この記事のポイント
- リノベーションは間取り変更や配管更新まで含む大規模工事のため、費用が数百万円単位に膨らみやすく、解体後の追加工事でさらに増額するリスクがある
- 短期間での住み替え予定や予算に余裕がない場合、新築同等の性能を求めている場合は、投じた費用に対して満足度や回収期間が見合わない可能性が高い
- 後悔の多くは「目的が曖昧なまま進めたこと」や「予備費不足・構造制限の見落とし」に起因するため、理由と条件を明確にしてから判断することが重要
「今住んでいるこの家、思い切ってリノベーションしたほうがいいのだろうか?」
「工事費が想定より高くなったら、後悔しないだろうか……」
住み慣れた家に不満が出てくると、リノベーションという選択肢が頭に浮かびます。
ただ、大きな費用と時間をかける以上、勢いだけで決めるのは不安もあります。本当に今やるべきなのか、それとも別の方法を考えたほうがいいのか。
この記事では、リノベーションをやめたほうがいいとされる理由や具体的な状況を紹介し、最後にやるやらないの判断に役立つ軸をわかりやすくお伝えします。
記事の構成
リノベーションはやめたほうがいいと言われている理由
リノベーションは、間取りを大きく変えたり、配管や断熱まで見直したりと、住まいを根本からつくり直す工事を指します。
よく混同されるリフォームとの違いは以下のとおりです。
| 項目 | リノベーション | リフォーム |
|---|---|---|
| 目的 | 住まいの性能や価値を高める | 老朽化した部分を元の状態に戻す |
| 工事の範囲 | 間取り変更や配管更新など大規模 | 壁紙張り替えや設備交換など部分的 |
| 費用感 | 数百万円以上になるケースも多い | 数十万円〜数百万円程度が中心 |
| 影響範囲 | 生活スタイルそのものが変わる | 不具合の解消や見た目の改善が中心 |
リノベーションは、いまの暮らしを大きく改善できる一方で、費用や工期の規模も小さくありません。そのため「やめたほうがいい」といった声も一定数見られます。
SNSなどの後悔談
SNSや口コミサイトには、実際にリノベーションを経験した人の率直な声が数多く投稿されています。ここでは、その中から代表的な後悔の声をいくつか紹介します。
リノベで一個後悔しているというかやればよかったの、ドアの開きを反対にするだなって今気がついた。
義両親から家貰ってリノベした我が家。
築5年?なんだけど、ひとつ後悔していることがある。
キッチンの台の高さが低いのだ…。
絶妙に腰にくるのだ…。
ショールームで実際に見て選んだはずなのに…あのときから背が伸びたとでも言うのか…(35歳児)
【築古リノベで後悔したこと】
初期の時だけど最初にシロアリ調査をしなかったことかな腐った束石スカスカの大引き、補修費は桁が変わる。特に水回り。
表面より見えないところに金をかけるのがプロ特に木造は要注意。今は平気で買うけどw
リノベーションで「予備費」を確保してますか?
中古物件のリノベは、壁や床をめくらないと分からないことがたくさんある。
想定外の工事でコストアップは普通に起こる。
100万円くらいの予備費があると、心の余裕が全然違いますよ。
細かな寸法確認を怠ったことで使い勝手に不満が残ったり、ドアの開き方向など生活動線に関わる部分で後悔したという声は少なくありません。また、中古物件では解体後に不具合が見つかり、想定外の補修費が発生したという体験談も目立ちます。
費用の読みにくさ
リノベーションでは、解体して初めて分かる不具合が見つかることがあります。たとえば、壁の内側の腐食や配管の劣化などです。こうした追加工事が発生すると、当初の見積もりから費用が増える可能性があります。
また、設備や素材を選ぶ段階でグレードを上げたくなることもあるでしょう。小さな変更の積み重ねが、最終的に大きな差額につながります。
家族での意見割れ
リノベーションは、住む人全員の暮らし方に影響します。デザインの好みだけでなく、予算の考え方や将来設計まで関わるため、意見が分かれることもあります。
たとえば「今の家を活かしたい」と考える人と、「いずれ住み替えたい」と考える人では、工事にかける金額の許容度が変わります。方向性が定まらないまま進めると、途中で迷いが生じやすくなります。
リノベーションをやめたほうがいい状況

リノベーションは魅力的な選択肢ですが、どんな人・状況にも合うとは限りません。ここでは「当てはまるなら一度立ち止まったほうがいい状況」を6つ解説します。
想定以上に工事費用がかかりそうなとき
リノベーション費用は、物件の状態や工事内容によって大きく変わります。一般的な目安として、マンションのフルリノベーションでは1㎡あたり10万円〜20万円程度、戸建てではさらに高くなることもあります。
70㎡の場合、700万円〜1,400万円前後になる計算です。
主な費用項目は次のとおりです。
- 設計・デザイン費
- 解体工事費
- 大工・内装工事費
- 設備交換費(キッチン・浴室・トイレなど)
- 電気・給排水工事費
- 諸経費
中古物件の場合、解体後に配管の劣化や構造材の腐食が見つかることもあります。その結果、追加費用が発生するケースは珍しくありません。
見積もり段階で「少し厳しい」と感じるなら、無理に進めるべきではありません。費用が想定を超えそうな時点で再検討すべきです。
予算に余裕がないとき
予算を十分に捻出できないときは、無理にリノベーションをすべきではないでしょう。
リノベーション費用を現金でまかなえない場合、住宅ローンやリフォームローンを利用する方法があります。
ただし、リフォームローンは金利が高めに設定される傾向があります。毎月の返済額が家計に重くのしかかるなら、暮らしの満足度は上がりません。
また、工事費とは別に仮住まい費用や引っ越し費用も必要です。生活防衛資金を削ってまで進める計画は、慎重になるべきです。
間取りや性能を期待通りに改善できないとき
建物には構造上の制約があります。マンションでは「ラーメン構造」と呼ばれる柱と梁で支える構造が一般的で、抜けない壁や動かせない配管スペースがあります。
また断熱性能や耐震性能も、既存の構造によっては改善が難しい場合があります。思い描く理想の間取りや性能が、物理的に実現できないと分かった時点で、計画は立ち止まるべきです。
短期間での住み替えや売却を前提としているとき
その住まいに長く暮らす前提であれば納得できる金額でも、数年で住み替える予定なら話は別です。
高い費用をかけても、その家で過ごす期間が短ければ、体感できるメリットは限られます。暮らしを楽しむ時間が短いまま次の住まいへ移るなら、費用対効果は薄くなりやすいと考えたほうが現実的です。
さらに、売却時に工事費をそのまま価格へ上乗せできるとは限りません。不動産価格は立地や築年数の影響が大きく、買い手の好みに左右される部分もあるためです。
新築と同等の住宅性能や完成度を求めているとき
最新の新築住宅は、高断熱・高気密仕様が標準化されています。既存住宅では、構造や敷地条件によって同水準まで引き上げられない場合があります。
仕上がりの精度や設備の統一感も、新築と完全に同じレベルを求めるとギャップが生まれやすくなります。根本から一新したいという思いが強いなら、建て替えや新築購入のほうが合っているケースもあります。
目的が曖昧で「中古だから」「安いから」だけで検討しているとき
「中古は安いから」「なんとなくおしゃれにしたい」といった理由だけでは、計画がぶれます。リノベーションは手段であって目的ではありません。
どんな暮らしを実現したいのか、どこに不満があるのかが言語化できていないなら、急ぐ必要はありません。目的が定まっていない状態で大きな投資をするのは、リスクが高い選択です。
それでもリノベーションが向いている人
前章では「やめたほうがいい状況」を見てきましたが、条件がそろえばリノベーションが適した選択になることもあります。
次のような人は、前向きに検討してもよいでしょう。
長く住む前提で理想の間取り・デザインを実現したい人
この家に10年、20年と暮らすつもりなら、工事費は日々の快適さに置き換わります。
家事動線を整えたい、収納を増やしたい、素材や色味にこだわりたいなど、実現したいイメージが明確な人には向いています。
暮らす時間が長いほど、投じた費用の意味も実感しやすくなるでしょう。
立地を最優先したい人
駅近や学区、周辺環境など、今住んでいる立地は代えがたいものです。
希望エリアに新築が少ない場合、中古物件を取得して内装を整えるという考え方は合理的です。「場所は妥協しない。その代わり中身は自分たちで整える」と割り切れる人には、相性のよい方法です。
予算と心に余裕がある人
リノベーションでは、工事中に想定外の修繕が必要になることもあります。そうした変化にも落ち着いて対応できる資金計画と心の余裕がある人は、結果として後悔が少ない傾向があります。
無理のない範囲で計画できているかが、リノベーションの満足度を左右します。
リノベーションでよくある後悔と失敗パターン
ここでは、実際に起こりやすい失敗のパターンを具体的に見ていきます。
想定より費用が膨らみ、やりたいことを削った
解体後に配管の劣化や下地の傷みが判明し、追加工事が必要になることがあります。その結果、予算の上限を超え、床材の仕様を下げる、造作収納を取りやめるなど、本来実現したかった部分を削る判断に至るケースがあります。
予備費を確保せずに進めると、工事後半で選択肢が狭まりやすくなります。
完成後に「思っていた暮らし」とズレを感じた
デザイン性や間取りの広がりを優先した結果、生活動線や収納量の検討が不十分になることがあります。
たとえば、開放的なLDKを実現したものの冷暖房効率が落ちる、キッチンを移設したことで配膳動線が長くなる、といった事例です。
図面上の印象と実際の生活の快適さは必ずしも一致しません。日々の動き方まで具体的に想定できていないと、完成後に違和感が残ります。
築年数が古すぎて、直しても根本的な不満が残った
築年数が古い住宅では、断熱・耐震・配管などの基礎性能に限界があります。
内装を刷新しても、断熱材の不足により寒さが改善しきれない、耐震補強に大きな追加費用がかかるといった状況も起こります。見える部分を整えても、建物全体の性能が追いつかなければ、不満は解消しきれません。
法的・構造的に注意すべきケース
リノベーションは「やろうと思えば何でもできる」工事ではありません。建築基準法などの法令や、建物の構造ルールによって、できること・できないことがはっきり分かれる場面があります。
再建築不可物件のケース
再建築不可物件とは、現在の建築基準法に適合しておらず、建て替えができない土地・建物を指します。多くは、接道義務を満たしていないケースです。
大規模なリノベーションや増築を計画しても、法的に制限がかかることがあります。建物の一部を大きく変える工事では、確認申請が必要になる場合があり、その過程で現行基準への適合が求められることもあります。
大規模修繕・模様替に該当し、建築確認が必要になるケース
2025年4月以降、木造戸建住宅の大規模なリフォームについて、建築確認手続きの対象が拡大されました。
主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)の1種以上について過半を改修する場合、建築確認が必要になるケースがあります。
たとえば、屋根や外壁を大きくやり替える場合、改修範囲が過半に及ぶと「大規模の修繕・模様替」に該当します。一方、キッチンや浴室など水回りのみの交換は原則として確認不要です。
「内装工事だから関係ない」と思い込まず、構造に関わる工事かどうかを事前に確認しましょう。
参照:木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について|国土交通省
構造上動かせない部分があるケース
間取り変更を前提とするリノベーションでは、抜けない壁や移設できない梁が障壁になります。木造住宅でも、耐力壁(地震の揺れに抵抗する壁)を安易に撤去することはできません。
また、マンションでは共用部分にあたる構造壁や配管スペースは変更できません。管理規約で制限されることもあります。
設計段階で構造制限を十分に確認せずに計画を進めると、「思っていた間取りにできない」という結果になりかねません。
リノベーションをやめるか否か悩んだときの判断基準
計画を進めるかどうかで迷っているなら、感情ではなく条件で整理してみましょう。まずは次の9項目をチェックしてみてください。

上記で不安が残る項目が多いなら、一度立ち止まる価値があります。ここからは、それぞれの視点をもう少し具体的に見ていきます。
想定外の費用が出ても受け止められるか
リノベーションでは、解体後に配管や下地の劣化が判明することがあります。その際、数十万円から100万円単位の追加費用が発生するケースもあります。予備費を確保していないと、計画の途中で仕様を削る判断を迫られます。
総額を把握したうえで、上振れにも対応できるかどうかが第一の分岐点です。
今後の暮らしや住み替え計画と矛盾がないか
数年以内に転勤や住み替えの可能性があるなら、高額な工事費を回収できる期間は短くなります。住宅ローンやリフォームローンの返済が、教育費や老後資金の計画と重ならないかも確認が必要です。
リノベーション後の生活年数を具体的にイメージできるかどうかも重要なポイントです。
「今の家を直したい理由」がはっきりしているか
「なんとなく古いから」ではなく、どこが不満で、どう改善したいのかを言葉にできるかが重要です。収納不足なのか、寒さなのか、動線なのか。目的が曖昧なままでは、完成後にズレを感じやすくなります。
改善点が具体的で、家族と共有できているなら、リノベーションは前向きに検討できる段階に入っています。
まとめ
リノベーションは、暮らしを変える選択です。一方で、費用の増減や法的な制約、建物の構造条件など、事前に確認すべき要素も少なくありません。「やりたい」という気持ちだけで進めると、途中で迷いが生じやすくなります。
だからこそ、まずは信頼できる施工会社や不動産会社に、やりたいことと予算感を率直に伝え、実現可能性を整理してもらうことが大切です。
不動産SHOPナカジツでは、物件探しから設計・施工までを一貫してサポートしています。中古住宅の特性を理解したうえで、立地選びとリノベーションをセットで考えられる点が強みです。建物の状態確認や資金計画も含めて、無理のない提案を心がけています。
「本当にリノベーションが合っているのか」という段階からでも構いません。理想の暮らしと現実的な条件をすり合わせながら、一緒に最適な選択を考えていきましょう。








































