住宅ローンを利用するためには、住宅ローンの審査に通る必要があります。審査には事前審査と本審査があり、本審査を通過したあとに正式に契約することになります。
現在の審査では、事前審査に通過するかどうかがポイントとなっており、この記事でも事前審査を中心に、住宅ローンの審査について解説していきます。
目次
住宅ローンの審査方法
住宅ローンの審査方法は、一般的に事前審査と本審査があります。審査では、年齢や勤務先、年収などの人物審査と住宅の立地や担保価値などの建物審査があり、最終的に本審査を通過すれば融資を受けられます。ここでは事前審査と本審査の内容や違いについてまとめます。
事前審査の方法
事前審査は、審査に通る可能性があるかどうかの目安になり、年収や取得予定の住宅などについて審査します。住宅ローンの契約と同時に住宅の売買契約(請負契約)も進める必要がありますので、事前審査の結果を見て、住宅の手続きも進めます。
事前審査に必要な日数は、おおむね1~2日程度と短期化傾向にあり、早ければ当日に結果がわかる場合もあります。審査は、必要な書類がそろってから行われますので、源泉徴収票や取得予定の住宅の間取り図など住宅関連書類をまとめておくといいでしょう。特にネット銀行に審査を申し込む場合、書類は自分で用意する必要がありますので、少し余裕を持って準備しておきましょう。
なお、最近では不動産会社が書類の準備などをできる限り代行する有料サービスを実施していることがあります。仕事が忙しく、書類の確認が十分できない場合などに検討してみるといいでしょう。
本審査の方法
本審査は事前審査の内容に加え、住宅の担保評価などについて慎重な審査が行われます。そのため、事前審査に比べると少なくても1~2週間程度の日数を要しますが、時期によっては、1~2か月程度みておいた方がいいでしょう。
本審査は事前審査の内容に誤りがないかなどの確認が行われます。そのため、事前審査の内容から大きな変更がなければ、本審査も通過しやすいのが一般的です。事前審査と同様、審査に必要な書類は多いため、書類を一か所にまとめておくといいでしょう。また、住民票など取得に時間がかかる公的書類を先に準備しておくとスムーズに進めることができます。
事前審査が行われる理由
数千万円の高額な融資の審査であるため、審査内容は多岐に渡り、時間がかかるのが一般的です。しかし、住宅の売買契約や請負契約は融資を受けられて初めて成立するため、なるべく短期間で返済能力を確認する必要があります。
また事前審査なしに契約を進めてしまうと、融資金額に見合う返済能力がない場合には契約が破棄となるため、利用者にとっても金融機関にとっても時間の無駄となります。そこで、事前審査である程度返済能力を審査することで、審査の効率化を図っています。
事前審査がない金融機関もある
事前審査をするメリットについて解説しましたが、新生銀行など事前審査がない金融機関もあります。事前審査として手順を踏まなくても、事前相談で年収などを確認することである程度の返済能力を見極めることはできます。また、事前審査をなくすことで、申し込みから融資までの時間を短縮することができます。
事前審査の有無で判断するのではなく、契約がスムーズに行くかどうか、不動産会社と金融機関がどのような流れで手続きを行うかについて、確認することが大切です。
事前審査の審査基準と審査前に準備しておきたいこと
住宅ローンの事前審査では、金融機関ごとに審査内容は異なりますが、共通点も多く、審査に通るための対応が可能です。ここでは、事前審査で重視される項目や事前に準備できることをまとめます。
事前審査で重視される項目
事前審査では、おもに「完済時年齢」「借入時年齢」「年収」「勤続年数」「返済負担率」など、すぐに確認できる情報をもとにした審査が行われます。返済負担率(年収に対する総返済額)が一定の基準を満たしていれば、返済能力があると考えられます。また、「年齢」は収入がある時期と返済時期が適合しているか、退職したあとも返済し続けることができるかについて審査されます。
上記に加え、希望する住宅に対する「融資可能額」や「カードローンなど他の債務状況」なども確認されるでしょう。事前審査でできる限り正確な情報を伝えることで、審査の精度を上げ、本審査が通るかどうかの目安となります。
- 完済時年齢:長期の借入となるため、高齢になっても無理なく返済していけるかを重視しています。
- 健康状態:健康状態が良くないと団体信用生命保険への加入ができなくなり、住宅ローンの申込み自体もできなくなってしまいます。
- 担保評価:不動産の担保評価が低い場合融資額が少なくなることがあります。
- 年収:年収が低いと借入が難しくなります。年収が高くても、複数のローン返済がある(返済負担率が高い)場合は借入が難しく傾向があります。
- 個人信用情報:キャッシングやクレジットカードの返済遅延の有無をチェックし、返済能力をみています。
審査を通すために考えておきたいこと
審査に通るためには、年収に見合う借入額となる必要があります。借入額を減らすためには、頭金を準備したり、審査に通る住宅規模にしたりすることで、通りやすくすることができます。ペアローンなど夫婦で住宅ローンを利用する方法もあります。
また、返済負担率を計算する際に用いる「総返済額」には、住宅ローン以外の自動車ローンやカードローンも含まれます。そのため、審査前にほかのローンを完済するのも有効な手段となります。実際、審査の結果は、「融資不可」よりも「ほかのローンを完済すること」などの条件付きとなるケースが多く、可能であれば前もって対応しておくといいでしょう。
なお、なるべく早い段階から、クレジットカードや携帯電話の利用料金などの返済が遅れないよう注意しておきましょう。
事前審査に落ちたときのための備えもしておく
事前審査で重視される内容を理解しておけば、たとえ事前審査に通らなくても対応することができます。このことに加え、審査内容は金融機関によって異なりますので、審査の申し込み先を変更することで解決する可能性もあります。
事前審査の日数が短期化しているとはいえ、一つひとつ申し込んでいると時間がかかってしまいますので、2~3行の金融機関に事前審査を申し込んでおき、審査が通過した金融機関について検討するといいでしょう。一括で複数の金融機関に審査を申し込みができるサービスもあります。
ただし、申し込む金融機関すべて金利が低水準など、審査が厳しい金融機関のみ審査に申し込むと同じ結果になる可能性がありますので、都市銀行、ネット銀行、自宅近くの地銀やJAなど幅広く申し込む方法もあります。
借り換えの審査基準
借り換えを検討している方も、審査基準を理解することは重要です。借り換えの審査基準について解説します。
住宅ローンの借り換えとは
借り換えは、返済中の金融機関からほかの金融機関に借入先を変更することです。新しい金融機関に融資を申し込みますので、審査に通る必要があります。新規借入時とは異なり、融資金額が減少していますが、住宅の担保価値が下がり、十分な融資が受けられない可能性も考えられます。また、家計状況の変化により、住宅ローン以外の債務が増えている可能性もあります。
借り換えの審査で確認しておきたいこと
住宅ローンの審査については、借り換え時にも行われます。借り換えまで遅滞なく返済してきたか、これまでの返済状況も確認されるでしょう。また、新規借り入れ以後、自動車ローンや教育ローンなど新たなローンが増え、返済負担率が悪化していることがあります。借り換え時期によっては、健康状態に変化が見られ、団信の加入に影響することも考えられます。
新規借入時と同様、審査に通るよう、必要であれば家計の改善を検討しましょう。
ご家庭にとっても余裕を持った借り入れが重要
住宅ローンの審査では、収入に見合う借入金額になっているかどうかが重要ですので、基準を満たしていない場合は、その他の債務を完済するなどで対応することになります。また、フラット35や一部の金融機関を除き、団信への加入が条件となっていますので、健康状態も重要です。最近は健康状態が心配な人向けの団信も取り扱っていますので、ハードルは下がりましたが、気にかけておきたいポイントの一つであることには変わりはありません。
債務を完済するには、ある程度の準備期間が必要だと思いますので、住宅を希望する方は早めに対応しておきましょう。
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