この記事のポイント
- 更地にするには、解体・廃材処分・地中埋設物撤去・整地など複数の工程があり、建物の構造や土地の状態で費用が大きく変わる
- 更地化には自由度向上やリスク解消などのメリットがある一方、固定資産税の増加や解体費の負担といったデメリットもある
- 更地にするべきかは、建物の価値、土地の相場、再建築可否などを総合的に見て判断する必要があり、専門家への相談がおすすめ
「古い家は、早めに更地にしたほうがいい?」
「更地にするのに、どれくらい費用がかかるのか見当がつかない……」
建物を取り壊すという決断は、単なる作業ではなく、費用や手続きなど考えるべきポイントが多いため、迷いやすいものです。この記事では、更地にする意味や方法、必要な費用、補助金制度、固定資産税の変化まで、これから検討する人が知っておくべきポイントをわかりやすく整理しています。
ここで更地にするかどうかの判断材料を整理して、後悔のない選択をしましょう。
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記事の構成
更地にする意味
「更地にする」とは、建物を取り壊し、土地を建物のない状態に戻すことを指します。単なる整地(地面を平らに整える作業)とは異なり、建物の解体・撤去までを含む行為である点が大きな違いです。
更地にする主な理由は次の3つに整理できます。
- 新しい建物を建てる準備のため
- 売却しやすくするため
- 維持・管理の負担から解放されるため
なお、更地にする時期や期間は、建物の規模や業者の混雑状況によって変わりますが、一般住宅なら1〜3週間程度が目安。更地にする方法や業者選びは後述の章で詳しく解説します。
更地にする主な方法
更地にする方法は、必ずしも「建物を壊す」だけではありません。土地の状況や予算、売却方針によって、複数の選択肢があります。ここでは、主な方法をわかりやすく整理します。
建物を解体して更地にする
最も一般的なのが、既存の建物を解体し、基礎や残置物も撤去して土地を空にする方法です。老朽化した家や使われていない建物を完全に撤去でき、新築・売却・駐車場化など、次の活用に向けて自由度が高まります。
解体後は、必要に応じて整地(地面を平らに整える作業)を行い、建築や引き渡しができる状態に仕上げます。
移築や再利用で土地を空ける
建物の状態が良かったり、歴史的価値がある場合は、解体ではなく建物を移築して土地を空けるという選択もあります。
また、建具や梁などを再利用材として売却し、解体費用の一部を相殺するケースもあります。
- 建物の価値を残したい
- 解体費を抑えたい
- 古民家など資産性のある建物を活用したい
といった場合に検討される方法です。
古家付き土地で売却して買主に委ねる
もう一つの方法が、建物を残したまま「古家付き土地」として売却し、解体を買主側に任せる形です。
自分で解体費用を負担せずに済むため、手出しを極力減らしたい場合に向いています。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 古家がある分、売却価格が下がりやすい
- 解体条件に応じて、買主が購入をためらう場合もある
- インスペクション(建物調査)が通りにくい
費用負担を避けたい一方で、売却スピードや価格に影響が出る可能性があるため、状況に応じた判断が必要です。
更地にするための主な費用
更地にするには、建物の解体だけでなく、運搬処分・地中埋設物の撤去・整地など、複数の工程が発生します。
ここでは、それぞれの内訳と「広さ別の費用目安」をセットで整理していきます。
なお、広さの基準は30坪・40坪・50坪・60坪・100坪 で統一しており、金額の目安は民間企業をいくつか調べた結果をまとめています。自治体などによる情報ではない一般的な費用目安になるため、実際に利用する際は見積もりをとって判断しましょう。
建物の解体費用
最も大きな費用になるのが、建物を取り壊すための「解体費用」です。
木造か鉄骨造かなど構造によって価格が変わりますが、一般的な木造住宅なら 1坪あたり3万〜5万円前後が目安です。
| 広さ | 目安費用 |
|---|---|
| 30坪 | 約90万〜150万円 |
| 40坪 | 約120万〜200万円 |
| 50坪 | 約150万〜250万円 |
| 60坪 | 約180万〜300万円 |
| 100坪 | 約300万〜500万円 |
鉄骨造・RC造は30〜100%ほど増額されることがあります。
また、解体後に出る木材・コンクリート・瓦礫・金属などの廃材は、種類ごとに分別し、法令に沿って運搬・処分する必要があります。一般的には 1坪あたり1万〜2万円程度が相場です。
解体後に出る廃材処分費用
| 広さ | 目安費用 |
|---|---|
| 30坪 | 約30万〜60万円 |
| 40坪 | 約40万〜80万円 |
| 50坪 | 約50万〜100万円 |
| 60坪 | 約60万〜120万円 |
| 100坪 | 約100万〜200万円 |
費用を予測するときのポイントは以下のとおりです。
- 分別が細かい地域は処分費が高くなる
- 不法投棄対策やマニフェストの発行が必須
- ゴミ屋敷状態だと費用が跳ね上がる
- 地中埋設物の撤去費用
実際に多い追加費用は、コンクリートガラ、古い基礎、井戸、浄化槽、庭石、タイルなどです。また、地中に埋まっている物の撤去費は現場で発見されてから判明します。
地中埋設物の撤去費用
| 状況 | 目安費用 |
|---|---|
| 浄化槽撤去 | 約10万〜30万円 |
| 庭石・大きな石 | 約5万〜20万円 |
| 地中コンクリートガラ | 約10万〜50万円 |
| 井戸の埋戻し | 約5万〜20万円 |
古い家ほど地中物のリスクが高いといえます。
解体後、土地の高低差をならし、砕石を敷いたりして次の用途に使える状態にします。一般的には5万〜30万円程度が目安ですが、広さによって増減します。
土地の整地費用
| 広さ | 目安費用 |
|---|---|
| 30坪 | 約5万〜15万円 |
| 40坪 | 約7万〜20万円 |
| 50坪 | 約10万〜25万円 |
| 60坪 | 約12万〜30万円 |
| 100坪 | 約20万〜50万円 |
新築用なら「地盤改良費」が追加で発生する場合もあります。地盤改良費は、建物を安全に支えるため、地盤が柔らかい土地で地面を補強する工事にかかる費用です。地盤調査の結果、不同沈下(片側だけ沈む現象)の恐れがある場合に必要となります。
その他
更地化に付随して発生する可能性のある費用も紹介します。
| 項目 | 目安費用 | 補足 |
|---|---|---|
| 残置物撤去(家具・ゴミなど) | 数万〜数十万円 | ゴミ量で大きく変動 |
| アスベスト調査 | 3万〜10万円 | 令和5年から義務化 |
| アスベスト除去 | 20万〜150万円 | 含有量・レベルによる |
| 塀・擁壁の撤去 | 10万〜80万円 | 高さ・長さで変動 |
| 樹木・竹林撤去 | 5万〜50万円 | 広さ・本数による |
| 駐車場舗装(コンクリート) | 坪1.5万〜3万円 | 利用目的によって追加 |
「建物の状態」「立地」「地中物」「アスベスト」などで費用は大きく変わるため、事前に見積もりを取っておくことが最重要です。
ここまで紹介した費用を合算すると、目安費用は以下のようになります。
| 広さ | 総額目安 |
|---|---|
| 30坪 | 約130万〜220万円 |
| 40坪 | 約170万〜300万円 |
| 50坪 | 約210万〜350万円 |
| 60坪 | 約240万〜420万円 |
| 100坪 | 約420万〜750万円 |
更地にしたあと売却や活用をすることを考えている方は、このくらいの経費がかかることを押さえたうえで判断しましょう。
更地にするメリット・デメリット
この章では、判断を迷わせる要因をシンプルに可視化し、メリット・デメリットを比較しやすくまとめていきます。

メリット
- 土地の活用自由度が上がる
- 老朽家屋のリスク・管理負担から解放される
- 買主が見つかりやすくなるケースがある
- 将来の解体コスト上昇リスクを回避できる
更地にする最大のメリットは、土地の自由度が大きく高まることです。老朽化した建物がなくなることで、建て替えや売却、駐車場活用など、次の展開をすぐに検討できるようになります。
古い家屋は倒壊や雨漏り、害獣侵入といったトラブルが起きやすく、放置しているだけで所有者責任が問われるケースもあります。解体してしまえば、そうした管理負担やリスクから解放される点も大きなメリットです。
さらに、古家付きの土地より、更地のほうが買主が活用をイメージしやすく、結果的に売却がしやすくなることもあります。加えて、アスベスト規制や人件費高騰の影響で解体費用は年々上がっているため、早めに更地化しておくほうがコストを抑えられる可能性もあります。
デメリット
- 固定資産税・都市計画税が上がる可能性
- 解体費用が発生
- 更地にしても売却価格が必ず上がるわけではない
- 雑草・地面の管理など更地特有の手入れが必要になる
一方で、更地にはデメリットも存在します。代表的なのは、固定資産税・都市計画税が増える可能性があることです。建物がある状態では「住宅用地特例」によって税金が大きく軽減されていますが、更地になるとその優遇がなくなり、税負担が数倍になるケースも見られます。
また、更地化には前述したような費用がかかる上に、「更地にすれば高く売れる」と思われがちですが、再建築不可・狭小地・旗竿地などは、更地にしても買主が見つかりにくいこともあります。
売るなら更地にするべきかそのままにすべきか
土地を売る際に多くの人が迷うのが、「更地にして売るべきか」「古家付きのまま売るべきか」という点です。どちらが有利になるかは、土地と建物の状態、そして地域の需要によって大きく変わります。
この章では、判断の軸となる3つの視点を中心に解説していきます。
判断のポイント1)建物の価値
まず重要なのは、残っている建物自体にどれほど価値があるかという視点です。築浅で状態が良かったり、リフォームして使える可能性があったり、古民家として魅力がある場合には、建物をそのまま活かしたいと考える買主も多く、解体してしまうのはむしろ損につながります。
一方で、老朽化が進み、雨漏りや腐食など構造に問題がある建物は、買主から見れば「どうせ解体する前提」の存在に映りがちです。この場合は、古家付きのままだと検討が後回しになりやすく、解体して更地にしたほうが売却がスムーズに進むケースもあります。
判断のポイント2)土地の相場
次に考えたいのが、その土地の素の価値、つまり地域の相場です。駅に近い、商業施設が豊富、周辺で新築需要が高いといったエリアでは、買主にとって「自由に設計できる更地」のほうが魅力的に映り、高値で売れる可能性があります。
反対に、郊外の需要が低いエリアや、坪単価が極端に安い地域では、建物が残っていても更地にしても価格が大きく変わらないことも多く、むしろ解体費用分だけ売主が損をする展開になりがちです。地域の相場観が、判断に大きく影響します。
判断のポイント3)再建築可否などの条件
売却判断で最も左右されやすいのが、再建築の可否や接道状況などの建築条件です。たとえば、接道義務を満たしていない「再建築不可物件」や、セットバックが必要な土地、旗竿地のように車の出入りが難しい土地は、買主が新しい建物を建てにくいため、更地にするメリットがほとんどありません。むしろ、古家を残したまま賃貸前提で買う層がつくケースもあります。
一方で、建築条件が整った土地であれば、更地にすることで買主がすぐに新築の検討に入れるため、売却までのスピードが速くなることもあります。

参考)特殊な土地を更地にするケースについて
住宅地とは異なり、山林や駐車場、墓地などの特殊な土地を更地にする場合は、必要な作業も費用の考え方も大きく変わります。
ここでは、代表的なケースごとに特殊な土地で起こりやすい追加コストを把握しましょう。
| 土地の種類 | 主な作業内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 山林・森林 | ・立木の伐採 ・伐根(根の除去) ・竹林の撤去 ・重機搬入用の通路確保 |
数十万〜数百万円 |
| 雑木林・庭木が多い土地 | ・庭木・雑草の伐採 ・根の撤去 ・地面の整地 |
10万〜80万円 |
| 駐車場(アスファルト/コンクリート) | ・舗装撤去 ・コンクリート破砕 ・砕石除去 ・整地 |
坪1.5万〜3万円 |
| 墓地 | ・墓石の解体・撤去 ・基礎の撤去 ・遺骨の取り扱い ・供養(閉眼供養) |
小規模で20万〜60万円 大規模で100万円以上 |
| 造成されていない土地 | ・草刈り ・表土の撤去 ・地盤のならし ・必要に応じて盛土・転圧 |
数十万〜100万円超 |
補助金制度と公的支援を活用する
実は、全国の多くの自治体では補助金や助成金制度を用意しています。
この章では、こうした制度の概要と、実際にどの自治体がどんな支援をしているかを具体例とともに紹介します。
老朽危険家屋解体撤去補助金制度
老朽化が進み、倒壊や落下物などの危険性がある空き家を対象に、解体費用の一部を補助する制度です。国土交通省の「空家対策に関する特別措置法」の趣旨に沿って、多くの自治体が導入しています。
制度の一般的な特徴は以下のとおりです。
- 対象:著しく老朽化した空き家、倒壊の恐れがある家屋、特定空家に該当する建物など
- 補助率:解体工事費の概ね10〜50%
- 上限額:30万〜150万円程度(自治体により幅が大きい)
- 対象工事:建物本体の解体、基礎撤去、廃材処分など
- 手続き:事前申請が必須で、工事後の申請は不可
- 必要書類:建物の状態がわかる写真、見積書、固定資産税情報など
国土交通省が公表している資料でも、空き家の増加と老朽化リスクへの対応が明確に位置づけられており、自治体による補助制度はこの流れを受けて整備されています。
参照:国土交通省における空き家対策支援メニュー等(令和2年)|国土交通省
名古屋市の老朽危険空家等除却費補助金
2025年現在、名古屋市では倒壊の恐れがある老朽空き家を解体して更地にする工事に対し、補助金が支給されます。
対象となるケースは、以下のとおりです。
- 市が「特定空家等」と判断した建物(危険度評価75点以上)
- 老朽化により周辺へ著しい危険を及ぼしている家屋を解体し、更地にする工事
補助内容
- 評価75点以上:工事費の1/3(上限40万円)
- 評価125点以上:工事費の2/3(上限80万円)
※補助は交付決定後に着工した工事のみ対象。
申請の主な条件
- 建物の所有者(法人は不可)
- 市税を滞納していないこと
- 所有者全員の同意があること
名古屋市の場合は、危険度の高い空き家に限定されるものの、最大80万円の補助を受けながら更地化できる制度として利用価値があります。
参照:名古屋市老朽危険空家等除却費補助金|名古屋市公式ウェブサイト
東京都墨田区の更地化に使える補助制度
2025年現在、墨田区は老朽化した家屋を解体して更地にする際の費用負担を軽減するための補助金を用意しています。更地化を検討する人に関係するポイントは次の2つです。
1)不良住宅の除却費補助(更地化が条件)
建物が「不良住宅」と判定された場合、解体して更地にする費用の一部が補助されます。
- 補助額:解体費の1/2(上限50万円)
- 再建築不可(無接道敷地)の場合:上限100万円
- 対象工事:建物をすべて解体し、更地にすることが必須
- 注意点:工事前の申請が必要。承認前の着工は対象外
老朽化が激しい家屋で、解体・更地化を検討している場合に該当しやすい制度です。
2)更地化+跡地の無償貸与を条件とした解体費の補助
危険な状態にある空き家を解体し、更地にした跡地を10年間、区へ無償貸与することを条件に、より大きな補助が受けられます。
- 補助額:解体費の実費のうち上限200万円
- 条件:解体後の跡地を区へ原則10年間無償貸与
- 対象工事:建物の全解体(更地化)が必須
- 注意点:助成承認 → 無償貸与契約 → 着工の順。契約前の着工は対象外
解体費が高額になりやすい木造密集地域の所有者にとって、費用負担を大幅に減らせる制度です。
更地にすると変化する税金(固定資産税)
建物を解体して更地にすると大きく変わるのが、固定資産税と都市計画税の軽減措置です。建物がある状態よりも税負担が増える可能性が高いため、更地化を決める前に押さえておきたいポイントです。
住宅用地の特例が外れる場合
家屋が建っている土地には、固定資産税が大幅に軽減される「住宅用地の特例」が適用されます。
しかし、建物を解体して更地になるとこの特例が外れ、税額が最大6倍程度に増える場合があります。
| 小規模住宅用地(200㎡以下) | 固定資産税が 1/6 |
|---|---|
| 一般住宅用地(200㎡超) | 固定資産税が 1/3 |
原則としてこの特例は「住宅が存在していること」が条件のため、解体したら優遇はなくなります。
都市計画税の優遇がなくなる場合
固定資産税と同様、都市計画税にも住宅用地の軽減措置があります。
| 小規模住宅用地 | 都市計画税が 1/3 |
|---|---|
| 一般住宅用地 | 都市計画税が 2/3 |
更地になるとこれらの軽減措置が外れ、都市計画税の負担も増加します。
更地にすることで税金は確実に上がる傾向にありますが、「売却予定が近い」「長期保有しない」「駐車場として収益化する」など、状況次第では十分に合理的な選択です。費用と税負担のバランスを見ながら、解体のタイミングを判断することが大切です。
まとめ
建物を解体して更地にすることには、費用・手続き・税金など、事前に押さえるべきポイントが多くあります。しかし、土地の条件や建物の状態を丁寧に見極めれば、大きなメリットを得られるケースも少なくありません。
もし「更地にすべきか、それとも古家付きのまま売るべきか」で迷っているなら、第三者の専門的な意見を早めに聞くのがおすすめです。土地の評価、建物の状態、周辺相場、再建築の可否などを総合的に判断するには、専門の視点が欠かせません。
不動産SHOPナカジツでは、豊富な仲介実績の強みを活かし、土地の状態に合わせた最適な売却方法を提案しています。
「更地にしたほうが良いのか」「古家付きで売れるのか」「解体費用の負担に無駄がないのか」など、判断が難しいポイントも、まとめてご相談いただけます。
土地の活用方針に迷っている方は、気軽にお問い合わせください。










































