この記事のポイント
- 東京の不動産市場は取引件数が多く流動的で、価格変動も起こりやすい
- 23区内でも都心と周辺区、多摩地域などで需要や相場が大きく異なるため、エリア特性を踏まえる必要がある
- 不動産会社は大手と地域密着型で得意分野が異なるため、23区内外のエリア特性に合う会社を複数比較して選ぶことが重要
「東京での不動産売却は、ほかの地域と同じ進め方でいいのだろうか?」
「東京はエリアによって価格差があると聞くけれど、自分の物件はどのくらいで売れるのか不安だ」
不動産を売る際には全国的な共通ルールもありますが、東京都内には特有の事情があります。市場の流動性、再開発による価格変動、投資需要など、地域ならではの特徴を理解しておくことが大切です。
この記事では、東京で不動産を売却するときに押さえておきたいポイントから売却方法、エリア別の相場感、不動産会社の選び方まで丁寧に解説します。
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記事の構成
東京で不動産売却をする前に押さえておきたいポイント
東京都内で不動産を売却する場合、ほかの地域とは異なる前提や特徴を押さえておく必要があります。東京は市場の動きが早く、エリアごとの価格差も大きいため、正確な情報と柔軟な判断が求められます。
ここでは、東京という都市特有の売却事情と、それに対応する考え方について解説します。
取引件数が圧倒的に多く市場が流動的
東京は、日本の中でも不動産の取引がとびぬけて多いエリアです。
法務省の統計によると、2023年(令和5年)の建物売買による東京都の所有権移転登記件数は151,287件で、2位の大阪府(73,656件)、3位の神奈川県(65,606件)を大きく引き離しています。
これだけ取引が活発な地域では、価格の変動も起こりやすく、需要と供給のバランスが短期間で変わることもあります。
参照:2025不動産業統計集[3]不動産流通|公益財団法人不動産流通推進センター
エリアごとの価格差が極端
東京では、場所によって不動産価格が大きく異なります。23区と多摩地域の違いはもちろん、同じ区の中でも、駅からの距離や学区、周辺の再開発の有無などによって価格に差が出ます。徒歩数分の違いで数百万円の開きが出ることも珍しくありません。
また、人気の沿線や路線によっても相場が左右され、細かな条件が価格に反映されやすいのが特徴です。
再開発や都市計画の影響を受けやすい
東京は再開発や都市整備が頻繁に行われる地域です。商業施設の建設や駅前の整備などが進めば、周辺の利便性が高まり、不動産の評価にも影響します。
一方で、まだ計画が確定していない段階では、買い手が様子を見る傾向もあります。開発の内容や規模によって、エリア全体の地価に影響が及ぶこともあります。
投資用需要が常に存在する
東京の物件は、自宅としてのニーズに加えて、投資目的での需要も根強くあります。
とくに交通の便が良い場所では、築年数が古くても賃貸需要が見込めるため、国内外の投資家から注目されやすい傾向があります。ワンルームからファミリータイプまで取引されており、オーナーチェンジ物件としてそのまま流通するケースもあります。
東京都の不動産を売却する方法
不動産の売却にはいくつかの方法があります。どれを選ぶかによって、売却までのスピードや手元に残る金額が大きく変わるため、状況に合った手段を選ぶことが重要です。
ここでは、一般的な3つの売却方法について紹介します。
不動産会社の仲介による売却
もっとも一般的なのが、不動産会社に仲介を依頼して買主を探す方法です。売却価格を市場に合わせて設定し、広告や内見を通じて成約を目指します。
相場より高く売れる可能性がある一方、売れるまでに時間がかかることもあります。
東京のように需要の高いエリアでは買い手がつきやすい反面、周辺に類似物件が多い場合は価格競争に巻き込まれるケースも珍しくありません。
不動産会社に買い取ってもらう
売却を急ぎたい場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。売買仲介と違って買主を探す必要がなく、早ければ数日〜数週間で現金化できます。
一般的に市場価格よりは安くなりますが、引き渡し時期の調整がしやすく、周囲に知られず売却したいときにも選ばれています。
売却後もローンが残るなら任意売却
住宅ローンの残債がある状態で、物件の売却価格よりもローンが多く残ってしまう場合は、金融機関の合意を得て任意売却を行うことができます。
競売よりも条件が柔軟で、生活への影響を抑えやすい方法です。東京では物件価格が高いため、完済できないケースも少なくなく、選択肢の1つとして検討される場面があります。
【エリア別】東京の不動産売却事情
東京都内と一口にいっても、エリアごとに不動産市場の特性は大きく異なります。都心部では投資用のワンルームやタワーマンションが主流になる一方、郊外ではファミリー向けの一戸建てが多く取引されています。
以下の表は、エリア別に見た不動産市況の特性をまとめたものです。
| エリア | 特徴・傾向 | 主な物件種別 |
|---|---|---|
| 中央3区(千代田・中央・港) | 都心中枢。㎡単価が極めて高く、投資・セカンド需要も多い | タワーマンション、投資用ワンルーム |
| 城南エリア(世田谷・目黒・品川・大田) | 人気住宅地。戸建て志向が強く、ファミリー層に支持される | 一戸建て、低層マンション |
| 城西エリア(新宿・中野・杉並・渋谷) | 利便性が高く多様なニーズ。マンション成約件数も多い | ファミリーマンション、コンパクトタイプ |
| 城北エリア(豊島・北・板橋・文京・練馬) | 住宅街中心で相場は安定傾向。文教地区の需要が根強い | マンション、戸建て混在(文京はマンション中心) |
| 城東エリア(台東・墨田・江東・葛飾・江戸川・荒川・足立) | 供給が豊富で比較的手頃。郊外からの買い替え需要が流入 | ファミリーマンション、築古再生物件 |
| 多摩地域(立川・八王子・武蔵野・三鷹など) | 都心アクセス圏の住宅地。戸建て中心だが再開発地も一部あり | 戸建て、土地分譲、団地型マンション |
中央3区(千代田・中央・港)
千代田・中央・港の中央3区は、都心機能の中心であり、商業・ビジネスエリアと高級住宅地が混在するエリアです。平均価格・㎡単価ともに都内トップクラスで、タワーマンションや高層レジデンスの売却が活発です。
また、投資用ワンルームやセカンドハウス需要も高く、国内外からの購入希望者が集まりやすいという特徴があります。
一方で価格が高額なぶん、売却時の買い手選定や販売戦略には慎重さも求められます。
城南エリア(世田谷・目黒・品川・大田)
城南エリアは、住宅地としての人気が高く、特に世田谷や目黒では一戸建てを希望するファミリー層が多く見られます。再建築不可や接道の制限がある物件も多い地域ですが、それでも地盤の良さや落ち着いた住環境が評価され、築古物件でも引き合いがあるのが特徴です。
駅からの距離や学区によって価格差も大きいため、査定の際はピンポイントでの比較が重要です。
城西エリア(新宿・中野・杉並・渋谷)
交通利便性が高く、住宅・商業・オフィスがバランスよく混在するのが城西エリアです。
新宿や渋谷は商業的な色が強い一方、中野・杉並にはファミリー層向けのマンションや戸建てが多く、価格帯も比較的幅広い傾向があります。
築年数が古くてもリノベーション前提で購入されるケースも多く、成約までのスピードが早い物件も目立ちます。賃貸需要も根強く、投資家の注目も集まる地域です。
城北エリア(豊島・北・板橋・文京・練馬)
住宅地として安定した需要があり、特に文京区は教育環境に優れた「文教地区」として根強い人気があります。
練馬や板橋などは比較的地価が落ち着いており、郊外からの住み替えや初めての購入層から選ばれやすいエリアです。
全体的に大きな価格変動は少なく、23区の中では堅実な売却が見込みやすい地域といえるでしょう。
城東エリア(台東・墨田・江東・葛飾・江戸川・荒川・足立)
城東はエリアによって様相が大きく異なります。
たとえば江東区や墨田区では再開発による高層マンションの建設が進み、高価格帯での取引も見られます。一方で葛飾・江戸川・足立などでは、比較的手頃な価格帯で築古のマンションや戸建てが売買されており、買い替えニーズや実需が中心となります。
物件のタイプや築年数によって成約価格に差が出やすいエリアです。
多摩地域(立川・八王子・武蔵野・三鷹など)
23区外に広がる多摩地域では、都心へのアクセスの良さと住環境のバランスを求める層から安定した支持があります。
立川や武蔵野、三鷹などの人気エリアでは分譲マンションの成約が多く、駅前の再開発により資産価値が高まる地域も見られます。
一方で、八王子や昭島などでは土地付き戸建てが中心で、広さを求めるファミリー層に選ばれやすいのが特徴です。
【不動産の種類別】東京の不動産売却相場
不動産の売却相場は、物件の種類によって動き方が大きく異なります。
ここでは、不動産流通機構(レインズ)が公表する成約データをもとに、東京における一戸建て・マンション・土地それぞれの相場推移を整理しました。
一戸建て

直近4年間の戸建て成約価格は右肩上がりを示しています。特に2020年から2024年にかけては約23.6%上昇しており、長期的にみても価格水準は高止まりの傾向にあります。コロナ禍以降も需要の下支えが続き、都心部を中心に「高値安定」が定着していることが分かります。

面積の変動を調整した平米単価で見ても、直近の価格上昇が顕著です。
- 建物単価 2020年比で +約27%
- 土地単価 同 +約29%
つまり「家そのものの広さは少しずつ縮小傾向」でも、実質的な単価上昇が定着しているのが現状です。これは「予算感に対する買える広さの縮小」を意味し、購入検討者にとっては体感的な割高感が強まっています。
マンション

直近の数年間、マンションの成約価格は大きく伸びています。2020年から2024年にかけて約36%上昇しており、同期間の戸建て(約24%)を上回る上昇率です。
- 2020年 4,512万円
- 2024年 6,146万円
背景には低金利と都心部の需要集中があり、「マンションの高値圏」は一過性ではなく定着しつつあります。

平米単価はさらにインパクトが大きく、2020年から2024年で約+41%。
- 2020年 73.3万円 /㎡
- 2024年 103.5万円 /㎡
専有面積はほぼ横ばい(約60㎡)のため、単価の上昇=総額の上昇をそのまま表しています。
土地

土地の成約価格も上昇傾向が鮮明です。2020年から2024年にかけて約31%の伸びを示しており、マンション(+36%)にはやや及ばないものの、戸建て(+24%)を上回る上昇幅です。
- 2020年 4,665万円
- 2024年 6,112万円
取引件数はこの間ほぼ横ばい(+約3%)であり、需要の水準が大きく崩れていない中で価格が押し上げられていることが分かります。

平米単価は2020年から2024年で約30%の上昇しています。
- 2020年 33.8万円/㎡
- 2024年 44.1万円/㎡
土地面積(約138〜140㎡)はほぼ横ばいのため、価格上昇は単純に単価の上昇を意味します。
東京の不動産会社ランキング
以下は、公益財団法人不動産流通推進センターの不動産業統計集に基づいて、取扱高(百万円)順に並べた不動産会社のランキングTOP10です。あわせて、仲介件数と手数料収入の実績もまとめています。
| 順位 | 企業名 | 取扱高(百万円) | 仲介件数(件) | 手数料収入(百万円) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 三井不動産リアルティグループ | 1,918,415 | 39,106 | 91,047 |
| 2 | 東急リバブル | 1,821,310 | 29,577 | 82,644 |
| 3 | 住友不動産販売 | 1,396,127 | 34,906 | 72,549 |
| 4 | 野村不動産ソリューションズ | 1,060,313 | 9,985 | 45,257 |
| 5 | 三井住友トラスト不動産 | 566,112 | 8,128 | 24,981 |
| 6 | 三菱UFJ不動産販売 | 499,669 | 4,341 | 21,159 |
| 7 | みずほ不動産販売 | 451,618 | 3,815 | 18,834 |
| 8 | オープンハウス | 363,324 | 8,497 | 15,780 |
| 9 | 積水ハウス不動産グループ | 262,605 | 7,075 | 12,339 |
| 10 | 東宝ハウスグループ | 251,720 | 6,268 | 11,846 |
参照:2024不動産業統計集[3]不動産流通|公益財団法人不動産流通推進センター
このように、大手企業は豊富な実績とネットワークを活かして幅広いニーズに対応していますが、一方で地域密着型の中堅不動産会社にも注目する価値があります。
たとえば、特定エリアの相場や売れ筋に精通している担当者が在籍している場合、大手よりもスピーディかつ納得のいく条件で売却できるケースも少なくありません。
ランキングはあくまで1つの目安として、売却するエリアや物件の特性に合わせて複数社を比較・検討してみるのがおすすめです。
東京での不動産会社の選び方
不動産の売却を成功させるうえで、どの会社と組むかは大きなカギになります。
これは全国共通のことですが、人口が集中し取引が活発な東京では、選び方の視点も少し変わってきます。
ここでは、東京都内で不動産会社を選ぶ際に押さえておきたい要素を紹介します。
地域に強い会社を選ぶ
東京は区や市によって取引価格や買い手のニーズが大きく異なります。たとえば、城南エリアの戸建てと、中央区のタワーマンションでは、求められる営業スキルも戦略も違ってきます。
自分の物件がある地域での売却実績が豊富な会社を選ぶことが、適切な価格設定や売却スピードの確保につながります。
媒介契約の内容をきちんと確認する
不動産会社との契約には、「専属専任」「専任」「一般」の3種類があります。専属系は担当会社の営業力に左右されやすいため、都内のように売却競争が激しいエリアでは、内容をよく吟味して選びたいところです。
契約期間や途中解約の条件も含め、事前に確認しておくと安心です。
売却以外の提案力も見ておく
単純に「高く売る」ことだけでなく、買い替えや税金対策、相続を見据えたアドバイスができる会社かどうかもポイントです。
特に東京では、相続物件や賃貸併用住宅など複雑な背景を持つ不動産も多いため、総合的な知識と対応力がある会社は心強い存在になります。
まとめ
東京での不動産売却は、物件の所在エリアや種別、築年数、さらには売却理由によって、最適な進め方や売却戦略が大きく異なります。
また、不動産会社にもそれぞれ得意分野があります。全国にネットワークを持つ大手企業は取扱件数の多さや情報力が強みですが、地域密着型の中堅企業の中には、特定のエリアや物件種別に特化して高い成約実績を持つ会社もあります。
そのため、1社だけに相談して売却を進めるのではなく、複数の不動産会社に査定を依頼し、提案内容や対応の丁寧さ、販売戦略の違いなどを比較検討することが重要です。
売却成功の近道は、自分の物件と状況に合ったパートナーを見極めることにあるといえるでしょう。








































