この記事のポイント
- 構造と工法を確認すれば最適な間取り変更リフォームが実現できる
- 壁撤去でLDK拡大は50〜150万円、和室の洋室化は6畳で30〜60万円が目安
- 耐力壁の位置を事前に構造図面で確認すると撤去できない失敗を防げる
「今の間取り、使いにくいけどどこまで変えられるのだろう?」
「壁を動かすと費用はどれくらいかかるのだろうか……」
最初は納得して購入した家であっても住む期間が長くなるにつれて、家事動線や部屋数、LDKの広さに不満を感じるのは珍しいことではありません。ただ、間取り変更を伴うリフォームは工事の自由度や費用、制約が分かりにくく、一歩踏み出しにくいのも事実です。
本記事では、間取り変更ができる範囲や住宅タイプごとの違い、費用相場や注意点、実際の事例まで解説します。検討段階でつまずきやすいポイントを押さえながら、納得できるリフォームの計画立てにご利用ください。
記事の構成
リフォームで間取り変更はどこまでできる?
間取り変更のしやすさは、戸建てかマンションかによって大きく異なります。
戸建ては比較的自由に変更できる一方、マンションは専有部分の範囲や構造上の制限があり、事前確認が必須です。
戸建ては比較的自由度が高い
戸建ては、建物の構造に影響しない壁であれば撤去・移動が可能です。
LDKの拡大や和室の洋室化、複数の部屋をひとつにまとめるといった、大がかりな間取り変更にも対応できます。
ただし、建物を支える「耐力壁」は撤去できません。建築基準法では必要な壁量が定められており、工事前に構造図面をもとに確認が必要です。
マンションは制限が多い
マンションでリフォームできるのは、自分が所有・使用する「専有部分」に限られます。玄関ドアの外側・窓・バルコニーなどの共用部分には手を加えられません。
また、間取りに関わる工事は管理組合への申請・承認が必要になるケースがほとんどです。
さらに、構造の種類も自由度にかかわります。
柱と梁で支える「ラーメン構造」のマンションは間取り変更がしやすいですが、壁で支える「壁式構造」では撤去できない壁が多く、変更できる範囲はかなり限られます。築年数が古いマンションほど壁式構造が多い傾向があるため、まず自宅の構造を確認してみましょう。

間取り変更できる家・できない家
間取り変更ができるかどうかは、建物の構造と工法によってほぼ決まります。「やってみたら壁が抜けなかった」という事態を防ぐために、まず自宅の条件を確認しましょう。
間取り変更できる家の条件
- 木造軸組工法(在来工法)の戸建て
- 間仕切り壁(非耐力壁)が撤去・移動できる
- 給排水管の移設が構造的に可能
- マンションの場合、変更箇所が専有部分の範囲内に収まる
もっとも間取り変更しやすいのは、木造軸組工法の戸建てです。
柱と梁で建物を支えるため、耐力壁(地震の揺れに抵抗する構造壁)以外の間仕切り壁は比較的自由に動かせます。LDKの拡張や部屋数の増減といった大きな変更も、この工法なら対応しやすいです。
マンションでも、専有部分の範囲内であれば間取り変更は可能です。ただし、マンション標準管理規約では、専有部分の修繕等に関わる共用部分の工事は承認の範囲内でのみ行えると定められています。
間取り変更できない家の特徴
- 壁式構造のマンション(壁全体で建物を支える)
- 2×4(ツーバイフォー)工法の戸建て
- 耐力壁が多く、撤去できる壁がほとんどない
- 変更箇所がマンションの共用部分(柱・梁・外壁など)に及ぶ
壁式構造のマンションは、壁そのものが建物を支えているため、壁の撤去は原則不可です。
同様に、ツーバイフォー工法の戸建ても「面」で荷重を支える構造上、壁の変更に大きな制約があります。築年数が古い集合住宅ではこの構造が多いです。
また、マンションで柱・梁・外壁・共用の配管などに手を加える工事は、管理規約や区分所有法によって禁止されています。「壁を全部なくしてワンルームにしたい」といった要望でも、共用部分に触れる場合は実現できません。変更できる範囲は、専有部分の内側に限られます。
よくある間取り変更リフォームのパターン
間取り変更リフォームには、定番ともいえるパターンがいくつかあります。
どんな工事が行われるのかをあらかじめ知っておくと、自分の家に合ったプランをイメージしやすくなりますよ。
壁撤去でLDKを広くする
キッチン・ダイニング・リビングの間にある壁を取り払い、ひとつの広いLDKにまとめる工事です。
閉塞感が解消され、家族の気配を感じながら家事ができる空間になります。費用の目安は50万〜150万円ほどで、壁の種類や仕上げによって変わります。
ただし、撤去できるのは間仕切り壁に限られます。建物を支える耐力壁は取り除けないため、工事前に構造図面を確認するか、専門家に調査を依頼しましょう。建築基準法上、主要構造部にあたる壁の扱いには制限があります。
出典:建築物の改修における建築基準法のポイント説明会|国土交通省
和室を洋室にする
畳をフローリングに張り替え、襖(ふすま)をドアや引き戸に交換することで、洋室へと生まれ変わります。
費用は6畳で30万〜60万円が目安です。段差の解消もあわせて行うと、高齢の家族が使いやすい部屋になります。
子ども部屋として使いたい、書斎にしたいといったニーズにも対応しやすく、用途の幅が広がります。壁や天井のクロス張り替えもまとめて行うと、仕上がりが統一されてきれいです。
2LDKを3LDKに変更する
広めのリビングや洋室を間仕切り壁で区切り、部屋数を増やす工事です。
壁撤去とは逆のアプローチで、子どもの成長にあわせて個室を確保したいご家庭に選ばれやすいパターンです。
費用は30万〜80万円が目安で、ドアや収納の設置を含めると増額します。
間仕切りの素材には、石膏ボード+クロスの一般的な壁のほか、引き戸で開閉できる可動間仕切りもあります。将来また広い空間に戻したい場合は、可動タイプを選ぶのがおすすめです。
回遊動線の改善
廊下や部屋の出入り口を増やし、行き止まりのない「回遊できる動線」を作る工事です。
たとえばキッチンの奥からランドリールームに抜けられるようにすると、洗濯・料理を同時進行しやすくなります。出入り口の新設は10万〜30万円程度から対応できます。
また、水回りの位置を変えるリフォームも、動線改善の一手です。洗面室とトイレの配置を入れ替えたり、脱衣所を独立させたりすることで、朝の混雑が解消されます。
ただし給排水管の移設が必要になるため、費用は50万〜150万円ほどと高めになりやすい点は把握しておきましょう。
【Xを調査】家の間取りを変えたい方々のもつ悩み
Xには間取り変更を巡るリアルな声が数多く投稿されています。内容を整理すると、大きく3つの悩みに分類できます。
まず多いのが「ライフステージの変化への対応」です。家族構成や生活スタイルが変わるタイミングで、住まいの構造を根本から変えたいと感じる方が多いようです。
次に目立つのが「構造的な制約への戸惑い」です。マンションで広めのウォークインクローゼットをつくろうとしたところ、柱が撤去できず見た目がきれいに仕上がらなかった、という声もありました。やりたいことと建物の構造が噛み合わないもどかしさが伝わってきます。
3つ目は「費用と満足度のバランス」への不安です。築33年のRC住宅をスケルトンリフォームして1,000万円、マンションの水回り総入れ替えを含めて880万円といった具体的な金額が並びます。大きな出費になる一方で「15年分のQOLを手に入れた」と前向きに語る声もあり、費用に見合う効果を事前に見極めることが重要だとわかります。
- 間取りを変更した事で 今の我が家のスタイルにあう お部屋になりました。 長い目でみて住宅費を抑える選択肢を!
- マンションなので無理やり間取り変更して広めのウォークインクローゼットにした結果、柱が退けられなくて見た目あんまり綺麗じゃないんだけど🥹 一人暮らしの頃は2LDKの2部屋をクローゼットにしていた女なので、とにかく服が入る空間を確保できてよかった🥹
- 寒い札幌から高知に移住したいと思いながらも、定年まで15年もあるので自宅マンションの間取り変更・フローリング、希望する設備での水回り総入れ替え、クロスも変えて880万円の見積もり 住宅ローンにリノベ費用をプラスして返済額はUPしたけど、15年分のQOLは手に入れました。
- ①基礎断熱から床下断熱へ変更🔁 性能最大化より長期安心の方が私はいいかな☺️ ②間取り変更 ファミクロを減らし和室拡大🏠 ③暫定で床の素材決定🚶 ④細々とした所の追加🙌 そして肩湯♨️ 諦めました🤦 お風呂に100万円の追加は無理です😭 改めて家づくりの難しさを痛感です🧐
住宅タイプ別に見る間取り変更リフォームの特徴
戸建てとマンションでは、間取り変更の自由度を左右する制約がまったく異なります。
それぞれの「できないケース」を先に把握しておくと、計画がスムーズに進みます。
戸建ての場合
戸建てで最初に確認すべきなのが、耐力壁と柱の位置です。
耐力壁は建物の横方向の力を受け持つ壁で、建築基準法により一定量の設置が義務付けられています。撤去すると耐震性能が著しく低下するため、基本的に動かすことはできません。
出典:建築物の改修における建築基準法のポイント説明会|国土交通省
また、2階の間取り変更は、1階より難易度が上がります。床や天井を介した補強工事が必要になるケースが多く、費用も増えやすいです。
さらに、基礎に影響する工事(壁の位置を大きく変えるなど)は構造上の制約から、施工できない場合があります。なお、2025年4月以降は2階建て木造戸建ての大規模な間取り変更に建築確認申請が必要になりました。計画前に確認しておきましょう。
出典:リフォームにおける建築確認要否の解説事例集(木造一戸建て住宅)|国土交通省
マンションの場合
マンションでは、管理規約がリフォーム範囲を規定しています。
工事前に管理組合への申請・承認が必要で、認められない工事は実施できません。また、窓・玄関ドア・バルコニーは共用部分にあたり、居住者が自由に変更できません。
また、水回りの移設にも注意が必要です。マンションの床下は戸建てより浅く、排水を流すための勾配を確保できる距離が限られています。
そのため、キッチンやトイレを大きく移動させることは構造上むずかしく、隣接する位置への微調整にとどまるケースがほとんどです。
リフォームによる間取り変更の費用相場
費用は工事の規模・内容によって数十万円から500万円超まで幅があります。
全体の目安をつかんだうえで、工事内容ごとの単価を確認すると予算計画が立てやすくなります。
間取り変更リフォームの全体費用の目安
壁1〜2枚を撤去するだけの小規模工事なら10〜50万円程度です。
部屋をつなげてLDKを拡張するなど複数の工事が絡む中規模になると、100〜300万円が目安となります。
全面的な間取り変更、いわゆるスケルトンリノベーションでは500万〜1,000万円以上かかるケースも珍しくありません。
国土交通省の調査によると、リフォームを実施した世帯の工事費用は、内容の規模によって大きく分散しています。予算帯によって選べる工事の範囲が変わるため、まず「どこまで変えたいか」を整理することが大切です。
出典:令和6年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省 住宅局
工事内容別の費用目安と内訳
個別の工事項目ごとの費用目安は以下のとおりです。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 間仕切り壁の撤去 | 10〜30万円 |
| ドア・開口部の新設 | 10〜25万円 |
| 和室から洋室への変更 | 50〜100万円 |
| LDK化(壁撤去+仕上げ) | 80〜200万円 |
| 水回りの移動 | 50〜150万円 |
小規模工事は材料費と工賃が主なコストです。
一方、水回りの移動や排水・電気配管の変更が加わる中規模以上では、設備工事費だけで総額の半分近くを占めることがあります。
フルリノベーションの費用について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
【事例】間取り変更リフォームによる動線改善の実例
実際のビフォーアフター事例を見ると、間取り変更がどのように暮らしを変えるか、具体的なイメージが持てます。よくある2つのパターンを紹介します。
まず多いのが、独立ダイニングとリビングの壁を撤去してLDKを広げる事例です。たとえば「6畳のダイニングと8畳のリビングが壁で仕切られていた」状態から、壁を取り除いて14畳超のひと続きの空間にするケースがあります。家族の気配を感じながら家事ができるようになり、「料理中に子どもの様子が見えない」という悩みが解消されます。費用の目安は、前述のとおり壁撤去のみなら30〜60万円ほどです。
もうひとつは、壁付きキッチンを対面式に変更する事例です。リビングに背を向けて調理していた状態から、カウンター越しに会話しながら料理できる動線に変わります。配膳もカウンター上に置くだけになるため、テーブルまでの往復が減り、家事の手間が目に見えて減ります。設備移設を含めると費用は100〜150万円が相場です。
間取り変更は完成後の暮らしを想像しにくいものですが、事例を参考にすると判断の精度が上がります。ただし、開放的なLDKを実現したあとに後悔するケースもあるため、検討時は注意点もあわせて確認しておきましょう。
間取り変更リフォームのよくある失敗
間取り変更は暮らしを大きく改善できる一方で、計画が甘いと後悔につながります。よくある失敗パターンと、その原因・対策を押さえておきましょう。
生活動線が悪くなった
「壁を撤去してLDKを広げた結果、キッチンから洗面所まで遠回りになった」
こうした失敗が起きやすいのは、「部屋の広さ」だけを意識して動線を図面上で検証しないからです。
たとえば、ダイニングとキッチンの向きを変えたことで、冷蔵庫の開口方向が通路をふさいでしまうケースも実際にあります。
対策は、家事の流れを時間帯ごとに書き出し、動線が交差しないか図面上で確認すること。施工前に施工会社へ「家事動線の確認」を依頼し、3Dパースや実寸模型で動きをシミュレーションしてもらうと見落としを防げます。
収納場所の不足
壁を取り払ってオープンなLDKを実現したものの、収納スペースが激減したというケースも多くあります。押し入れや壁面収納が間仕切り壁と一体だった場合、撤去と同時に収納も消えてしまうからです。
リフォーム後に収納を確保するには、新たな壁面収納を造り付ける、床下収納を設置するといった代替手段を最初から設計に組み込む必要があります。
間取り図を見るときは、収納の「総量」が工事前後で変わらないかを数値で確認する習慣をつけましょう。
費用オーバー
解体してみて初めて老朽化した配管や雨漏りの跡が見つかり、追加工事が発生するのは珍しくありません。
当初100万円の見積もりが、最終的に150万円を超えたという事例もあります。複数の事業者から相見積もりを取ると費用の目安や対応の違いが分かり、予算設定の精度が上がります。
出典:マンガでわかるリフォームガイドブック|住宅リフォーム推進協議会
予算を守るコツは、見積もり金額の10〜15%を「予備費」として最初から確保しておくこと。追加工事が出なければ手元に残るだけなので、損はありません。
【余談】間取り変更でのリフォームとリノベーションの違い
「リフォーム」と「リノベーション」は混同されがちですが、意味合いが少し異なります。
リフォームは、老朽化した部分を新築時の状態に戻す、部分的な改修を指すことが一般的です。
一方、リノベーションは「機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した包括的な改修」と定義されています。住まい全体の性能や価値を高めることを目的とした、より広い概念です。
出典:リノベーションとは|renovation portal・一般社団法人リノベーション協議会
間取り変更の文脈では、1部屋だけ壁を撤去するような小規模工事はリフォームと呼ばれ、間取りを全面的に作り直すような大規模工事はリノベーション(フルリノベ)と呼ばれることが多いです。
ただし、両者の境界はあいまいで、業者によって使い方が異なる場合もあります。費用や工事範囲を確認するときは、「どこまで工事するか」を具体的に確認するのが確実です。
まとめ
間取り変更リフォームは、建物の構造・工法・管理規約によって可否が変わり、費用も工事内容によって大きく幅があります。成功のカギは、自分の家の条件をきちんと把握し、信頼できる専門家に相談することです。
また、構造上の制約や費用オーバー・動線悪化といった失敗も起こりやすいため、プロの目線でのチェックが欠かせません。
不動産SHOPナカジツでは、物件探しからリフォーム・リノベーションまで一貫してご相談を承っています。間取り変更を前提としたプランのご提案や、建物の構造を踏まえた実現可能性の判断、資金計画まで含めてサポートしています。
「わが家の間取り変更はどこまでできる?」という疑問から、費用・工期・補助金の活用まで、まずはお気軽にご相談ください。













































