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マンションの最上階って暑い?マンションの断熱と暑さ対策について

マンションの最上階って暑い?マンションの断熱と暑さ対策について

掲載日:2021.08.27

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マンションの最上階は暑い?

※写真と記事内容は関係ありません。

マンションの最上階にはどのようなイメージがあるでしょう?眺望が良い、風通しや日当たりが良い、低層階に比べ価格が高そう。メリットが多い印象があるのではないでしょうか。ところが、ネットでのクチコミを見てみると…「最上階は夏暑い」という意見が。

頑丈な鉄筋コンクリートで造られたマンションに、外気の暑さ寒さは影響するのでしょうか。また、外気からの影響を減らす方法にはどのようなものがあるのでしょう。ナカジツスタッフがお送りする解説YouTubeも、ぜひ、ご覧ください。

 

マンションの最上階は他の階よりも暑い?

マンションで暑さ寒さの影響を受けにくく、一番快適な空間はどこなのかご存知ですか?実はそれは中層階の中住戸なのです。

マンション住戸の方位や位置などによって季節の冷暖房費を表すという取り組みを三菱地所が行っています。(『マンション家計簿』)それによると、夏季の冷房費用は西向き住戸最上階角部屋では2,600円/月、マンションの真ん中に当たる中層階中住戸では2,100円/と500円の差となっています。


マンションの住居位置によって光熱費が変わる
出展:三菱地所レジデンス株式会社 2013年12月19日プレスリリース

これは最上階角部屋が外気や日射の影響を多く受けるからで、夏の暑さだけでなく冬の寒さの影響も大きく異なってくることがわかります。現に冬季の冷暖房費は7,200円/月対5,100円/月と2,000円以上の開きがあるのです。トータルでは1万円以上の差となります。30年マンションで生活し続けると考えると、簡単に無視できる金額ではありません。このように、マンション住戸の位置による温度環境の違いは光熱費として明確な差として現れます。

コンクリートの性質とは。熱を伝えやすく、熱を蓄える

マンションの主な素材であるコンクリートは一戸建て住宅で一般的に使われている素材である木材よりも熱容量が大きい、他の言い方では蓄熱性があるという特徴があります。熱容量が大きいとは、熱が加わった際に蓄える熱の量が大きいということです。真夏のプールサイドのアスファルト面などを想像してみてください。また、コンクリートは熱伝導率が高く、木材に比べ10倍以上も熱を伝えやすい素材なのです。

熱伝導率の比較 熱伝導率(λ)
※値が大きいほど熱が伝わりやすい
アルミニウム 210
土壌 1
コンクリート 1.6
天然木材 0.12 

コンクリートは熱容量が大きいことで、夏場は一度熱されたら冷めにくく日が暮れた後も熱を放出し続けます。そのため、夕方以降外は外気の温度が下がったにもかかわらず コンクリートの住宅では室内が暑い、ということが起こってしまうのです。一方で冬場は夜間から明け方に冷えた後は温まりにくく日中も冷気を放出し続けます。

さらに、木造住宅よりも気密性が高いため、一度温まった室内の空気が逃げにくく、室内で冷暖房を付けたとしても壁や屋根のコンクリートが熱を持っている、冷えているため室温も下がりにくく、上がりにくくなってしまいます。

マンションは中層中住居が外気温の影響を受けにくい

熱を伝えやすい素材で造られたマンション。そのなかで外気温、日射などの影響を最も受けにくいのは周りを他の住戸に囲まれた真ん中の住戸なのです。冬場も、周りの住戸の暖房で温められるため寒さが軽減されます。

内側の住戸は快適なことが多い

築30、40年のマンションは断熱が足りない場合も(1990年以前のもの)

外気から室内を守ってくれるもの、それは断熱材です。壁や天井に敷き詰め、熱が伝わるのを防ぎ室内を快適な温度に保つ役割を持ちます。

しかし、住宅の断熱が全国的に注目され始めたのは1970年代の石油ショック以降。省エネルギーが注目を浴び、1979年に省エネ法が制定、1980年に住宅の省エネルギー基準が初めて定められました。断熱材の使用が義務付けられたのは1989年、住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)によるものでした(つまり住宅ローンの担保となりうる質を保った住宅の基準とされた)。

住宅の寿命は何十年もあり、その間住み続けるということを考えると、できるだけ性能の良いものを作って欲しいという気持ちになりますよね。ですが、住宅の性能が整えられ始めたのはかなり最近なのです。ちなみに2021年の現在も断熱材の使用は義務付けられていません。

そのため、断熱の考えが浸透する以前、1990年以前のマンションでは薄い断熱層しかない、さらには断熱がない「無断熱」のものもあり、中古マンションを購入する際には注意が必要です。

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マンション最上階のメリット・デメリット

マンションの最上階は外気の暑さ、寒さを受けやすい。けれども良い点もあります。どんなものがあるかを見ていきましょう。

メリット

マンションの最上階のメリットは何と言っても一戸建てではかなえられない高さではないでしょうか。その他にも集合住宅特有のメリットもあるようです。

眺望がよい

見晴らしがよいのは大きなメリットです。南側で日当たりがよければ冬季の日中も暖かく過ごせるでしょう。また、低層階と違い外部からの人目が気にならない点もストレスが少なくメリットとなります。

風通しがよい

周りに建物が無ければ風通しがよく、快適な空間に。

上階がないので騒音が気にならない

マンションで気になる上階の住戸からの足音や生活音に悩まされることがありません。

虫が飛んでこない

上層階になればセミや蚊が飛んでくることもないため、安心して窓を開けていられますね。ただし、最上階から空き巣に入られる事例があるため、お出掛け時にはきちんと施錠をしましょう。一定以上窓を開けられないよう サッシに取り付ける防犯グッズがあります。

デメリット

さて、続いてはデメリットをご紹介します。

外気温、日射の影響を受けやすい

今回のコラムのテーマですね。しかし、周りに高い建物が無く日当たりが良い点は大きなメリットとも言えます。

災害時に自力での昇り降りをしなくてはならない

災害や停電があった際はエレベーターが使えないため自力で階段を移動しなくてはなりません。高層マンションではかなりの健脚であっても一日に何度も昇り降りするのは大変でしょう。

最上階のメリット・デメリットを考えてみました。以前のコラムにマンション1階についてまとめたものがありますので、合わせて見てみてはいかがでしょうか。意外な発見があるかもしれません。


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断熱リフォームでマンションの「暑い」「寒い」を軽減する

最上階がいいけど、暑いのは嫌だな…。そんなときは断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。マンション購入後の調査で断熱が十分であるか確認します。断熱材が欠損し結露でカビが発生しているような箇所は補修を行います。

リフォーム

※写真はイメージです

マンションの断熱工法には外断熱、内断熱がある

マンションの断熱工法には2種類があります。一般的なマンションは鉄筋コンクリートの構造の内側にウレタンを吹き付けた内断熱で工法あり、外側に断熱層を設ける外断熱工法はごく一部です。

外断熱工法は北欧など寒さが厳しい環境で普及した工法であり、耐久性や性能では勝ると言われていました。しかし、初期建築費が内断熱工法の1割増しとなる点、施工が複雑な点などの要因が影響し、日本では普及が進まなかったのです。

マンションの外断熱と内断熱の比較

外断熱には大規模改修が必要。内断熱は個別にリフォームを行える

外断熱は外壁に断熱を施します。マンションをすっぽり断熱層で覆ってしまうのです。そのためコンクリートに熱が伝わらず蓄熱することもなく室内を快適な温度に保つことができます。しかし、ほとんどのマンションは内断熱工法が採用されており、外断熱工法に改修するには外壁(共用部分)の大規模改修が必要となります。マンション住民の合意をまとめること、高額な費用がかかることなどが大きな障壁となるでしょう。

一方で内断熱の改修であれば自分が所有する住戸内(専有部分)の工事のため個別に行うことができます。窓のまわりや壁に結露の跡やカビが確認できたら断熱が足りない可能性があるため、断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。省エネリフォームは一定の工事費用の10%をその年の所得税から差し引ける投資型減税や固定資産税の軽減を受けられる場合があります。

断熱は暑さ・寒さを防ぐだけじゃない!健康への影響とは

断熱のリフォームは壁紙や水回りなど劣化を感じやすい箇所に比べて後回しにしてしまいがちです。しかし、室温の保持や省エネ、結露の防止といった快適な住環境のためには断熱が重要となるのです。

断熱欠損があると結露が起こり、それを原因として発生するカビ・ダニがアレルゲンとなって体調不良を起こす可能性があります。特に体力のない小さな子供がいる家庭では結露に注意し、カビが生えないよう注意して冬場の暖房を行いましょう。断熱リフォームを行う他にも、空気を停滞させず循環させることで結露を防ぐことができます。外気の冷えが伝わり、結露 が起こりやすい窓際でのサーキュレーターの運転が効果的です。

リフォームしないで簡単にできる暑さ対策は窓・ベランダに注目!

暑さは壁や天井からだけではなく、窓からも大いに取り込まれます。そのため、カーテンを断熱性の高いものに変えるという対策をして窓からの暑さをシャットアウトしましょう。窓から入る光を跳ね返す効果を持つレースの遮熱カーテンもあります。

入射角度が低く室内に取り込まれやすい朝日、西日はサンシェードで防ぎましょう。ベランダへの日差しも同様です。最上階は風が強いため、飛ばされないように気を付けて!

サンシェード

また、日中ジリジリと熱せられるベランダは気温が下がり始めた夕方に打ち水をすることで夜間熱気が室内に入ってくることを低減できます。打ち水の際は、下の階に水が落ちて迷惑にならないように気を付けましょう。

バルコニー

住まい探しの際は省エネ、快適性も気にしてみましょう

外気の影響を受けやすい最上階。マンションを購入、借りる場合は住戸の位置だけでなく断熱材についてもチェックしてみてはいかがでしょうか。マンションの最上階は明るくて眺望もよく、開放的な良い条件が揃う物件です。たくさんあるメリットを活かすためにも断熱性を高める、日射を調節するなどで快適な居住空間を目指しましょう。

参考図書:外断熱は日本のマンションをどこまで変えるか―“30年寿命”と“シックハウス”からの解放 山岡純一郎

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