住宅ローン控除制度とふるさと納税は併用できる?

住宅ローン控除制度とふるさと納税は併用できる?

掲載日: 2020.03.27

住宅ローン控除とふるさと納税はどちらも節税効果の大きい税控除の制度です。
住宅購入という人生の一大イベントを終えた翌年は、住宅ローン控除のための確定申告があります。給与所得者の方は慣れない確定申告に戸惑うこともあるかもしれません。

一方、ふるさと納税を利用したことがある方は、「ワンストップ特例制度」を使って簡単に控除を受けることができたのではないでしょうか。ところで、この「ワンストップ特例制度」は確定申告を行う場合は利用することができません。また、確定申告でふるさと納税の申請を行う場合は控除額が変わってしまう場合もあります。

住宅ローン控除とふるさと納税について、またそれぞれを併用する際の注意事項を順に見ていきましょう。

ふるさと納税と住宅ローンの併用について

住宅ローン減税制度とは。減税を受ける方法は?

住宅ローン制度とは一定の条件を満たした住宅を住宅ローンを組んで購入した際に、住民税、さらに所得税が軽減される制度です。

住宅ローン減税を受ける方法

住宅ローン控除を受けるためには、まず適用条件を満たす必要があります。自分で居住するための家である、10年以上の返済期間のある住宅ローンであるなどの条件があります。
住宅ローン控除を受けるための手続きとしては、住宅を購入した翌年に確定申告を行います。会社員であれば2年目からの確定申告は不要となり、年末調整にて住宅ローンの年末残高証明書を提出することで適用されます。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、生まれ故郷の自治体や、応援したい思い入れのある自治体に寄付ができる制度です。進学や就職で故郷を離れた人が、税収の減ったふるさとの自治体に寄付をすることができ、寄付をすると自治体から返礼品が送られます。都市部に集中するお金を地方に流す目的で2008年に作られました。

ふるさと納税をするメリット

自治体から返礼品を貰えるのも嬉しいメリットですが、それに加え、寄付(収入額などによって上限あり)をすることで寄付金額の2,000円を超える部分に関して所得税の還付や住民税が控除されます。実質の自己負担は2,000円で、返礼品を受け取ることができるというわけです。

返礼品の見直し

実質2,000円で返礼品がもらえる制度のため、高額だったりお得な返礼品に人気があつまり、それぞれの自治体の競争が過熱しました。それにより、自治体とは関係のない家電製品やギフト券などが返礼品となったり、寄付金額の半分以上が返礼品や発送費用などになってしまうというような本来の目的が見失われるケースも増えました。

返礼品競争の過熱により、総務省がふるさと納税に関する法律を改正し令和元年6月1日施行されました。
改正内容は以下の引用のとおりです。

改正前

規定が設けられる以前は、地方団体への寄付は全て控除の対象となっていました。

○地方団体への寄附は、全てふるさと納税の対象
・「寄附額-2,000円」(一定の上限あり)を、住民税及び所得税から軽減
・ 実質2,000円の負担で、納税先を選択可能

改正後

ところが、競争の過熱により本来の意義とは外れた行為が増えたため、ふるさと納税についての決まりを総務大臣が新たに定めました。

○ふるさと納税の対象となる地方団体を総務大臣が指定
○指定を受けない地方団体への寄附金は、ふるさと納税の対象外

改正内容:総務大臣による指定の基準

改正の内容は以下の3点に基づいて決められました。

①募集適正実施基準=ふるさと納税の募集を適正に実施すること
②返礼割合3割以下基準=返礼品の返礼割合を3割以下とすること
③地場産品基準=返礼品は地場産業とすること

参考資料:総務省「ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について」

ふるさと納税後の控除手続きについて

ふるさと納税によって所得税・住民税の控除を受けるためには原則として確定申告を行います。しかし、もともと確定申告が不要な給与所得者などは、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であり、ふるさと納税をおこなった自治体に申請した場合に限り、確定申告が不要で控除を受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例」にて手続きを行うことができます。

※申し込みが6回以上でも、5つ以内の自治体であればワンストップ特例制度を利用することが可能です。

ワンストップ特例制度による手続き

ワンストップ特例制度を利用するには、翌年の1月10までに寄付をした自治体に「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を提出します。申請書は原則総務省や自治体のサイトから自分で入手しますが、返礼品と一緒に届く場合もあります。自治体によって申し込み手続きや申請書が異なることがあるため注意しましょう。ワンストップ特例制度が適用される場合は所得税からの控除は行われず、翌年度分の住民税から控除されます。

このワンストップ特例制度は、普段確定申告を行わない給与所得者が確定申告の手続きを理由にふるさと納税を躊躇する可能性があるということから平成27年4月1日に施行されました。

ふるさと納税のワンストップ特例の寄付から控除までの流れ

確定申告による手続き

次に、個人事業主であるなどで確定申告でふるさと納税の申請をする際の手続きをご紹介します。
ふるさと納税を行うと、自治体から確定申告に必要な寄付を証明する書類(受領書)が発行されます。振込用紙控が証明する書類となることもあるため、大切に保管しましょう。
それらの書類を寄付した翌年の確定申告に添付します。

ふるさと納税の寄付から確定進行と控除までの流れ

住宅ローン減税とふるさと納税を両方利用する場合

好きな自治体を応援できる上にお得な「ふるさと納税制度」ですが、住宅ローン減税と併用する際は注意が必要です。

なお、ふるさと納税の控除上限額の計算には住民税所得割額を用いますが、それには住宅ローン控除適用前のものが使用されます。そのため、住宅ローン控除を受けることで、ふるさと納税の控除上限額が少なくなることはありません。

ふるさと納税をワンストップ特例制度で申告する場合

ワンストップ特例制度を利用すれば、手続きが簡単な上に、住宅ローン控除額が影響を受ける心配もありません。

控除額が減ることはない

ワンストップ特例制度での控除は全て住民税から行われます。住宅ローン控除を受けており、所得税の額を超え住民税から控除されることになっても、ふるさと納税の控除額が影響して住宅ローン控除の上限を超えてしまうということがなく、控除額を無駄な使うことができます。

住宅ローン控除を受ける1年目に注意

給与所得者であっても、住宅ローン控除を受けるためには住宅購入の翌年に確定申告を行います。そのため、確定申告が不要な人が対象のワンストップ特例制度を利用することができないため注意が必要です。もし、ワンストップ特例制度を利用した後に確定申告をした場合はワンストップ特例制度の申告が無効となります。確定申告でふるさと納税の申告も行いましょう。
住宅ローン控除の2年目以降は確定申告が不要なため、ワンストップ特例制度を利用することができます。

その他、医療費控除などで確定申告を行う人もワンストップ特例制度の適用外となってしまいます。

ふるさと納税を確定申告でする場合

確定申告でふるさと納税の申請を行う場合、住民税と所得税の両方から控除が行われることになります。その際は住民税から控除される住宅ローン控除の上限に気を付けなくてはなりません。

住民税からの住宅ローン控除には控除上限があります。所得税においてふるさと納税の控除が先に行われることで住宅ローン控除が住民税に繰り越し、住民税からの住宅ローン控除上限を超え、全ての控除額を有効活用できないケースが発生してしまいます。
つづいて、住民税額や住宅ローン控除額の調べ方、計算方法をご紹介します。

住民税額と所得税額を調べる

住宅ローンは所得税から(所得税額を超えた分は住民税から)、確定申告で行うふるさと納税の控除は住民税と所得税から控除されます。まずは、控除が行われる住民税額と所得税額を調べましょう。

住民税を調べる
住民税は大まかにいうと課税所得(所得から控除額を差し引いた金額)の10%となりますが、各自治体から発行される住民税の通知書からも確認ができます。住民税には均等割と所得割の2種類あり、それぞれが記載されていますので、合算し年間の住民税額を求めることができます。

所得税を調べる
給与所得者であれば、所得や所得税控除額が前年と大きく変わらなければ前年の源泉徴収票から確認しましょう。

住宅ローン控除額を計算する

住宅ローン控除額は年末のローン残高の1%の金額と購入物件価格と比較し低い方となります。控除額の上限は年40万円(長期優良住宅、低炭素住宅では50万円)です。

住宅ローン控除後の住民税額と所得税額を計算する

住宅ローン控除額は、所得税から控除されます。住宅ローン控除額が所得税を上回る場合は、上回った分が翌年の住民税から控除されます。
住民税から控除可能な住宅ローン額の上限は136,500円を限度として、課税総所得金額等の7%で計算されます。そのため、その上限を超えてしまった場合住宅ローン控除の一部の金額が有効活用できなくなってしまいます。

※課税総所得…収入から給与所得控除と各種所得控除(医療費控除、社会保険・生命保険・地震保険控除、寄付金控除など)を除いた金額

住宅ローンとふるさとの税併用時の申告方法の違いによる控除額の差

住宅ローン控除とふるさと納税の併用例

ふるさと納税と住宅ローン控除額の計算例 Aさん

例:Aさんの基本データ

  • ・年収………640万円
  • ・配偶者……有り(配偶者控除対象)
  • ・配偶者を除く扶養家族……1人(16歳~18歳)
  • ・社会保険……加入(社保、協会けんぽ)
  • ・生命保険料……控除有り(控除額10万円)
  • ・住宅ローン残高……2,800万円
     (住宅ローンの控除率は1%とする)
  実際の住宅ローン
控除適用額
内訳
所得税 住民税
①ふるさと納税を
しない場合
277,800円
(※2,200円控除切り捨て)
141,300円 136,500円
②ふるさと納税を
6万円する場合
272,000円
(※8,000円控除切り捨て)
135,500円 136,500円
③ふるさと納税を
1万円する場合
277,000円
(※3,000円控除切り捨て)
140,500円 136,500円

ふるさと納税の返礼品が寄付金額の3割のものと仮定すると…

6万円寄付(②)の場合は、
6万円×0.3=18,000円分の返礼品を自己負担2,000円でもらうつもりが、
実際の自己負担額は、2,000円+(8,000-2,200)円=7,800

1万円寄付(③)の場合は、
1万円×0.3=3,000円分の返礼品を自己負担2,000円でもらうつもりが
実際の自己負担額は、2,000円+(3,000-2,200)円=2,800

2,200円(2,800万円×1%-277,800円)については控除切捨て
8,000円(2,800万円×1%-272,000円)については控除切捨て
3,000円(2,800万円×1%-277,000円)については控除切捨て

ふるさと納税のシミュレーションをする際の注意点

ふるさと納税のサイトには、寄付額や収入、家族構成などを入力することでどれくらいの控除が受けられるかを計算できるWebサービスがあります。
しかし、それらの計算条件には住宅ローン控除に関する内容は含まれているでしょうか。正しい計算ができるか確認しシミュレーションを行うよう注意しましょう。

節税効果の大きい住宅ローン控除と、ふるさと納税を有効活用しよう

ふるさと納税、住宅ローン控除のどちらも効果的に節税できるお得な制度です。制度の内容をよく理解して、無駄なく利用したいですね。

先ほどもご紹介したように、住宅ローン控除を受ける一年目は確定申告が必要なためワンストップ特例制度を利用することができません。住宅ローンの一年目は控除額が大きいため、控除額には注意したいですね。

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