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更新日:2026.04.14

空き家を無料貸し出しする方法は?事例や無償譲渡との違いも解説

空き家の無料貸し出しのアイキャッチ

この記事のポイント

  • 空き家を放置すると、特定空き家の指定や固定資産税の増額、近隣トラブルなどのリスクが高まるため、無料貸し出しは現実的な対策の1つ
  • 無料貸し出しには、空き家バンクやマッチングサイト、使用貸借契約など複数の方法がある
  • 無償でも固定資産税の負担は続くため、補助制度の活用や将来の売却・譲渡も含めて方針を決めることが大切

「誰も住まない実家を放置しているけれど、特定空き家に指定されて増税される事態は避けたい……」
「売却できない地方の空き家、無料でもいいから誰かに管理してもらえないだろうか?」

空き家を所有していると、維持費や固定資産税の負担、建物の老朽化といった悩みが尽きないものです。適切な管理を怠れば行政処分の対象となる恐れもあり、所有者としての責任は重くのしかかります。

この記事では、空き家を無料で貸し出す具体的な手法や活用の成功事例、トラブルを防ぐための注意点について詳しく解説します。空き家を単なる「負債」ではなく、地域に喜ばれる「資産」へと変える手立てを学びましょう。

記事の構成

空き家の無料貸し出しが推奨される2つの背景

空き家をそのままにしておくと、税金の負担が重くなるだけでなく、法的トラブルの引き金にもなりかねません。

あえて無料で貸し出す選択は、所有者としてのリスクを最小限に抑えるための現実的な防衛策といえます。

管理不全による特定空き家への指定と固定資産税の増税

適切な管理が行き届かず、周囲に悪影響を及ぼす恐れがある物件は、自治体から「特定空家」や、その予備軍である「管理不全空家」に指定される可能性があります。

これらの指定を受けた後に改善の勧告が出されると、土地に対する税金の優遇措置が適用されなくなります。

また、住宅が建つ土地は「住宅用地特例」により、固定資産税が最大で1/6に抑えられています。しかし、勧告によって特例が解除されると、税額は6倍(実質4倍※)へと膨らみます。

自治体からの命令に従わない場合には過料を科されるケースもあり、経済的な損失はさらに広がります。

※住宅用地特例が外れると非住宅用地として扱われ、課税標準額は評価額の約70%で算出されます。そのため、1/6の優遇時と比べた実際の税額増加は約4倍程度になります。

参照:
固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省
地方税制度|固定資産税|総務省

建物倒壊や不法侵入など近隣トラブルによる損害賠償責任

老朽化した空き家は、屋根材の落下や外壁の剥離など、周囲に影響を及ぼすリスクを抱えています。

さらに、不法侵入や放火といった二次的なトラブルにつながる例も見られます。

こうした事故が起きた場合、管理が不十分だったと判断されれば、所有者が損害賠償責任を問われる余地があります。人が住んでいないから責任が軽くなる、という扱いにはなりません。

参照:土地の工作物等の占有者及び所有者の責任|e-Gov法令検索(民法)

空き家を無料で貸し出す方法

空き家の無料貸し出しは、思いつきで始めるものではありません。

実務面を整理し、借り手と安全につながる仕組みを使うことで、負担を抑えながら進めやすくなります。ここでは、実際に使われている代表的な方法を紹介します。

「空き家バンク」の活用

多くの自治体が運営する空き家バンクは、空き家を探す人と所有者をつなぐ公的な仕組みです。

売買だけでなく、無償または低額での賃貸を前提とした募集も行われています。

登録時には、建物の状態や利用条件を自治体職員と確認する流れが一般的です。移住や定住を目的とした利用が多く、借り手の属性や利用目的が比較的わかりやすい点も特徴です。

民間の「0円物件」マッチングサイトやSNSの活用

近年は、無償または実質0円で使える物件を扱う民間サービスも増えています。

こうしたサイトでは、DIY前提や現状利用を条件にした募集が多く、柔軟な条件設定がしやすい傾向があります。

また、地域コミュニティのSNSや移住希望者向けのグループで情報を発信する方法もあります。

ただし、個人間でのやり取りが大半なので、条件整理や契約面は慎重に進める必要があります。

使用貸借契約(無償貸与)による個人間での貸し出し

無料貸し出しを行う場合、契約形態として用いられるのが使用貸借契約です。これは、賃料を受け取らずに建物を使わせる契約を指します。

契約書には、以下を具体的に記載します。

  • 利用期間
  • 修繕の範囲
  • 固定資産税や光熱費の負担区分
  • 退去時の扱いなど

たとえば「通常使用による劣化は原状回復の対象外とする」「大規模修繕は所有者が判断する」といった形で線引きを明確にしておくと、後のトラブルを避けやすくなるでしょう。

なお、空き家を無料で貸すかどうかは、建物の状態や将来の使い道によって向き・不向きがあります。ナカジツでは、空き家の扱いに悩んでいる段階から相談を受け付けています。活用の選択肢を整理したいときの壁打ち相手として、気軽に活用してみてください。

【用途別】空き家の無料貸し出し・譲渡の成功事例

空き家の活用は、用途が具体化した瞬間に現実味を帯びます。

ここでは、移住、起業、地域との関わりといった読者の関心に沿って、実際に行われた事例を紹介します。どのような形で貸し出され、どこに工夫があったのかを確認していきましょう。

1)地方移住や定住支援に向けた住宅としての提供

地方自治体や地域団体が関与し、空き家を移住希望者向け住宅として貸し出した事例です。

所有者が直接移住者と契約するのではなく、空き家バンクや自治体が間に入り、改修や入居条件をまとめています。

空き家を移住希望者向け住宅として貸し出した事例
項目 内容
所在地 滋賀県内の地方都市
活用前の状態 長期間使用されていない戸建住宅
活用後の用途 移住体験住宅・定住促進住宅
契約形態 賃貸借契約(低額設定)
改修内容 水回り改修、内装補修
費用負担 改修費の一部を国・自治体が補助
効果 移住希望者の受け入れ、空き家の維持管理負担軽減

一定期間の居住を通じて地域との相性を確かめてもらう運用が行われ、結果として定住につながったケースも報告されています。

参照:近畿管内における空き家活用事例(令和6年度版)|国土交通省 近畿地方整備局

2)地域活性化を目的とした店舗・アトリエ・シェアオフィス活用

空き家を住宅以外の用途に転用した事例です。商店街や駅周辺の空き家を、事業拠点や交流の場として再生しています。

空き家を住宅以外の用途に転用した事例
項目 内容
所在地 滋賀県米原市
活用前の状態 駅前に立地する空き家
活用後の用途 サテライトオフィス・シェアオフィス
契約形態 賃貸借契約(民間事業者が管理)
改修内容 オフィス化、共用スペース整備
費用負担 民間資金 + 国・自治体補助
効果 企業誘致、地域内外の交流創出

自治体は物件紹介や広報支援を担い、運営は民間事業者が行う役割分担が取られています。空き家が事業の起点となり、周辺エリアの活用にも波及しています。

参照:近畿管内における空き家活用事例(令和6年度版)|国土交通省 近畿地方整備局

3)DIYやセルフリフォームを前提とした「現状貸し」モデル

最後は、改修を前提としない形での貸し出し事例です。建物は現状のまま引き渡し、借主がDIYやセルフリフォームを行う条件で合意しています。

このモデルでは、所有者は初期費用を抑えたまま空き家を活用でき、借主は自由度の高い使い方が可能です。

住居、アトリエ、店舗など用途は幅広く、改修内容や原状回復の扱いを事前に決めることで成り立っています。

参照:じっかす

空き家の無料貸し出しでよくある条件や契約上の注意点

空き家を無料で貸し出す際、話がまとまりやすい反面、条件整理を後回しにすると後々のトラブルにつながります。特に契約形態や費用負担の考え方は、貸す側・借りる側で認識のズレが生じやすい部分です。

ここでは、法務面を中心に、事前に押さえておきたいポイントをお伝えします。

「使用貸借」と「賃貸借」の違いを把握する

無料貸し出しで多く使われるのが使用貸借契約ですが、賃貸借契約とは性質が異なります。

使用貸借と賃貸借の違い
項目 使用貸借 賃貸借
賃料 なし あり
契約の目的 無償で使わせる 対価を得て貸す
借主の保護 限定的 借地借家法の保護あり
解約の柔軟性 比較的高い 制限を受けやすい
契約書の重要性 条件整理のため不可欠 標準的な契約が多い

使用貸借は貸主の裁量が比較的広い一方、契約内容が曖昧だと判断基準がなくなります。無償だから簡単、とは考えず、文書で条件を残す必要があります。

修繕費用や固定資産税の負担区分を明確にする

費用負担を巡るトラブルは、無料貸し出しで特に多く見られます。代表的なのが、修繕費用の扱いです。

たとえば、入居後に給湯器が故障した際、「通常使用による劣化だから貸主負担」「使っている以上は借主負担」と双方の主張が食い違うケースがあります。また、固定資産税についても、「無償で貸しているのだから借主が負担すべき」と後から考えが変わる例も見られます。

こうしたズレを防ぐには、契約時に以下を明確にしておきましょう。

  • 軽微な修繕と大規模修繕の線引き
  • 固定資産税や火災保険の負担者

残置物の撤去費用と原状回復義務の範囲を設定する

空き家には、家具や家電、生活用品が残っていることも少なくありません。この扱いを曖昧にしたまま貸し出すと、退去時に問題が表面化します。

よくあるのが、「使っていいと言われた残置物を処分したら、勝手に捨てたと言われた」「退去時に想定外の原状回復を求められた」といったトラブルです。

残置物は使用可か撤去前提か、改修は現状回復不要か一部のみか、といった点を事前に共有し、文章に落とし込むことで、感情的な衝突を避けやすくなるでしょう。

空き家の無料貸し出しに関連する補助金

用途や貸し出し先によっては、公的な補助制度を活用できる場合があります。ここでは、代表的な支援制度を整理し、どのような場面で使われているのかを確認します。

セーフティネット専用住宅改修事業

住宅確保要配慮者向けに空き家を貸し出す場合、国の制度を活用できるケースがあります。セーフティネット専用住宅改修事業は、その代表例です。

セーフティネット専用住宅改修事業の代表例
項目 内容
制度の目的 住宅確保要配慮者の住まい確保
対象物件 空き家を含む既存住宅
主な改修内容 バリアフリー化、設備更新など
補助内容 改修費の一部を補助
留意点 住宅セーフティネット制度への登録が前提

高齢者や子育て世帯など、特定の入居者を想定した貸し出しを行う場合に活用されています。無償または低額での貸し出しと組み合わせることで、改修負担を抑えやすくなります。

参照:セーフティネット専用住宅改修事業|住宅保証支援機構

区市町村による空き家に関する支援制度

空き家対策は自治体ごとに取り組み方が異なり、独自の補助制度を設けている例も多く見られます。以下は、実際に空き家活用支援を行っている主な自治体支援制度例です。

空き家活用支援を行っている自治体支援制度例
自治体 制度の方向性 主な支援内容 想定される活用
名古屋市 活用前提の改修支援 改修費補助、活用相談 住宅、地域利用
東京都(区市町村) 情報整理と個別支援 改修補助、活用支援 住宅、事業利用
横浜市 地域貢献型の活用促進 マッチング支援、改修補助 地域拠点、交流施設
大阪市 老朽空き家対策 改修支援、除却支援 住宅、地域用途
新潟市 移住・定住促進 改修費補助、利活用支援 移住者向け住宅

支援内容や補助額、対象要件は自治体ごとに細かく定められており、すべての空き家が対象になるわけではありません。

無料貸し出しを前提にする場合でも、所在地の自治体に制度の有無や条件を確認し、活用方針と制度の目的が噛み合うかを見極めることが重要です。

参照:
区市町村による空き家に関する支援制度|市町村による空き家に関する支援制度
名古屋市空き家活用支援事業費補助金|名古屋市
空家の活用・改善等で利用できる各種支援制度等の一覧|横浜市
空家利活用改修補助制度|大阪市
空き家活用推進事業|新潟市

起業家による空き家活用事業

空き家を起業の場として活用する動きも、制度面から後押しされています。東京都では、創業支援の一環として空き家活用を支援する取り組みが行われています。

【事業の全体像】

引用元:起業家による空き家活用事業|東京都産業労働局

この制度では、空き家を事業拠点として活用する起業家側が支援対象となるケースが多く、所有者は低額または無償で貸し出す形を取ることがあります。

所有者が改修や運営を担わずに済む点は、無料貸し出しとの相性がよいポイントといえます。

空き家の無料貸し出しに関連する税金

空き家を無料で貸し出す場合、売却とは異なり、譲渡所得税が発生する場面は想定されません。ただし、税金と無関係になるわけではなく、いくつか注意しておきたい点があります。

まず、固定資産税です。無償で貸していても、所有者である限り固定資産税の納税義務は続きます。借主に居住実態がある場合でも、税の名義が移ることはありません。

次に、所得税と確定申告の考え方です。使用貸借のように賃料を受け取らない契約であれば、不動産所得は原則として発生しません。そのため、賃料収入を前提とした確定申告が不要となるケースが大半です。

ただし、実質的に金銭や経済的利益を受け取っていると判断される条件がある場合は、扱いが変わる可能性があります。

また、改修費用を所有者が負担した場合でも、無償貸与では必要経費として計上できない点には注意が必要です。賃貸収入がない以上、税務上の損益計算とは切り離して考える必要があります。

【FAQ】空き家の無料貸し出しに関するよくある質問

空き家を無料で貸し出す場面では、契約や責任の所在について細かな疑問が生じがちです。ここでは、相談の多い質問を取り上げ、要点を押さえて解説します。

もし空き家の名義変更をするなら登記費用は誰が払う?

名義変更を行う場合、登記費用は原則として名義を取得する側が負担します。無償譲渡であっても、登録免許税や司法書士報酬が発生します。

一方、無料貸し出し(使用貸借)では名義変更自体が不要なため、登記費用が発生する場面は限られます。名義を動かすかどうかは、貸し出しの目的と期間を踏まえて判断するのが一般的です。

名古屋市など特定の地域で無料貸し出しを探す方法は?

自治体が運営する空き家バンクの活用が出発点になります。名古屋市を含め、多くの自治体で売買だけでなく貸し出し情報も掲載されています。

あわせて、自治体の住宅政策課や空き家相談窓口に問い合わせると、制度やマッチング支援の案内を受けられることがあります。民間のマッチングサイトや地域コミュニティの情報も併せて確認すると選択肢が広がるでしょう。

借主が家の中で事故を起こした際の所有者の責任は?

事故の内容や原因によって判断が分かれます。建物の欠陥や管理不十分が原因とされる場合、所有者が責任を問われる余地があります。

一方、通常の使用による事故や借主側の不注意が原因であれば、所有者の責任が及ばないケースもあります。

【余談】「0円物件」や「無償譲渡」が空き家問題の解決策になる理由

空き家問題の本質は、「売れないこと」よりも「使われないこと」にあります。立地や築年数の関係で市場価値がつきにくい物件でも、人が関わり、手を入れる余地があれば、活用の可能性は残されています。

0円物件や無償譲渡は、価格を下げる発想ではなく、引き継ぐ人のハードルを下げる手段です。取得費がかからない分、修繕や活用に資金を回しやすくなり、結果として建物が維持される状態につながります。

また所有者にとっても、管理負担や将来的なリスクを手放しやすくなるメリットがあります。空き家を抱え続けるより、使いたい人に託すという考え方が、現実的な解決策として広がっています。

まとめ

空き家の無料貸し出しは、放置による負担やリスクを抑えながら建物を生かす方法の1つです。自治体制度やマッチングサービスを使えば活用の道は広がりますが、契約形態や費用負担を曖昧にしたまま進めると、後からトラブルにつながる点には注意が必要です。

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