この記事のポイント
- 老朽化した家は、「今後どうするか」が決まらないと対応が先延ばしになる
- 古い家を放置すると、倒壊リスクや資産価値の低下、税負担の増加など不利になる
- 補助金や制度を含めて無理のない方法を選ぶ視点が大切
「雨漏りや傾きが気になるけれど、まとまった修理費を用意できない。どこから手を付ければいいのだろう」
「相続した実家が空き家のまま傷んでいく。このまま放置して問題は起きないのか、不安が消えない」
家の老朽化に直面したとき、多くの場合、判断を難しくするのが費用の問題です。
修理、建て替え、売却、解体。選択肢はいくつも浮かびますが、費用のイメージが持てないままでは判断が進みません。老朽化の程度や家の使い道によって、取れる手段は変わります。状況に合った考え方を知ることで、漠然とした不安は少しずつ整理されていきます。
この記事では、資金に余裕がない状況で老朽化した家とどう向き合うかについて、現実的な判断の軸や制度の活用方法を順に解説していきます。
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記事の構成
お金がないため老朽化した家を直せず悩む方は多い
家の老朽化をきっかけにリフォームや建て替えを考え始めたものの、最初に立ちはだかるのが費用面の不安です。
実際、リフォームを実施した人を対象にした調査でも「費用がどれくらいかかるのか」「見積もりの相場や適正価格がわからない」といった金銭面の懸念が、ほかの不安要素よりも高い割合を占めています。
まずは、費用面で悩みやすい代表的なケースを紹介します。
参照:2023年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査結果報告書|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会
手元資金がないケース
築年数の経った家に住み続けている場合、突発的な修理に備えた貯蓄が十分でないこともあります。
日常生活の支出を優先する中で、大きな修理費を一度に用意するのは簡単ではありません。その結果、必要性を感じつつ、対応を先送りしてしまうケースが見られます。
ローンや補助金が使えないケース
収入や年齢、住宅の条件によっては、リフォームローンの審査に通らないこともあります。
また、補助金制度があっても、対象工事や要件に合わず利用できない場合があります。制度があると知っていても、自分の家では使えないと分かった時点で、行き詰まりを感じる人も少なくありません。
家をどうするか方針が決まらないケース
住み続けるのか、売却するのか、解体するのか。方向性が定まらないままでは、どこまでお金をかけるべきか判断できません。特に相続した家の場合、家族間で考えがそろわず、費用の話が進まないこともあります。
方針が曖昧な状態そのものが、費用面の不安を大きくしているケースもあります。
お金がない状況で、老朽化した家をどうするか迷ったときの判断軸
老朽化した家を前にすると「直すべきか」「手放すべきか」と考えが行き来します。ただ、手元に余裕資金がない状況では、理想だけで判断するのは難しいものです。大切なのは、今後その家とどう関わるのかを整理し、現実的な線を引くことです。
ここでは、よくある状況ごとに考え方の軸を見ていきます。

そのまま住む予定があるなら最低限の補修
今後も住み続けるのであれば、家全体をきれいに直す必要はありません。倒壊の恐れがある部分や雨漏り、柱や床の腐食など、生活や安全に直結する箇所に絞って手を入れる考え方があります。
見た目や設備の新しさは後回しにし、日々の暮らしに支障が出やすい部分から対応することで、費用の負担を抑えやすくなります。
コスト負担が重いなら現況のまま売却
修理費をかける余裕がなく、固定資産税や管理の負担が重く感じられる場合は、今の状態のまま売却を検討する方法もあります。
不動産会社が買主を探す売買仲介と、直接引き取る買取では、進め方やかかる時間に違いがあります。修理を前提にせず、現況でどの程度の条件になるのかを知ることからはじめましょう。
相続したが使わないなら解体や相続放棄
相続したものの使う予定がない家は、持ち続けるだけで管理や費用の負担が増えていきます。建物を解体して更地にする、一定の条件を踏まえて相続放棄を検討するといった対応も考えられます。
空き家のまま時間が経つほど選択肢は狭まりがちです。早めに制度や費用の整理をしておくことで、先々の悩みを減らしやすくなるでしょう。
老朽化した家を放置するリスク
老朽化した家は住んでいる場合でも、空き家の場合でも、放置によって生じる影響は少しずつ積み重なっていきます。

ここでは、見落とされやすい代表的なリスクを解説します。
倒壊・破損による危険性
老朽化が進んだ建物は、地震や台風、大雨などの影響を受けやすくなります。屋根材や外壁の落下、柱や梁の損傷が進めば、住んでいる人だけでなく、周囲にも危険が及ぶ可能性があります。
小さな不具合に見えても、放置することで一気に深刻化する点には注意が必要です。
資産価値の低下と解体費用の増加
建物の傷みが進むほど、資産としての評価は下がっていきます。また、腐食や倒壊リスクが高まると、解体作業が複雑になり、結果として費用がかさむこともあります。
早い段階であれば選べた対応が、時間の経過によって難しくなるケースも少なくありません。
空き家なら税負担の増加・行政指導の可能性
空き家を適切に管理していないと、行政から指導や勧告を受けることがあります。
「特定空家等」に該当し、勧告が出た場合、固定資産税の住宅用地特例が外れることがあります。その結果、土地の固定資産税額が最大で6倍程度に増えるケースも見られます。
古い家に住むことにはさまざまなストレスも
古い家に住み続けていると、寒暖差を感じやすい、設備の使い勝手が悪い、修理のたびに出費が重なるといった不便さを感じる場面が増えていきます。
こうした小さなストレスが積み重なることで、暮らしそのものに負担を感じやすくなる点も、老朽化した家を放置するリスクの一つです。
老朽化した家の修理にかかる費用
老朽化した家の修理費用は「どこを直すか」「どこまで手を入れるか」で大きく変わります。
まずは、代表的な修理内容とおおよその価格帯を表で確認しましょう。
| 修理内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 雨漏り対策(屋根・防水) | 20万円〜80万円 |
| 外壁の補修・塗装 | 50万円〜150万円 |
| システムキッチンの交換 | 40万円〜80万円 |
| システムバスの交換 | 60万円〜150万円 |
| 耐震補強(基礎からの工事) | 100万円〜200万円 |
| 床・内装の改修 | 15万円〜100万円 |
※住宅の状態や工事内容により金額は前後します
建て替えにかかる費用相場
老朽化が進んだ場合、修理を重ねるより建て替えを検討したほうがいいケースもあります。
一般的な木造住宅の場合、建て替えにかかる費用は1,500万円〜3,000万円程度が1つの目安です。建物の規模や仕様、地域によって差が出やすく、解体費用や仮住まい費用が別途かかる点も考慮する必要があります。
解体にかかる費用相場
建物を取り壊す場合、木造住宅であれば安くとも100万円程度はかかります。建物の傷み具合や立地条件によって作業が難しくなると、さらに費用が増えることもあります。
解体だけを先に行うのか、その後の土地活用まで見据えるのかで、判断のポイントは変わってきます。
老朽化した家の修理費用の調達方法
老朽化した家の修理を考える際、修理する内容と同じくらい悩ましいのが資金の確保です。自己資金だけでまかなえない場合でも、状況に応じた調達方法があります。
ここでは、代表的な手段を紹介します。
リフォームローンを利用する
リフォームローンは、住宅の修理や改修を目的として借り入れるローンです。住宅ローンと比べて借入額は小さめですが、比較的手続きがシンプルな点が特徴です。
金融機関によっては担保を求められないケースもあり、築年数が古い家でも利用しやすい傾向があります。
一方で、住宅ローンより金利は高めに設定されることが多く、返済期間も短めです。
住宅ローンに組み込む(借り換え・増額)
すでに住宅ローンを返済中の場合、借り換えや増額によって修理費用を組み込む方法もあります。
金利が比較的低い点は魅力ですが、担保評価や返済年数、年齢条件などの制約があります。残債や今後の返済計画を踏まえ、無理のない範囲かどうかを慎重に見極める必要があります。
補助金や助成金を利用する
国や自治体では、省エネ化や安全性向上を目的としたリフォームに対し、補助制度を設けています。内容や条件は制度ごとに異なるため、まずは全体像を把握してから個別に確認しましょう。
| 制度名 | 主な対象工事 | 補助額の目安 |
|---|---|---|
| 先進的窓リノベ2025事業 | 高断熱窓への改修 | 最大200万円 |
| 子育てエコホーム支援事業 | 省エネリフォーム全般 | 最大60万円 |
| 給湯省エネ2025事業 | 高効率給湯器の設置 | 数万円〜20万円程度 |
| 長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 耐震・省エネ改修 | 最大160万円 |
※住宅の条件や工事内容により異なります
※2025年12月現在
先進的窓リノベ2025事業
高断熱性能をもつ窓への改修を対象とした制度です。
工事内容に応じて補助額が細かく設定されており、断熱性能を段階的に高めたい場合でも検討しやすい点が特徴です。築年数の経った家でも対象になるケースがあります。
子育てエコホーム支援事業
子育て世帯や若者世帯を主な対象とし、省エネ性能の向上を目的としたリフォームを支援する制度です。
水回りや断熱改修など、対象工事の幅が比較的広く、複数の工事を組み合わせて利用できる場合があります。
給湯省エネ2025事業
高効率給湯器の導入を支援する制度で、既存設備の老朽化に合わせて検討しやすい内容です。
機器の種類ごとに補助額が設定されており、交換時期が重なった場合の費用負担を抑えられます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
耐震性や省エネ性を高め、住宅を長く使い続けることを目的とした制度です。
一定の性能基準を満たす必要があるため、設計段階から専門家の関与が求められるケースもありますが、補助額が比較的大きい点が特徴です。
その他自治体の耐震改修補助・空き家修繕補助
国の制度とは別に、自治体独自の耐震改修や修繕に関する補助制度も用意されています。
内容や補助額は地域によって差があるため、所在地ごとに内容を確認しましょう。
| 自治体 | 主な補助内容 | 補助の特徴 |
|---|---|---|
| 東京都 | 木造住宅の耐震診断・耐震改修 | 診断から改修まで段階的に支援 |
| 千葉県 | 木造住宅の耐震改修補助 | 市町村と連携した補助制度 |
| 横浜市 | 木造住宅耐震改修 | 高齢者世帯向けの加算制度あり |
| 府中市 | 木造住宅の耐震診断・改修 | 診断費用の補助が手厚い |
参照:
耐震化助成制度|東京都
市町村耐震関連補助事業について|千葉県
横浜市木造住宅耐震改修補助事業|横浜市
木造住宅耐震診断・耐震改修等助成事業|府中市
親族(親戚)から借りる
金融機関を利用せず、親族から資金を借りるケースもあります。利息や返済条件を柔軟に相談できる反面、取り決めを曖昧にすると後々のトラブルにつながりかねません。
関係性への影響を抑えるためにも、金額や返済方法を書面で整理しておくことが大切です。
家の修理はどこに頼む?
劣化の程度や工事の規模によって、適した相談先や相談後の依頼先は変わります。やみくもに業者を探すのではなく、状況に合った窓口を選ぶことが大切です。
まずは、劣化の内容・規模別の主な相談先を紹介します。
| 劣化している部分・工事規模 | 主な相談先 | 特徴 |
|---|---|---|
| 水漏れ・給湯器・配管など | 設備業者 | 部分的な修理に対応しやすい |
| 屋根・外壁の傷み | 屋根工事店・外装業者 | 雨漏りや外壁補修を専門的に対応 |
| 内装の傷み・床や壁 | 工務店・リフォーム会社 | 小規模から中規模工事まで幅広い |
| 耐震補強・構造部分 | 工務店・設計事務所 | 建物全体を見た判断が可能 |
| 複数箇所の老朽化 | リフォーム会社 | 工事内容をまとめて相談できる |
劣化が一部に限られている場合は、専門業者に直接相談するほうが話が早いこともあります。
一方で、複数箇所に傷みが見られる場合は、全体を見渡せる工務店やリフォーム会社に相談したほうが工事の優先順位を整理しやすくなります。
また、築年数が古く、どこまで修理すべきか判断が難しい場合は、ホームインスペクション(住宅診断)を行っている不動産業者に相談する方法もあります。建物の状態を客観的に把握することで、修理を続けるべきか、売却や解体を含めて考えるべきかの判断材料になります。
まとめ
老朽化した家のことを考えるとき、お金の不安があると判断が止まってしまいがちです。
ただ、修理をする、最低限の補修で住み続ける、現況のまま売却する、解体や相続放棄を考えるなど、状況に応じた向き合い方は一つではありません。
大切なのは、今の家の状態と今後の関わり方を考え、無理のない選択肢を見つけることです。
不動産SHOPナカジツでは、老朽化した家について「直すか、売るか」で悩んでいる段階からご相談を受けています。リフォームを前提にした活用だけでなく、現況売却や買取、リノベーションを見据えた売却など、家の状態やご事情に合わせて複数の進め方を検討できます。
修理費をかけるべきか迷っている場合でも、無理に方向性を決める必要はありません。
どうするのが自分にとって現実的なのか。選択肢を比べながら整理したいと感じたら、一度立ち止まって相談してみるのも一つの方法です。








































