この記事は1年以上更新されていません。内容が古くなっている可能性がありますのでご注意下さい。
フラット35は新規融資だけでなく、借換融資にも対応しています。フラット35への借り換えの条件やメリットなど、これから借り換えをしようとお考えの人向けに、必要な情報をわかりやすくまとめます。
目次
フラット35にも借り換えのプランがある
フラット35には新規融資だけでなく、借換融資もあります。借換融資について解説する前に、フラット35の基本的な特徴を紹介します。
フラット35とは~金利や手数料などの諸費用について~
フラット35は住宅金融支援機構の全期間固定金利型住宅ローンで、取次店である金融機関が窓口となっています。都市銀行や地方銀行、ネット銀行など様々な金融機関で取り扱っていますが、三菱UFJ銀行など取り扱っていない金融機関もあります。
フラット35は全期間固定金利ですので、返済期間中に金利は変動しません。返済期間は15~20年と21年~35年で金利の範囲が異なり、返済期間の短い15~20年の方が、21年~35年より金利は低く設定されています。返済期間20年以下を特に「フラット20」とよびます。
取扱金融機関は毎月あらかじめ決められている金利の範囲から、金利を決定します。多くの金融機関では金利の範囲のうち最低金利を採用しています。なお、金利は申込時ではなく、融資時(資金受取時)の金利が適用されます。
保証料は無料ですが、融資手数料を支払う必要があり、金額は金融機関によって異なります。また少なくとも完済までの間は火災保険に加入しなければなりませんが、万が一のときに住宅ローンの返済がゼロとなる新機構団信の加入は任意となっています。なお、新機構団信に加入しない場合、借入金利から年0.29%引き下げた金利が適用されます。
金利 | 取扱金融機関が、一定の範囲内から決める。 返済期間などによっても金利は異なる。 融資時の金利が適用される。 |
保証料 | 無料 |
融資手数料 | 金融機関によって金額は異なる。 |
新機構団信 | 任意 加入しない場合、借入金利から年0.29%引き下げた金利が適用される。 |
<関連ページ>
フラット35の金利タイプは?民間のローンとの違い
フラット35借換融資とは
借換融資とは、現在、借りている金融機関から別の金融機関に変更することで、フラット35への借り換えは、全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えることになります。
たとえばA銀行から借りた住宅ローンが2,000万円残っている場合、フラット35を取り扱うB銀行に2,000万円融資してもらい、A銀行に全額返済します。以後は、B銀行に返済していくことになります。
フラット35借換融資のポイント
借り換えをするメリットはおもに、金利を下げること、金利タイプを変更することが挙げられます。借り換えに諸費用がかかったとしても、金利差が大きければ、総返済額は減少します。また変動金利型から固定金利型に借り換えることで金利変動リスクを回避することができます。
このような借り換えをするメリットのほかにフラット35に借り換えるメリットや金融機関のサービスを受けられるメリットもありますので、紹介します。
フラット35借換融資のポイントは、返済期間中の金利が変動しないこと、保証人や繰上返済手数料が不要であることです。また「住・My Note」を利用すれば、いつでも借入金残高が確認でき、証明書発行の手続きも簡単に行うことができます。
窓口となる金融機関によるメリットもあります。
住宅ローンを利用する際には、収入が安定しているかどうかが審査の基準の一つですが、ARUHIフラット35やARUHIスーパーフラットには、勤務形態や勤続年数に制限がありません。給与所得者の場合、転職後1回以上給与を受け取っていれば申し込みでき、開業したばかりの個人事業主の場合でも、確定申告1回分で申し込み可能です。
またイオンのフラット35の場合、イオングループでの買い物が5%オフとなります。相談は365日年中無休で対応しており、仕事帰りや買い物ついでに相談することができます。
このように、借り換えによるメリットのほかに、窓口となる金融機関によってはサービスを付加することができます。
フラット35の金利情報
フラット35の金利は、金融機関や融資条件によって異なります。
金融機関 | 金利の範囲から金融機関が選ぶ。金利幅は0.73%で、最低金利を採用している金融機関が多い。 |
融資率 | 融資率は住宅購入費・建築費に占める融資額の割合で、9割以下であれば金利が0.26%低くなる。ただし、借換融資では、すべて9割以下の金利が適用される。 |
返済期間 | 返済期間は15年~20年と21年~35年で分けられており、15~20年の方が0.7%低くなる。 |
※2020年4月時点の金利を参考に算出
※団信の有無、付加する団信の種類などによっても金利は変わります。
借り換えを検討するときのポイントは
基本的に、金利の低い金融機関に借り換えます。金利上昇リスクを減らすための借り換えであっても、フラット35の金利をチェックし、タイミングを見計らって借り換えるといいでしょう。大まかな借り換えのポイントは次のとおりです。
変動金利型からフラット35への借り換え
一般的には金利の低い変動金利型からフラット35への借り換えは、金利変動リスクを回避することが目的ですが、総返済額は増える可能性があります。できる限り総返済額を増やさないために、フラット35の金利が下落傾向にあるタイミングを見計らいます。また返済期間を20年以下にするなどして、できる限り低い金利が適用されるようにしてもいいでしょう。
固定金利期間選択型からフラット35への借り換え
固定金利期間選択型を利用している人は、期間満了時に向けて金利タイプを検討する必要があります。フラット35の金利が高い場合、いったん変動金利型にしてからタイミングを見計らうことも考えるでしょう。変動金利型からの借り換えと同様、一般的には金利は高くなりますので、残高の一部を返済するなど、できる限り総返済額を増やさないようにすると効果的です。
現実的に金利の傾向を見ながら借り換えるのは難しいため、金利変動リスクに不安を感じているときが借り換えのタイミングと言えます。諸費用などを含めシミュレーションをしっかりしておけば、安定して返済することはできるでしょう。
フラット35借換融資の利用条件
フラット35借換融資には、対象者や対象住宅などの利用条件があります。ここでは、借換融資の利用条件をまとめます。
(1) 申し込みできる人の条件
フラット35借換融資では、申込者と住宅ローンの債務者が同じでなければなりません。申込時年齢は満70歳未満となっています。また総返済負担率も確認する必要があります。たとえば年収500万円で年間のローン返済額が150万円なら、総返済負担率は30%(150万円÷500万円×100)となります。この返済額には自動車ローンやカードローンも含めます。
申込者 | 住宅ローン債務者であること |
申込時年齢 | 満70歳未満(親子リレー返済の場合を除く) |
国籍 | 日本国籍保有者・永住許可を受けている人・特別永住者 |
総返済負担率 | 年収400万円未満 30%以下 年収400万円以上 35%以下 |
※総返済負担率には、住宅ローン以外の借り入れも含む。
(2) 対象となる住宅ローンや住宅
フラット35借換融資は、申込者本人が住宅の所有者であり、本人が住む住宅の建設や購入のために借り入れた住宅ローン(または本人の親族が住む住宅の建設や購入のための住宅ローン)が対象となります。単身赴任先の住宅などセカンドハウスでも借換融資の対象となりますが、賃貸している場合は対象外となります。
借り入れ前の住宅ローンに諸費用が含まれていたとしても、住宅の建築費や購入価額の100%以内であれば、借り換えの対象となります。しかし、住宅ローンと別に諸費用ローンを組んでいる場合、諸費用ローンは借り換えの対象外となりますので注意が必要です。
住宅取得時の 住宅ローンの要件 |
(1) 8,000万円以下 (2) 住宅の建築費や購入価額の100%以内 ※(2)住宅の建築費や購入価額に土地取得費は含めるが、諸費用は含めない。 |
住宅の要件 | (1) 住宅金融支援機構が定める技術基準に適合すること (2) (床面積)一戸建て70㎥以上・マンション30㎥以上 ※店舗併用住宅の場合、居住部分の床面積が過半数を超えていること |
融資までの流れ
借り換えによる融資までの流れは次のとおりです。
- 借換融資の検討
借り換えによる総返済額の変化をシミュレーションします。シミュレーションする際には、借り換えの際に支払う諸費用を含めて確認します。 - 金融機関と商品タイプを選ぶ
金融機関の多くは最低金利を採用していますので、金利差は生じにくいですが、借り換えの際に支払う融資手数料などの諸費用は金融機関によって大きく異なることがありますので、確認が必要です。 - 諸手続き
借り換えを決めたら、借り換え先に申し込みます。フラット35への借り換えの場合、技術基準に適合しているかどうかの確認も必要となります。
借り換えシミュレーション
借り換えのシミュレーションを通して、借り換えの効果を確認します。次の条件でシミュレーションします。
【事例1】フラット35へ残高全額を借り換え、返済期間も維持した場合
〇借り換え前の住宅ローン | 〇借り換え予定の住宅ローン(フラット35) | |
残高 2,000万円 返済期間 25年 金利 変動金利1.00% |
借入金 2,000万円 返済期間 25年 金利 全期間固定金利 1.30% 諸費用 40万円 |
フラット35への借り換えで、残高全額を借り換え、返済期間も維持した場合のシミュレーションです。
- 毎月の返済額:75,374円 ⇒ 78,121円(2,747円増額)
- 総返済額:22,612,189円 ⇒ 23,436,320円(824,131円増額)
- 総支払額:22,612,189円 ⇒ 23,836,320円(1,224,131円増額)
※総支払額は、「総返済額+諸費用」の額です。
上記の場合、金利差は0.3%ありますので、総返済額や総支払額は増額となります。ただ、借入当初からフラット35を選んでいる場合と比べると、総返済額(総支払額)は軽減されている可能性はあります。
【事例2】フラット35への借り換え時に、残高の一部を返済し返済期間を短縮、金利を下げた場合
フラット35への借り換え時に、返済期間が20年以下になるよう残高の一部(200万円)を返済し、金利を下げた場合のシミュレーションです。
〇借り換え前の住宅ローン | 〇借り換え予定の住宅ローン(フラット35) | |
残高 2,000万円 返済期間 25年 金利 変動金利1.00% |
借入金 1,800万円(200万円返済) 返済期間 20年 金利 全期間固定金利 1.23% 諸費用 40万円 |
- 毎月の返済額:75,374円 ⇒ 84,641円(9,267円増額)
- 総返済額:22,612,189円 ⇒ 20,313,726円(2,298,463円減額)
- 総支払額:22,612,189円 ⇒ 20,713,726円(1,898,463円減額)
※総支払額は、「総返済額+諸費用」の額です。
上記の場合、返済期間を短縮したため毎月の返済額は増額となりますが、総返済額や総支払額は減額されます。
このように借り換えの際に、金融機関をしっかり選び、一部を返済することなどで、借り換えによる効果は変わってきます。シミュレーションをして金額を確認することが重要であることもご理解いただけたのではないでしょうか。
まとめ
借り換えは、まず目的を明確にすることから始まります。総返済額を減らすためなのか、金利上昇リスクを回避するためなのか、目的によって金融機関の選び方に影響します。
借り換えを成功させるためには、諸費用を含めてシミュレーションをし、具体的な金額で比較検討することです。時間はかかるかもしれませんが、重要なことですので、不安な場合は、金融機関や専門家などのアドバイスを受けながら進めていきましょう。
【関連記事】フラット35の金利タイプは?民間のローンとの違い