【2024年度】最大控除額65万円!投資型減税とは?

【2024年度】最大控除額65万円!投資型減税とは?

掲載日:2020.03.10

住宅ローンを利用して住宅を取得した場合などでは、住宅ローン控除を活用できます。住宅ローン控除は、支払った所得税が還付されるので、第二のボーナスとして、楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。しかし、住宅ローンを使わず、現金で住宅を取得した人は、住宅ローン控除を使えません。

そこで、現金で住宅を取得した人を対象とした制度が、投資型減税です。この記事では、これから住宅を取得する予定の人向けに、要件計算例とともに、投資型減税についてわかりやすく解説します。

投資型減税とは

投資型減税とは

住宅ローンを利用せず自己資金のみで購入する場合は、住宅ローン控除を利用できません。そこで、住宅ローンに頼らず、一定の優れた住宅を取得した場合に適用できる制度が、投資型減税です。

投資型減税は、これまで何度も改正されていますので、最新の情報かどうかを確認しなければなりません。この記事では、2024年の投資型減税について解説しています。

2024年度からのおもな変更点は次のとおりです。

    • 適用期間が延長され、令和7年12月31日までになった
    • 所得条件が合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下になった
    • リフォームに対する投資型減税は廃止された

なお、住宅ローンを利用している場合でも投資型減税を適用できますが、住宅ローン控除との併用はできません。

投資型減税制度の控除額は?

投資型減税は、認定住宅を新築した場合に、性能強化費用として支出した額の10%を所得税から控除できる制度です。環境に配慮した一定の基準を満たす住宅を取得した人に対する優遇措置となっています。

控除額は最大65万円で、次の計算式で求めます。

控除額性能強化費用×10%

性能強化費用=住宅の床面積×45,300円/㎡(上限650万円)

算定例

面積 性能強化費用 性能強化費用
総額
控除額
143㎡ 45,300円/㎡ 6,477,900円 647,700円
144㎡ 45,300円/㎡ 6,523,200円 650,000円
145㎡ 45,300円/㎡ 6,568,500円 650,000円

※控除額は、100円未満切り捨て

上記の式に当てはめると、たとえば、床面積145㎡の場合、性能強化費用は650万円を超えるため、最大控除額の65万円を適用できます。同様の計算をすると、床面積143㎡では約64.7万円の控除額となることがわかります。

控除額だけで床面積を決められません。希望する床面積をもとに控除額を算出しておくといいでしょう。

投資型減税の適用条件は?

投資型減税の適用条件は以下のようになります。

それぞれ解説します。

新築または建築後使用されたことのない住宅であること

自分で取得した土地の上に、住宅メーカーや工務店に依頼して建築してもらった建物が新築物件です。また、住宅メーカーなどが建築した住宅を購入した場合は「建築後使用されたことのない住宅」に該当します。誰かが使用した中古物件には適用できません。

認定長期優良住宅

認定長期優良住宅とは、簡単にいえば長く快適に暮らせると国が認めた家のことです。具体的には、バリアフリー性、耐震性、省エネルギー性などの性能を満たした住宅が該当します。このほかにも維持管理・更新の容易性や居住環境についても基準をクリアする必要があります。

認定低炭素住宅

認定低炭素住宅における、低炭素住宅とは、二酸化炭素の排出が抑制されている住宅を指します。具体的には、次の1~3の必修項目と4の選択項目があり、4についてはいずれかの措置を講じる必要があります。

  1. 省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量がマイナス20%以上となること。
  2. 再生可能エネルギー利用設備が設けられていること。
  3. 省エネ効果による削減量と再生可能エネルギー利用設備で得られるエネルギー量の合計値が基準一次エネルギー消費量の50%以上であること(一戸建ての住宅の場合のみ)。
  4. その他の低炭素化に資する措置が講じられていること。
    1. 節水に資する機器(便器・水栓など)の設置
    2. 雨水、井戸水又は雑排水の利用のための設備の設置
    3. HEMS又はBEMSの設置
    4. 再生可能エネルギーと連系した蓄電池の設置
    5. 一定のヒートアイランド対策(屋上・壁面緑化等)の実施
    6. 住宅の劣化の軽減に資する措置
    7. 木造住宅又は木造建築物である
    8. 高炉セメント又はフライアッシュセメントの使用
    9. V2H充放電設備の設置

認定低炭素住宅の基準は、2022年10月に改正され、再生可能エネルギーの導入に関する要件が新設されるとともに、上記4に⑨が追加され、適合項目が2項目以上から1項目以上に変更されました。

新設された⑨について、住宅に電気自動車を充電できる設備を設置することで、要件を満たすことができます。

ZEH水準省エネ住宅

ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅とは、外壁や屋根、床、窓、ドアなど外皮を断熱性の高い素材を使用する住宅のことで、エネルギーの使用量を抑えられます。具体的には、次の基準を満たす必要があります。

  1. 「強化外皮基準」(住宅性能表示制度の断熱等性能等級5の基準)
  2. 「一次エネルギー消費量が省エネ基準から20%以上削減」(住宅性能表示制度の一次エネルギー消費量等級6の基準)

ZEH水準省エネ住宅は令和4年の改正により追加された住宅で、認定長期優良住宅と認定低炭素住宅の基準が引き上げられたことにより、設けられた基準(ZEH水準)です。 

床面積

床面積が50㎡以上かつ居住部分が1/2以上であることが必要です。床面積50㎡以上とは、賃貸マンションでは2LDK程度が目安となり、店舗併用住宅では店舗や事務所部分の割合が2分の1超だと適用できません。

年間所得

合計所得金額が2,000万円以下であることが要件です。なお、後述しますが、居住年に控除しきれなかった残額は翌年の所得税の額から控除できます。この場合、居住年と翌年の両方の合計所得金額が2,000万円以下でなければなりません。

自身が居住する

投資型減税を適用するためには、所有者自身が居住する必要があります。セカンドハウスや賃貸住宅には適用できませんので、注意が必要です。また、住宅の引渡しまたは工事完了から6カ月以内に居住しなければなりません。なお、自身が居住しているかどうかは住民票により確認します。

リフォーム時の投資型減税

投資型減税の申請時に注意するポイント

この投資型減税制度にはいくつかの注意点があります。ここでは、「制度を適用する際の面積の基準」と「併用できない特例」について解説します。

登記簿面積基準

投資型減税の適用を受けるための基準となる面積は、登記簿(登記事項証明書)に記載されています。面積には壁の内側で計測する「内法面積」と壁の内部で計る「壁芯面積」があります。

住宅がマンションの場合で、面積要件を満たしているかどうかを確認する際には注意が必要です。住宅のカタログやパンフレットには「壁芯面積」で記載されていますが、登記簿上の面積は「内法面積」です。「内法面積」よりも「壁芯面積」のほうが広いため、「壁芯面積」を基準にしないよう注意しましょう。

併用できない特例

適用条件には記されていませんが、ほかの特例を利用していると、投資型減税の適用を受けられないことがあります。次の特例に注意してください。

  • 居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円控除)
  • 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)

この2つの特例について、入居年と前後2年間の合計5年間(2020年4月1日以後の譲渡の場合は、前2年・後3年の6年間)に適用を受けていないことが条件となります。

なお、特例居住用の買い換え特例や譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例については、併用可能です。

控除は一度きりでも翌年の繰り越しは可能

投資型減税の控除は一度かぎりですが、控除しきれない場合、残った部分は翌年に繰り越して減税できます。

たとえば、控除額65万円、所得税額30万円の場合、35万円(65万円-30万円)の控除額が引ききれていません。この残った35万円は翌年以降の所得税額から控除できます。

投資型減税の申請方法

投資型減税の適用を受ける場合には、確定申告が必要です。申告する際には、確定申告書のほかに、住宅の種類に応じた書類を提出する必要があります。

認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅
 【共通】①確定申告書
【共通】②計算明細書
【共通】③登記事項証明書
【共通】④請負契約書又は売買契約書の写し
⑤長期優良住宅認定通知書の写し ⑤低炭素住宅認定通知書の写し ⑤低炭素住宅認定通知書の写し
⑥住宅用家屋証明書の写し又は認定低炭素住宅建築証明書 ⑥住宅用家屋証明書の写し又は認定低炭素住宅建築証明書  

上記のうち、①~④は共通の書類で、⑤以降は、住宅の種類に合わせて準備する必要があります。必要書類については、依頼する建築会社や工務店などに質問すれば教えてもらえますので、不明な点は早めに解消しましょう。

投資型減税の申請方法

まとめ

投資型減税は、住宅ローンを利用しない人を対象とした、特例制度です。還付される所得税を活用して、インテリアや家具などを購入すれば、より理想的な空間になるでしょう。

この制度を利用するためには、一定の要件を満たし、必要書類を添えて確定申告をしなければなりません。優良住宅の取得を検討している人は、この記事を参考に投資型減税について理解を深めておきましょう。

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