この記事のポイント
- 古家を更地にして売却するかどうかは、建物の状態・立地・再建築の可否によって判断すべきであり、更地のほうが早く・高く売れる場合もある
- 更地にすることで「解体費用の自己負担」や「固定資産税の増加」といったデメリットが生じるため、費用相場や特例制度(3,000万円控除・補助金など)を事前に確認することが重要
- 解体から売却までの流れや契約条件の明確化(更地の定義、埋設物の扱いなど)を怠ると、買主とのトラブルになるリスクがあるため注意が必要
「古い家を壊して更地にしたほうが高く売れるって本当?」
「でも、解体費用や税金が不安で決断できない……」
そんな悩みを抱える方へ向けて、この記事では「更地にして売る」か「古家付きのまま売る」かを判断するために必要な知識をわかりやすく解説します。
解体にかかる費用の相場や補助金、税金面での注意点、さらには確定申告で経費にできる項目まで、後悔のない選択ができるよう網羅的に紹介していきます。
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記事の構成
更地にして売るのが適しているケース
更地にして売却したほうが有利になるかどうかは、土地や建物の状況、周辺環境によって異なります。以下のようなケースに該当する場合は、古家を解体して更地にしたうえで売却を検討する価値があります。
建物が老朽化していて価値がほぼない場合
築年数が古く、雨漏りやシロアリ被害などで修繕費が高額になる場合は、建物自体にほとんど価値がありません。
このような場合、買い手は建物を使うことなく、いずれ自費で解体する必要があるため「負担のある物件」として見なされ、売却価格が下がりがちです。
| 築年数 | 建物の価値 | 新築からの 値下がり率 |
|---|---|---|
| 新築 | 1,500万円 | – |
| 築5年 | 1,050万円 | 約30% |
| 築10年 | 825万円 | 約45% |
| 築15年 | 375万円 | 約75% |
| 築20年 | 225万円 | 約85% |
| 築25年 | 150万円 | 約90% |
| 築30年以上 | 105万円 | 約93% |
あらかじめ更地にしておくことで、買い手の負担感を軽減し、早期売却や価格面でのメリットが得られる可能性があります。
土地としての価値が高いエリアの場合
交通アクセスや利便性の高いエリアでは、建物よりも土地そのものに価値があるケースが少なくありません。
たとえば、人気の学区内や再開発が進む都市部などでは、購入者が新築を前提に土地を探していることも多いため、建物付きのままでは敬遠されることもあります。
更地にして売却することで、「すぐに建てられる土地」として需要が高まりやすくなります。
再建築が可能で、自由に建て替えしやすい土地の場合
接道義務などの法的制限をクリアしていて、再建築可能な土地であれば、更地としてのニーズは高くなります。
特に容積率(敷地面積に対する建物全体の延床面積の割合)や建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)の条件が良好で、自由にプランを立てやすい土地は、新築住宅やアパート用地としての利用が見込まれます。
逆に、建築条件や再建築制限が厳しい土地では、更地にしても思うように売れない場合があるため、事前に確認が必要です。

古家付き土地を更地にして売るメリット・デメリット
古家付きの土地を売却する際、「建物を解体してから売るか、そのまま売るか」で迷う方は少なくありません。ここでは、更地にしてから売る場合のメリットとデメリットを整理しておきます。
メリット
主なメリットは以下の4つです。
- 売却のスピードが上がる可能性がある
- 建築の自由度を提示できる
- 老朽化した建物のマイナスイメージを払拭できる
- 解体費用を確定させておける
更地にして売る最大のメリットは、買い手が見つかりやすく、スムーズな売却につながりやすいことです。特に新築を希望する購入者にとっては、「ゼロから自由に設計できる土地」として魅力的に映ります。
古家付きの場合、解体費や工期の見通しが立たず購入のハードルになりがちですが、更地であれば土地の形状や広さが一目で分かり、現地でのイメージも湧きやすくなります。
また、古家のままでは「中が見られない」「老朽化していて管理が行き届いていない」といった印象を持たれがちですが、更地にすることでそうしたマイナスイメージを払拭できます。
さらに、買主が自ら解体する場合は、見積もりの不確実性から価格交渉に影響を与えることがありますが、売主側で解体を済ませておくことで、値下げリスクを防げるという点も大きなメリットです。
デメリット
続いて、デメリットと考えられるポイントを3つ紹介します。
- 解体費用を自己負担する必要がある
- 固定資産税が上がる
- 買い手によっては古家付きでの購入を希望することも
更地にするには、解体費用という大きな初期負担が発生します。解体には一般的に数十万〜数百万円がかかり、アスベストなどの特殊処理が必要な場合には、さらに費用が膨らむこともあります。売却前にこれだけの出費が必要となる点は、慎重に検討すべきです。
また、固定資産税の軽減措置が外れるというデメリットもあります。古家付きの土地は「住宅用地の特例」により、固定資産税が最大1/6に軽減されますが、更地にすることでこの特例が適用されなくなり、税負担が大きくなります。
さらに、買主によっては「古家をリフォームして住みたい」「DIYで手を加えたい」といったニーズを持っている場合もあります。更地にすることで、こうした需要を逃してしまう可能性もあるため、売却対象エリアの市場傾向やターゲット層の希望に合わせた判断が重要です。
古家付き土地を更地にして売る流れ
更地にして売却する場合、通常の不動産売買に加えて解体工事や登記手続きなどが必要になります。以下の5ステップで流れを確認しておきましょう。

詳しく説明します。
1)解体業者を選定し見積もりをとる
まずは信頼できる解体業者を選び、複数社から見積もりをとって比較します。建物の構造(木造・鉄骨造など)や立地条件、敷地の広さによって解体費用は変動するため、内訳まで確認したうえで契約を結びましょう。
2)近隣への挨拶と解体工事の実施
工事前には近隣住民への挨拶まわりを行います。騒音や粉じん、工事車両の出入りがあるため、事前の説明でトラブルを防ぎましょう。解体作業中は、廃材の分別やアスベスト有無の確認などにも配慮が必要です。
3)建物滅失登記を行う
解体が完了したら、法務局で「建物滅失登記」を行います。これは建物が取り壊されたことを正式に登記簿から抹消する手続きで、不動産売却時の名義変更や所有権移転に必要となります。
4)更地の状態で不動産会社と媒介契約を締結
登記が完了したら、不動産会社と媒介契約を結び、販売活動を開始します。更地になっていれば、土地の形状や面積が把握しやすく、売却活動がスムーズになるケースも多いです。

5)売買契約・引渡し・名義変更
購入者が決まったら、売買契約を結び、代金の授受と名義変更を行います。解体後の書類や登記簿、印鑑証明書などが必要になるため、事前に準備を整えておきましょう。
更地にするのにかかる解体費用の相場
古家を解体して更地にする際には、建物の構造や面積、立地条件によって費用が大きく変動します。一般的な木造住宅(30坪程度)であれば、80万円〜150万円程度が相場とされていますが、以下のような条件によって追加費用が発生することもあります。
- 鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造)の場合
- アスベストや地下構造物(基礎・浄化槽など)の撤去が必要な場合
- 都市部や密集地での解体の場合
- 残置物の撤去費用(家具・家電・生活ゴミなど)も見積もりに含まれる場合
また、解体にかかる費用は業者によってばらつきがあるため、複数社に見積もりを依頼して比較することが重要です。相場を把握したうえで、対応の丁寧さや追加費用の有無なども含めて検討しましょう。
更地にして売る場合の税金や特例
更地にして売却する際には、税金や特例制度の仕組みを正しく理解しておくことで、思わぬ負担を避けることができます。
更地にして売る際にかかる税金
不動産を売却して利益が出た場合、「譲渡所得税」が課税されます。更地にした場合も例外ではなく、以下のように課税対象になります。
売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得
譲渡所得 × 税率 = 譲渡所得税
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
| 短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
更地にするための解体費用や測量費用などは「譲渡費用」として控除の対象となる場合がありますが、条件によっては一部しか認められないこともあるため、税理士などへの確認が安心です。
更地にして売る際に活用できる特例や補助金
更地売却でも条件を満たせば、以下のような優遇措置を受けられることがあります。
| 3,000万円の特別控除(居住用財産)の特例 | 自宅を売却する場合、譲渡益から最大3,000万円まで非課税にできる制度。解体後すぐに売却すれば対象になることがある。 |
|---|---|
| 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 | 相続した空き家を一定の条件で売却すれば、相続人でも3,000万円控除が適用可能。更地にしてから売却することで、条件をクリアしやすくなる。 |
| 市区町村による解体費補助 | 老朽危険家屋の解体費用を5〜50万円程度補助。自治体によっては、更地化の費用負担を抑えられる場合がある。要事前申請・条件確認。 |
特例や補助制度の適用には細かい条件があるため、事前に不動産会社や自治体、税理士に相談することが大切です。
確定申告で経費計上できる項目
土地売却に関しては、解体にかかった費用などを譲渡費用として経費計上できる可能性があります。具体的には以下のような項目が対象になります。
- 解体費用(家屋の除却費)
- 測量費・整地費用
- 売却にかかった仲介手数料
- 広告宣伝費
- 契約書の印紙代
ただし、売却目的が明確でない状態での解体や、私的理由での支出とみなされると経費計上できない場合があります。税務上の取り扱いは専門家に確認しながら進めるのが確実です。
更地渡しする際の注意点・よくあるトラブル
古家付き土地を「更地にして売る」場合、売主・買主双方の認識違いによるトラブルが発生しやすくなります。
特に「更地渡し」として売却する場合には、以下の点に注意しておくことが重要です。
更地の範囲を事前に明確にしておく
「更地」といっても、売主と買主の間でその定義にずれがあると、トラブルのもとになります。
- 敷地内の樹木・庭石・ブロック塀・倉庫・浄化槽などを残すか撤去するか
- 地中埋設物(古い基礎・配管・井戸など)の扱いはどうするか
どこまで撤去すれば「更地」とするのか、売買契約前に明確にすり合わせておくことが大切です。可能であれば、図面や写真を用いて説明するのが望ましいです。
解体後の追加費用リスクに備える
解体工事中に、予期せぬ問題が発覚することがあります。例えば、以下のような問題です。
- 地中から古い基礎や浄化槽が出てきた
- アスベストを含む建材が見つかった
- 隣地との境界にトラブルがあった
これらはすべて追加費用や工期の延長につながる要因となります。
解体業者からの見積もり段階で「追加費用の発生条件」や「地中障害物の取り扱い」について確認し、売主としての負担範囲を把握しておくことがトラブル回避につながります。
契約書で条件をはっきりさせる
重要なのは、「どこまでを売主の責任とするのか」を契約書にしっかり明記することです。
以下、一例です。
「〇月〇日までに建物を解体し、更地として引き渡す」
「地中埋設物の除去義務は売主にある/ない」
「隣地との境界に関する説明責任は〇〇とする」
具体的な文言を契約書や重要事項説明書に記載しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
【FAQ】更地にして売るケースに関するよくある質問
更地にして売ることを考え始めると、細かい疑問がいくつも出てきます。ここでは、古家付き土地を更地にして売却する際に、よくある質問とその回答をまとめました。
古家付き土地の解体費用は誰が払う?
基本的には売主側が負担することが多いです。
ただし、交渉次第では「買主負担」とすることも可能です。その場合は、契約書に「現状有姿渡し」や「解体は買主負担」などの明記が必要になります。
更地にしてから売るまでの時間的猶予はどれくらい?
地域や地価、市況にもよりますが、3カ月〜半年以内で売れるケースが多いといわれています。
売却期間が長引くと税負担や管理費用が増え、経済的な負担も大きくなるため、解体前から不動産会社に相談して販売時期を見極めておくことが重要です。
相続で手に入れた更地の売却で気をつけることは?
相続した不動産を更地にして売る場合、次のような点に注意が必要です。
- 相続登記が完了しているか(売却には登記が必須)
- 被相続人の居住用だった場合、「空き家の特例」が使えるか
- 解体費用が遺産から支出できるか(遺産分割協議で確認)
特に「空き家の特例」は、一定条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円の控除が受けられるため、解体のタイミングや売却時期を税理士などと相談することが望ましいです。
参照:No.3320 マイホームを取り壊した後に敷地を売ったとき|国税庁
まとめ
古家付き土地を更地にして売るかどうかは、立地や建物の状態、買主のニーズ、解体費用・税金の負担などを総合的に判断する必要があります。
更地にすることで売れやすくなるケースもあれば、逆に解体費や特例の適用漏れで損をしてしまうこともあります。
「この家、本当に更地にした方がいいのかな……」と迷ったら、まずは不動産のプロに相談してみましょう。
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