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新耐震基準法とは?旧耐震基準との違いや確認方法などを解説

新耐震基準法とは?旧耐震基準との違いや確認方法などを解説

掲載日:2019.10.29

「旧耐震基準」ってなに?

1981年に、耐震基準に関する建築基準法の改定があって、その前後で「新耐震」「旧耐震」と言うよ。

へぇ!じゃあ、そのあとの改正は「シン新耐震基準」かな?

いや。2000年に施行された「2000年基準」というものがある。合わせて解説するよ。

地震大国日本。度重なる大規模な震災からの教訓を経て耐震基準は度々の改正を重ねてきました。今回は「新耐震基準」と「旧耐震基準」について、そこを境に大きく変わった耐震基準のお話です。

家族の命を守り、さらには震災後も生活の場として存在しなくてはならない重要な家。どのような定めが設けられているのでしょうか。これから家を建てる方、購入を検討されている方は必ず知っておきたい知識です。

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新耐震基準とは

新耐震基準とは、1981年に改正された建築基準法の耐震基準を指します。それに対し、それまで施行されていた耐震基準を「旧耐震基準」と呼びます。
耐震基準は大きな震災を経るごとに厳しい耐震基準に改正されてきた歴史があります。

1981年に改正された建築基準法

1981年6月から施行された新耐震基準は「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という2020年の現在でも基準とされている耐震基準を義務付ける改正が行われました。
理由としては1978年に発生した宮城県沖地震の家屋倒壊の被害が甚大だったことが挙げられます。マグニチュードは7.4、最大深度を観測した仙台市では震度5の地震でした。被害は死者が28名、建物の全半壊は7,400戸にも上りました。この地震から教訓を得て、より厳しい耐震基準に引き上げが行われたのです。

過去の災害から建築基準法の制度はより厳格化されてきたんだね。

旧耐震基準と新耐震基準の違い

旧耐震基準と新耐震基準では何が異なるのでしょうか。
旧耐震基準とは1950年から施工され、1981年5月31日までに建築確認を行った建物に適用された耐震基準を指します。新耐震基準は旧耐震の基準が補強され、震度6強~7に達する程度の大規模地震動に対して安全を確保するという規定が加わりました。

建築基準法の耐震基準の概要

出典:国土交通省

震度5程度の地震に対する基準

旧耐震基準では「建物の自重の 20%に相当する地震力」に対して許容応力度計算(力が加わっても元の状態に戻り損傷を受けない)を行い、構造材料の許容応力以下とする耐震設計法が定められていました。これはのちに新耐震基準に改正される際、10年に一度程度発生することを想定した震度5程度の中規模地震に際し、倒壊あるいは崩壊しないという位置づけの「一次設計」という概念となります。
つまり、旧耐震基準には震度5強よりも大きい地震に対しての定めはなく、また、震度5程度の地震を受けても、倒壊はしないが建物が損傷を受けている可能性が大いにあるということでした。

震度6以上の地震に対する基準

震度6以上の地震は1950年から施行された旧耐震基準では規定されていなかった部分ですが、1981年からの新耐震基準では震度6強~7程度の大規模地震で倒壊・崩壊しないことの検証を行うことが定められました。
新耐震基準で検証することとしたこの部分を「二次設計」、旧耐震基準での検証部分を「一次設計」と呼びます。

うぅ…難しいよ~。

簡略化すると、旧耐震は震度5(中規模地震)まで倒壊・損傷しないという基準だったのが、新耐震によって「震度6~7の大規模地震に対して倒壊しない」という内容が加わって、住宅の最低限の強度が引き上げられたんだ。

新耐震基準であることのメリット(中古住宅購入において)

中古住宅の中には旧耐震の時代に建てられ、新耐震基準の審査を受けていない、または満たしていないものも少なからずあります。新耐震の住宅を選択することは震災に対する安全面でのメリットがありますが、その他にも購入時の資金計画に大きく影響する重要なメリットがあります。

  • フラット35の適応
    フラット35など、住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、購入する住宅が機構が定める技術基準に適合したものである必要があります。
    技術基準の項目の一つとして、住宅の耐震性がありますが、建築確認日が昭和56年6月1日以後であることが基準として定められています。もし建築確認日が不明な場合は新築された時期(表示登記)が昭和58年4月1日以後のものが適応されます。建築確認日や新築された時期が適応基準に満たない場合は、対象の住宅が耐震評価基準などに適合するかどうかで決まります。
  • 旧耐震は2022年改正後の住宅ローン減税が受けられない…?
    住宅ローンを組むのであれば、減税額の大きい住宅ローン減税は受けたいものです。しかし、適合要件では木造住宅(非耐火住宅)は築20年以内となっています。つまり、旧耐震基準の建物は対象外…。 ところが、この築年後要件を緩和する方法があるのです。耐震基準適合証、つまり耐震性能が確保されていると認められた住宅であれば住宅ローン減税の対象となることができます。
    →2022年税制改正の要件緩和により1981以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)に対しては住宅ローン減税が適用されることになりました。そのため築20年を超える木造住宅であっても適合証などの提出が不要になり、手続きの負担が軽くなったと言えます。

旧耐震基準であっても、「既存住宅売買瑕疵保険」「耐震基準適合証明書」を取得すれば住宅ローン減税が受けられます。

過去の地震における被害状況の違い

大規模のもの、倒壊など被害が大きかった震災をピックアップしています。

発生年月日 震央地名・地震名 最大震度 人的被害 物的被害
2018年
9月6日
胆振地方中東部
平成30年北海道胆振東部地震
6.7 死 43
負 782
住家全壊 469棟
住家半壊 1,660棟
住家一部破損 13,849棟など
2016年
4月14日~
熊本県熊本地方など
平成28年(2016年)熊本地震
7.3 死 273
負 2,809
住家全壊 8,667棟
住家半壊 34,719棟
住家一部破損 162,500棟
など
2011年
3月11日
三陸沖
平成23年(2011年)
東北地方太平洋沖地震
(東日本大震災)
9.0 死 19,667
不明 2,566
負 6,231
住家全壊 121,783棟
住家半壊 280,965棟
住家一部破損 745,162棟
など
2008年
6月14日
岩手県内陸南部
平成20年(2008年)
岩手・宮城内陸地震
7.2 6強 死 17
不明 6
負 426
住家全壊 30棟
住家半壊 146棟など
2007年
7月16日
新潟県上中越沖
平成19年(2007年)
新潟県中越沖地震
6.8 6強 死 15
負 2,346
住家全壊 1,331棟
住家半壊 5,710棟
住家一部破損 37,633棟など
2004年
10月23日
新潟県中越地方
平成16年(2004年)
新潟県中越地震
6.8 死 68
負 4,805
住家全壊 3,175棟
住家半壊 13,810棟など
2000年
10月 6日
鳥取県西部
平成12年(2000年)
鳥取県西部地震
7.3 6強 負 182 住家全壊 435棟
半壊 3,101棟など

2000年6月1日、建築基準法の大改正『2000年基準』
建築確認申請が必要となる

1995年
1月17日
兵庫県南部地震
(阪神・淡路大震災)
7.3 7 死者 6,434
不明 3

住家全壊104,906棟、住家半壊144,274棟、全半焼7,132棟

1981年建築基準法の大改正『新耐震設計基準』
壁量の規定が見直される

1978年
6月12日

宮城県沖地震

7.4

 

死者28
負傷者1,325

家屋の全壊1,183棟、半壊5,574棟、半焼7棟、一部破損60,124戸

過去の地震と被害状況に関する出典:気象庁

震度6以上の地震って、たびたび起こっているんだね。

過去の災害を教訓に建築基準法は改定が重ねられてきたんだ。

耐震基準は2000年にも改正

新耐震基準に改正後も2000年にさらに厳しい耐震基準へと改正が行われました。「2000年基準」とも呼ばれ、1995年に発生した阪神淡路大震災の被害をもとに行われました。
改正内容として、

  • 地盤が重さを支える力に応じて基礎を設計する
  • 直下型地震の強い縦揺れによる柱の引き抜けに対応するため基礎と柱の接合部への金具の取り付け
  • 耐力壁をバランスよく配置することでより頑丈な家にすること

以上のような内容を義務付けました。

2000年基準は木造住宅に適用される内容なので、マンションには関係ありません。

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旧耐震基準の物件の場合の対応は?

旧耐震基準の中古木造住宅、中古マンションは現在も流通しています。それらの購入を検討する際、何に気を付けたらよいのでしょうか。

新旧耐震の確認方法

新耐震基準は1981年6月1日に施行されました。それでは、その日以降に完成した建物が新耐震基準なのか、というとそうではありません。
建物の建築をするにはいずれの場合にも検査機関による「建築確認」を受けなくてはいけません。そのため、どの耐震基準法に適合して建築されたかを確認するには建築確認の申請がいつ行われたか、建築確認証や検査済証にある建築家確認申請日を見て確かめることができます。

安全性を判断する際の注意点

新耐震基準と、旧耐震基準で施工の規定が大きく変わったことは事実です。
しかしながら、新耐震基準の改正後も新たに改正がありましたし、建築基準法で定められた耐震基準は「最低限守らなくては決まり」ということは建築基準法の冒頭でも述べられています。そのため、それだけに気をとらわれず、中古住宅の購入をする場合はメンテナンスは十分にされてきているか、実際にどんな施工がされているか、地盤は安全かなど必要な確認を行いましょう。

建築基準法の耐震基準は最低限の強度なんだね。それに、耐震基準は竣工時の数値なんだよね。

竣工時から経年変化で耐震強度が変わることもあるし、後年のメンテナンスで耐震補強をしている建物もある。築年数だけではなく、メンテナンスの経歴や実際の建物状況を確認しよう。

建物耐震診断を受ける

新築住宅は設計時に地震に対する強度を計算し、建築されます。しかし年月を経るごとに劣化し、耐震強度が低下するのは致し方ないことです。

そこで中古住宅を購入する際には、現状の耐震強度を知るために建物耐震診断を行うことをお勧めします。そうすることで、適切な耐震補強工事などを施し安心して居住することができるのです。

中古住宅を購入する際、住宅ローンを組む際などに必要になる「耐震基準適合証明書」とは何なのかをご紹介します。
「耐震基準適合証明書」とは、旧耐震基準以前に建築された住宅などが、現在施行されている耐震基準に合致していることを証明する書類です。耐震基準を満たしていない場合、耐震改修工事を行う必要があります。

工事後、改めて確認、証明書の発行となり、建築事務所に所属する建築士が発行します。中古住宅取得後に耐震基準証明書を取得しても住宅ローン減税を受けることはできないため注意しましょう。

<2022/1/7追記>2022年の税制改正により住宅ローン減税の適用要件が変更され「耐震基準適合証明書」の提出が無くなり、1981年以降に建築された新耐震基準の建物は住宅ローン減税の対象となりました。

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耐震基準を知って、賢く中古物件を購入しよう

建築された時期で旧耐震、新耐震の基準は違うけど、耐震強度は建物それぞれで違うんだね。

中古住宅は新築住宅に比べ価格が抑えられ、立地の選択肢が増えるという大きなメリットがあります。メリット・デメリットを知って、賢くマイホームを購入してください!

中古住宅で住宅ローンは借りられる?といった資金計画から、この物件はリフォームできる?などもナカジツならワンストップでサポートします。

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