今回は外壁の素材「サイディング」についてです。
素材は壁紙1つとってもその種類は多く、1つ1つの特徴を把握するのは大変ですよね。
しかし、ずっと住み続ける大切な家作り。
特に外壁は外から見え、雨風が直接当たり劣化しやすい箇所のためメリット・デメリットはしっかり知っておきたいところ。
そこで今回は、サイディングって何?どんな種類があるの?メンテナンスやその費用など、サイディングの魅力についてお伝えしていきます!
サイディングとは
サイディングとは、外壁に貼る壁材パネルのことを指し、近年では国内のほとんどの住宅(約8割以上)で使われています。
1980年代までは職人が手作業で重厚感と高級感のある見た目に仕上げるモルタル(塗り壁)が主流でした。
モルタルは好みのデザインに仕上げられるメリットがある反面、ひび割れがしやすくモルタル自体の防水性は低いためメンテナンスが必要です。さらに、工期に時間がかかり費用がかさんでしまうため、バリエーションの豊富さや金銭面などからサイディングへと流行が移行していきました。
サイディングの役割
サイディングは主に以下の3つの役割を持っています。
- 建物の保護
サイディングは、外壁の表面に取り付けることで建物を雨風や紫外線などの外的要因から守ります。防水性や耐久性が高いため、建物の劣化を防ぎ、長寿命化を図ることができます。 - 断熱・遮音効果
サイディングは、断熱性能を高める役割もあります。外部からの冷気や熱気を防ぐことで、室内の温度を快適に保つことができ、エネルギー効率も向上します。また、遮音効果もあるため、外部の騒音を軽減し、静かな住環境を提供します。 - デザイン性の向上
サイディングは、建物の見た目を美しく整えるためにも使われます。多様な素材や色、デザインがあり、建物のスタイルに合わせて選ぶことができます。これにより、家の外観の個性や魅力を高めることが可能です。
このようにサイディングは建物を保護しつつ、美観と機能性を両立させる重要な役割を担っています。
サイディングの種類とそれぞれの費用
デザイン性が高く戸建て住宅で圧倒的なシェア率を誇るサイディング。国内の新築戸建ての約8割以上がサイディングを利用しています。
その材質や機能性だけでも多くの種類があり、大きく分けると4種類に分類されます。種類によって価格が変わってくるため、サイディングをお考えの場合は求める外壁と価格が適正かどうか、よくよく検討しながらデザインを決めていくと良いでしょう。
以下にて、4種類のサイディングとその価格の目安について紹介させて頂きます。
窯業(ようぎょう)系
主にセメント質と繊維質を原料としたサイディングです。
防水性が低いため塗装は必須ですが、デザインやカラーの種類が豊富で、メンテナンスが楽というメリット
があります。2020年の時点で新設戸建住宅市場の外壁材シェアにおいて80%を占める最も多く使われている材質です。※
圧倒的なシェア数により様々な商品が大量生産されているため、価格帯は4,000〜10,000円/㎡と幅広く、希望する機能やデザインに合わせて選択ことができます。
※参照資料:日本窯業外装材協会 1.窯業系サイディング
金属系
金属系というと少し前までは「トタン」が一般的な素材でした。
しかし近年ではトタンよりも「ガルバリウム鋼板」という素材を使う事が多く、窯業系に次いで人気の素材です。ガルバリウム鋼板の他に、ステンレス銅板サイディング、アルミサイディングがあります。
厚さ0.3㎜~程度の金属板に断熱材が付いた構造になっています。丈夫で耐久性に優れ、断熱性にも優れています。素材が軽量なため、地震の揺れの影響を受けにくく耐震性が高いと言えます。また、塗装が必要ないため施工後のコストを抑えられるメリットがあります。
気になる価格帯は6,000〜15,000円/㎡程度となります。
樹脂系
ビニールシートやプラスチック製のパイプなどに使われる塩化ビニル樹脂が主な原料のサイディングです。
非常に軽量で撥水性に優れているため、寒い地方を中心に普及が進みました。(サイディング材が水を含むと凍結の膨張で割れてしまうことがある)また、塩害にも強いため海沿いの地域にもおすすめです。
シーリングを使わず施工できるため、劣化しにくいのがメリットです。
お値段は7,000~10,000円/㎡となります。高機能で海外で人気ですが樹脂系サイディングを取り扱う業者がまだまだ少なく、施工のハードルは高めな壁材です。
木質系
木材サイディングは木のぬくもりを感じる温かいデザインにすることができますが、性質上経年劣化によるダメージが大きくこまめなメンテナンスが必要となります。
少しでもメンテナンス期間を長くするため屋根が付いているところに一部分だけ使用するなどしてみてはいかがでしょうか。
お値段はどんなに安くても6,000円/㎡程度となり、他のサイディング材よりもお高め。素材にこだわれば、さらに高価になります。コスパよりもデザイン重視、メンテナンスの手間・費用を惜しまない方向けの外壁材となります。
柄や色が豊富なサイディング
外壁サイディングにはさまざまな種類やデザインが存在することが、これまでのご案内でご理解いただけたかと思います。外壁は一度施工すると、簡単に変更することが難しいため、どのようなデザインがあるのか、そして自分がどのようなデザインに魅力を感じるのかを知っておくことが大切です。それが、理想の外壁に近づくための第一歩となります。
ここでは、ナカジツの施工事例も交えつつ、外壁デザインの種類について詳しくご紹介いたします。
塗り壁調
落ち着いた雰囲気がお好きな方にオススメです。
「モルタルにしたいけど、予算的に難しい」という場合はこちらのサイディングと比較検討してみてください。
塗り壁のイメージ
レンガ調
洋風な外装がお好きな方にオススメです。
植木やガーデニングなどが似合うデザインです。
タイル調
カラーの種類が多く、ナチュラルな外装がお好きな方にオススメです。
木目調
温かみのある外装にすることができます。
アクセントとしても人気の柄です。
石積調
高級感のある雰囲気にすることができます。
こちらもアクセントとしての使用が人気です。
サイディングの補修
永久に使える建材はほぼ無いと言っても過言ではありません。特に外装は、風雨や太陽光、外気温などの厳しい環境に日々さらされながら、住宅を守り続ける役割があります。
サイディングを使った外壁も外部環境の影響を受けて経年劣化しやすく、必ず寿命が存在します。少しでも耐用年数を長く保ち、貼り替えまでの期間を延ばすためには、外壁塗装やシーリングなどの定期的なメンテナンスを行う必要があります。
素材によって異なる耐用年数と経年劣化の影響をしっかりと確認し、将来的に迎える大規模な修繕に備えましょう。
耐用年数
材質や種類にもよりますが、下記の年数が目安となっています。
窯業系サイディング | 20~30年 |
金属系サイディング | 20~30年 |
樹脂製サイディング | 20~30年 |
木質系サイディング | 15~25年 |
サイディング自体の耐用年数は比較的長めですが、シーリング部分や防水性を保つための外壁塗装は10年に1度(木質系は7年に1度)を目安にメンテナンスを行う必要があるでしょう。
雨風や太陽光の影響やメンテナンスの頻度で耐用年数は大きく左右されますので、定期的な点検が耐用年数をキープするポイントとなります。
補修の目安となる劣化の具体例
続いて、具体的にどのように劣化が起きるかを見ていきましょう。
シーリングが劣化してはがれる
サイディングは、サイディングボードと呼ばれる板状の壁材を、建物の外側に樹脂でボード同士のつなぎ目を埋めながら設置していきます(シーリング/コーキング)。サイディング外壁を取り入れるならば、この作業は欠かすことはできません。
しかしこのシーリング部分は経年劣化で縮んで固まったり、地震の振動を受けたりすることでダメージを受けやすい部分です。
コーキング材はホームセンターでも販売されていて手に入りやすく、細かい部分は自分で修繕することも可能です。
シーリング部分が劣化を起こすのは、早くて5年と言われています。
しっかりと修繕したい場合は、外壁塗装専門業者へ依頼することも視野に入れておくとよいでしょう。
チョーキング(壁をこすると粉がつく現象)
チョーキングは別名『白亜化現象』とも言われており、外壁塗装の塗料に含まれる合成樹脂が太陽光や雨風によって分解されて粉状になり、壁の表面に出現する現象のことです。
塗膜表面が劣化すると防水性が低下し、いつ雨漏りが起こってもおかしくない状況です。
外壁を触ったとき手に白い粉が付くかどうか、水に濡れたとき水が染みて色が変化しないかどうかなどを判断し、早めに対策を取りましょう。
見た目が白っぽく変色してくるのも塗装の劣化の初期症状です。
サイディングボードが反る
サイディングボードが反ってしまう原因は、シーリングの劣化による雨水の侵入や、温度変化による釘の抜けなどが考えられます。
サイディングボードの断面は塗装されておらず、シーリングが傷むことで非塗装面が露出し、雨水を吸収した後に乾燥するといった流れを繰り返すことで次第に変形してしまいます。
また、サイディングボードは熱の影響を受けやすく、熱収縮を繰り返すことで変形したり、固定する釘が浮いてしまったりといった現象が起こる場合があります。
釘自体が浮いているだけであれば自身で修繕することも可能ですが、サイディングボード自体の反りが大きい場合や傷みが酷い場合は、部分的にサイディングボードの張替えが必要です。(現在の工法ではパネルの裏の金具で固定することが多くなっています)
サイディングボードにヒビや剥がれが出る
サイディングボードのヒビに関しても反りの時と同じく、雨水の侵入による収縮と膨張を繰り返すことで発生します。
ヒビ割れをそのまま放置しておくと、雨水が内側の木の部分まで染み込んで腐食し、外壁だけでなく建物自体に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。
そして経年劣化による外壁のヒビ割れに対応している保証はほとんどありません。
定期的に外壁の状態を確認し、大きな問題になる前にメンテナンスを行うことが重要となってきます。
凹み・欠け・剥がれ、強風や飛来物、台風などの外的衝撃によって、サイディングが凹んだり、欠けたり、部分的に剥がれるといった状態も同様で、早急に修繕や交換が必要です。
サビが発生している
金属系サイディングの塗膜の剥がれ、薄くなった箇所から発生します。
サビの要因には塩害や異なる金属が接触して発生する金属接触腐食というものもあります。
補修費用
劣化程度にもよりますが、簡単なシーリングの打ち直しや小さなひび割れであれば、ご自身でコーキング材やプライマーなどを購入し修理することができます。
ただし、高い場所の修理や範囲が広い場合は専門業者に依頼してください。
軽度の劣化であればサイディングボードの上に塗料を塗り替えるメンテナンスが通常ですが、塗り替え工事でもメンテナンスしきれないほど劣化が進んだ場合は、重ね張り工事か張り替え工事が必要となります。
補修工事の方法
ご紹介するのはあくまで目安ですので、住宅の形が複雑であったり、使用する塗料や建材によって金額は異なります。
塗り替え(約80万~150万)
上記に記載した通り、サイディングボードの上に新しい塗料を塗る方法です。
周期としては、10年に1度を目安に行うといいでしょう。
重ね貼り(約150~200万)
新しいサイディングを上から重ね貼りする方法です。
重ね貼りすることで断熱性能が上がりますが、重みが増して耐震性が少し落ちるというデメリットがあります。
張り替え(約200~300万)
古いサイディングを撤去し、新しサイディングボードを貼り変える方法です。
そのため耐震性を落とす事なく新しいボードにすることができますが、撤去工事が別途発生するため、一番高額なメンテナンス方法です。
メンテナンススケジュール例(参考資料/日本窯業外装材協会)
業者の選び方
有資格者(塗装技能士)がいるかどうか、ホームページにて代表者がきちんと紹介されているかどうか確認し、信頼できる業者か事前にチェックしておきましょう。
詳しくは、「外壁塗装を塗り替えるタイミングはいつ?業者選びのポイントは?」にて掲載しております。
近年のサイディングの進化
今や、モノタロウやYahooショッピングなど、インターネット上でも買うことができるほど消費者にとって身近な存在となったサイディングボード。
豊富なデザインだけでなく、新工法を採用したシーリングレスタイプや紫外線に強い外壁塗料、機能的な面でもさらに使いやすく便利に進化を続けています。以下で、サイディングボードの魅力を一緒に確認していきましょう。
デザインが豊富
「木目調・レンガ調といっても本物には劣るのでは・・。」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年のサイディングは塗装技術が進歩し、リアルで自然な質感が再現されています。
また、コーキング材(継ぎ目)が不要なサイディングも発売され、さらにデザインの幅が広がっています。
耐久性UP
近年の住宅は性能が上がり、品質の目安である長期優良認定住宅は3世代、75~90年の使用を考慮され作られています。サイディングにおいても長寿命化が進んでおり、近年のサイディングは塗膜の性能が上がったことで一昔前の外壁と比べ各段に耐久性が上がっています。
特に窯業系や金属系サイディングは定期的にメンテナンスをしていれば何十年でも使い続けることが出来ます。また、耐久性が上がったことでメンテナンスの間隔も長くなりつつあるためランニングコストを抑えることができます。
断熱性UP
サイディングの断熱性能が向上し、省エネルギー効果が高い製品が増えています。断熱材と一体化したサイディングや、複層構造のサイディングなどが登場し、外壁自体で室内の温度を効率的に保ち、冷暖房費の削減にも貢献しています。特に、寒冷地や暑い地域では、こうした断熱性能の高いサイディングが注目されています。
セルフクリーニングができる
自動洗浄機能がついた家電が主流になってきましたが、実はサイディングもそうなのです!
雨水を利用して外壁の汚れが落ちる機能が付いたものが今では一般的です。
この機能によってよりメンテナンスの周期を伸ばしランニングコストを抑えることが可能になります。
まとめ
- 外壁は外観のイメージを決めるだけでなく、住宅を日差しや風雨から守る大切な存在
- 窯業サイディングはデザイン性が豊富で大きなシェアを占めている
- 外壁の効果を持続するには継続的なメンテナンスが必要(塗り替え:約80~150万円)
- メンテナンス期間を延ばしたり、断熱効果のある高機能サイディングが登場している
外観の印象を大きく決定するサイディングは、見た目だけでなく住宅を風雨や日差しから守る役割がありランニングコストにも大きく影響します。マイホームに合った外壁を選び、メンテナンスを施すことで長く美しさを保ちながら住宅を守り続けましょう。
不動産SHOPナカジツでは「自己ベストな家が創つ。」をコンセプトに、新築住宅を建築しております。
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