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いつやってくるかわからない大地震、住んでいる建物の耐震性能が分からなくては不安ですよね。もしものときに命を守る耐震性能を備えることはもちろん重要ですが、知識を付け、対策をすることで普段も安心して暮らすことができるのではないでしょうか。築30年以上の住宅に住む方、中古住宅の購入を検討している方にぜひ読んでいただきたい、今回はそんな耐震診断についてご紹介します。
目次
耐震診断とは
耐震診断とは、既に建てられている建物に対して耐震性能がどの程度あるのかを確認することです。
簡易的なものから、専門家による精度の高いものまであり、診断により補強が必要となれば、補強計画をし、耐震工事を行います。
なぜ耐震診断が必要なのか
現在、新しく建物を建てる場合には国が定めた耐震基準を満たしていなければなりません。しかし、この制度は大きな震災を経るごとに強化されてい来た歴史があり、いわゆる旧耐震という昔の耐震性能の住宅では稀に起きる大地震の際に人命を守るために十分な強度が確保できていない場合があります。実際、1995年の阪神淡路大震災、2016年の熊本地震では旧耐震基準で建てられた住宅の多くが倒壊や一部損壊をしました。今まで住み続けた家、新たに購入する中古物件など、安心してマイホームで暮らすためにも耐震診断を行い、必要な耐震補強を行うことをお勧めします。
対象となる建築物
耐震診断の対象となる建物は、現在の耐震基準が施工される以前、つまり1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた建物が該当します。現在の耐震基準を満たしていない可能性があるためです。また、建築時に耐震基準を満たしていても雨漏りやシロアリ被害など、劣化により耐震性の低下が懸念される場合も耐震診断をお勧めします。
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耐震診断の流れと内容
一般的な耐震診断の流れと内容をご紹介します。
耐震診断の方法は「一般財団法人 日本建築防災協会」によってマニュアルが発行されており、市町村の補助金を受ける場合などはこのマニュアルに従う必要が出てきます。
木造の建物では一般診断と精密診断があり、もちろん精密診断の方が精度の高い調査です。鉄骨造、コンクリート造では、第一次診断、第二次診断、第三次診断があり、段階が上がるほど精度の高い調査になります。
それぞれ、段階的に制度の異なる調査であり、予算や建物の状況などで手法を選択します。
予備調査
現地での調査を行う前に、建物の延床面積、築年数、構造種別といった概要を確認するため資料を確認します。
設計図書、構造計算書、確認申請書類、検査済証、地盤調査など、その他としては、建物のリフォームや増減築といった使用履歴の資料が必要となります。
これらの資料が無い場合は実測など行う必要があるため費用がかさむ場合があります。
現地調査
直接現地に赴き調査を行います。予備調査の段階で必要な図面などの資料が揃うかどうかによって現地調査の内容も変わります。
一般診断(木造)
建築士、建築技術者が行う診断で、現地調査が必要となります。
住宅の外観と内観から目視確認を行います。基本、屋根裏や床下の調査可能な箇所から確認し、破壊を伴う調査は行いません。
位置づけとして、補強の必要のあり・なしを判断するためのものであり、簡易的な診断とされています。精密診断よりも安価ではありますが、概略的に耐震性を診断するもののため、必要以上に補強工事をしてしまう可能性もあり、逆に費用がかさんでしまうことも考えられます。一般診断に要する時間は2~3時間程度とされています。
精密診断(木造)
一般診断法は目視のみで行われますが、精密診断法では必要に応じて構造を確認するため壁などの破壊を行います。天井裏、屋根裏、床下から目視検査を行い、柱・壁を確認します。
全ての柱・壁の強度を調査し、一般診断と比べ精密な診断結果を出すことが可能です。半日から一日程度の時間を要します。
第一次診断(RC造、S造)
主に壁式RC造など壁量が多い建物を簡易的に評価するための方法です。
柱と壁の断面積、コンクリートの強度から耐震性能を算出します。耐震性能の算出は比較的簡易的なものとなります。
第二次診断(RC造、S造)
柱・壁の強度、鉄筋の影響のねばり強さも考慮し耐震瀬能を算出します。耐震性能の計算には、より高い難易度が要求されます。
第三次診断(RC造、S造)
第二次診断の診断要素に加え、梁の強度も加味し、建物の保有水平耐力を算出します。第三次診断の耐震性能の算出は、より難易度が高くなります。
耐震診断の費用
RC造(鉄筋コンクリート造)
延べ床面積によって変動しますが、1㎡あたり1,000~2,500円が相場です。
S造(鉄骨造)
RC造と同じく、延べ床面積によって変動しますが、1㎡あたり1,000~3,000円が相場です。
木造住宅
一般的な木造住宅の耐震診断費用は15万円からが相場となっています。建物の大きさや建物の概要、構造を知るための図書の有無などによって耐震診断料金が変化します。
RC造、S造、木造住宅と、それぞれの費用をご紹介しましたが、いずれも図面などが揃っているかによって、現地での実測作業や図面を作成するなど追加作業が必要になるため費用が変わります。
耐震診断後の流れは
補強計画
診断結果によって、建物に必要な強度を補うための補強計画を行います。
耐震補強工事
耐震診断を行う企業が耐震補強工事まで請け負うこともあります。
屋根や壁、梁と柱などの接合部、建物の基礎部分が耐震補強の対象箇所となります。
まとめ
いかがだったでしょうか。1981年以前に建てられた、いわゆる「旧耐震」の建物は耐震診断を受けることをお勧めします。もし、中古住宅の購入を考えている場合も、リフォームと同時に耐震診断と補強工事を行うことで安心して入居ができるのではないでしょうか。
市区町村から補助金や助成金などが受け取れる制度があったり、相談窓口がありますので上手に活用したいですね。