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この記事のポイント
- 住宅ローン控除の適用期間終了後に一括返済すると圧倒的にお得!
- 一括返済の手数料を抑えるには、繰り上げ返済で残債を少しだけ残す
- 一括返済には手数料、手続きの手間、手元資金減少によるリスクなどのデメリットがある
「住宅ローン控除を受けているけれど、一括返済すると損をする?」
「税制を最大限利用して得をしたい」
住宅ローンをできるだけ早く返済して、さっぱりしたいですよね。気持ちはわかりますが、一括返済にはメリットとデメリットがあり、タイミングによっては損をすることもあります。
そこで今回は、住宅ローンを一括返済するメリットを最大化する方法を紹介します。この記事を読むことで、どのタイミングで一括返済するのが最適なのかがわかります。ポイントは住宅ローン控除を最大限利用することです。
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地方銀行、住宅会社勤務を経て住宅や不動産を中心としたライターとして活動。現場で多くのお客様の対応で経験させていただいたことをもとに、専門知識に基づいた分かりやすい記事執筆に取り組んでいます。
記事の構成
住宅ローンを一括返済するメリット
はじめに、住宅ローンを一括返済するメリットを3つ紹介します。
総支払利息を削減できる
住宅ローンを一括返済する最大のメリットは、住宅購入にかかる支払利息の総額が少なくなることです。
返済期間中は、ローン残高に応じて金利を払い続ける必要があります。元金が同じなら、返済期間が短ければ短いほど支払利息は少なく済みます。
例として、以下の条件で考えてみましょう。
- 借入金:3,000万円
- 住宅ローン金利:1%固定(元利均等返済)
- 返済期間:30年(360回)
この条件で利息を計算すると、支払総額は約3,473万円(千の位を切り捨て)になります。1%の金利に複利効果が働くため、約473万円の利息を支払わなければなりません。
同じ条件で15年目(180回目)に一括返済すると支払総額は約3,349万円となり、約124万円分の利息を削減できます。
このように、一括返済することで本来支払う予定だった利息を払わなくてもよくなり、支払総額を少なくすることができます。
保証料が返金されることがある
一括返済により、支払済み保証料の戻りがあることもメリットの1つです。
保証料は外枠方式(一括前払いの方法)と、内枠方式(毎月の金利に上乗せして支払う方法)の2つの方式があります。前払いの外枠方式の場合が返金の対象となります。
20年ローンの保証料を前払いし、10年目(120回目)で一括返済した場合、残り10年分の保証料を返してもらうイメージです。
抵当権が解除される
住宅ローンを組む際、金融機関はローン返済が滞った場合に備えて、対象の不動産に抵当権を設定します。この抵当権が設定されている不動産は、自由に売却や処分を行うことが制限されます。
一方、一括返済を行うことで、ローンを完済すれば抵当権を解除する手続きが可能になります。これにより、売却や名義変更をスムーズに進められる点が、一括返済のメリットの1つといえます。
ただし、抵当権抹消の手続き自体は、繰り上げ返済や満期での完済にかかわらず必要であり、その手間や時間は大きく変わりません。そのため、一括返済の最大のメリットは、金利負担の軽減や将来的な支払い負担からの早期解放といえるでしょう。
住宅ローンを一括返済するデメリット
一括返済にはメリットがある一方でデメリットもあります。一括返済する場合のみ発生する費用や手続き、そして機会損失があることも知っておきましょう。
返済に手数料がかかることがある
デメリットの1つ目は、一括返済により手数料がかかることです。金融機関によって金額は異なりますが、数万円の手数料がかかる場合もあります。
具体例として、大手金融機関3社の一括返済手数料を掲載します。
| 金融機関名 | 一括返済手数料 |
|---|---|
| みずほ銀行 | 33,000円 (店頭のみ受付) |
| 三井住友銀行 | 5,500円 (インターネットバンキング) 22,000円 |
| 中央労働金庫 (ろうきん) |
変動金利型・全期間固定金利型の繰上げ返済の手数料:3,300円 / 2,200円 (3年以内の返済 / 5年以内の返済) 固定金利特約型・上限金利特約型(LooF10)の繰上げ返済の手数料:33,000円 |
金融機関によって手数料や受付方法は異なります。詳しくは返済中の金融機関ホームページで確認してください。
参照:
ご利用中の契約内容変更の手数料一覧|みずほ銀行
住宅ローン 繰上返済|三井住友銀行
繰上げ返済について|中央労働金庫
必要書類や手続きの手間が生じる
一括返済の場合は専用の手続きが必要であったり、書類の提出を求められたりする場合があります。直接店頭まで足を運ばなければならない金融機関もあり、時間と手間がかかる点がデメリットとして挙げられます。
具体例として、大手地銀の千葉銀行では一括返済手続きをする際は取引店への来店が必須です。また、大手信託銀行の三井住友信託銀行では、希望日の2週間前までの申し出と申請書の提出が必要となっています。
参照:
<個人向けインターネットバンキング>インターネットで全額繰上返済はできますか。|千葉銀行
住宅ローン 繰上返済 (全額繰上返済)|三井住友信託銀行
手元資金が減る
手元資金が減り、人生の選択肢が狭まることもデメリットといえます。
余裕資金がなくなると、急な出費に対応できなくなります。生きていれば事故や病気、車や住宅設備の故障など、想定外にお金が必要になる場面に遭遇することもあります。お金が足りないと、自分や家族に不自由な思いをさせることになるかもしれません。
また、手元資金を一括返済に充てることは、資産形成の視点では機会損失となる可能性があります。住宅ローン金利は比較的低く設定されているため、資金を金融投資などほかの用途に充てることで、より大きな利益を得られる可能性もあります。ただし、こうした判断にはリスクが伴うため、慎重な検討が必要です。
住宅ローンを一括返済するときの裏技2選
前章までで一括返済のメリットとデメリットを紹介しました。堅実に金銭的メリットを求めるなら、基本的な戦略は一括返済となるでしょう。
この章では、少しでもお得に一括返済するための方法を2つ紹介します。
一括返済の前に残債を少し残す
繰り上げ返済で完済せず、残債を少しだけ残して、最後は通常どおり返済するのが1つ目の方法です。この方法をとることで、一括返済の手数料を支払うことなく一括返済と同等の効果が得られるためお得です。
金融機関の多くでは、一部繰り上げ返済の手数料は無料であるのに対し、一括返済の手数料は有料であることが多いためこの方法が使用可能となります。
具体的に大手銀行の一部返済手数料と一括返済手数料をみてみましょう。
| 金融機関名 | 一部返済手数料 | 一括返済手数料 |
|---|---|---|
| みずほ銀行 | 0円 (インターネットバンキング) 33,000円 |
33,000円 (店頭のみ受付) |
| 三井住友銀行 | 0円 (インターネットバンキング) 16,500円 |
5,500円 (インターネットバンキング) 22,000円 |
| 中央労働金庫 (ろうきん) |
0円 (インターネットバンキング・窓口共通) |
変動金利型・全期間固定金利型の繰上げ返済の手数料:3,300円 / 2,200円 (3年以内の返済 / 5年以内の返済) 固定金利特約型・上限金利特約型(LooF10)の繰上げ返済の手数料:33,000円 |
少しの工夫により、数万円単位で節約できるかもしれません。一括返済前にぜひこの方法を検討しましょう。
10年後または13年後に一括返済する
住宅ローン控除の適用期間終了のタイミングの10年後、あるいは13年後に一括返済することが2つ目の方法です。
住宅ローン控除により、2021年までに取得した住宅だと年末残高の1.0%が10年間、2022年以降に取得した住宅だと0.7%が13年間所得税あるいは住民税から控除されます(平成31年から新築住宅においては控除期間が10年から13年間に延長されました)。
| 2021年までに 取得・居住開始 |
2022年以降に 取得・居住開始 |
|
|---|---|---|
| 控除期間 | 10年間 | 13年間 |
| 減税率 | 年末残高の1% | 年末残高の0.7% |
住宅ローン控除率よりも住宅ローン金利のほうが小さい場合、たとえ利息を支払ったとしても、ローンを組んだまま控除を受けたほうがお得です。
イメージをつかむため、いくらお得になるか試算します。
条件
- 借入額:3,000万円
- 金利:0.5%変動金利(元利均等返済)
- 返済期間:35年
- 住宅ローン控除率:0.7%
- 住宅取得の時期:2023年1月入居
- 住宅の種別:新築一戸建て
- 年収:700万円(単身世帯)
- 扶養親族:なし
- 居住地:東京都
| 経過年数(返済終了時点) | 年間支払利息 | 年末残高(ローン残高) | 控除額(年末残高×0.7%) |
|---|---|---|---|
| 1年(12回返済後) | 147,035円 | 2,907万円 | 203,490円 |
| 2年(24回返済後) | 143,099円 | 2,813万円 | 196,910円 |
| 3年(36回返済後) | 138,738円 | 2,719万円 | 190,330円 |
| 4年(48回返済後) | 133,946円 | 2,625万円 | 183,750円 |
| 5年(60回返済後) | 129,719円 | 2,530万円 | 177,170円 |
| 6年(72回返済後) | 125,051円 | 2,435万円 | 170,450円 |
| 7年(84回返済後) | 119,937円 | 2,339万円 | 163,730円 |
| 8年(96回返済後) | 114,371円 | 2,243万円 | 157,010円 |
| 9年(108回返済後) | 108,348円 | 2,146万円 | 150,290円 |
| 10年(120回返済後) | 101,861円 | 2,049万円 | 143,430円 |
| 11年(132回返済後) | 94,905円 | 1,951万円 | 136,570円 |
| 12年(144回返済後) | 87,472円 | 1,853万円 | 129,710円 |
| 13年(156回返済後) | 79,557円 | 1,755万円 | 122,850円 |
| 合計 | 1,553,038円 | – | 2,111,140円 |
このシミュレーションでは、支払利息の合計額が約155万円、住宅ローン控除による還付金合計額が約211万円となり、控除により約55万円得をする計算結果となりました。
住宅ローン控除の適用期間であり、かつ金利差がある場合、控除のメリットを最大限に享受してから一括返済を行うと金銭的メリットが大きくなります。控除期間の13年が終了するタイミングで一括返済を検討するのが良いでしょう。
売却相場がわからず、悩んでいませんか?
あなたのお家、
想像以上の高値で売れるかも!
- 相談・査定だけでもOK!まずは相場価格をチェック
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【実例】住宅ローンの一括返済で裏技を使った人の体験談
ここでは、SNSから住宅ローン控除終了と一括返済に関する体験談を2つ紹介します。
体験談1)変動金利0.4%で13年間の控除終了後一括返済を検討
条件
- 借入額:3,200万円
- 変動金利:0.4%
- 住宅ローン控除率:1%
- 当初の返済期間:35年
- 13年後一括返済を検討
注文住宅
— 金豚@高配当株投資で配当金生活 (@tounyouniki) September 28, 2024
住宅ローン3200万円
変動金利0.4% 35年
住宅ローン控除1%
借りた方が逆鞘で控除分お得だったので
頭金なしで購入しました
浮いたお金は高配当株へ入れてるので
家を配当金で買うような感覚です
田舎の安い家ならこれが可能です
控除がなくなる13年後に
一括返済するかどうか悩み中…
住宅ローン控除のメリットを効率よく利用するため、あえて頭金を払わず、浮いた資金を金融投資に回すというテクニカルな方法です。この戦略は、ローン控除の節税効果を享受しつつ、投資によるリターンを狙う合理的な選択肢といえます。
なお、「住宅ローン控除率1.0%、適用期間13年」の条件は、2019年10月~2021年12月までの入居者に適用される内容です。11~13年目の控除額は、以下のいずれか少ない額が上限となる点に注意が必要です。
- 年末残高×1%
- (住宅取得等対価の額 – 消費税額)× 2% ÷ 3
現在、新規で住宅ローン控除を利用する場合は最新の税制改正内容が適用されるため、詳細は税務署や専門家に確認することをおすすめします。
体験談2)住宅ローン控除×一括返済×優遇金利3つメリットを最大化
条件
- 借入金4,000万円
- フラット35S
(当初10年間:0.89%、11~35年目:1.89%) - 住宅ローン控除率:1%
- 当初の返済期間:35年
- 実際の返済期間:10年
10年前に住宅購入資金の一部にあたる約4000万をフラット35Sで借りる。10年間固定金利の優遇1.0%引き下げ(1.89%→0.89%)のうえに、確定申告の住宅ローン控除が終わる10年目ジャストのこのタイミングにて一括完済。我ながら計画通り。ヒヨって固定にしたが、今思えば変動でも良かった。
— JUN888 (@jun_888) February 12, 2022
#住宅ローン pic.twitter.com/4P4u4Qp8R4
住宅ローン控除、さらに優遇金利の節目である10年目に一括返済した例です。まさにベストタイミングな一括返済ですね。
住宅ローンを一括返済したあとの税金と確定申告
原則確定申告が不要なサラリーマンが住宅ローンを一括返済した場合、確定申告の必要性はどう変化するのか考えます。
確定申告すべき場合と不要な場合
住宅ローンを一括返済した場合は、以後控除を受けないため確定申告は不要です。ただし、年末調整で住宅ローン控除を受ける形で申告し、その後年内に一括返済した場合は確定申告が必要です。年末調整の内容を確定申告で修正する必要があるからです。
住宅ローン控除に関するポイント
住宅ローン控除は、その年の年末時点の残高に応じて節税メリットが生じます。住宅ローン控除の適用期間が終了した場合や一括で完済した場合は、確定申告や住宅ローン控除に関わる年末調整も不要となります。
贈与税に関するポイント
親や祖父母などから資金の提供を受けて一括返済する場合、贈与税の申告が必要になる場合があるため注意が必要です。
ローン返済のための資金提供は贈与税の対象となり、1年間の贈与を受けた総額が110万円を超える場合は贈与税の申告と納付が必要です。110万円以下なら申告不要です。
なお、父親から110万円、母親から110万円をそれぞれ受け取った場合は総額220万円となり、贈与税が発生します。贈与税の総額の考え方に注意しましょう。
なお、毎年110万円の基礎控除を受けられるのは暦年課税によるもので、相続時精算課税制度を利用することで最大で2,610万円まで非課税にすることが可能です。ただし、贈与で受け取った分を相続時に加算する必要があるため、相続財産が多いことが予想される場合は慎重になる必要があります。
また、2024年の税制改正で相続時精算課税制度が暦年課税より有利になったといわれます。どのように贈与を受けるのが節税になるかという観点から税制についてチェックしておくことが重要です。
参照:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
【FAQ】住宅ローンの一括返済に関するよくある質問
ここでは、住宅ローンを一括返済する場合によくある質問や、迷いやすいポイントについて説明します。
贈与で得た資金での一括返済は税務署のお尋ねを受けやすい?
すぐ税務署にばれるわけではありませんが、いずればれる可能性が高いです。1年の贈与総額が110万円を超える場合は申告しましょう。
資金を贈与する人物は、お金に余裕のある人が多いでしょう。裕福な人ほど、普段から税務調査の対象になる可能性が高く、また亡くなったタイミングに調査されがちです。その際、過去の不自然なお金の移動が認められると、贈与を受けた側へお尋ねが来る可能性があります。
無申告加算税などペナルティもありますので、110万円超の贈与資金で返済した場合は必ず申告しましょう。
10年未満で繰り上げ返済するとどうなる?
住宅ローン控除期間中に一括返済した場合、その年から住宅ローン控除が受けられず、損をする可能性があります。
住宅ローン金利と住宅ローン控除率を比較して、住宅ローン金利のほうが低い場合、一括返済してしまうと逆ざやによる利益が得られなくなるためです。
なお、住宅ローン控除の適用がない、あるいは住宅ローン金利のほうが高い場合は、10年にかかわらず返済が早ければ早いほど利息の支払総額が減りお得です。
ただし、すでにご紹介している通り、一括返済することで手元の資金がなくなってしまいます。一括返済後に何らかの理由でお金を借りようとしても、多くの場合住宅ローン金利より高い金利での借り入れとなる点には注意しなければなりません。
住宅ローンの繰り上げ返済は何月にするのがお得?
住宅ローン控除の適用期間中に一括返済する場合、1月の繰り上げ返済がお得です。
住宅ローン控除は、12月31日時点のローン残高に対して0.7%(または1.0%)の控除が受けられる制度です。一括返済の場合、1月に返済しても同年12月に返済しても、その年の12月31日時点のローン残高はゼロ円のため、いずれにせよ控除は受けられません。一方で、一括返済することで以後の住宅ローン金利の支払いはなくなります。
一括返済することが確実なら、早く一括返済したほうが利息の支払総額が少なくなるため、1月の一括返済がお得となります。
住宅ローンを繰り上げ返済したら年末調整で何かすべき?
一括返済した年は、年末調整で住宅ローンに関する手続きを行う必要はありません。
住宅ローン控除は年末時点のローン残高の0.7%(または1.0%)が控除される仕組みです。一括返済した年の年末時点のローン残高はゼロ円のため、住宅ローン控除に関する年末調整手続きは不要となります。
まとめ
住宅ローンの一括返済をお得にするための方法について解説しました。
支払利息の総額を抑えることができるため、お金に余裕があるのであれば一括返済したほうがお得になりやすいといえます。住宅ローン金利が住宅ローン控除率よりも低いなら、控除の適用期間終了後に一括返済するのがお得です。
ただし、一括返済には少なからずデメリットもあるので、無理のない範囲で検討しましょう。






































逆瀬川勇造さん からのコメント
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
住宅ローンは個人が借りられる他のローンと比べて、最も低い金利になることが多いローンです。このため、一括返済したものの後で資金が必要になり、別でローンを借りるとなった場合により高い金利で借りることになる点には注意しなければなりません。また、例えば金利1%で住宅ローンを借りている場合、一括返済するより、資金を運用して年利1%以上の利益を得られるのであれば、運用したほうがよいといえます。もちろん、リスクはありますが比較的安心して運用しやすい投資信託のインデックスファンドの平均リターンは3%~7%程度なので、一考する価値はあるといえるでしょう。