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更新日:2025.10.20

マンションの大規模修繕とは?時期や費用、よくあるトラブルを解説

マンションの大規模修繕のアイキャッチ

この記事のポイント

  • 大規模修繕は築12〜15年ごとが目安で、計画的に行うことで安全性や資産価値を維持できる
  • 費用は修繕積立金から賄うのが基本だが、不足すれば一時金徴収が発生する場合もある
  • 工事中は生活への影響が大きいため、住民間の合意形成や事前の情報共有が重要

「マンションの大規模修繕っていつ、どんなことをするの?」
「費用はどれくらいかかるのか心配……」

大規模修繕は、マンションに長く安全・快適に住み続けるために欠かせない工事です。

この記事では、マンションの大規模修繕について、時期や費用、工事内容、進め方をわかりやすく解説します。さらに、住民からよく聞かれる「工事中の生活の不便さ」や「費用不足による一時金」などのリアルな悩みやトラブル事例にも触れています。

初めて大規模修繕を経験する方でも全体像をつかみやすいよう整理していますので、これからの修繕計画や管理組合での話し合いにぜひ役立ててください。

記事の構成

マンションの大規模修繕とは

マンションの大規模修繕とは、築年数の経過に伴い老朽化した建物や設備を、安全かつ快適に使い続けられるようにするための計画的な修繕工事を指します。

マンションの管理組合が主体となって計画を立て、修繕積立金を充てて実施するのが通常の流れです。

大規模修繕の主な目的

大規模修繕を行う主な目的は、次の3つに集約されます。

  • 劣化の防止・安全性の確保
  • 快適な住環境の維持
  • 資産価値の保全・向上

外壁や屋上防水などの劣化を放置すると、雨漏りやタイル落下といった事故につながる可能性があります。大規模修繕では、こうしたリスクを未然に防ぎます。また、共用廊下の防水や給排水設備の更新などを行うことで、居住者が安心して暮らせる環境を整えます。

違う角度からみると、マンションという資産の価値向上も目的の1つです。外観の美観を保つことはもちろんですが、適切な修繕を行ってきたマンションは市場評価が高くなりやすく、将来的な売却や賃貸にも有利に働くことが多いといえます。

大規模修繕で行われる修繕内容

大規模修繕の具体的な工事内容はマンションごとに異なりますが、典型的な例としては以下のようなものがあります。

  • 外壁補修・塗装
  • 屋上やバルコニーの防水工事
  • 給水・排水管の更新や更生工事
  • エントランス・共用廊下の床仕上げ更新
  • 鉄部塗装(手すり・階段・玄関扉枠など)
  • インターホンやオートロックなど設備の更新
  • エレベーターの改修や更新

これらは建物の安全性・快適性・美観を維持するために欠かせない工事です。複数の工種を同時に実施することで効率的かつ経済的に建物全体の機能を維持できます。

マンションの大規模修繕は何年ごとに行われるか

マンションの大規模修繕は、外壁や屋上防水、給排水管など建物全体の劣化に対応するために計画的に行われる工事です。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」でも、定期的な見直しの必要性が強調されています。

ここでは、マンションの大規模修繕の周期について整理しましょう。

目安は12~15年ごと

一般的に、分譲マンションの長期修繕計画では、12〜15年を1つの周期として大規模修繕が設定されます。

最も代表的なのは外壁塗装やシーリング打ち替え、屋上防水などで、これらはおおよそ10数年で劣化が顕在化するためです。ガイドラインでも「30年以上の期間で、大規模修繕工事を2回含むこと」を前提に計画を立てることが推奨されています

築年数・建物規模・劣化状況で周期は前後する

12〜15年というのはあくまで標準的な目安です。

築年数が浅い場合は初回修繕を多少延ばすことも可能ですが、30年以上経過したマンションでは劣化が進むため、短い周期で修繕を重ねる必要が生じます。

また、建物の規模や仕様、立地や環境条件も影響します。

大規模なマンションや特殊な工法が使われている場合は、部分的に早期修繕が必要になるケースもあります。海沿いの塩害や都市部の排気ガスなど、環境によって外壁や金属部材の劣化速度が早まることもあります。

修繕計画が見直されるタイミングについて

長期修繕計画は一度立てたら終わりではなく、5年程度ごとに見直すことが推奨されています。建物の実際の劣化状況や工事費の変動を反映するためです。

ポイントは、以下のとおりです。

  • 調査・診断を行い、その結果をもとに周期を調整
  • 社会経済状況(物価上昇や施工単価の変化)を反映
  • 修繕積立金の残高や収支計画とのバランスを考慮

こうした見直しにより、現実的で無理のない修繕計画を維持できるようになります。

参照:長期修繕計画標準様式|国土交通省

マンションの大規模修繕の費用負担

マンションの大規模修繕は、数千万円〜数億円規模になることも珍しくありません。

ここでは、その費用がどのように分担されるのか、また不足時の対応や公的支援について解説します。

通常は修繕積立金が充てられる

大規模修繕の費用は、基本的に区分所有者全員が毎月積み立てている修繕積立金から賄われます。

共用部分(外壁、屋上、防水、配管、エレベーターなど)は、管理組合が一括で修繕積立金を充てて工事を実施します。

専有部分(室内の壁紙や水回りなど)は、各住戸の所有者が自己負担で修繕するのが原則です。

一戸あたりの修繕費用負担感は、規模や工事内容によりますが、目安として1戸あたり100万〜200万円程度とされています。

修繕積立金が不足する場合の一時金徴収について

計画通りに積み立てが行われていても、資材価格の高騰や想定以上の劣化により、資金が不足するケースがあります。その場合、以下のような対応が検討されます。

修繕積立金が不足する場合の対応例
一時金の徴収 各戸から追加で数十万円〜100万円程度を徴収することがある
修繕内容の見直し 優先順位を付け、必要最小限の工事に絞ることがある
修繕時期の延期 資金が貯まるまで数年単位で後ろ倒しにするケースがある

住民の合意形成が難しくトラブルの原因にもなりやすいため、長期修繕計画と積立金の水準は定期的に見直されることが重要です。

補助金や減税の対象になることも

マンションの大規模修繕においては、国や自治体の補助金・支援制度を活用できる可能性もあります。

直近では、以下のような事業があるので、例示します。

マンションの大規模修繕における国や自治体の補助金・支援制度の事例
補助金・支援制度名 概要
長期優良住宅化リフォーム推進事業 耐震補強や断熱改修など、性能向上リフォームに対して工事費の3分の1が補助。性能基準によっては1戸あたり最大160万円に加算されるケースもあります。たとえば、屋上防水改修やエントランスのバリアフリー化などが対象。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業 窓や玄関ドアの断熱改修、共用部のLED照明交換などが対象で、対象経費の3分の1以内、1戸あたり最大20万円程度が補助。マンション全体で決議を経て申請するのが前提。
次世代省エネ建材の実証支援事業 高性能断熱材や窓改修などを行う場合、工事費の2分の1以内、1戸あたり125~150万円を上限に補助

これらの制度は年度ごとに予算枠が設けられており、早期に受付が終了する場合も少なくありません。大規模修繕を検討する際には、計画の初期段階から補助金の要件やスケジュールを確認しておくことが重要です。

さらに、税制面でも住宅ローン減税や耐震改修に関する固定資産税の減額などが適用されるケースがあります。補助金と減税を併用することで、住戸ごとの負担を数十万円単位で軽減できる可能性があります。

大規模修繕の進め方

マンションの大規模修繕は、長期修繕計画に基づいて段階的に進められます。ここでは、進行例として、1つの流れを紹介します。

それぞれ見ていきましょう。

1)修繕計画の立案

長期修繕計画に沿って、修繕の必要性や範囲を検討します。建物診断の結果を踏まえ、どの部分をどの程度改修するのかを具体的に計画に落とし込んでいきます。

2)資金計画の確認

修繕積立金で賄えるか、一時金徴収や金融機関からの借入れが必要かを確認します。あわせて補助金・減税制度の利用可能性も検討します。

3)管理組合での合意形成

修繕内容・費用・資金調達方法について、理事会や総会で議論し、組合員の同意を得ます。大規模修繕は区分所有者全員に影響するため、正当で、透明性のある情報共有をしなければなりません。

4)設計監理者の選定

専門知識を持つ建築士やコンサルタントを選び、修繕工事の仕様書や見積もり条件を作成してもらいます。第三者の関与により、工事品質や費用妥当性を確保しやすくなります。

5)施工業者の選定

公募や指名競争入札を通じて複数の業者から見積もりを取り、費用や実績、アフターサービスなどを比較検討します。ここでの選定が修繕の成否を大きく左右します。

業者選定のポイントについては、後ほど詳しく解説します。

6)契約・工事準備

工事内容や費用、工期、保証内容を契約書に明記し、管理組合と施工業者の間で合意します。その後、近隣住民への説明や足場設置などの工事準備を進めます。

7)工事の実施・監理

実際に工事を進めつつ、設計監理者が施工状況をチェックします。進捗や不具合があれば随時報告し、必要に応じて修正します。

8)竣工検査・引き渡し

完了後に検査を行い、工事の出来栄えを確認します。

マンションの大規模修繕中の過ごし方

マンションの大規模修繕は、建物を長く安心して利用するために欠かせないものですが、居住者にとってはどうしても生活に影響が出てしまいます。

ここでは、修繕中によくある困りごとと、そのときに意識したいポイントを整理してみましょう。

騒音・振動への対策

外壁工事や足場設置、防水工事などでは、昼間を中心にドリル音やハンマー音が響きます。そのため、在宅勤務の人や昼間家にいることが多い家庭では、作業に集中できなかったり生活リズムが乱れることもあります。

工事の予定はあらかじめ掲示板やお知らせで共有されるので、その時間帯は外出したり、カフェや図書館を利用したりと、生活スタイルを工夫すると過ごしやすくなります。

共用部分の利用制限への対応

修繕工事が始まると、ベランダやエレベーターなどの共用部分が一時的に使えなくなることがあります。

ベランダでは、物干し竿や植木鉢を撤去しなければならないケースが多く、洗濯物は室内干しに切り替える必要があります。また、エレベーターが点検や工事で一時的に使えない日もあるため、重い荷物の搬入や引っ越し予定がある場合は事前に調整しておいたほうが安心です。

プライバシーや防犯面への注意

外壁に足場が設置されると、作業員が各階の窓やベランダ付近を行き来することになります。そのため、室内が見えやすくなり、思わぬプライバシーの侵害につながることもあります。

修繕期間中はカーテンやブラインドを閉める、窓を開けっ放しにしないといった工夫が大切です。また、足場を利用した侵入のリスクもゼロではないため、戸締まりの徹底やセンサーライトの設置など、防犯意識を高めておくと安心できます。

大規模修繕中はどうしても不便さを感じるものですが、事前に工事の内容やスケジュールを把握しておけば、生活への影響を最小限に抑えることができます。

マンション大規模修繕で影響する設備・共用部分

大規模修繕工事では、居住者の生活に直結する「設備」や「共用部分」にも少なからず影響が出ます。普段は当たり前に使えているものが一時的に制限されるため、事前に理解しておくことが大切です。

ここでは、代表的な設備と共用部分について解説します。

エアコンやインターホンなどの設備に関して

エアコン

外壁やベランダの修繕工事に伴い、エアコンの室外機や配管に影響が及ぶケースがあります。

例えば、ベランダの防水工事中は一時的に室外機を移動する必要が生じ、その間はエアコンが使えなくなることもあります。特に夏場や冬場の工事では、代替手段(ポータブルクーラー・電気ストーブなど)の用意が求められることもあります。

インターホン・オートロック

インターホンやオートロック設備も工事対象になる場合があります。

老朽化した機器を最新のものに交換するケースが多く、工事中は一時的に呼び出しができない、セキュリティ機能が限定されるといった影響があります。

ベランダやエレベーターなど共用部分に関して

ベランダ

ベランダは大規模修繕で最も影響を受けやすい場所の一つです。

外壁塗装や防水工事のためにベランダが数週間使用禁止となり、物干しやガーデニング用品、収納ボックスなどは撤去を求められます。そのため、事前に室内干しの準備や荷物の移動計画を立てておくとスムーズです。

エレベーター

エレベーターも点検や補修工事が入るため、一時的に使用できないことがあります。

特に高層階に住んでいる人や、買い物・引っ越しを控えている人にとっては大きな負担となります。

マンションの大規模修繕の業者選定に関すること

大規模修繕を成功させるには、工事を実際に請け負う業者の選定が重要です。

業者選びのポイントは、主に3つです。

  • 複数業者からの相見積もりを取る
  • 実績・信頼性を確認する
  • 居住者への情報公開と合意形成を怠らない

それぞれ詳しく説明します。

複数業者からの相見積もりを取る

修繕工事の内容や規模によって金額が大きく変わるため、複数の業者から見積もりを取りましょう。最低でも2〜3社、多い場合は5社程度に依頼することで、相場感を把握できます。

また、単純な金額比較だけでなく、見積書に記載されている工事項目の網羅性や具体性を確認することが大切です。

実績・信頼性を確認する

大規模修繕は数カ月単位の長期工事となるため、業者の経験や実績が重要です。過去に手掛けた工事実績や評判、施工中の安全管理体制などを確認しましょう。

また、管理会社が業者を推薦する場合は、その業者と管理会社の利害関係にも注意が必要です。透明性を確保するために、理事会や修繕委員会でしっかり情報を共有することが欠かせません。

居住者への情報公開と合意形成を怠らない

業者選定は理事会や修繕委員会だけで決めるのではなく、居住者全体に情報を開示し、説明会などを通じて意見を集めるプロセスが大切です。

特に数千万円規模の工事になる場合は、工事の必要性や業者選定の理由をしっかり説明し、総会での承認を得ることでトラブルを防ぐことにつながります。

【事例】マンションの大規模修繕に関するトラブル・クレーム

大規模修繕はマンションの資産価値を守るために欠かせないものですが、現場では大小さまざまなトラブルが起こりがちです。

ここでは、不動産業界で20年以上携わってきた筆者の見聞きしたトラブル事例を紹介し、さらにSNSで話題になったケースについても見ていきます。

共用部分の利用制限に伴う不満

ベランダが使えない時期に洗濯物を外干しできず、「生活の自由が制限された」との声が上がることがあります。

特に小さな子どものいる家庭や在宅時間が長い世帯では不満が大きくなりがちです。

追加工事費用をめぐるトラブル

工事中に想定外の劣化が見つかり、追加費用が発生するケースは珍しくありません。

修繕積立金が不足していると一時金徴収に発展し、住民の合意形成が難航する場合もあります。

SNSで話題になったトラブル例

X(旧Twitter)では、2020年頃にひろゆき氏(2ちゃんねる創設者)のポストが注目を集めました。その内容は以下のような流れです。

修繕積立金が計画通りに積み立てられていないと、大規模工事の延期 → 工事費高騰 → 管理費や積立金の値上げ → 滞納者の増加 → マンションの荒廃 という悪循環に陥る可能性が指摘されています。

このシナリオは極端に見えますが、現実に「積立金が不足して工事が先送りされ、結果的に余計な費用がかかった」事例は全国で散見されます。特に築30年を超える古いマンションでは、管理体制や資金計画の甘さが原因で深刻な問題に発展するケースもあります。

また、Xでは以下のような騒音関連の発信はかなりの数が見受けられ、トラブルには発展せずとも、困っている人が多数いる状況が推察されます。

まとめ

マンションの大規模修繕は、建物の寿命を延ばし資産価値を維持するために欠かせない取り組みです。しかし、その一方で費用負担や生活への影響、管理組合での合意形成など、さまざまな課題やトラブルが発生しやすいのも事実です。

特に、工事の進め方をめぐって住民間の意見が割れる場合には、修繕が遅れたり余計なコストがかかったりするリスクがあります。こうしたトラブルを避けるには、長期修繕計画をきちんと運用すること、そして住民全員で情報を共有しながら合意形成を進めていくことが重要です。

また、工事中の生活ストレスを軽減するためには、事前の説明会や情報提供をしっかり行い、住民が安心して過ごせる環境づくりを意識する必要があります。

もし「自分のマンションは大丈夫だろうか」「修繕積立金は足りているのか」と不安を感じる場合は、早めに管理組合や専門業者に相談してみるとよいでしょう。適切なアドバイスを得ることで、将来的なリスクを軽減し、安心して暮らし続けられる住環境を守ることにつながります。

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