この記事のポイント
- 老後資金の確保と入居審査に備えれば、一生賃貸でも安心
- 高齢者の入居拒否感を持つ大家は約7割、家賃は75〜90歳で1,260万円程度
- セーフティネット住宅制度を活用すると老後の住まい探しが楽に
「一生賃貸でいいのか、老後のことを考えると決断できない」
「賃貸のままだと、歳をとってから住む場所に困ると聞いた」
こうした不安を、ひとりで抱えていませんか。
ネットには「一生賃貸の末路は悲惨」という言葉があふれています。でも、それは本当でしょうか。
この記事では、高齢期の入居審査や老後の家賃負担など、一生賃貸に伴うリスクの実態と、後悔しないための具体的な備えを現実に即した視点でお伝えします。読む前と後では、一生賃貸への見方が変わるはずです。
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記事の構成
事前準備をすれば「一生賃貸=悲惨な末路」ではない
「末路」という言葉には、避けられない結末というニュアンスがあります。しかし、一生賃貸の行き着く先は、準備次第で大きく変わります。
ネット上では「一生賃貸は老後に詰む」「賃貸派は惨めになる」といった極端な意見が目立ちます。SNSや掲示板では、持ち家VS賃貸の論争が繰り返されており、どちらの主張も感情的になりがちです。
大切なのは、そうした極論に流されず、現実のリスクを正確に把握することです。
高齢者が民間の賃貸住宅に入居しようとすると断られやすいのは事実です。
国土交通省の調査では、高齢者に対して入居拒否感を持つ大家が約7割にのぼると報告されています。一方で、国はセーフティネット住宅制度を整備し、高齢者が入居しやすい住宅の登録・普及を進めています。

課題は確かに存在しますが、制度や備えを知っていれば対応できる余地は十分あります。
出典:
住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討|国土交通省
住宅セーフティネット制度 ~誰もが安心して暮らせる社会を目指して|国土交通省
「一生賃貸=悲惨」と断言できないのと同様に、「賃貸でも何も問題ない」と楽観するのも危険です。ネットの極端な声と現実の間にある正確な情報を、この記事でひとつずつ確認していきましょう。
【比較】賃貸と持ち家の生涯コスト
「賃貸は払い続けるだけで何も残らない」「持ち家はローンが終われば出費ゼロ」という対比は、どちらも実態をかなり単純化しています。両者の主なコスト項目を並べると、イメージとは少し違う景色が見えてきます。
例えば月8万円の家賃で40年間住み続けると、累計の支払い総額は約3,840万円。数字だけ見ると大きく感じますが、持ち家にも購入時諸費用(物件価格の3〜7%程度)・ローン利息・固定資産税・大規模修繕費といったコストが積み上がります。
住宅金融支援機構の調査によると、フラット35利用者の物件購入価格は新築マンションで平均4,500万円超の水準で、これにローン利息や諸費用が加わります。
出典:2024年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
| コスト項目 | 賃貸 | 持ち家 |
|---|---|---|
| 月々の支払い | 家賃(管理費含む) | ローン返済+管理費・修繕積立金(マンションの場合) |
| 入居・購入時の初期費用 | 敷金・礼金・仲介手数料(家賃2〜4か月分程度) | 諸費用+頭金(物件価格の5〜10%以上が目安) |
| 維持・修繕費 | 原則として不要(設備修繕は貸主負担) | 外壁・屋根・設備の修繕費(数十年で数百万円規模) |
| 固定資産税 | なし | 毎年発生 |
| 最終的に残る資産 | なし | 物件(ただし価値は変動する) |
どちらが生涯コストを抑えられるかは、物件の購入価格・金利水準・居住年数・将来の売却価格によって変わります。
「賃貸は損」という感覚的な判断より、自分の条件を具体的に当てはめて試算するほうが、判断のよりどころになります。
一生賃貸が「惨めだ」「恥ずかしい」と感じる主な理由
「一生賃貸は惨め」というイメージが広がる背景には、資産が残らないことへの偏見だけでなく、高齢になってから賃貸市場の厳しさを身近で体験した人たちのリアルな声があります。
実際に本人や家族が賃貸で老後を過ごす人の声
Xには、親の住まい探しを手伝った経験者の投稿が多く見られます。
「大家が廃業し、80代の夫婦が引っ越し先を見つけられずに不動産屋を巡り歩いた」「親が立退きにあい、自分が保証人になれたから何とかなったが、身寄りのない人には相当な蓄えがないと厳しい」。
こうした声には「持ち家があったらと何度思ったか」という後悔が共通して添えられています。
- 大家が高齢で廃業、80代の夫婦は引っ越すにも貸してくれる所がなくて不動産屋巡り。同じ立場になって考えて見れば高齢者には貸したくないのだろう、生活音や冬場のストーブ、認知症など不安しかない。これは私の両親に起こったこと。持ち家があったらと何度思ったか。
- おひとり様で賃貸暮らしの方、老後賃貸の立退があったらどうするんやろ?うちの親も立退にあって私が保証人になれたから新しいとこ借りれたけど一人っ子とかだと姪や甥もいないやん?
- 持ち家にするべき。理由…高齢者に部屋は貸してくれない(あっても申し込みが殺到しすぎて無理)親の家探しをして体験しました。これが現実です。
高齢者への入居拒否感は賃貸市場で実際に根強く、国土交通省の資料でも解決すべき課題として取り上げられています。老後の住まい確保に不安を感じる人が多いのは、こうした現実が少しずつ広まってきているからです。
出典:住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討|国土交通省
若者の一生賃貸に対する不安の声
30〜40代では「このまま一生賃貸でいいのか」という漠然とした不安を抱える人が少なくありません。
「老後も今の家賃を払い続けられるか」「年金だけで足りるか」という心配と、「35年ローンを組んでも完済が70歳を超える」という二つの不安の間で揺れているケースが目立ちます。「かといって一生賃貸というのも心配」という言葉が、その迷いをよく表しています。
- 住宅ローンを中心に色々と崩壊してしまって払えなくなった自分としては、35年でもしっかり将来設計しないと怖いです。今後はリノベやリフォームが重要になるんじゃと思いつつ、ノウハウないから難しいという考えと、とはいえ一生賃貸もなんだか…という考えで日々悩んでます。完済70オーバーは…😱
- そもそも、一生賃貸人生だと思っていた為、今のマイホーム計画が自分のこととは思えず、何だかとても楽しみかつ不安…。
「資産が残らない」という引け目が「惨め」「恥ずかしい」という感情につながる面もあります。
ただ、こうした感情はイメージが先行している部分が大きく、実際にどんなリスクがあるかは次章で具体的に紹介します。
一生賃貸を「末路」と捉えてしまう3つの老後リスク
「末路が悲惨」という表現は誇張が入っているとしても、準備なしに老後を迎えると困る局面があるのは事実です。資金・審査・資産形成の3点を確認しておきましょう。

老後資金の枯渇リスク
65歳以上の夫婦無職世帯では、年金収入だけでは月々の支出をまかないきれないケースが多いです。
総務省の家計調査によると、こうした世帯の消費支出は実収入を上回る傾向にあります。持ち家なら老後の住居費はほぼかかりませんが、賃貸では月6〜8万円台の家賃がそのまま支出に積み上がります。
仮に月7万円の家賃を75歳から90歳まで払い続けると、家賃だけで1,260万円になります。老後資金の取り崩し速度が早まるぶん、資産が底をつくリスクは持ち家世帯より高くなります。
出典:家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要|総務省統計局
高齢時の賃貸入居審査落ちリスク
前章でも触れたとおり、高齢になると民間賃貸への入居を断られる可能性が高まります。国土交通省の調査でも、大家が高齢者の入居に難色を示す実態が確認されており、理由として「孤独死のリスク」「家賃滞納への懸念」が挙げられています。
70代・80代で住み替えを迫られたとき、選べる物件が大幅に絞られる状況は、生活の自由度を著しく下げます。前述した住宅セーフティネット制度などの公的な仕組みはありますが、希望のエリアや間取りで入居できる保証はありません。
家賃が資産に残らないリスク
持ち家なら売却して老後資金に充てたり、子に相続したりできます。一方、賃貸で払い続けた家賃は手元に何も残しません。これを「もったいない」と感じる声は多く、心理的な後悔につながりやすい点もリスクのひとつです。
ただし、このリスクは老後の貯蓄や運用で補えます。問題になるのは「家賃を払いながら資産形成もできていない」状態です。どちらかが手薄になっていないか、今のうちに点検しておくことが大切です。
一生賃貸を末路ではなく賢い選択とする声も
リスクばかりが語られがちな一生賃貸ですが、「ずっと賃貸で良かった」という声も根強くあります。賃貸ならではの利点を観点別に整理します。
根拠1)住み替え自由度の高さ
転勤・転職・子どもの独立など、ライフステージが変わるたびに住まいを見直せるのが賃貸の強みです。老後は駅近や病院が近いエリアに引っ越すといった判断も、賃貸なら比較的スムーズにできます。
持ち家を手放すには売却や賃貸転用の手続きが必要で、市況によっては損失が出るリスクもあります。「縛られたくない」という人が賃貸を意識的に選ぶのには、この機動性が大きく関わっています。
根拠2)修繕費・固定資産税の負担ゼロ
給湯器の故障や外壁の劣化など、賃貸物件の修繕費用は原則として貸主が負担します。民法第606条が、賃貸物の使用・収益に必要な修繕を賃貸人の義務と定めているためです。さらに固定資産税は不動産の所有者にのみ課税されるので、借主には関係がありません。
出典:
民法|e-Gov 法令検索
地方税制度|固定資産税 – 総務省
持ち家では修繕費・修繕積立金・固定資産税が数十年かけて積み上がります。これらをまるごと回避できる点が、「一生賃貸は賢い」という意見の代表的な根拠になっています。
根拠3)余剰資金の投資活用
住宅購入では頭金や諸費用として数百万円を一度に支出しますが、賃貸ならその資金を手元に残せます。「一生賃貸は金持ちの選択」と語られることがあるのも、この発想からです。ひろゆき氏のように「家賃は経費、持ち家はリスク」と主張する論者も、余剰資金の運用を前提に据えています。
もちろん、投資で必ず利益が出るわけではなく、資産形成の効果は個人の収入・支出構造や運用内容によって大きく変わります。ただ、頭金を手元に残して長期運用できる選択肢があることは、賃貸の利点です。
一生賃貸で悲惨な末路を避けるための備え
老後のリスクは、現役のうちに手を打てば十分に管理できます。資産形成の仕組みと、高齢者でも入居しやすい住まいの選択肢を把握しておくことが、将来への最大の備えになります。
老後資金の計画的な積み立て
iDeCoは掛金が全額所得控除になる私的年金制度で、60歳以降に受け取れます。NISAは運用益が非課税になる制度で、毎月一定額を投資信託に積み立てるスタイルに向いています。
30代・40代のうちからこの2つを組み合わせると、老後の家賃を賄う原資を計画的に作れます。
出典:
iDeCoの概要|厚生労働省
職場iDeCo・つみたてNISA|厚生労働省
収入がある時期に積み立てを始めるほど、複利の効果が大きく働きます。年金だけに頼らず、自分で老後のキャッシュフローを設計する意識を持つことが、賃貸を続ける上での土台になります。
高齢者向け賃貸物件と保証制度の把握
高齢になっても入れる住まいの選択肢は、一般賃貸だけではありません。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、バリアフリー構造に安否確認・生活相談サービスを備えた賃貸住宅で、60歳以上などを入居対象としています。
一般の賃貸より入居ハードルが低く、介護が必要になったあとも継続して住める物件もあります。
出典:制度について|サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム
国土交通省の住宅セーフティネット制度では、高齢者の入居を拒まない登録住宅を探せます。家賃債務保証会社を利用すれば、身元保証人がいなくても審査を通りやすくなります。
まとめ
一生賃貸の末路は、準備の有無で大きく変わります。高齢時の入居審査や老後の家賃負担は確かなリスクですが、対処できる問題です。
一方で、「やはり持ち家を検討したい」と感じた方も多いかもしれません。賃貸か購入かは、家族構成・収入・ライフプランによって正解が異なります。自分の状況に合わせて判断するためには、地域の相場や物件の実態を知ることが出発点になります。
不動産SHOPナカジツでは、年間39,000件以上の査定依頼と4,700件以上の仲介実績(2024年)をもとに、賃貸・購入どちらのご相談にも対応しています。
「今の家賃のまま老後を迎えて大丈夫か」「購入するなら今の予算で何が買えるか」といった疑問も、ぜひ気軽にご相談ください。








































