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不動産売買の際、手続きを依頼した不動産会社へ支払う料金のことを『仲介手数料』(媒介手数料)と言います。
不動産を売却するためにかかる費用の中では比較的大きな割合を締めているため、初めて手続きをする場合戸惑ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、不動産を売却する場合に焦点を置いて、よくある仲介手数料への疑問やそれ以外の諸費用についてまとめました。
不動産売却時の仲介手数料
不動産の売却時における『仲介手数料』は、一体どのような役割や意味合いを担っているのでしょうか。
・不動産仲介会社に払うもの
わたしたちが不動産を売却したいと考えた時、どのように売ろうと考えるでしょう。
専門的な知識がない限りは、不動産会社と媒介契約を行って買主を探すお手伝いを依頼する方が多いかと思います。
媒介契約を結んだ不動産会社は、不動産を売却するために物件情報サイトへの情報掲載や、広告作成と投函活動、不動産の内覧希望者とのスケジュール調整、鍵の手配などといった、不動産成約のための活動を行います。
仲介手数料は、このような不動産会社の活動が実を結び無事成約に至った場合、不動産会社の活動に対する報酬として支払われるものです。
売主側の強い要望で遠地にいる購入検討のお客様に不動産紹介のために赴くなど、通常業務の範囲を超えた依頼に対応する場合は、別途費用が発生し請求される場合がありますので注意しましょう。
・媒介契約時に報酬(仲介手数料)について説明する義務がある
媒介契約を締結すると、不動産会社は宅地建物取引業法に基づき、売主(媒介契約依頼者)に対し業務処理の進捗状況を報告しなければならないという義務が発生します。
媒介契約の中でも、専任媒介契約(不動産会社1社のみに販売活動を依頼し、依頼者自らも取引相手を探すことができる契約)、専属専任媒介契約(不動産会社1社と契約し、売却行為を完全に専任すること)の場合にこの報告義務が課せられます。
報告の頻度は『専属専任媒介契約』の場合休業日を含む1週間に1回以上、『専任媒介契約』の場合は2週間に1回以上、行わなければなりません。
この媒介契約締結時、こうした契約の違いや仲介手数料(媒介手数料)について説明する義務もあり、説明がない状態で媒介契約が締結されてしまった場合はすぐに解除が可能です。
媒介契約は内容が明確になった状態で契約することも、重要なポイントとなります。
・契約成立時に支払う
仲介手数料は、買主との契約が成立した場合に支払う義務が発生する『成功報酬』となります。途中で売却に見切りをつけて契約が成立しなかったなら、支払う義務はありません。
また、仲介手数料は不動産価格が決まらなければ算出することができないため、早い段階で仲介手数料やその一部を請求されるような場合には注意が必要です。
・不動産会社が買主であれば、仲介手数料は発生しない
不動産会社が売主と買主の間に入り仲介、契約が成立すると発生する仲介手数料。当然、仲介関係になかった場合には発生しません。
仲介手数料を必要としないパターンとして、不動産会社が直接取引相手(買主)となる場合が挙げられます。
不動産売却時の仲介手数料相場と計算方法
仲介手数料は不動産価格が決定した後、基本的に不動産会社が算出します。ですが、念のため自分でも計算して、仲介手数料の価格感を掴めるようにしておくのが安心ですね。
・低廉な空き家についての料金制度
2018年1月1日より、特に地方で深刻化している放置された空き家の売却促進対策として、『低廉(ていれん)な空き家等の売買取引における媒介報酬額の特例』が施行されました。
『低廉』とは『値段が安い』『安価』という意味で、この特例における『低廉な空き家』とは売買価格が400万円以下の不動産のことを指します。
近年、人口減少の影響で空き家の数は増加の一途を辿っています。不動産が老朽化していたり、地方にあったりして現地調査や交通費などの費用がかかってしまうことに加え、不動産自体の販売価格が安く労力に利益が伴わず、取引に対して消極的な業者が多かったのが現状です。
この流れを変えるために、『低廉な不動産(土地を含む)は、売主が支払う仲介手数料に調査費用などの必要経費を上限18万円+消費税分上乗せできる』よう、仲介手数料の上限額が改正されました。
仲介手数料の上乗せは売主側のみに請求されるものであること、媒介契約時に『売主への説明および売主の合意』が必要となるといった点を押さえておくと良いでしょう。
・仲介手数料の上限価格
仲介手数料には下記のように上限額こそありますが、上限の範囲内であれば、不動産会社で自由に金額を設定することができます。
仲介手数料上限額 |
200万円以下の部分 | 5% |
200万円超400万円以下の部分 | 4% |
400万円超 | 3% |
上限額以上の請求は当然法律違反となりますが、上限額ピッタリを必ず請求しなければならないというような法律は存在しません。
説明を受ける際そのように案内する不動産会社には注意した方がよいでしょう。
また、金額が200万円以上の不動産に関しては、下記の速算表を当てはめることで、より簡単に計算が可能となります。
速算式 |
200万円超400万円以下の場合 | 4%+2万円 |
400万円超の場合 | 3%+6万円 |
例えば 不動産価格が4,000万円の場合、速算表の400万円超の場合を適用し、
4,000万円×3%+6万円=126万円(税込138万6,000円) |
と計算できます。
・仲介手数料の早見表
売買価格 仲介手数料(税込) |
100万円 | 5万5,000円 |
200万円 | 11万0,000円 |
300万円 | 15万4,000円 |
400万円 | 19万8,000円 |
500万円 | 23万1,000円 |
600万円 | 26万4,000円 |
700万円 | 29万7,000円 |
800万円 | 33万0,000円 |
900万円 | 36万3,000円 |
1,000万円 | 39万6,000円 |
2,000万円 | 72万6,000円 |
3,000万円 | 105万6,000円 |
4,000万円 | 138万6,000円 |
5,000万円 | 171万6,000円 |
6,000万円 | 204万6,000円 |
仲介手数料の支払い方法
仲介手数料を支払うタイミングは、売買契約が成立し業者から請求された際に行います。
金額が大きいので持ち運ぶには細心の注意を払うでしょうし、もしもの事を考え始めるとキリがありません。
支払方法を選ぶことはできるのでしょうか。
・銀行振り込みが一般的
仲介手数料の支払いは現金の持ち込み、もしくは銀行振込が一般的な支払いパターンとなっています。
ただし、銀行振込の場合は振込手数料がかかってしまい、大抵の場合振込手数料は売主負担となってしまうため、現金を持参する方もいらっしゃいます。
・クレジットカードなどは不動産会社に確認するのが良い
クレジットカード払いなどのキャッシュレス決済に関してはまだ導入事例が少なく、残念ながら大抵の不動産会社では実施していないことが多い印象です。
もし気になる場合は、念のため不動産会社に確認してみるといいでしょう。
仲介手数料以外にかかる経費
資金計画を立てるためには、仲介手数料以外に発生する諸費用についても知っておくと、手元にいくら残るのかおおよそ見当をつけることができるようになります。
不動産取引において、仲介手数料以外の支出項目についてチェックしていきましょう。
・印紙税
印紙税は、不動産売買において納税必須となる税金です。万が一印紙の貼り忘れ、納税金額が不足したまま提出してしまった場合、さらに『過怠税』がかかってしまいます。提出の際はよく確認しましょう。
印紙税の詳細は、こちらの記事をご確認下さい。
不動産購入時にかかる仲介手数料の相場や計算方法は?
印紙税の手引(国税庁)
・土地の測量費用
土地同士の境界線が分からない場合、面積や境界線をはっきりさせるために測量を行います。費用は土地の状態や業者によっても異なりますが、35万~45万円が目安と言われています。
関連記事:境界確定測量とは何か 土地の境界線を知るために必要な境界確定測量について
・ローンの抵当権抹消費用
住宅ローンを借りる際、万が一借りた人の状況が変わり返済が難しくなってしまった場合に備え、 土地や建物を担保(保証)にする権利のことを『抵当権』と言います。
この抵当権は不動産登記簿に記載されているので、不動産を売却する際には原則抵当権を抹消する必要があります。
登記簿上抵当権が残っていると、ローンが返済されたかどうかの判断がつかないため売却取引がしづらくなる、買主側でローンが組めないなどの問題が発生します。
スムーズに取引を進めるためにも、抵当権抹消手続きは必ず行っておきましょう。
また、抵当権抹消とともに所有権移転の手続きの必要もありますので、専門的な知識がない場合は司法書士に依頼する流れが一般的です。
抵当権抹消には登録免許税がかかり、建物と土地でそれぞれ1000円ずつ発生します。敷地権化された分譲マンションなどは『抵当権設定契約書』の『物件の表示』欄を確認し、1件に対し1000円かかってきます。
そして、司法書士への依頼料は1万円~2万円前後を予定しておくと良いでしょう。
・建物の解体費
不動産のうち建物部分を解体、更地にして販売する場合に発生します。不動産会社に依頼することも、自分で専門業者を探して依頼も可能です。専門業者を自分で探す場合は、見積金額や作業内容、工事のお知らせを掲示するなど近隣の住民への配慮といった面でも比較して検討するとよいでしょう。
解体費用は建物の構造や坪数に影響され、立地や業者などでも異なってきます。基本的に取り壊しやすい木造、鉄骨造、RC造の順で解体費用が値上がりしていきます。
不動産売却にあたり、解体費用を払ってでも更地にした方がいい場合と、そのままの状態で売却した方がいい場合があるので、担当者と相談しながら状況判断をしていきましょう。
関連記事:
一戸建て解体費用はいくら?解体の前に知っておきたいことを紹介
・廃棄物の処分費
建物の解体に際し発生した木材、断熱材、コンクリートや不要な家財などを処分するための費用がこれにあたります。
不動産会社に相談し専門業者を紹介してもらうと良いでしょう。廃棄物の量や業者で金額が異なりますが、10万円~50万円程度を目安に考えておくと安心です。
仲介手数料に関する注意点
不動産売却において、頻繁にやり取りをする不動産会社だからこそ、出来たら信頼が置ける業者を選びたいところ。
不動産会社を選ぶ際、どんな点に注意すればよいのでしょうか。
・売買契約が成立しなくても仲介手数料をとられることがある
手付金による解約(手付解除)、違約による解除(違約解除)となった場合、不動産の引き渡しまで契約が進まなかったとしても仲介手数料を請求される場合があります。
手付解除および違約解除は、自己都合による解除となります。不動産会社側は役目を果たし、落ち度がないのに仲介手数料を請求できないとなると、なんだかモヤモヤが残ってしまいそうですね。
こういったことが起こった場合に不満が残らないよう、契約内容にはしっかりと目を通しておきましょう。
・手数料が正当な金額か確認する
仲介手数料は売却価格に比例して高くなっていきます。例え仲介手数料を安くしたいからといっても、不動産自体まで安く売却してしまうと最終的に損をしてしまうかもしれません。あらかじめ不動産の価格相場をチェックしておき、売却価格が 妥当な金額かどうか判断する目安にするとよいでしょう。
まとめ
仲介手数料は、不動産売却をスムーズに行うにあたり、欠かせない出費のうちのひとつです。最近では仲介手数料の割引や無料をうたい文句 とする不動産会社も出てきていますが、仲介手数料だけで不動産会社を選んでしまうのは大変危険です。
対応や行動力、言動などにも目を向け、信頼関係が築けると感じる不動産会社を見つけて頂くことが、上手な不動産取引の第一歩となるでしょう。
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