共有名義の不動産を売却したい人が知っておきたいこと

共有名義の不動産を売却したい人が知っておきたいこと

掲載日: 2020.09.23

家族や兄弟で土地や家屋を相続したり、夫婦共同で住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、共有名義と呼ばれる状況になる場合があります。
共同名義とはその名称通り、土地・建物などの所有権複数人で共有している状態のことで、何かとトラブルを多く抱えやすい不動産形態のひとつです。
今回は、この共有名義となった持ち家やマンションを売りたい方に向けた内容となります。
少し長くなってしまいますが、共有名義のメリットやデメリット・特徴をしっかり理解して、売却までの流れをスムーズに進めていきましょう。

不動産の共有名義の基本

共有名義とは、土地の所有権(土地の所有面積ではない)を複数人で共有している状態のことで、その対義語となる単独名義1つの不動産1人で所有する状態を指しています。
たとえば夫婦で不動産を購入する際夫と妻それぞれでローンを組んだ場合、両者が出資者となるため共有名義での契約になります。

基本的に名義人は出資者や相続したときの割合によって決まり、名義人ごとに持ち分と呼ばれる割合が定められています。
持ち分のある共有者はその割合に関係なく、不動産所有者としての権利を持っています。

単独名義でも共有名義でも不動産自体の価値は変わりませんが、 共有名義の不動産売却に際し、手順を間違えると想定外の出費が発生する可能性があり、手続きには正確性が求められるうえ、手順が増えたり注意点が多くなったりと、単独名義よりも面倒になると言えるでしょう。

そして、売却の際には共有名義人全員の同意が必須となるため、共有者同士での話し合いが進まない場合、後々親族・関係者間にわだかまりが残ることも大いに考えられるので、対応には注意が必要です。

共有持分権者(共有名義人)が行えることの範囲

処分

処分とは、不動産売却や抵当権の設定、(※1)借地借家法の適用のある賃貸借契約の締結をしたりすること

家屋であれば、解体作業も処分行為に含まれます。
また、借地借家法のもと人に不動産を貸す場合は、借り手の権利が強く大家に不利な契約となるため、これも処分行為とみなされます。
処分を行う際は、共有名義人である委任者が代表である受任者に委任状を作成して渡します。
事前に委任状をもらうことで、代表受任者だけで媒介契約を含めた手続きを進めることが可能となります。

(※1)『借地借家法』とは…
https://nakajitsu.com/column/51024p/

処分するには不動産名義人全員の同意が必要

処分行為は財産そのものの価値を激変してしまうことになるので、
持分割合に関わらず、持ち分のある共有者全員の同意を得る必要があります。

利用

利用とは、不動産を短期的な賃貸借に出したり賃貸借契約を解除したりすること

仮に共有不動産をアパートとして貸し出した場合、得た収益は持分割合に従い全ての共有名義人へ分配されることが原則となっています。

また、共有不動産を第三者に賃貸借する場合は、
・借地借家法の適用を受けないこと(=「借主に有利、大家に不利」な状況でない)
・短期賃貸借の範囲を超えないこと(一般的な土地…5年/建物…3年)
という条件を満たした場合に限り、利用(管理)行為と判断されます。

利用するためには、不動産名義人の『持分割合』が過半数以上の同意が必要

たとえ決定権が持分割合の過半数以上にあったとしても、共有不動産の権利は全員にあるため、基本的には全員分の同意を得た方が無難と言えるでしょう。

改良

改良とは、不動産のリフォームやリノベーションを実行する行為を指す

不動産の相続後は、建物自体の老朽化や設備の使用感向上、家族構成の変化などによってリフォーム・リノベーションに踏み切る方も多いのではないでしょうか。
通常の不動産とは異なり、共有不動産の場合はリフォーム前にも名義人同士での話し合いが必要となります。

改良するには、不動産名義人の『持分割合』が過半数以上の同意が必要

リフォーム費用・増改築費用は所有権の持分割合に応じて負担が必要となります。
費用の負担割合が異なる場合、費用との差額が贈与税の対象となるため、事前に登記事項証明書で不動産情報を確認し、必要があれば持分割合の変更名義変更を行っておきましょう。

保存

不動産の現状を維持するため、建物の傷みを補修したり不法占拠者を追い出したりすることは保存行為にあたる

『保存』行為は不動産の現状を変更しない範囲で維持するために行うもので、管理費負担は基本的に持分割合に準じます。
ただし、共有不動産に共有者が居住しており、当事者同士で居住者の全額負担に合意していれば、居住者に全額負担させることが可能です。

管理費用の判断基準は以下となります。
―――――――――――――――――――――――――
・不動産の維持管理に必要不可欠な費用
・不動産の価値を高める有益費
共有者が全員合意して不動産を変更する場合にかかる費用
―――――――――――――――――――――――――

上記に該当しないもの(たとえば、土地管理を依頼している管理会社への管理報酬・水道光熱費・趣味の造作など)は居住者本人のみで負担する形となります。

保存行為は、共有名義人単独で実行可能

使用

使用とは、共有している不動産に居住したり、実際に使用する行為のこと

共有持分権者であれば、不動産全体を使用することが認められています。
たとえ持分割合が3分の1だったとしても、不動産全体を占有して居住することもできるのです。 ただし、賃料は可分債権(分けることができる債権)とされるため、各共有者間で合意がない限り、共有持分相当額を賃借人に請求することができます。
共有者であっても家賃を払わない場合、持分に応じた使用が妨げられている分の金銭を支払うよう請求することができます。(不当利得返還請求)

使用行為は共有名義人単独で実行が可能

共有名義の不動産を売却する方法

用意するもの

共有名義の不動産を売却する際には、最低でも以下の3つは用意しておきましょう。

①登記済権利証または登記識別情報

法務局、インターネット請求、登記情報サービスで地番を開示して取得が可能です。
『地番』は、

抵当権設定契約証書
・不動産を買ったときの売買契約書重要事項契約書登記識別情報
・毎年、市町村から送られてくる固定資産税納税通知書

などに記載されています。

登記済権利証】って何?
不動産の登記が完了した際に登記名義人に対して交付されるものです。平成18年までは権利証として発行されていました。
権利証を持っている人が、その不動産の所有者であることを証明するためのもので、売却の際には必須の書類となっています。 万が一紛失してしまった場合、不動産売却の際の登記申請において、権利証を提示できないことを説明し事前通知を利用しましょう。
登記所から本人限定受取郵便にて事前通知が発送されてから2週間以内(海外在住者の場合は4週間以内)に申出をすることで、登記名義人であることを確認してもらうことができます。

登記識別情報】とは?
12桁の英数字からなる暗証番号のようなもので、不動産登記を行った人のみに通知されます。
この符号さえ登記所へ提出することができれば、本人証明が可能となります。

②境界確認書・土地測量図

土地や戸建を売却するときに必要となる書類です。

境界確認書
隣地との土地の境界をはっきりさせるために測量(境界確定測量)を行い、その結果確定した境界を証明する書類のことです。

土地計量図(地積測量図)】
不動産登記法で、
『一筆の土地の地積に関する測量の結果を明らかにする図面であって、法務省令で定めるところにより作成されるものをいう』
と定められている測量図のことです。

地積測量図には、以下の内容が記載されています。

(1)地番と土地の所在
(2) 地番
(3) 基準点の凡例
(4) 面積の計算法
(5) 面積の結果
(6) 測量した年月日

これにより、その土地の面積が正確に分かり、土地の境界を明確にすることができます。
地積測量図がない場合は登記(公簿)面積で契約する場合もあるため、必ずしもなくてはいけないものではありません。
しかし、境界があやふやなまま取引を進めた場合、後々契約者間、または近隣の土地所有者とのトラブルに発展する恐れもあるため、重要な書類です。
きちんと近隣の土地の所有者と協議したうえで土地測量図、境界線確認書を作成しておいた方がいいでしょう。

③共有名義者全員の身分証明書と実印、印鑑証明書、住民票

共有不動産の売却には、共有名義者全員の同意はもちろん、身分証明書も全員分必要となります。
これに加えて、実印印鑑証明書住民票といった書類も揃えなくてはなりません。
書類全てを揃えたうえ、共有名義者全員が実印を押し、契約書へ署名をすることで売却が可能になります。
また、売却に携わることができない場合は、別の共有者に代理で手続きを委託するための委任状の用意も必要です。

ご近所トラブル

ご近所トラブルにならないよう気を付けましょう

売却方法

実際に、共有不動産を売却するための方法と注意点を確認していきましょう。

全ての土地を売却する

不動産の売却は、共有者全員に売却意思があることが前提となってきます。
共有者全員が同意して売却する場合、基本的には全員がそれぞれ売買契約を行います。
売却後に得たお金や売却に関してかかった費用等については持分割合通り分割負担になり、委任状で代表者が売買契約を行った場合であっても同様です。

もし、住宅ローンの残債が残っている状態で不動産を売却する場合には、残債を一括で返済する必要があります。
そして不動産を売却して利益が出た場合は譲渡所得税を支払うことになりますので、念頭に置いておきましょう。

共有者に買い取ってもらう

不動産を共有しているのは、親子関係や夫婦、兄弟同士など、親族であるケースが多く挙げられます。
買い取りについては金銭の支払いがあるため、売却額について共有者同士の話し合いが必須となりますが、
このような関係性であれば話し合いも短時間で済む場合が多く、持ち分を買い取りしてくれる可能性も高いと言えます。
第三者へ共有持分を売却するとするならば、買取りを専門としている業者へ売却するケースが圧倒的に多くなります。
なぜならば、制約のある共有不動産の一部の持分だけ買い取り賃貸に出そうとしても、他の過半数の権利者の同意が必要となり、かなり自由度が少なくなってしまうからです。
共有持分は、ほぼ適正価格の70~50%で取引されていますが、このような価格設定であっても第三者が買う機会はほとんどないと言えるでしょう。

そして売却が成功したとしても、共有持分を買い取ったあと、専門業者がほかの共有持分権者に対して強引に売却話を持ちかけるパターンも十分に考えられます。
そうなった場合、共有持分権者のなかにはそのことを快く思わない方もいるでしょう。 トラブルを回避する意味でも不動産を有効活用し、納得のいく価格で売却しようと思うのであれば、他の共有持分権者に売却するのが一番良い方法であると言えるでしょう。

注意しなければならないのは、ただ単に譲渡をしたり、極端に相場よりも安い売却額で取引した場合、受け取った側贈与税が課税されること。
贈与税には年間110万円までの非課税枠があり、これを超える部分が課税対象となります。
低額譲受行為については、不動産本来の価値との差額分が課税対象となるため、注意が必要です。

持ち分割合によって分筆し、売却する

分筆(分筆登記)とは、登記簿で一つとされている土地を複数に分ける方法のこと。
※筆とは、一個の土地を指す単位 土地の分割は共有不動産の解消策として有効な方法で、土地のみであれば自分の持ち分だけ売却することも可能です。
共有名義の土地をそれぞれの持分割合に応じた面積で分け合い、再度各々で所有権の登記を行えば、各共有者それぞれで自由に売却することができるようになります。
分筆登記を行うと、分筆した土地の所有権を共有者全員が持っている状態となります。
登記完了後、それぞれの土地の持分を交換・集約し、単独所有とするために所有権移転登記を行うため、
不動産の固定資産税評価額の0.4%の登録免許税と、司法書士報酬を支払うことになります。

―――――――――――――――――――――――――

登録免許税 = 土地の価格(固定資産税評価額) × 0.4%

―――――――――――――――――――――――――

共有名義の不動産を分筆する場合、その共有持分割合に応じて分筆します。
どの範囲を誰が所有するかはその土地の価格に差が出ることがあるため、話し合う必要が出てきます。
売却する際の価額に影響したり、将来相続が起きてその土地が相続財産となった場合には相続税評価額に差が出ることもあります。
しかし、話し合いで土地の増減や境界線の位置調整を費用清算することもできますので、必要に応じて対応すると良いでしょう。

また、分筆するにしても建物が建ってしまっている土地は、地上権・賃借権によって保護されていれば建物を取り壊すことはできません。また、家屋やマンションの区分所有権は分割して分け合ったり、区分登記することはできません(ただし、2棟以上の建物が1個の建物として登記されている場合は、建物分割登記が可能)。

そして、分筆した土地が行政指導による最低敷地面積以下の場合、建築確認(建築の許可のようなもの)が受理されないことがあるため注意が必要です。

換価分割(相続時のみ)

換価分割とは、不動産を売却してからその売却代金を分ける方法のことで、相続が発生した際利用できる制度です。
相続した不動産の売却に関して、相続人が複数いる場合、まず共有名義に登記をしてからの売却が原則となっています。
しかしながら不動産が共有になると手続きが面倒なので、相続時に限り換価分割が認められています。

換価分割では遺産を一旦現金化してから分割するため、全員に平等に分割できるうえ、相続税を納めるための現金も準備することができるのです。
この方法は不公平感がなくなるため、トラブルの発生が少なくなります。
今後利用する予定がない不動産の場合や、相続人同士の関係が希薄な場合にオススメできる手段と言えるでしょう。

※相続ではないのに換価分割を行ってしまうと、贈与税が課税される場合があるので、注意しましょう。

リースバックを検討する

共有名義の物件に居住しており転居は避けたいため、売却に前向きでない共有者がいる場合に提案できる手段として、リースバックがあります。
リースバックとは、専門の不動産業者や投資家に自宅の所有権を売却し、賃借人としてローンの代わりに家賃を払うことで住み続けることができる制度です。
退去に伴う出費を抑えられるだけでなく、不動産売却後も住み慣れた家で生活できるうえ、将来的に金銭的な余裕ができれば不動産を買い戻すことも可能です。

しかし、所有権が第三者に渡るため、新しい所有者によって使用するルールが決められ、自由度が制限されてしまうことや、
家賃が相場より高くなってしまったり、支払いの継続が難しくなる場合もあります。
また、不動産の売却価格は市場取引価格の60~90%と、周辺相場より安くなりがち。

さらに、売却想定価格が融資された金額より低額の場合、物件価格以上の融資を受けている状況となるので、ローンが残債しオーバーローンとなる可能性があります。
ローンを組んで購入した物件には銀行の抵当権がついていて、融資を受ける金融機関に対し、家が担保になる状況となります。
抵当権はローンを完済するまで消えず、勝手に家を売ることはできません。
オーバーローンとなってしまうとリースバック自体が難しくなってしまいます。
リースバックを検討する際は、ローンの残債も頭に入れておくと良いでしょう。

共有名義の不動産売却のポイント

共有名義の不動産売却について押さえておくと便利なポイントを紹介します。

共有持分権者を明確にする

共有持分権者とは共有持ち分の名義人のこと。
共有名義の不動産でかなり深刻な問題となっているのが、
相続人が複数いる場合、その後の相続によってさらに共有者の数が増え、権利関係が複雑になること。
共有者の数が増えることで手続きの手順がより煩雑になってしまい、手間が増えどんどん処分しづらくなってしまいます。
誰が引き継ぐか決められないから……、と結論を先延ばしにすると、また次の相続で人数の収拾がつかない事態に……。
とりあえず法定相続分(民法で定められた相続分)で登記しておこう、という考えは禁物です。
相続が発生したタイミングが、共有を解消する良い機会ととらえ、対応する方がよさそうです。

また、名義人の所在が分からないときは『(※2)不在者財産管理人制度を活用しましょう。
これは、不在者の財産を管理する人を裁判所に選定してもらう制度(行方不明の人の代理人を立てる)となります。

(※2)不在者財産管理人制度とは(裁判所)⇒ https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_05/index.html

窓口係を決めておく

共有者全員で売却に向けた意思の統一を図るためには、中心になって共有者間の意見をまとめる調整役が必要になってきます。
しかし、幅広い実務経験、土地建物に関する知識や法律、関連者との調整力の他に、必要に応じて土地家屋調査士や税理士、弁護士への手配や連携、隣接地所有者との境界問題、家屋の解体業者などへの手配や行程管理などにも対処する事があり、共有者内ではなかなか対応が難しいこともあります。
その場合は、多角的に対応できる経験豊かな専門的不動産業者(実務者)に依頼するのが得策と言えるでしょう。

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売却前に税金・ローン返済などの費用負担割合を決めておく

費用の負担割合は、原則全て持分割合で応分することが合理的です。
逆に持分割合以外の方法で配分することは、よほどの合理性がない限り揉める原因となりますので、避けた方が良いでしょう。
一時的に窓口担当者が立て替えた場合でも、後で応分負担するルールをきちんと明確にしておくことが大切です。
また、オーバーローンとなっていると、不動産売却の一番の障害となります。
売却前にはおおよその家の売却価格とローンの残債を把握しておき、オーバーローンになっていないかどうか事前に確認することが大切です。

最低売却価格を決めておく

同意事項の中で最も重要なものは、ズバリ価格
共有者によって生活環境や状況が大きく異なる場合、購入検討者から値段交渉が入ったときに揉める原因になる可能性があります。
最優先とするものが売却金額だったり、売却スピードだったりと、人によって重要視するポイントが異なる場合があるからです。
最低売却価格を決めておかないと、購入の申し込みがあるたびに、毎回「売った方が良いのか、もっと待った方が良いのか」等の協議を全員で行うことになってしまいます。
そうならないために、マンション売却前に最低売却価格と、引き渡し時期のリミットを決めておくことが重要です。
値段交渉が入った場合でも、最低売却価格という共通の判断軸があるため、機械的に判断することが可能となります。

スムーズに売却を進めるポイントは、最低売却価格低めに設定しておくこと。
最低売却価格を高めに設定してしまうと、その価格での購入希望者が一向に現れないことがあり、
売却の長期化にともない、不動産の売却自体を断念してしまうことも十分にあり得ます。
鉄は熱いうちに打ってしまいましょう。

委任状による代行売却

不動産の売却時、基本的には売買契約重要事項説明代金決済など、重要な場面で共有者全員が立ち会う必要があります。
ただ、仕事の都合がつかない、遠方に居住しているので契約場所に出向くことができないなど、共有者がさまざまな事情を抱えていることもしばしば。
そのような場合、売却に合意していることを前提に、出席可能な共有者に委任状を出して手続きを委託することも可能です。
委任をするには一定の条件があり、本人が海外にいたり、病気やケガで入院していたりというような本当に時間が取れないことが前提となっています。

また、他の共有者に手続きを依頼する委任状(契約行為や決済に関する手続き)司法書士に登記を依頼する委任状(登記手続きの代理)別物となります。
共有者への委任状の他に、司法書士への委任状も提出が必要となるので、注意しましょう。

委任状には決まった書式がないため、誤った情報を記載してしまうと効力を発揮できない可能性があります。
登記簿謄本を参考に住所物件種別を間違いのないよう記入し、取引内容によって必要な項目を追記していきましょう。
誰が見ても分かりやすい内容となるよう留意すること、記載内容を勝手に追加されることを防ぐために、文末は『以上』で締めることが大切です。

また、判断能力の喪失(認知症など)、意思表示ができない共有者がいる場合については、委任状では対応が難しいケースとなります。

共有不動産の相場を知る

売却を敬遠している、もしくは敬遠しそうな人を前向きにさせるためにも、事前に共有不動産の査定を受け、共有持分権者全員の相場観を統一しておきましょう。
査定結果を示すことで、売却活動が前進する可能性がより高まります。

査定は複数の不動産会社に依頼し、査定価格を横並びにすることがポイントとなってきます。
1社のみでは比較対象がないため、その金額が高いのか低いのか分かりませんが、
複数の査定額があれば、高い価格と低い価格が一目瞭然となるためです。

また、近隣に同条件の不動産があるならば、その価格を参考にしても良いでしょう。

そして、引っ越し会社比較サービスと同じように、不動産にも一括査定サービスが存在します。
インターネット上で、売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるため、
査定方法に迷ったり、時間に余裕がない場合は利用してみてはいかがでしょうか。

「不動産の専門家」に相談

どのような方法でも、不動産の共有状態を解消しようとする場合、共有者同士の話し合いはどうしても避けられません。
話し合いを先延ばしにしていると、時間の経過によって新しい相続が発生し共有者が増えるなど、状況が悪くなることも多く、話し合いの長期化の恐れがあると感じた時点で、共有不動産売買を得意とする専門不動産業者への相談を検討しましょう。
不動産会社の担当者はさまざまなケースの売却事例を経験してきているので、効果的なアドバイスをもらえる可能性があります。

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時間に余裕をもつ

不動産売却には平均的に6ヶ月から1年、マンションの売却には3ヶ月から6ヶ月もの時間がかかります。
分筆するにしても、一般的に数ヶ月はかかってしまうでしょう。
急ぎで住居を移らなければいけない事情が発生した場合であっても、いきなり売却できるわけではありません。
購入希望者側も、共有不動産を検討する場合「本当に代表権があるのか?詐欺ではないか?」など、
通常の売却時よりもさらに注意深くなるため、事実確認にどうしても時間を取られることが多くなります。
売り手側としてはもどかしい思いをすることが多いと思いますが、契約が流れることのないよう、ある程度は相手に合わせるしかないのが現状です。

売却価格は時期などによる需要で大きく変動します。
急いで売りに出すと価格交渉で不利になる可能性があるため、今すぐに不動産の売却を考えていない場合でも、早めに査定することをおすすめします。

そして、共有名義の不動産を売却して売却益があったり、特例を利用する場合は確定申告が必要となります。
確定申告は、たとえ不動産が共有名義だとしても共同で行うことはできません
不動産を売却した翌年の3月15日(土日祝の場合は異なる)までの確定申告が必要です。
書類作成が必要な点は認識しておきましょう。

名義変更で所有者を統一

共有持分権者のうちの1人が他の共有持分権者の共有持分割合をすべて購入したり、贈与を受けて名義変更し、単独名義になる方法です。
単独名義になれば誰からも許可を得る必要がないため、自由に不動産を売却できます。
しかしながら、贈与・売買ともに、名義を移す場合には様々な税金が発生します。

・一定金額を超える贈与をした場合に受贈者が支払う贈与税
・名義を変更する際に(主に受贈者や買主が)法務局に支払う登録免許税
・名義を変えた後で受贈者や買主が1回だけ支払う不動産取得税
・不動産を保有している間は毎年支払続ける固定資産税

贈与の場合は贈与税を課税されること、売買でも適正価格より大幅に安い対価を設定すると、みなし贈与として適正価格との差額分に課税されることがあるので、注意する必要があります。

名義変更に必要な提出書類は下記となります。

―――――――――――――――――――――――――

登記原因証明情報(売買や贈与の事実が時系列で記載されていること)
・名義(持ち分)を失う人(売主や贈与者)がもともと名義を取得した際の権利証(または登記識別情報通知)
・名義(持ち分)を失う者の取得3カ月以内の印鑑証明書
・名義(持ち分)を取得もしくは贈与される者の住民票
・代理人に依頼する場合は売主、買主からの委任状
・名義変更登記をする年度の固定資産税評価証明書

―――――――――――――――――――――――――

引用元(法務局): http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html#05

『共有物分割請求』で共有状態を解消する

共有物分割請求とは、共有持分権者の共有状態を解消し、ほかの共有持分権者に分割を求めるための手続きのことです。
共有者のうち、1人でも共有物分割請求に合意できなければ共有状態を解消できないため、
協議にて合意が得られなければ調停を経たのち裁判所にて共有物分割請求訴訟を起こし、判決で共有物分割を認めてもらう形となります。
訴訟では、自分が希望する共有物分割の方法を主張し、その方法が妥当である根拠を裁判所へ説明しなければなりません。
相手と意見が異なる場合は、相手の反論が通らないように再度反論する必要があるため、法律の詳しい知識がない方には難しい手続きとなります。
とても専門的な訴訟であるため、弁護士に依頼することが望ましいでしょう。

また判決によっては(※3)競売にかけられ、売却代金が大幅に下がってしまう可能性があるばかりか、裁判を行ったり弁護士を雇うために高額な費用がかかります。
そのようなリスクを負わないためには早いうちに売却・土地の分割等の協議を行うこと、可能な限り別の方法で共有状態を解消してしまうことが重要です。

その他、共有持分の解消という点では売却だけでなく放棄という方法もありますが、持ち分の放棄はみなし贈与となります。
放棄された共有持分は他の共有者へ帰属し、帰属された共有者は贈与税の支払いが必要となります。
また、特定の共有者にのみ共有持分を渡す行為も贈与にあたり、当然贈与税が発生するため注意が必要です。

(※3)競売…裁判所が売主の立場になって強制的に公開売却をして、売却金(譲渡所得)から経費等を差し引きして共有権利者に配分すること

共有名義の不動産を売却するときは準備が大切

このように、共有名義は手続きが非常に複雑で、売買に時間を要することがほとんどです。
共有名義の不動産は早めに売却して他の資産に換えるか、事前に権利関係を整理しておくことが後のトラブル回避に繋がります。
どの売却方法を選ぶにせよ、他の共有者としっかり話し合い、全員が納得いく形で売却することが大切です。


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