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「一人暮らしなのにマンションを購入してもよいのだろうか?」
「実際に一人暮らしでマンションを購入した人たちは、よかったと思っているのだろうか?」
一人暮らしの方のマンション購入については、ライフプランのことや賃貸との比較で悩むことが多いことでしょう。
そこで今回は、一人暮らしの方のマンション購入で注意すべきことや、購入するマンションを選ぶにあたって、どのような点を考慮したほうがよいのかなど、単身者向けマンション購入のポイントを解説します。
記事の構成
一人暮らしでマンションを購入するメリット
一人暮らしの方がマンションを購入する場合、その目的はどのようなものなのでしょう。そしてマンションを取得することによって、どんなメリットがあるのかを整理してみます。
住環境を安定させやすい
分譲マンションは、公共交通機関の利便性や商業施設・医療施設などへのアクセスがよいなど、立地条件の優れた物件が多いと言えます。
また、一戸建てや賃貸マンションよりもセキュリティが充実している傾向にあり、住民専用のゴミステーションの完備や郵便ボックス・宅配ボックスなど共用施設・共用部も充実しており、生活する上での環境が整備されている面があります。
さらに規模の大きいマンションでは、公開空地を設け公園を造成したりなど自然環境に配慮した物件などもあり、さまざまな住環境へのニーズに配慮した事例も多く、快適に長く暮らせる条件が整っている傾向にあります。
住宅ローン控除が利用できる
住宅を取得する際に住宅ローンを使用する方は、一定の要件を満たすと「住宅ローン控除」が受けられます。
住宅ローン控除とは、最長で13年間にわたり年末の住宅ローン残高の0.7%に相当する金額を、給与所得者の場合は給与、個人事業主や自営業をしている場合は事業所得に課税される所得税から控除する制度です。所得税だけで控除しきれない場合は翌年の住民税からも控除されます。ただし、納税額を超えて戻ることはありません。
資産を持つことができる
マンションを購入すると「不動産」という資産を所有することになります。
賃貸では毎月の家賃が「消えるお金」となりますが、マンションを購入すれば、月々のローン返済が資産を形成するための支出に変わります。購入後に、ローンが完済すれば、マンションそのものが自分の財産として残ります。
また、将来的に売却して現金化したり、賃貸に出して収益を得ることも可能です。特に、都市部や利便性の高いエリアであれば、地価の上昇により資産価値が高まる可能性もあります。
さらに、持ち家は老後の住まいとしての安心感を得られる点も大きな魅力です。また、賃貸住宅は早くて60歳から高齢を理由に契約を断られることもあるため、マイホームを持つことで住まいの不安を無くすことができるのです。
【体験談】一人暮らしでマンションを購入して「よかった」
不動産売買仲介業務を10年以上行う筆者の経験をもとに、一人暮らしでマンションを購入してよかったと感じている方の体験談を紹介します。
まずは、2年前に中古マンションを購入したTさんの体験談です。
当時、Tさんは賃貸物件に住んでいましたが、更新時期が迫り、更新費用を支払うのが無駄に感じていました。このタイミングで「いっそ自分の家を持とう」とマンション購入を検討し始めたのです。
新築と中古、どちらが自分に合うかを見極めるため、いくつかの物件を内覧しました。しかし、新築マンションは月々の返済額に対して間取りが狭いと感じられました。一方、中古マンションでは、返済の負担が比較的軽く、さらに広めの間取りの物件を見つけることができました。この物件に出会ったとき、Tさんは「これなら満足できる」と確信したそうです。
次は、都心のオフィスで働くYさんのエピソードです。
Yさんは学生時代から同じ賃貸マンションに住んでいました。しかし、その物件は職場から少し距離があり、残業を終えて深夜に帰宅することが日常茶飯事だったそうです。そうした生活を10年続けた頃、Yさんは「もっと効率的で快適な暮らしを手に入れたい」と考え、職場近くへの引っ越しを決意しました。
しかし、都心での生活は家賃が高くなるため、賃貸にするか購入にするかで悩むことに。熟慮の末、将来の資産形成も視野に入れ、無理のない範囲で中古マンションを購入するという選択をしました。
いざ物件探しを始めると、希望条件にぴったりの物件はなかなか見つからず、理想と現実のギャップに直面します。そんな中、不動産会社の担当者が「条件に優先順位をつけてみましょう」とアドバイスをくれました。このアドバイスを取り入れたことで考えが整理され、最終的には納得のいく物件に巡り会えたのです。
一人暮らしでマンションを購入するデメリット・リスク
大きな買い物のため、当然マンションを購入する場合のデメリットも把握しておく必要があります。
賃貸との違いにより生じるデメリットや、マンションという形態が持っているデメリットもあります。また一人暮らしの方だからこそのリスクもありますので整理してみます。
固定費の負担がある
分譲マンションには、特有の固定費として管理費と修繕積立金がかかる場合があります。これらは賃貸マンションでは発生しない費用であり、住宅ローンを利用している場合には返済額に加えてさらなる負担となります。
ただし、修繕積立金はマンションの資産価値を維持するために必要な費用です。住宅が経年劣化するのは避けられないため、仮に一戸建て住宅であっても同様の積立金を設けて将来の修繕に備えることが推奨されています。
一方、管理費は日常の住環境を整えるために必要な費用です。この資金は、共用部の清掃や設備のメンテナンス、さらにはマンション全体の資産価値を維持するために欠かせない管理組合の運営に充てられます。
資産価値の変動リスクがある
マンションの資産価値は、周辺環境や交通インフラの整備状況などによって大きく影響を受けます。特に「地価」の変動が資産価値に直結します。たとえば、大型商業施設や新駅の建設計画が立てられるエリアでは、将来への期待感が高まり、投機的な動きが活発化することもあります。このようなエリアでは資産価値の変動が激しくなる傾向があります。
また、都市の規模によっても資産価値の変動幅は異なります。同じ都市内でも、都心部と周辺部では変動の傾向が異なります。さらに、同一エリア内でも供給と需要のバランスが重要です。供給過多になればマンション価格は下落し、逆に需要が増えれば価格は上昇します。
ただし、一戸建てと比較するとマンションは耐用年数が長い傾向にあります。上述したような影響は一戸建てにも該当するため、2つを比較するのであればマンションのほうが資産価値が変動しにくいといえるでしょう。
流動性が低い
ここでいう「流動性」とは、購入した物件を売却や賃貸に出す際、どれだけ速やかに現金化できるかを指します。
一人暮らし向けのマンションは1LDKが中心ですが、売却する際のターゲットは主にシングル層となります。そのため、ファミリー層や新婚・同棲カップル層を対象とする物件に比べ、需要の母数が小さく、簡単に売却できないリスクがあります。
また、投資目的で購入する場合、株式などの金融資産に比べて早期に売却しにくく、流動性が低いといえます。さらに、譲渡所得税の観点からも、長期譲渡(5年以上の保有)が有利とされているため、短期間での売却は税負担が重くなりがちです。この点も流動性を低下させる要因となります。
しかし、このリスクは購入前に資産性の高い物件を選ぶことで軽減可能です。具体的には、駅近の立地や住居需要の高いエリア、築年数の浅い物件を選ぶことで、売却時にも買い手がつきやすくなります。
【体験談】一人暮らしでマンションを購入して「後悔した」
「購入してよかった」と思う人がいる一方で、マンション購入後に後悔するケースもあります。
30代後半の男性Aさんは、賃貸料よりもローン返済のほうが安かったことから、勤務地に近い都内の1LDK中古マンションを購入しました。物件購入に際しては複数回の内覧を行い、慎重に検討した結果、満足のいく選択をしたつもりでした。
しかし、購入から数年が経ち、Aさんは資産価値の下落に頭を悩ませることになります。物件が都内の幹線道路に面していることや、築年数がさらに古くなったことも影響し、同エリア内のほかの物件と比較して売却価格が予想以上に低いことが判明したのです。さらに、近隣エリアで新たな大型開発が進み、住環境の魅力がそちらに移ったことで需要が減少し、Aさんの物件の流動性も低下していました。
「将来的に資産価値が維持されるだろう」と考えていたAさんにとって、この予想外の価格下落は大きな誤算でした。結果として、購入前に立地や周辺の開発計画についてもっと調査し、慎重に判断すべきだったと後悔しているそうです。
続いて、30代女性Mさんの失敗談です。
2018年頃、通勤の利便性を考えて職場近くの賃貸マンションに引っ越したMさん。しかしその直後、新型コロナウイルスの大流行が始まりました。会社はリモートワークに切り替わり、出勤の必要がほとんどなくなります。その結果、高い家賃を払い続けることに疑問を抱くようになり、引っ越しを決意。これを機にマンション購入を考えるようになりました。
Mさんは23区内の新築マンションに的を絞り、資料を集めて徹底的に比較検討。その結果、間取りや広さと価格のバランスを重視し、比較的低価格の物件を購入しました。最寄り駅まで徒歩20分という距離については「ウォーキングにはちょうど良い」と納得していました。
しかし、リモートワークの流行が落ち着き、再び出社が必要になると状況が一変。仕事で疲れた帰り道に20分以上歩くのは予想以上に負担が大きく、想定外のストレスになっています。
一人暮らしのマンション購入の考え方1)世代と性別
ひと口にマンション市場と言ってもたくさんの物件があります。その中から最終的に1つの物件を選択するのですが、すべての方が同じ考え方にはなりません。ここでは、世代と性別により、考え方に違いがあるのかを見ていきます。
ライフステージ別の優先順位
一人暮らしの方がマンションを購入する際、その時期がいつなのかをライフステージで考えることができます。
| 年代 | ライフステージ | 不動産購入の観点 |
|---|---|---|
| 20代 | 独立・初期キャリア | 将来の資産形成を見据えた購入が選択肢となります。ただし、転勤やキャリア変更の可能性が高い場合、購入は慎重に検討する必要があります。 |
| 30代 | キャリアアップ | 収入が安定し、将来を見据えた投資としての物件購入が現実味を帯びます。将来的に賃貸や売却を視野に入れるのも一案です。 |
| 40代 | ライフスタイルの安定 | この年代は長期的な居住を見据えたマイホーム購入が選択肢に上がります。また、投資目的で物件を購入し、不動産収益を得る計画を立てる人も増えます。 |
| 50代 | 資産の見直し | セカンドライフを見据えたダウンサイジング(住居の縮小)や利便性の高い都市部の物件購入が増えます。 |
| 60代 | リタイア・セカンドライフの準備 | 終の棲家としてのマイホームを選ぶほか、管理がしやすいマンションや介護施設併設の物件への移行を考える人もいます。 |
それぞれの年代により優先する事項は異なります。
価格、資産性、間取り、周辺環境、利便性、などさまざまですが、購入後の将来計画を明確にすることにより優先順位は決まってきます。
60代の方が優先する条件と20代の方が優先する条件は同じようにはなりません。ご自分の将来を見通した上で最適な物件を検討することが重要です。
性別によるニーズの違い
一人暮らしの方がマンションを購入する際、性別によるニーズには一定の違いが見られます。
「安心・安全で快適な住環境を確保したい」「家賃を支払い続ける代わりに資産形成に繋げたい」といった基本的な購入目的は、男女ともに共通しています。しかし、具体的な条件に目を向けると、男女間で優先度の違いが顕著になります。
▼女性が重視しやすい条件
- 治安の良さ
- セキュリティ設備
- 収納スペースの充実
- 共用設備の充実
▼男性が重視しやすい条件
- 利便性(通勤やアクセスの良さ)
- 価格
- 駐車場やバイク置き場の有無
- 内装やデザイン性
一人暮らしのマンション購入の考え方2)年収と価格相場
資金計画を確実にするためには、かかる費用と用意できる資金のバランスが重要です。
初期費用と維持費のバランス
マンションを購入する費用には、売買代金以外に購入時にかかる「初期費用」と、購入後にかかる「維持費」があります。
購入はできたけれど維持費の支払いができなければ、そのマンションに住み続けるのは難しいと言えるでしょう。初めから住宅ローンの返済にプラスして維持費の支払いを考慮した資金計画が大切です。
マンション購入の初期費用は新築でおおむね物件価格の3~5%、中古マンションで6~9%と言われています。
初期費用としてかかるのは次のようなものです。
- 不動産登記費用(登録免許税+司法書士報酬)
- 住宅ローン手続費用(融資手数料+ローン保証料+契約印紙代)
- 団体信用生命保険料(返済金に含まれる場合もある)
- 火災保険料
- 仲介手数料(中古マンションを購入する場合)
- 固定資産税精算金
このほか、中古マンションの場合には、インスペクション(建物状況調査)を依頼した場合の費用も別途かかります。
購入した後の固定資産税や都市計画税の支払いもあらかじめ計画に含めておく必要があります。
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場料金
管理費や修繕積立金はエリアやマンションの規模によっても異なります。また駐車場料金は首都圏中心部では5万円/月になる場合もあり、これらの維持費を合計すると3~9万円ほどを見込んでおくほうが望ましいでしょう。
【年収別】マンション購入価格帯の目安
マンション購入価格を年収から判断する場合、住宅ローンの返済額から検討する必要があります。
住宅ローンの審査においては、年収に対する返済額合計が基準以内に納まるかが重要です。公的融資と民間融資の両方の側面をもつ住宅ローンである「フラット35」では、年収の区分により次のように返済負担率を決めています。
| 年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
|---|---|---|
| 基準上限負担率 | 30% | 35% |
これに基づいて計算した借入可能額は、以下の通りです。(金利1.9%の元利均等払い、完全固定35年返済で計算しています。)
| 年収 | 返済額上限 | 借入額上限 |
|---|---|---|
| 200万円 | 60万円 | 1,530万円 |
| 300万円 | 90万円 | 2,290万円 |
| 400万円 | 140万円 | 3,570万円 |
| 500万円 | 175万円 | 4,470万円 |
| 600万円 | 210万円 | 5,360万円 |
| 700万円 | 245万円 | 6,240万円 |
| 800万円 | 280万円 | 7,150万円 |
| 900万円 | 315万円 | 8,000万円 |
初期費用分を自己資金で充当すると仮定すると、借入額上限がほぼ物件価格になり、年収に応じて購入可能なマンションを価格の面から絞り込むことが可能です。
一人暮らしのマンション購入の考え方3)広さ・間取り
マンションを選択するにあたり、広さや間取りは最初に決めておきたい事項です。
そのためにはどのような生活スタイルを希望しているのか、将来的な計画はどのようなものなのか、そして資産としての見方からどのような間取りがよいのかを検討する必要があります。
間取りによる生活の違い
一人暮らしに適した間取りといえば「1LDK」と答える方が多いでしょう。
リビングと寝室を別にするのは自然な考え方ですが、あまり広くなり過ぎず、日常の生活をコンパクトにまとめられるという面でもよい選択と言えそうです。
一方、趣味の部屋やゆとりのある収納空間を望む場合もあるでしょう。そうすると1LDK+サービスルーム、あるいは2LDKのほうが生活スタイルのバリエーションを豊かにすることができます。
さらに最近は自宅で副業をする方や、テレワークが主体の仕事をされる方など、自宅が仕事場を兼ねるケースも多くなっており、仕事部屋としてさらに1部屋加えた3LDKがより望ましいケースも増えると予想されます。
とはいえ、マンションの間取りに関しては、購入後のリノベーションでかなり自由に変更できます。自分に合った間取りの新築マンションのみを探している方もいるはずですが、必ずしも新築にこだわる必要はありません。
スケルトンリフォームなどの大掛かりなリフォームであれば、中古マンションでも間取りやデザインを自由に変えたり、断熱性を高められたりなどのメリットがあります。
また、中古であれば新築マンションを購入するよりも費用を抑えられる可能性が高い点も大きなメリットです。
床面積が40平米以上なら住宅ローン控除の対象に
世帯の合計所得金額が1,000万円以下の場合で、新築住宅の床面積が40平米以上50平米未満であれば、住宅ローン減税の対象になります。
床面積が50平米以上の場合は、年間所得金額合計が3,000万円以下の世帯が適用対象となります。
2021年の税制改正以前は、適用要件が50平米以上のみでしたが、ライフスタイルの変化に伴い、単身者や子どもを持たない夫婦が増えたことを背景に要件が緩和されました。そのため、これまでよりも控除を受ける対象になりやすくなっています。
参照:
住宅ローン減税の借入限度額及び床面積要件の維持(所得税・個人住民税)|国土交通省
令和3年度住宅税制改正概要(住宅ローン減税・贈与税非課税措置)|国土交通省
一人暮らしのマンション購入の考え方4)居住エリア
ここまでは選択するマンションそのものの条件などについて述べてきましたが、少し視野を広げてマンションが建つエリアについて検討していきましょう。
ポイントは2つあります。1つは将来的な資産価値です。そしてもう1つが、生活する上での利便性です。
将来的な資産価値
マンションの資産価値は、将来の売却や賃貸運用を見据えた場合に重要な要素です。エリアの発展性や需要の増減が資産価値に大きく影響します。具体的には以下の点を確認するとよいでしょう。
- 交通インフラの充実
- 周辺の再開発や大型施設の建設計画
- 治安と住環境の維持・安定性
生活の利便性
交通の便がよく商業施設や公共施設が近いエリアは、生活する上での利便性に大きく関係するポイントです。そのほか、勤務先への距離や趣味に関係する施設が近いなど、個人的な事情により利便性がよいエリアもあるでしょう。
また「住んでみたい街」など各種のランキングで上位にくるエリアは、多くの居住者が感じる住みやすさを反映しています。マンションの購入に際し、特にエリアを限定しなくてもよい場合は、ご自身が住んでみたいと感じるエリアから選択する方法もあります。大切なのは自身がそこに住むことを想像し、本当に便利なのか、暮らしていくのに不満がない場所なのかを見極めることです。
まとめ
一人暮らしでマンションを購入するケースは今や珍しいものではなく、購入する目的や将来に向けたライフプランにマッチするものであれば、安定した資産形成にも役立ち、何より充実した住空間は心の健康につながります。
たくさんの物件から自分にマッチしたマンションを選ぶには、希望条件に優先順位を付けることが重要です。しかし一人で行う検討は思い込みから間違いを起こしがち、専門知識を持った信頼できる人からのアドバイスはありがたいものです。
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