断熱等級5とは?断熱等級の制度と、必要性について解説

断熱等級5とは?断熱等級の制度と、必要性について解説

掲載日:2022.12.21

断熱等級5とは

2022年は断熱等級5、6,7が新しくできたんだね。

そう。戸建ての住環境にとって重要な断熱性能についての制度が改正されたんだ。

じゃあ、一番上の断熱等級7がいいな!

ちょっとまって。等級が高いものがベストな選択とは限らないよ。解説を聞いてからでも遅くないんじゃない?

断熱等級5とは?

断熱等級5とは、住宅の断熱性能を示し、従来は4までだった断熱等級の上位の等級として新設されました。品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で定められる住宅性能の一つです。

断熱等性能等級とは

一般的に断熱等級といい、住宅の断熱性をわかりやすく表す目安です。断熱性の高い住宅であれば省エネルギーで住宅内の温度を快適に保つことが可能になります。

今までの制度の道のりは下記の通りです。

断熱等級 設定年度 概要
等級1 1988年以前 基準無し(無断熱)
等級2 1989年 旧省エネルギー基準、冬はかなり寒い昔ながらの住宅
等級3 1992年 新省エネルギー基準、一定レベルの断熱性を持つ
等級4 1999年 次世代省エネルギー基準、品確法では2022年3月までの最高等級
等級5 2022年 ←NEW 等級4より上の「ZEH水準」の断熱性能と同等

ちなみにZEH(ゼッチ)とは「ネットゼロエネルギーハウス」、太陽光発電等のエネルギー創出を行い一次消費エネルギー(石油、石炭などによるエネルギー)が実質ゼロ以下になるように作られた省エネ性能の高い住宅のことを指します。

断熱等級5につづく断熱等級6、7とは

さらに、2022年10月には断熱等級5の上位の等級として、断熱等級6、断熱等級7が新設されました。

これは今まで民間団体が提唱していた高断熱住宅の基準であるHEAT20のG2に合わせた基準となっています。

HEAT20は、省エネというだけではなく健康に暮らすことのできる居住空間という面からつくられた基準なんだよ。

断熱等級 UA値
(地域区分6・7)
設定年度 基準
等級5 0.6 2022年4月1日 ZEH
等級6 0.46 2022年10月1日 HEAT20 G2
等級7 0.26 2022年10月1日 HEAT20 G3

断熱等級5の基準とは?

断熱等級の基準には外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)があります。寒冷な地域ほどUA値は低く(断熱性能が高く)設定されています。ナカジツ本社のある愛知県岡崎市(6地域)の値でいうと、断熱等級5ではUA値は0.6です。

地域区分

資料)一般社団法人日本サステナブル建築協会 

地域区分 等級4
(2022年9月30日までの最高等級)
ZEH基準 HEAT20 G1 HEAT20 G2 HEAT20 G3
6地域のUA値
(愛知など)
0.87 0.60 0.56 0.46 0.26

 

何の制約も無ければ断熱性能を極限まで上げることもできますが・・・。
断熱性を高めるには断熱性の高いドアや窓にしたり、断熱材の種類や厚みを変えたりと費用がかかります。費用と性能のちょうどいいバランスが重要です。

断熱等級5の断熱材の厚さは?

断熱等級の元となるUA値は断熱材だけではなく、窓や扉などの性能も踏まえ算出される数値です。そのため、断熱等級によって断熱材の素材や厚さが決まっているわけではありませんが、国交省が提示する事例の一つをご紹介します。(2023/6/29訂正)

省エネ基準が断熱等級4、ZEH基準が断熱等級5です。

等級ごとの断熱施行の仕様

断熱等級5のみを抜粋すると以下の通りです。

断熱等級5(ZEH基準)
断熱材仕様例
※高性能グラスウール
天井 (18K)210mm
外壁 (16K)105mm
内側(32K)42mm+外側(32K)80mm

(2024/5/2更新)

「省エネ基準を満たすためのお勧め建材ガイド」及び「ZEHのつくり方」より抜粋を引用

断熱等級5の場合のサッシは?

窓(サッシ)は住宅の断熱を考える上で重要な箇所です。住宅の窓など(開口部)からは冬は50%もの熱が逃げ出し、夏は74%もの熱が入り込んでいます。そこで、気密性が高く熱伝導率の低い樹脂サッシにし、2重ガラス、3重ガラスにするなどの対策をすることで断熱性を高めることができるのです。

窓からの熱貫入率は大きい

Low-E複層ガラスに、 熱を伝えにくいアルゴンガスを封入した窓は、さらに高断熱な仕様になるよ!

ナカジツの新築住宅アソビスミカ

断熱等級5が新設されたのはなぜ?

なぜ従来の最高等級だった断熱等級4を上回る等級が新設されたのでしょうか。それは世界的に「脱炭素」が叫ばれており、建物の断熱性能を高めることでエネルギー消費量を抑えようとしているためです。

日本はその「脱炭素」への取り組みに対し、後れをとっていました。

ヨーロッパの国々は(緯度が高く寒冷なこともありますが)日本より厳しい断熱基準が定められています。

断熱基準
日本 0.87(断熱等級4の6地域(東京・愛知など))
イギリス 0.42
フランス 0.36
アメリカ 0.43
ドイツ 0.40

断熱等級5の新設はいつから?

断熱等級5は2022年4月1日、断熱等級6、7はその半年後である2022年10月1日に新設されました。

こうして段階的に施行され、2025年には従来最高等級であった断熱等級4が最低基準となり、それ未満の住宅は建築することができなくなります。

長期優良住宅の断熱等級5適用はいつから?

長期優良住宅の条件が断熱等級5となったのは2022年10月1日の改正時からです。

長期優良住宅とは長く快適に住むことのできる良質な住宅であると認定する制度です。住宅ローン控除など住宅購入の補助制度でも長期優良住宅はそうでない住宅よりも手厚くなっています。

長期優良住宅の性能項目「省エネルギー対策」に該当する断熱性能は、従来が等級4だったものが5に引き上げられ、一次エネルギー省批評等級は6に設定されました。

2024・2025年の住宅ローン控除最大控除額
  一般新築住宅 「長期優良住宅」を含む認定住宅
2022~2023年 273万円 455万円
2024年~2025年 0円 409.5万円

これから新築する場合、断熱等級はどうしたらいい??

断熱等級5、そして6、7の新設は住宅業界の長年の課題でした。
そこをやっと、国が動いたことで今後断熱性能の底上げが行われることとなったのです。

これから新築住宅を購入する場合は、断熱等級5以上の性能が必須だね!
ナカジツのAsobi-創家(アソビスミカ)も、断熱等級5だよ。

断熱等級の最低基準は5まで引き上げ

長らく最低基準が定められていなかった断熱等級ですが、2025年には断熱等級4、2030年には断熱等級5と段階的に引き上げられる予定です。

基準引き上げ後、これを満たさない住宅は建築基準法において「既存不適合」となってしまいますし、住宅購入の際に税控除や補助金などの恩恵を受けられなくなってしまいます。

断熱等級4(省エネ基準) 2025年以降の最低基準
断熱等級5 (ZEH基準) 2030年以降の最低基準

断熱等級と合わせて注目したい「C値」とは

断熱等級と合わせてもう一つ忘れてならないのはC値(家の隙間の量)について。
断熱等級だけではなく、一棟一棟C値を測定して、低い値(1.0以下=隙間が少ない)を達成していることで健康かつ 快適に暮らせる住宅が可能になります。

ハウスメーカーや工務店には、断熱等級とC値、両方合わせて聞いてみることで施工レベルや、性能への意識の高さを知ることができるよ。

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