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将来にわたって安心・安全な住まいを建てるために、地盤調査はとても大切です。いくら強い建物を建てても、その下の地盤が弱ければしっかりと建物を支えることはできません。また地盤の状態によっては、地盤改良費など予想外のコストがかかってしまうこともあります。
適切な地盤調査を行って安全な住まいを実現するには、どのような点に気を付けたら良いのでしょうか。今回は地盤を調べる方法や費用、地盤調査を依頼するときの注意点などについて解説します。
地盤調査とは
地盤調査とは、建物を安全に建設できるか判断するために、地盤の強度などを調べることです。調査結果をもとに「どのくらいの強度を持った地盤か」「安全に建てるためにはどのような基礎にするべきか」などを判断します。
地盤調査の結果、軟弱地盤だと判断されれば、地盤改良工事が必要となることも。地表をセメントで固めたり、杭で建物を支えたりと、地盤の状態に合わせた対策がとられます。そのままの状態で建物を建ててしまうと、建物の重みで地盤が沈下したり、家が傾いたりする可能性があり危険です。
地盤の強さは場所によって異なる
地域の方や不動産業者から「このあたりは地盤が強いから」といった話を耳にすると、「地盤調査は必要ないのでは?」と思われるかもしれません。しかし同じ地域内でも、土地によって地盤の状態はバラバラです。地盤改良が必要な土地もあれば、そのままでOKという土地もあります。
さらに同じ敷地内でも、建物を建てる位置によって地盤の強さが変わることも。安全に建物を支えるために、どのような建て方をすればよいのかを知るためには、やはり地盤調査が必要なのです。
建築基準法で原則義務化されている
建築基準法でも、新しく住宅を建てる際の地盤調査が原則として義務付けられています。簡単に言うと「地面の強さに合わせた基礎をつくらなければならない」というルールで、一部の建物を除いて、基本的には地盤調査が必要となります。
瑕疵担保保険にも地盤調査が必要
もう一つ地盤調査が欠かせない理由として「瑕疵担保保険に加入するために地盤調査が必要」という背景もあります。
2000年に制定された「品確法」のなかで、住宅の引き渡しから10年以内の設計・施工ミスによる欠陥は、施工業者などが責任を負うよう定められています。もし基礎・土台・柱などの構造上主要な部分の欠陥や、雨漏りが見つかった場合、修理費用などを保証してもらえるという制度です。
万が一のときに施工会社に多額な負担がでてくるので、瑕疵担保責任保険に加入するのが一般的です。地盤調査は、この保険の加入条件の一つになっています。
地盤調査の方法
地盤調査にはさまざまな方法がありますが、今回は一般的に行われている2種類(スクリューウエイト貫入試験・ボーリング調査)について解説します。
スクリューウエイト貫入試験
戸建住宅の地盤調査として、最も普及しているのが「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」です。スウェーデンで開発された試験方法なので、「スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)」と呼ばれることもあります。
使用する道具は、重りをつけた「ロッド」と呼ばれる鉄の棒。これを回転させながら地盤に垂直にねじ込み、重さと回転数から地盤の強さを調査します。ロッドがスムーズに沈めば軟弱地盤、なかなか沈まないようであれば固い地盤ということです。荷重がかかりやすい建物の四隅と、中心部分の計5か所を測定するのが一般的です。
スクリューウエイト貫入試験の特徴は、低コストで簡易的に試験できる点です。土質については「粘土土・砂質土・礫質土」のどれにあたるかをざっくりと知ることはできますが、ボーリング試験のように詳細に調べることはできません。
ボーリング調査(標準貫入試験)
マンションなど大規模な建物を建てる際には、一般的に「ボーリング調査」が採用されます。「ボーリング=くりぬく」という意味で、地面に円筒状の穴を掘って地盤の強さを測定する方法です。
具体的には、65.5kgの重りを75cmの高さから落下させて「何回落とせば30cmを貫通するか?」で地盤の強さを判断します。深さ1mごとに試験を行い、このとき土のサンプルを採取して観察することもできます。
マンションの地盤調査には、「支持層(固い地層が連続する層)を見つける」という明確な目的があります。支持層まで杭を打たなければ、マンションのような大きな建物は支えられないからです。そのためスクリューウエイト貫入試験より深くまで詳しく調査でき、支持層が見つけられるボーリング調査が行われます。
ボーリング調査には、広い調査スペースが必要です。高さ5mほどのやぐらを組んだり、掘削専用機械をトラックで搬入したりと、作業も大がかりになります。試験期間が長く、コストも高くなるため、木造戸建住宅ではあまり採用されません。
地盤調査の費用の目安
スクリューウエイト貫入試験とボーリング調査では、かかる費用が変わってきます。それぞれ地盤調査費の目安を見ていきましょう。
スクリューウエイト貫入試験の目安
スクリューウエイト貫入試験にかかる費用は5万円前後。ボーリング調査に比べると、低コストで行うことができます。調査にかかる時間も約半日と短めです。
ボーリング調査の目安
ボーリング調査にかかる費用は、15~25万円程度が目安。穴を掘る数や深さによっても費用は変わってきます。調査にかかる期間は、1日から数日と長めです。
地盤調査をするタイミング
地盤調査が行われるのは、主に土地を購入して新しくを建てるタイミングです。また、既存の住宅を取り壊して、新しい建物に建て替えるときにも行われます。
土地を購入して家を建てるとき
土地を購入して新しく住宅を建てるときには、基本的に地盤調査が行われるものだと考えて良いでしょう。先述したとおり、建築基準法で原則義務化されており、瑕疵担保責任保険に加入するためにも必要だからです。
ここで一つ注意したいのが、土地購入前の地盤調査は難しいということ。なかなか売主からの許可が下りないという理由もありますが、建物を建てる位置や間取り図が具体的に決まっていないので調査できないと考えられます。
そのため基本的には土地の契約が済み、建物のプランがある程度決まった段階で地盤調査を実施するという流れになるでしょう。土地購入前に地盤の状態を知りたい場合、ハザードマップや古地図などを調べることで、どのような土地かある程度の予測ができます。また国が調査した地盤の情報を閲覧できる「Kunijiban」というサイトもあるため、活用されると良いでしょう。
家を建て替えするとき
親から相続した家や、古くなった家を建て替えるようなときにも、必ず地盤調査が行われます。「今まで建物が建っていたから大丈夫では?」と思われるかもしれませんが、同じ敷地内でも家を建てる位置によって地盤の強さは変化するからです。
どこに家を建て替えるのか、どのような基礎にするのか等のプランがある程度決まった時点で、地盤調査を行うという流れになるでしょう。
地盤調査に関する注意点
最後に、地盤調査を依頼する業者選びや、土地選びの際の注意点について解説します。
専任技術者がいる業者に依頼する
適切に地盤調査を実施するには、豊富な知識や経験が必要です。地盤調査を依頼する会社を選ぶときには、「地質調査技士」「地盤品質判定士」「住宅地盤技士」などの資格を持った専任技術者がいるか確認されるとよいでしょう。
また地盤調査を行っても、A社は「ベタ基礎であればいい」、B社は「地盤改良が必要」といったように、業者によって判断が異なることも珍しくありません。なぜなのかと思われるかもしれませんが、建物自体の耐震性も「建築基準法ギリギリで建てるのか、もっと余裕を持たせて建てるのか」と幅広い選択肢のなかから、安心とコストのバランスを考えて決めていきますよね。
地盤改良や基礎について決めるときにも、同じようにさまざまな判断ができるということです。やはり信頼できる業者に依頼して、よく話を聞きながら決めていくことが大切になります。
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地盤調査報告書を発行できる業者に依頼する
地盤調査報告書とは、地盤調査の結果を写真や文章にまとめた報告書です。地盤調査は原則義務ですが、報告書の発行は任意となっています。土地の状態を証明できる書類となるため、事前に発行できるか確認されると安心です。
調査不備における保障の有無を確認する
地盤が原因での建物の傾きや沈下は、建ててすぐに生じるものではありません。数年後にジワジワと傾き始めたり、地震をきっかけとして一気に現れたりします。もちろん精度の高い調査を行える業者を選ぶことが前提ですが、保証システムの有無や内容についても確認された方が良いでしょう。
地盤改良が不要ならコスト削減できる
地盤改良費の目安は50~150万円ほど。広さや工法よっても変わってきます。予算の関係でハイグレードのシステムキッチンをあきらめることはできても、地盤改良の費用は削ることができません。
そもそも地盤が強い土地で、地盤改良が不要であれば大幅にコストを削減できます。正確な地盤の状態は地盤調査をするしかありませんが、軟弱地盤の可能性が低い土地を選ぶことは可能です。河川を埋め立てた場所や、傾斜地を造成した場所など、軟弱地盤の比率が高い土地はなるべく避けると良いでしょう。
まとめ
地盤調査は安心・安全な家づくりに欠かせないものです。これから土地を購入して家を建てる方、建て替えを行う方は、基本的には地盤調査は行うものだと考えておきましょう。
地盤調査の結果、地盤改良工事が必要ということになれば、それなりの費用がかかってきます。土地探しの際には、地盤の強さも意識されることをおすすめします。
もちろん家を建てる前にきちんと地盤調査を行いますが、土地を購入する前に何か問題点はないか調べておくと良いでしょう。ハザードマップや古地図を確認されたり、近隣の土地の状態を確認したりすることで、ある程度の傾向を知ることができます。
ご自身でインターネット等を活用して調べることもできますが、知識と経験を持ったプロに見てもらうと安心です。ナカジツでは土地探しから家づくりをサポートいたしますので、ぜひご相談ください。
執筆:住宅ライター 村田日菜子さん
ナカジツの地盤調査
ナカジツでは建設着工にあたり、第三者機関にて不同沈下の危険はないか現状の地盤状況の調査を行い、地盤強度を調べています。
採用しているのは「スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)」です。調査の結果は地盤調査報告書としてお渡し、お施主様にもご覧いただいています。
地盤調査の結果をもとに、表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法の中から地盤状況に合った地盤補強工事を行います。適切な地盤補強を行うことで、地盤の強度を長年維持することができるのです。
さらに保証に関しては、地盤品質証明書をご提出し、工事に瑕疵があった場合は修復費用を10年間保証します。
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