆に取り組んでいます。
記事の構成
住民税の仕組み
不動産を売却して所得が発生すると、その所得に応じて所得税と住民税が課税されます。所得税は国に支払う税金で、住民税は自分が住んでいる地方自治体(都道府県と市区町村)に支払う地方税です。住民税には「均等割」と「所得割」の2つの構成要素があります。
均等割は、一定の所得がある場合に定額で課税されます。一般的には、合計で5,000円が課税され、その内訳は都道府県民税が1,000円、市区町村民税が3,000円、そして森林環境税が1,000円です。ただし、課税額は地方自治体によって多少異なることがあります。
所得割は前年の所得に基づいており、所得が高いほど負担額が増えます。給与や年金、事業所得が増えると、その分所得割が高くなり、住民税の負担も重くなります。
不動産売却などで一時的に多額の所得が生じた場合も、同様に課税対象となります。
不動産を売却した場合、住民税の税率および納税のタイミングは、異なります。税率については、不動産の所有期間によって分けられており、5年以下の短期譲渡所得のほうが税負担が大きくなります。納税タイミングについても違いがあり、所得税は不動産を売却した年の翌年2月16日~3月15日に行う所得税の確定申告で支払い、住民税は売却した翌年の6月以降に自治体から送られてくる納付書で支払うことになります。
| 住民税 | 所得税 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 税率 (所有期間5年以下) |
9% | 30.63% | 39.63% |
| 税率 (所有期間5年超) |
5% | 15.315% | 20.315% |
| 納税のタイミング | 売却の翌年の6月以降 | 売却した年の翌年の確定申告時 |
不動産売却の成立後、住民税の支払いは数カ月先になることがよくあります。事前にどれくらい住民税が上がりそうか把握しておくことが重要です。
不動産売却により翌年の住民税が上がるケース
住民税が上がるケースの具体例を挙げると、購入時よりも不動産が高く売れた場合や、購入時より安く売れたとしても値落ち幅が少ない場合が該当します。次の式で計算される譲渡所得がプラスになると、不動産を売却した翌年の住民税が上がります。
譲渡所得 = 譲渡価額 – ( 取得費 + 譲渡費用 )
「譲渡価額」とは不動産売却で得られる収入の総額です。不動産の売却代金のほか、固定資産税の清算金など買主から受け取る金額が含まれます。
「取得費」とは、土地建物の取得費、改良費用、設備費用、購入手数料などから建物の減価償却費を差し引いた金額です。取得費には土地や建物の購入代金や建築費のほか、リフォーム代などが含まれます。詳しくは国税庁のサイトに記載があるので参考になさってください。
「譲渡費用」とは不動産売却の際の仲介手数料や印紙代が該当します。
住民税の金額は譲渡所得に税率を掛けることで計算可能です。
譲渡所得で生じる住民税 = 譲渡所得 × 税率
住民税の税率は、前述の通り、所有期間5年以下の場合で5%、5年超の場合で9%です。
後でこの計算式を使って、不動産売却における住民税の計算例を示します。
不動産売却後の譲渡所得に住民税がかからないケース
住民税がかからないケースとして、不動産売却で損をした場合や、利益が出ても特別控除により相殺できる場合が該当します。
不動産に関する譲渡所得がゼロ以下の場合、不動産を売却しても住民税は加算されません。住民税を軽減するには、特別控除の活用が重要となりますが、具体的な内容については次の章で解説します。
不動産売却による住民税負担を軽減できる特例
不動産売却による住民税負担を下げられる特例には次のようなものがあります。
- 3,000万円の特別控除の特例
- 所有期間10年超の軽減税率の特例
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 特定のマイホームを買い換えたときの特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
ここでは、利用頻度が高いと考えられる3つの特例をピックアップして紹介します。
3,000万円の特別控除の特例
現在の住居や以前住んでいた不動産を売却する場合、3,000万円の特別控除を適用できます。特別控除により譲渡所得が小さくなり、住民税を軽減できます。適用には次のような要件があります。
- 現在居住する不動産を売却すること
- 過去に居住していた不動産を売却する場合、住まなくなってから3年経過した年の12月31日までに売却が済んでいること
- 売った年の前年、前々年にこの特別控除を利用していないこと
- 入居の実態があること(節税対策ではないこと)
- 別荘ではないこと
- 売却相手が親子や夫婦などではないこと
具体的な節税額については、所有期間5年超の不動産を売却する場合、最大で住民税270万円、所得税909万円。所有期間5年以下の場合、最大で住民税150万円、所得税459.45万円の節税が可能です。節税効果が非常に大きい特例ですので、マイホームを売却する際はぜひ活用しましょう。
所有期間10年超の軽減税率の特例
居住する不動産や過去に居住していた不動産を売却する際、所有期間が10年を超えると軽減税率の特例を適用できます。
| 住民税 | 所得税 | |
|---|---|---|
| 税率 (所有期間5年超) |
5% | 15.315% |
| 税率 (所有期間10年超の軽減税率を適用) |
4% | 10.21% |
| 税率の差 | 1% | 5.105% |
なお、譲渡所得が6,000万円超の場合は、6,000万円以下の部分について軽減されます。
適用には次のような条件があります。
- 譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
- 現在居住する不動産を売却すること
- 過去に居住していた不動産を売却する場合、住まなくなってから3年経過した年の12月31日までに売却が済んでいること
- 売った年の前年、前々年に所有期間10年超の軽減税率の特例を使っていないこと
- 3,000万円の特別控除以外の特例と併用していないこと
- 売却相手が親子や夫婦などではないこと
前述の3,000万円の特別控除と併用することで、より高い住民税の軽減効果を期待できます。
参照:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続、遺贈によって所有した不動産を売却する場合、最高3,000万円の特別控除を利用できることがあります。条件を満たす場合、譲渡所得を抑えることで住民税を軽減できます。適用には次のような条件があります。
- 被相続人が亡くなるまで1人で居住していた不動産であること
- 被相続人が亡くなってから3年経過した年の12月31日までに売却が済んでいること
- 昭和56年5月31日以前に建築された住宅であること
- 区分所有建物(マンション等)ではないこと
- 1億円以下の売却であること
- 過去にこの制度を利用していないこと
- 被相続人が亡くなってから貸付・事業に利用していないこと
- 売却相手が親子や夫婦などではないこと
適用条件がやや難しい特例ですので、条件を満たせるように生前から意識しておく必要があります。
参照:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
不動産売却後の住民税の計算例
ここでは、不動産の売却により住民税がどれくらい増えるのか簡易的に試算します。あわせて、特例を利用することでどれくらい住民税が安くなるのか見てみましょう。
条件は次のとおりとします。
| 取得費 | 4,000万円 |
|---|---|
| 譲渡価額 | 8,000万円 |
| 譲渡費用 | 100万円 |
| 所有期間 | 15年 |
| 適用する特例 | ・3,000万円の特別控除 ・所有期間10年超の軽減税率 |
| 備考 | 上記以外の減価償却費、各種手数料、消費税などは省略 |
まず、譲渡所得を計算します。
譲渡所得 = 譲渡価額 – ( 取得費 + 譲渡費用 )
= 8,000万円 – ( 4,000万円 + 100万円 )
= 3,900万円
特例の適用により、譲渡所得から3,000万円を控除します。
課税対象の譲渡所得 = 3,900万円 – 3,000万円
算出した譲渡所得に税率を掛けることで住民税が計算できます。今回は、6,000万円以下の譲渡所得に対して所有期間10年超の軽減税率を適用するので、税率は4%です。
譲渡所得で生じる住民税 = 譲渡所得 × 税率
= 900万円 × 4% = 36万円
なお、特例の適用がない場合の住民税は195万円(3,900万円✕5%)なので、特例によって159万円の住民税を軽減できていることになります。
不動産売却により住民税が上がった場合の納税対策案
不動産売却により住民税が予想以上に高くなり、支払いが困難な場合は、できるだけ早く市区町村役場に相談することが重要です。住民税を滞納すると、預金の差し押さえや自宅・職場への電話連絡、さらには役所職員の訪問などが行われる可能性があります。
このような事態を避けるためには、早めに役場に相談し、納税の意思を伝えることが大切です。納税の意思が確認されれば、分納や延納の対応をしてもらえることが多く、支払金額を少額ずつに分けてもらったり、支払期限を延ばしてもらえたりする可能性があります。困ったときは、先延ばしにせず、早めに役場に相談することが最善の対策です。
不動産売却後の住民税の支払い時期
不動産売却により譲渡所得が発生した場合、住民税の支払いは売却した翌年の6月から始まります。住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2つがあり、確定申告時にどちらかを選択することができます。
普通徴収の場合
不動産を売却した翌年の6月頃に、住んでいる市区町村から納税通知書と納付書が郵送されます。支払いは通常、6月・8月・10月・翌年1月の4回に分割されますが、一括で支払うことも可能です。納付方法は、コンビニやATM、インターネットバンキングなどで手軽に行うことができます。
特別徴収の場合
会社員や公務員、年金受給者などに適用される方法で、住民税が毎月の給料や年金から自動的に天引きされます。この場合、6月から翌年5月までの12回に分割して支払われます。
もし勤務先に不動産売却の事実を知られたくなければ、普通徴収を選んだほうがよいでしょう。
不動産売却後の住民税に関するよくある質問
ここでは、不動産売却と住民税に関するよくある質問について回答します。
相続不動産の売却でも翌年の住民税は上がる?
相続した不動産の売却でも、譲渡所得がプラスになれば翌年の住民税は上がります。住民税の負担を減らすには、不動産の取得費をできるだけ大きくすることや、特別控除を適用することが重要です。取得費を大きくするためには、親や先祖がその不動産をいくらで取得したかを示す書類が必要です。取得費が不明な場合、取得費は売却額の5%とみなされてしまい、譲渡所得が大きくなるため住民税も増加します。
また、3,000万円の特別控除の特例や、相続した空き家を売却した場合の特例など、特別控除の適用を検討しましょう。
不動産売却で住民税が上がる場合、ふるさと納税の上限に影響する?
不動産売却によって住民税が上がると、ふるさと納税の上限額も増加します。ふるさと納税の上限は、納税者の所得に基づいて決まるため、給与や年金、事業所得に加えて、不動産売却による譲渡所得もその対象となります。
したがって、不動産売却で所得が増え、住民税も上がる場合は、ふるさと納税の活用可能額も増えることになります。例年以上にふるさと納税を利用することが推奨されます。
ふるさと納税について、より深く知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
特別控除で不動産売却の譲渡所得がゼロ以下になる場合、確定申告は必要?
特別控除は自動的には適用されませんので、譲渡所得がゼロ以下になる場合でも確定申告が必要です。確定申告をしないと特別控除が適用されず、さらに無申告扱いとなり、無申告加算税というペナルティが発生する可能性があります。
不動産売却で住民税や所得税以外に高くなる税金はある?
無職や自営業の方の場合、不動産を売却した翌年の国民健康保険料が増加する可能性があります。住民税と同様に、国民健康保険料も前年の所得に基づいて計算されるためです。
例えば、愛知県岡崎市を例に取ると、2024年度の国民健康保険料は「医療保険分」「後期高齢者支援金等分」「介護納付金分」の3つに分かれており、それぞれの税率は7.15%、2.63%、2.41%です。
不動産売却で譲渡所得が200万円の場合、43万円の基礎控除を差し引いた157万円が課税対象となり、最終的な国民健康保険料の年間での支払金額は約19万円増加します。譲渡所得が大きいほど、保険料も増加しますので、無職や自営業の方は、住民税だけでなく国民健康保険料も考慮しておく必要があります。
一方、会社員や公務員の場合、給与に基づいて健康保険料が決まるため、不動産売却による影響はありません。サラリーマンの健康保険料は給料月額に基づいて計算されるため、売却所得によって保険料が増えることはありません。
まとめ
不動産を売却して所得が発生すると、住民税が高くなりますが、特別控除や軽減税率といった特例を活用することで、住民税を軽減することが可能です。これらの特例を適切に利用することで、税負担を抑えた賢い売却ができます。不動産売却の際には、ぜひ自分が適用できる特例を確認し、有効に活用しましょう。













































逆瀬川勇造さん からのコメント
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
日本の不動産は築年数が古くなるほど取引価格が安くなるケースが多く、またマイホームの売却であれば3,000万円特別控除の適用を受けられることから、売却時に譲渡所得が発生して住民税を納めなければならないことはそう多くありません。一方で、相続した不動産売却するようなケースでは、取得時の契約書など用意できないと概算取得費として売却価格の5%しか計上できず、高額な税金がかかってしまうケースことがあります。こうしたケースでは生前から契約書をしっかり保管し、親族に共有しておくといった対策が必要です。不動産の売却では状況次第で高額な税金がかかるケースがありますが、対策することで大きく納税額を減らせることも多いため、早い段階で不動産会社や税理士などの専門家に相談しておくのがおすすめです。