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更新日:2026.06.02

実勢価格と公示価格の違いを知らないと損?売却前に確認すべき調べ方のコツ

実勢価格と公示価格のアイキャッチ

この記事のポイント

  • 実勢価格は実際に売買が成立した価格、公示価格は国土交通省が公表する土地取引の目安となる価格
  • 実勢価格は公示価格の1.1〜1.2倍が目安だが、都市部では2〜3倍に乖離することもある
  • 売買では、実勢価格と公示価格の両方を把握することで、価格の妥当性や交渉材料として活用できる

「土地の価格って、どれが本当の値段なの?」
「公示価格と実勢価格、何が違うのかわからない」

土地の価格は一物四価(一物五価)とも言われるほど多様で、区別するのが大変です。

この記事では、実勢価格と公示価格の違いや関係、それぞれの調べ方をわかりやすく解説します。売却額の目安を正確につかんで、納得のいく取引を実現するための知識を身につけてください。

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逆瀬川勇造さん

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

監修者 逆瀬川勇造さん

  • 所属:

    合同会社7pockets

地方銀行、住宅会社勤務を経て住宅や不動産を中心としたライターとして活動。現場で多くのお客様の対応で経験させていただいたことをもとに、専門知識に基づいた分かりやすい記事執筆に取り組んでいます。

実勢価格と公示価格とは

不動産取引で目にする「実勢価格」と「公示価格」は、性質の異なる2つの価格指標です。それぞれの意味を正しく理解することが、土地・建物の価格を適切に判断する第一歩になります。

市場で実際に取引される「実勢価格(時価)」

実勢価格とは、市場において実際に売買が成立した価格のことです。時価とも呼ばれ、買い手と売り手が合意した金額がそのまま実勢価格になります。需要と供給のバランス、立地条件、建物の状態など、さまざまな要因によって変動します。

公的に定められた統計ではなく、個別の取引結果の積み上げが実勢価格です。国土交通省が運営する不動産情報ライブラリでは過去の取引価格を地図上で検索できるため、周辺の取引実例を手軽に参照できます。

出典:不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード|国土交通省 不動産情報ライブラリ

国土交通省が公表する「公示価格(公示地価)」

公示価格(公示地価)は、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1月1日時点の標準地を調査し、3月下旬に公表する土地の価格です。一般の土地取引における価格指標となるほか、公共事業用地の取得価格を算定する基準としても活用されます。

出典:地価公示制度の概要 – 土地・不動産・建設業|国土交通省

公示価格に似た指標として「基準地価(都道府県地価調査)」があります。基準地価は各都道府県知事が毎年7月1日時点での時価を調査し、9月下旬頃に公表するもので、国土利用計画法施行令に基づきます。公示価格が1月1日基準・国主導であるのに対し、基準地価は7月1日基準・都道府県主導という点が主な違いです。両者を組み合わせると、年2回のタイミングで地価動向を把握できます。

出典:地価・不動産鑑定:令和7年都道府県地価調査|国土交通省

実勢価格・公示価格をはじめとする各評価額の調べ方や計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

公示価格から実勢価格を算出する方法

公示価格は「正常な価格」として算出された指標であり、実勢価格と完全に一致するわけではありません。ただし、一定の目安を知ることで、おおよその実勢価格を推測できます。

一般的な目安は「公示価格の1.1倍〜1.2倍」

全国的な傾向として、実勢価格は公示価格の1.1倍〜1.2倍程度になることが多いとされています。公示価格が「正常な価格」として算定される一方、実際の取引では売主・買主の事情や需給バランスが価格に上乗せされるためです。

たとえば、公示価格が1㎡あたり20万円の土地であれば、実勢価格は22万〜24万円程度を目安として試算できます。ただし、あくまで推測の域を出ないため、国土交通省の不動産取引価格情報で実際の取引事例の確認をおすすめします。

出典:
地価・不動産鑑定:地価公示|国土交通省
不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード|国土交通省

都市部や人気エリアでは「2倍〜3倍」に乖離することも

エリアによって、乖離幅は大きく変わります。東京23区や大阪・名古屋の都心部では、実勢価格が公示価格の2倍〜3倍に達するケースも珍しくありません。駅徒歩5分以内や商業地に隣接する土地など、需要が集中するエリアほど差が開く傾向があります。

一方、地方の過疎地域では実勢価格が公示価格を下回ることもあります。

公示価格はあくまで全国一律の基準で算出されるため、地域ごとの需給実態を正確には反映しません。売却を検討する際は、公示価格を出発点としつつ、実際の取引事例や不動産会社の査定を組み合わせて価格を判断することが重要です。

不動産評価額の種類や計算方法を体系的に理解したい方は、こちらの記事も参考にしてください。

実勢価格と公示価格の調べ方

実勢価格と公示価格は、それぞれ専用のツールで無料調査できます。国が提供する公的データベースを使いこなすことで、おおよその適正価格を自分で把握することが可能です。

実勢価格の調べ方

ここでは3つの方法を紹介します。

不動産会社に査定を依頼する

最も精度が高い方法は、地域の取引実績が豊富な不動産会社への査定依頼です。市場の最新動向を踏まえた価格を無料で提示してもらえます。また、複数社に依頼して比較すると、より客観的な価格帯を把握できます。

不動産SHOPナカジツでは年間34,000件以上の査定依頼をお受けしています。ぜひお気軽にご相談ください。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で過去の取引事例を調べる

国土交通省が運営する不動産情報ライブラリでは、実際に成約した取引価格を地図上で確認できます。エリア・面積・築年数などで絞り込めるため、対象物件に近い事例を探しやすい仕様です。

なお、同様の機能を提供していた土地総合情報システムは令和6年3月に廃止され、現在は不動産情報ライブラリに統合されています。

出典:不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード|国土交通省 不動産情報ライブラリ

不動産ポータルサイトや簡易計算ツールを利用する

SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトでは、現在の売り出し価格をエリア別に確認できます。売り出し価格は成約価格より高い傾向があるため、参考値として活用してください。

公示価格の調べ方

続いて公示価格の調べ方を2つ紹介します。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を利用する

不動産情報ライブラリの地価公示・都道府県地価調査の検索機能から、全国の標準地・基準地ごとの公示価格を地図上で確認できます。住所や地名から検索でき、最新データを無料で閲覧できます。

出典:国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索|不動産情報ライブラリ

全国地価マップで確認する

一般財団法人資産評価システム研究センターが運営する全国地価マップでは、地価公示価格や固定資産税路線価を地図上で視覚的に確認できます。周辺の地価水準を広く把握したいときに活用してください。

出典:資産評価システム研究センター(全国地価マップ)

土地の査定方法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

【比較表】実勢価格・公示価格・路線価・固定資産税評価額の違い

不動産には「一物四価」という言葉があるように、同じ土地に4種類の価格が存在します。それぞれ目的と水準が異なるため、用途に応じた使い分けが必要です。

同じ土地に存在する4種類の価格の違い
名称 主な目的 公示価格との比較 公表主体・頻度
実勢価格 実際の売買取引 1.1〜1.2倍(都市部は2〜3倍) 民間・随時
公示価格 土地取引の指標・公共用地の取得価格算定 基準(100%) 国土交通省・毎年1月1日時点
路線価 相続税・贈与税の計算 約80% 国税庁・毎年1月1日時点
固定資産税評価額 固定資産税・都市計画税の計算 約70% 市町村・3年に1度

出典:
地価公示制度の概要|国土交通省
固定資産税の概要|総務省

相続税や贈与税の基準となる「路線価」

路線価とは、道路(路線)に面した標準的な宅地1平方メートルあたりの価額です。国税庁が毎年7月に公表し、主に相続税や贈与税の計算基準として使われます。

水準は公示価格の約80%に設定されています。そのため、実勢価格は路線価の概ね1.3〜1.5倍になるのが目安です。ただし、都市部の人気エリアでは乖離がさらに大きくなるケースもあります。

売却価格の根拠として路線価をそのまま使うのは適切ではなく、あくまで税務上の計算に用いる指標と理解してください。

出典:路線価図の説明|国税庁

固定資産税の計算に使われる「固定資産税評価額」

固定資産税評価額は、市町村が固定資産税や都市計画税を算出するために評価した価格です。公示価格の約70%を基準に設定され、3年に1度見直されます。

実勢価格との差は大きく、固定資産税評価額の1.5〜1.7倍程度が実勢価格の目安になります。ただし、地域や不動産の種類によって差は異なります。売却や購入の判断材料にする場合は、実勢価格に近い査定額を別途確認することが重要です。

出典:固定資産税|総務省

各評価額の具体的な調べ方や計算方法については、以下の記事も参考にしてください。

不動産売買で実勢価格も公示価格も重要な理由

実勢価格と公示価格は、2つをセットで把握することに意味があります。どちらか一方だけでは見えにくい情報が、組み合わせることで浮かび上がります。

売り出し価格が「高すぎるか・安すぎるか」の判断基準になる

不動産の売り出し価格は売主が自由に設定できるため、相場から大きく外れた金額が提示されることもあります。実勢価格と公示価格を知っていると、その価格が妥当かどうかを自分で判断できます。

たとえば、公示価格が坪100万円のエリアであれば、実勢価格の目安は坪110〜120万円程度です。売り出し価格が坪200万円なら、数値として割高と判断できます。感覚ではなく根拠をもって価格を見極められる点が、2つの指標を押さえる最大のメリットです。

値引き交渉や価格設定の武器になる

買主の立場では、実勢価格を根拠に値引き交渉を進められます。

「周辺の成約事例では坪○○万円が相場」と具体的な数字を示すことで、交渉に説得力が生まれます。売主の立場では、公示価格の推移を示しながら「このエリアの地価は上昇傾向にあり、価格は相場と一致している」と正当性を伝えられます。

根拠のある価格を提示することは、売主・買主の双方にとって交渉を円滑に進める手段です。年間34,000件以上の査定依頼に対応してきた実績を持つナカジツでは、こうした価格データを活用して適切な価格設定をサポートしています。

各価格の乖離が市場のトレンドを知るきっかけになる

実勢価格と公示価格の差は、市場の需給バランスを映す指標でもあります。実勢価格が公示価格を大きく上回っているエリアは、需要が供給を超えている状態です。逆に乖離が縮まっているエリアでは、市場が落ち着きを取り戻しつつあることを示します。

売却を検討しているなら、乖離が大きい時期は売り時のサインです。購入を検討しているなら、乖離が縮まっているタイミングは価格が安定している局面として読めます。価格の数字そのものだけでなく、その差の変化を追うことが市場を読む第一歩になります。

【FAQ】実勢価格と公示価格に関するよくある質問

実勢価格と公示価格・路線価の関係について、特によく寄せられる疑問を3つにまとめました。

公示価格と実勢価格の目安を計算する式はある?

おおまかな目安として、公示価格に1.1〜1.2を掛けた値が実勢価格に近い水準とされています。たとえば公示価格が4,000万円の土地であれば、4,400万円〜4,800万円が参考値です。

路線価から計算したい場合は、まず路線価を0.8で割って公示価格水準に換算し、さらに1.1〜1.2を掛けます。ただし立地条件や需給状況によって結果は大きく変わります。売却価格の判断には、計算式だけでなく不動産会社への査定依頼を組み合わせるのが確実です。

路線価が実勢価格と大きく乖離するのはなぜ?

路線価は、相続税・贈与税の算定を目的とした評価額です。路線価は1年に1回しか価格が更新されないため、1年間の価格変動による納税者間の不公平を考慮して80%程度を目途に定められています。

出典:令和6年分の路線価等について|国税庁

一方、実勢価格は実際の売買取引で成立した価格のことで、景気・需給バランス・再開発情報・個別の物件条件など多くの要因によって変動します。

税務上の安定性を優先する路線価と、市場原理で動く実勢価格はそもそも算定目的が異なるため、両者に差が生じるのは構造的な理由によるものです。

路線価と実勢価格はどちらが高いのが一般的?

実勢価格のほうが高いのが一般的です。路線価は公示価格の約80%、実勢価格は公示価格の約1.1〜1.2倍を目安とすると、路線価は実勢価格の概ね65〜75%程度の水準になります。

都市部の人気エリアでは、実勢価格が路線価の2倍以上に達するケースもあります。逆に取引が少ない地域では、実勢価格が路線価を下回ることもあります。路線価はあくまで税務上の基準であるため、売却価格の妥当性を判断する際には実際の取引事例や査定価格と合わせて確認することが重要です。

まとめ

実勢価格と公示価格は、それぞれ異なる目的と性質を持つ価格指標です。両方を正しく理解して使い分けることが、不動産売買を有利に進める出発点になります。

ただし、価格指標はあくまで参考値です。実際の売却価格を正確に把握するには、地域の取引動向を熟知した不動産会社への査定依頼が欠かせません。

不動産SHOPナカジツは2023年度に査定依頼数34,000件以上、仲介件数5,000件以上の実績があります。もし価格の見極めに迷ってしまった方は、ぜひお気軽にご相談ください。

逆瀬川勇造さん

逆瀬川勇造さん からのコメント

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

不動産を購入したり売却したりする際、実際にどの程度の価格で売買するのが最適なのか不安になるものです。こうした相場を調べたいのであれば、まずは周辺の類似物件を調べるというのが簡単な方法でしょう。ただし、現在、売りに出ている物件は実際に成約した価格ではなく、最終的に値下げや値引きが行われる可能性があります。このため、「過去に類似物件がいくらで売れたのか」を調べるのが次の有効な手となるでしょう。このように、不動産を購入したり売却したりする際にはさまざまなことを考慮する必要がありますが、本記事でご紹介した実勢価格や公示地価を知っておくと便利です。不動産の売買実績豊富な担当者に相談しつつ、自分でも実勢価格や公示地価について理解し、相場観を調べられるようになっておくのがおすすめです。

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