「土地を査定してもらうには、どれくらいの費用がかかるのだろう」
「できれば無料で土地価格を査定してもらいたいけど、精度が期待できないのでは……」
土地の売却を検討する際に、査定に対してこのような不安を持つ方もいるでしょう。
結論からいうと、土地売却のための査定は無料で依頼できます。
今回は、土地査定を無料で依頼できる理由や依頼方法、自分でも調べられる土地に関するデータについて解説していきます。無料査定について正しく理解することで、土地の査定を有効活用できるようになるはずです。
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原則、通常の土地売却における査定は無料
ここでは、無料で依頼できる理由や、鑑定と比較した場合の無料査定の限界について解説します。
土地の査定が無料である理由
前提として、「売却のための査定」は不動産会社に依頼するのが一般的です。そして、査定によって得られるのは、向こう3カ月ほどの間に売却できるであろう価格の目安です。
不動産会社に依頼する場合、無料で土地の査定をしてもらえます。
なぜなら、不動産会社は査定を通じて顧客と接点を持ち、自社の仲介によって売買取引が成約した場合、仲介手数料を受け取れる可能性があるからです。
また、法的な規制があるため、査定を有料化できないという事情もあります。宅地建物取引業法により、土地査定に要した費用を依頼者に請求することは禁じられています。別の名目で有料の査定を提供する場合も、反復継続的に業として提供しているとみなされれば、「不動産の鑑定評価に関する法律(不動産鑑定法)」に抵触します。
不動産業者は、媒介契約を締結するにあたって「意見」として物件を査定することはありますが、これを有料で行うことはできないのです。
土地の査定書も無料でもらえる
査定結果は、算出根拠などを記載した「査定書」として依頼主に提供されるのが一般的です。
依頼主は、査定書も無料で受け取ることができます。土地の査定には、土地の場所、面積、需給、比較できる売買情報などが、判断材料として使用されます。
依頼主は、専門的な知識がなくとも、無料で提供された査定書から売却時の価格の目安を読み取ることができます。
査定書は、一般的に数日から1週間程度で依頼主に届きます。
ただし、無料査定で得られる情報には限界がある
土地の売却活動を開始する場合、基本的には不動産会社の無料査定があれば十分です。
しかし、査定価格は、不動産会社が自社の営業目線で見積もった売却価格であるともいえます。1社の査定価格だけを信じて売却活動をスタートさせても、相場とかけ離れていて、なかなか売れないというのはよくあることです。
できるだけ複数の不動産会社に査定を依頼し、価格や算出根拠を比較したうえで、正確な相場観を持つことが売却活動をスムーズに進めるためには重要なポイントといえます。
また、無料で提供される土地査定は、売却価格を見積もるのには役に立ちますが、公的な信用力や証拠能力はありません。
法律的な手続き・融資の申請・税金の計算など、土地の「公正市場価値」を示す際には、査定でなく有料の鑑定が必要になります。
土地査定ではなく鑑定の場合は費用がかかる
土地の鑑定評価は、原則、不動産鑑定士のみが行える独占業務です。
不動産鑑定士は、「不動産の鑑定評価に関する法律(不動産鑑定法)」に基づいて、客観的で適正な不動産の市場価格を算出し、「不動産鑑定評価書」を作成します。
一般的に、鑑定評価の費用は1件あたり20万円から50万円ほどといわれます。対象となる土地の評価額など、条件によって費用は変動します。作成期間は2週間程度が目安です。
一方で、簡易的な調査と記載による「調査報告書」という選択肢もあります。不動産鑑定書の作成より15〜20%程度安くなりますが、公的な信用力や証拠能力はありません。
無料の土地査定をしてもらう方法
不動産会社に土地の査定を依頼する方法を紹介します。
- 不動産会社のサイトから申し込む
- 不動産会社の店舗で依頼する
- 不動産一括査定サイトを利用する
それぞれ、具体的な手順や特徴を解説します。
不動産会社のサイトから申し込む
実績や評判がよい不動産会社を自身で探し、公式サイトから直接申し込む方法です。「無料査定」や「土地査定申し込み」のようなページから、必要な情報を入力し、査定を依頼できます。
不動産会社は、この時点で土地の所在地や面積、権利情報など基本的な入力情報に基づいて、大まかな査定価格を算出することが多いです。
問い合わせ後に担当者から電話があり、訪問による詳細な査定などへと移行していきます。
不動産会社の店舗で依頼する
実際に不動産会社の店舗へと足を運び、査定の依頼を申し込む方法です。
不動産取引の専門家と直接対面で会話し、土地の詳細や売却ニーズなどを正確に伝えることでスムーズに依頼できます。
対面すれば、担当する営業担当者の知識レベルや自分との相性もわかるので、今後の取引を見据えた関係性を構築しやすい点はメリットといえるでしょう。
また、過去に取引したことがあったり、査定対象の土地周辺に詳しい地元の不動産会社であれば、より手厚いサポートやアドバイスをもらえることがあります。
不動産一括査定サイトを利用する
不動産一括査定サイトは、土地の情報と個人情報を1度入力するだけで、サイトに登録している複数の不動産会社に、一括で査定が依頼できるサイトです。
都度申し込む必要がないので、依頼の手間が省けるのはもちろん、一斉に複数の会社から査定結果を受け取れるため、すぐに比較検討できる点がメリットです。
ただし、情報の送信先が多岐にわたることから、情報流出のリスクはやや高まります。
また、複数の不動産会社から営業電話がかかってきて、かえって対応に手間がかかる場合もあります。「不動産査定サイト」の実態とおすすめできるサイトについては下記の記事を参考にしてください。
不動産会社が土地を査定する際の2つの方法について
不動産会社による土地の査定方法は、主に、「簡易査定」と「訪問査定」に分けられます。
それぞれの特徴やメリットについて説明します。
簡易査定
机上査定は不動産の現物を見ずに、書類などから把握できる所在地や面積、形状などの情報から簡便に評価する査定方法です。
簡易査定の最大の利点は、手間なく、短期間で査定結果を受け取れる点です。通常、数日内に不動産会社は査定結果を連絡してくれます。
ただし、後述する訪問査定と比べると、限られた情報だけで試算するため、査定の精度は劣ります。
売却意思がそこまで高くなく、参考程度に価格を知りたい場合などは、簡易査定がおすすめです。
訪問査定
訪問査定は、不動産の現物を見たうえで詳細に評価する査定方法です。
土地の形状・面積・アクセス・周囲の施設・法的な制約に加え、地図上ではわかりにくい特徴なども調査し、精度の高い査定をします。
土地の売却を進める可能性が高い場合は、最初から訪問査定を依頼したほうがスムーズです。
また、実地調査は1週間程度は時間を要するため、担当者とスケジュールを確認し、依頼するようにしましょう。
自分で土地査定をする方法
最近では、不動産会社に依頼せず、自分で簡易的に土地の査定額を調べることもできるようになってきました。AI査定や、査定ツールをアプリ化したものなどがそれに該当します。
AI査定
近年、人工知能(AI)を活用した不動産査定が可能なサイトも増えてきています。
AI査定の種類
取引事例比較型 |
過去の取引事例をもとに、類似した物件や土地のデータをAIが分析し、査定価格を算出します。公示地価や路線価といった公式データも参照されます。 |
周辺環境分析型 |
地価や周辺の開発状況をAIがデータ分析して価格を算出します。 |
自社データベース型 |
不動産会社やプラットフォームが独自に蓄積した物件情報をもとにAIが査定を行います。取引事例や社内の評価基準を反映することが多いです。 |
今後、AI技術の進化に伴い、査定の精度向上が期待されていますが、現時点では精度に限界があることも事実です。特に、AI査定に使用されるデータが古い場合や、自社の限られたデータに依存している場合、正確な価格を算出できないこともあります。
土地査定アプリ
「土地査定アプリ」は、スマートフォンやパソコンから手軽にアクセスでき、短時間で土地の概算価格を試算できるツールです。昨今は、前述のAIが組み込まれているアプリも増えています。
アプリにより使い方は異なりますが、土地の所在地や面積、形状・接道状況、用途地域などを入力するだけで、過去の取引事例や公示地価をもとに査定価格が算出されるものなどが一般的です。
メリットは、手軽さと、情報漏洩や営業電話の心配がないことです。
しかし、土地査定アプリは簡単に価格を確認できる反面、既存のデータに基づいた簡易的な査定に過ぎません。不動産会社による詳細な査定に比べると精度が低く、正式な査定書も発行されないため、あくまで参考値として利用することが大切です。
無料の土地査定でよく用いられるデータ
土地査定では、さまざまな情報をもとに価格が算出されます。
ここでは、よく用いられる4つの主要データについて解説します。
実勢価格(時価)
実勢価格とは、実際に不動産が売買された価格です。国土交通省が公表している不動産情報ライブラリで確認できます。「土地がいくらで売れそうか」などを検討する際に役立ちます。
しかし、実際に売買された価格とはいえ、全く同じ不動産取引はありません。立地や取引時期、売買当事者の事情も価格に影響します。
そのため、できるかぎり取引条件が似ている実勢価格(売買実例価額)を探すことが大切です。
参照:不動産情報ライブラリ
公示地価・基準地価
公示地価は、国土交通省が毎年1月1日を基準として3月中旬ごろに公表する土地の価格です。2人以上の不動産鑑定士が鑑定し、基本的に都市計画区域が対象です。
基準地価は、毎年7月1日時点の地価調査が行われ、各都道府県が9月中ごろに公表している土地の価格です。地価公示法に基づき、1㎡あたりの標準的な価格を計算しています。国土交通省のサイト上で一般に公開されており、土地売買の規準として活用されています。
公示地価と基準地価は併せて公示価格ともいい、土地が属するエリア全体の価格水準を把握するために用いられます。市場動向を把握し、地域全体の価格水準を理解するための参考指標として重視するべきといえます。
路線価
路線価は、毎年1月1日を評価時点として、毎年7月1日に公表される道路に面した宅地1㎡あたりの価格です。国税庁の「財産評価基準書」から確認できます。次項の固定資産税評価額を算出する根拠である「固定資産税路線価」と併せて「路線価」ということもありますが、一般に「路線価」というと、こちらの「相続税路線価」を指します。
路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に「倍率」という補正率を乗じることで課税基準を算出します。倍率は、路線価図と同様、国税庁が公表しています。
ただし、税務に関わる基準としての路線価は、必ずしも実勢価格と一致しない場合が多いため、売却価格の参考にはならない場合があります。
参照:財産評価基準書|国税庁
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、各自治体が土地や建物に課税するために算出する評価額です。
土地の所有者は、固定資産税を毎年支払う必要がありますが、固定資産税評価額が基準として使われます。
固定資産税評価額は、所有者に毎年送付される「固定資産税納税通知書」に記載されており、一般には公開されていません。
固定資産税評価額は、税金を計算する際の基準なので、売却価格に直接影響を与えるわけではありません。
【FAQ】無料の土地査定に関するよくある質問
ここでは、無料の土地査定に関するよくある質問に回答します。
匿名で土地の無料査定を依頼することは可能?
個人情報を入力せず、匿名で土地の査定を依頼することも可能です。
匿名査定なら、個人情報の提供や営業担当者とのやりとりを回避できます。
一方で、日当たりや周辺環境などの現状が価格に反映されないので、訪問査定より査定結果の精度は低くなります。
とりあえず土地の査定だけしてもらうことはできる?
実際に売却せずに、土地の査定だけしてもらうこともできます。
ただし、不動産会社は営業目的で無料査定を引き受けているということを忘れてはいけません。
名義人と関係性が薄かったり、あまりにも売却の意思が薄かったりなど、取引の見込みが低いと判断された場合、簡単な査定結果のみで終わる可能性もあります。
とりあえず概算を把握したいのであれば、土地査定アプリなどを使ったほうが、手間もかからず結果がわかります。
土地の売買価格の相場は自分でも調べられる?
国土交通省の公示地価や路線価、不動産ポータルサイト上の売買事例などから、ある程度の相場は自分でも調べることができます。
しかしながら、土地は形状・道路付きなどの個別の特徴も価格に影響するので、個人で実際の相場として妥当な価格を算出するのは困難といえます。
ほかの不動産(一戸建てやマンション)と土地で、査定における異なる点は?
土地査定では、主に土地の所在地、面積、形状、建築制限、周辺環境などが評価項目になります。
一方で、マンションでは、築年数、構造、間取り、設備、リフォーム履歴などが重要視されます。また、マンションのブランドや管理・修繕積立金の状況も査定に影響します。
一戸建ては、土地やマンションより個別性がより強いため、境界の確定状況、日照、騒音、臭気なども査定対象になります。
査定対象の不動産が異なれば、評価項目も異なってくるというわけです。
まとめ
土地の査定は無料で依頼できますが、その際には適切な査定方法を選ぶことが重要です。また、精度の高い査定結果が必要であれば、複数の不動産会社に訪問査定を依頼するのがよいでしょう。
不動産会社を選ぶ際は、売却実績が豊富であったりレビューで評価が高かったり、客観的な評価ができるところを選ぶのがおすすめです。また、その地域に精通した不動産会社のほうが、将来売却する場合も、安心して取引を進めることができます。
不動産SHOPナカジツでは、お住まいのエリアについて経験豊富なスタッフが、無料で土地査定を行います。ぜひお気軽にご相談くださいね。