家を購入した方なら、きっと耳にしたことのある制度「住宅借入金等特別控除」、いわゆる”住宅ローン控除”。納めた税金が戻ってくる制度ですが、それには確定申告が必要です。
『確定申告なんて無縁なので、何のことかわからない』という方向けに、住宅ローン控除の手続きや確定申告の手順についてご紹介します。
※2022年に住宅ローン控除の内容が改正されました。改正内容の詳細はこちらの記事をご覧ください。
目次
住宅ローン控除とは
「住宅ローン控除」とは、マイホームを一定の条件のローンを組んで購入したり、省エネやバリアフリーなど特定の改修工事をしたりすると、年末のローンの残高に応じて「税金が還ってくる」制度のことです。
この制度の適用を受けるには、所得が2,000万円以下であることや返済期間が10年以上の住宅ローンであることなど、いろいろと要件がありますが、要件に当てはまる方については、ざっくり言うと、10年間もしくは13年間、ローン残高の0.7%に当たる税金が還ってくることにより、税金の負担が軽くなります。
家を購入したら、確定申告を
確定申告とは
そもそも確定申告とは何かというと、所得があった人は、所得税を払わなければなりません。所得税を払うために「いくら所得がありました。その結果、所得税をいくら払います」というのは、本来自分で税務署に申告するものなのです。この税務署に対して「いくら所得があって、所得税がいくらになるか」を申告する行為が「確定申告」です。会社員の方はこの申告を会社が行ってくれています。このことを「年末調整」といいます。
初年度は会社員の年末調整で、住宅ローン控除を適用できない
手続きの流れとしてはまず、住宅ローン控除を受ける最初の年に確定申告をします。これは会社員の場合でも同様です。なぜなら、会社で行う年末調整では、住宅ローン減税やふるさと納税など、年末調整だけでは調整できないケースがあるからです。 (なお、確定申告が必要なのは1年目だけで、2年目以降は年末調整が出来ます。※後ほど詳しく記載しています)
確定申告 初年度のスケジュールと必要書類
必要書類
確定申告書
国税庁サイトからダウンロード出来ます。
会社員の場合は確定申告A、個人事業主の場合は確定申告Bの用紙を使います。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅ローン控除の計算専用の用紙です。税務署でもらうか、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
マイナンバーが記載されている本人確認書類
「個人番号カード(マイナンバーカード)」がある場合には、表裏両面のコピー、
「通知カード」の場合には、「通知カード」のコピーに加え、運転免許証やパスポート等の本人確認書類のコピーも併せて提出する必要があります。
源泉徴収票
12月末から翌年1月あたりで勤務先から発行されます。万が一紛失してしまった場合には、勤務先に再発行を依頼して下さい。
住宅ローンの残高証明書
年末時点の住宅ローン残高が記載されている用紙です。
通常は10~11月頃、住宅ローンの初年度は、翌年1月下旬頃、金融機関から自動的に発送されます。
住宅の登記事項証明書
居住地を管轄する法務局へ直接出向いて発行を依頼するか、もしくはインターネットから請求し、窓口受取・郵送を選ぶ事が出来ます。
インターネットの場合は「かんたん証明書請求」で手続きします。
手数料 窓口受取…480円 郵送受取…500円(普通郵便送料込)
住宅の工事請負契約書又は不動産売買契約書(請負契約書)の写し
家を購入した際の契約書です。契約書は不動産会社からもらえます。
土地を買って家を新築する場合は、「土地の売買契約書」と「建物の工事請負契約書」の両方のコピーが必要です。
(一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合)耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し
中古住宅を購入の際、耐震基準に満たない場合必要になる事があります。売買前に確認しておきましょう。
(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)認定通知書の写し・住宅用家屋証明書の写しまたは、建築証明書 その他、必要な場合のみの書類
●長期優良住宅建築等計画の認定通知書のコピー
お住まいの住宅が長期優良住宅に該当するときに必要です。住宅の引き渡し時に市区町村発行のものを不動産会社からもらえます。
●低炭素建築物新築等計画認定通知書のコピー
お住まいの住宅が低炭素建築住宅に該当するときに必要です。住宅の引き渡し時に市区町村発行のものを不動産会社からもらえます。
●住宅用家屋証明書のコピー
お住まいの住宅が長期優良住宅・低炭素住宅に該当するときに必要です。
住宅の引き渡し時に市区町村の税務課発行のものを不動産会社からもらえます。
無い場合は、市町村の税務課で発行してもらいましょう。手数料は、市区町村によって違いますが、おおよそ1300円です。
申請までのスケジュール
12月まで 勤務先から源泉徴収票を受領
勤務先から12月末から翌年1月あたりで勤務先から受け取ります。
1~2月 各書類を集める
上記の必要書類の準備をします。
2月中旬~3月中旬 確定申告手続き
下記のいずれかの方法で手続きを行います。
【手続きの方法(以下のいずれか)】
(1) 税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に持参
(2) 税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送
(3) 税務署に行き、税務署の確定申告書作成コーナーでe-taxを使用して確定申告書を作成・申請
(4) 国税庁のサイトから確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送
(5) 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送
(6) 国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、インターネット(e-tax)で申請
間に合わなかった場合はどうなる?
住宅ローン控除など税金が戻ってくる還付申告は、控除が発生した翌年の1月1日から5年間の申告期限内に手続きをすれば控除を受けることはできます。「間に合わなかった!」「忘れていた!」という場合は必要書類を揃えて最寄りの税務署で手続きをして下さい。
申請先
住所地を管轄する税務署
お住まいの地域を管轄する「税務署」で手続きします。管轄の税務署は国税庁のホームページから確認することが出来ます。
2年目以降の手続き
年末調整で手続きできる
2年目以降は年末調整だけでOK!
1年目はとても大変だった住宅ローン控除の手続きですが、2年目はかなりラクになります。
必要書類はたったの2種類。「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅ローンの残高証明書」を用意して、年末調整の書類とともに勤務先に提出するだけでOKです。
確定申告や年末調整を行い住宅ローン控除を受けましょう
住宅ローン控除を受けられるのと受けられないのでは大きな差がつきますよね。人によっては、10年で200万円~300万円もおトクになるので、ちょっと面倒でもぜひ確定申告や年末調整をしておきたいですね。 リフォームも住宅ローン控除の適用を受けられるということも、頭の片隅にでも置いておくとよいでしょう。住宅ローンを支払っている方は、ぜひ手続きしてみてはいかがでしょうか。