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「考える間も与えられず、高額の契約をしてしまった!」クーリング・オフはそんな消費者への救済制度です。契約後であっても一定期間内に解消を申し出ることで契約を取り消すことができます。
不動産売買取引も高額で影響の大きい契約です。どのようなクーリング・オフ制度があり、どのような条件があるのでしょうか。
目次
クーリング・オフとは
不動産のクーリング・オフについてご紹介する前に、まずは一般的なクーリング・オフ制度について知っておきましょう。
訪問販売や電話勧誘販売などで突然販売営業をされ、冷静な判断ができない状況で契約を結んでしまう、契約内容が複雑で内容をよく理解していない状態で契約をしてしまうことがあります。
そんなとき、契約後でも頭を冷やして考え直すことができるよう消費者救済の方法としてクーリング・オフ制度が設けられました。契約から一定の期間であれば無条件で契約の撤回、解除を行うことができる制度です。
一般的に知られているクーリング・オフ制度は特定商取引法で規定されている7つの取引類型のうち6つを対象としています。(訪問販売、電話勧誘販売などが含まれます)残りの一つである通信販売は返品をすることが可能ですから、返品についての特約を確認しましょう。
不動産取引でもクーリング・オフはできる?
前置きが長くなりましたが、クーリング・オフの基本的な部分がわかったところで、いよいよ不動産取引においてのクーリング・オフをご紹介しましょう。
不動産取引においても売買契約は金額が大きく被害回復が難しいため、消費者保護の観点からクーリング・オフについて宅地建物取引業法(宅建業法)の37条2項にて定められています。
不動産取引でクーリング・オフが適用される条件
不動産取引でクーリングオフが適用されるのは下記のような場合です。
- 売主が宅地建物取引業者である
- 買主が宅地建物取引業者以外である
- 契約場所が宅地建物取引業者の事務所や関連建物以外である
- 代金を支払っておらず、引き渡しもうけていない
- クーリング・オフの説明を受けてから8日以内である
不動産売買のクーリング・オフの場合でも、落ち着いて契約について考えられる状況であったかどうか考慮されます。引き続いてそれぞれの項目を詳しくみていきましょう。
売主が宅地建物取引業者である
不動産売買のクーリング・オフは売主が宅地建物取引業者である場合に適用されます。
不動産売買では売主と買主の間に不動産会社が介在するため、不慣れな方は売主が個人か業者かわかりにくいかもしれません。不動産購入を検討する場合は売主が誰であるかもしっかり確認しておきましょう。
買主が宅地建物取引業者以外である
宅地建物取引業者であれば不動産取引に関する知識は十分あるはずです。ですから、買主が宅地建物取引業者である場合には適応されません。
契約場所が宅地建物取引業者の事務所や関連建物以外である
契約を宅地建物取引業者の事務所などで行った場合はクーリング・オフは適用されません。この事務所などというのは国土交通省令・内閣府令で定める、宅地建物取引士がおり、継続的に業務を行う案内所などの施設(マンションのモデルルームや戸建のモデルハウスなど)も該当します。事務所などには専任の宅地建物取引士がいることによって、業務が適正に運営されると判断されるからです。
その他クーリング・オフが適用されない場所として、買主(申し込み者)自ら希望して自宅や勤務先を契約締結の場所として指定した場合が挙げられます。自宅、勤務先であれば落ち着いた判断が可能であるという考えからです。
代金を支払っておらず、引き渡しもうけていない
買主(申し込み者)が不動産の引き渡しをうけ、なおかつその代金の全てを支払ったときはクーリング・オフの適用をうけることができません。
クーリング・オフの説明を受けてから8日以内である
不動産取引時のクーリング・オフについては、クーリング・オフができる旨が書かれた書面により告知された日を含め8日以内であれば可能であり、書面にて説明がされていなければ永久にクーリング・オフをすることができます。注意したいのが、クーリング・オフの書面を貰った日を1日目としてカウントすることです。
不動産取引においてクーリング・オフができる条件は以上の通りですが、もしこれらの条件に反する特約があった場合、それらは無効となります。
不動産をオンライン契約した場合はクーリング・オフできるのか
不動産売買の際に重要事項説明(重説)をオンラインで行う「IT重説」が2021年4月から開始されました。契約自体の非対面化はそれ以前から法的には可能でしたが、重要事項説明を対面でおこなう必要があり、契約のオンライン化のネックになっていました。
本格的な開始に先駆け行われたIT重説の社会実験に際して、国土交通省から発行された不動産業者向けのガイドラインにクーリング・オフについて触れている箇所があるため引用します。
関する説明を受ける旨を申し出た場合にあっては、その相手方の自宅又は勤務する場所ではクーリング・オフ制度は適用されないが、それ以外の場合には、クーリング・オフ制度は適用されることに留意する必要がある。なお、現実に紛争が発生した場合においては、相手方が申し出たか否かについて立証が困難な場合もあると予想されるので、クーリング・オフ制度の適用除外とするためには、契約書あるいは申込書等に顧客が自宅等を契約締結等の場所として特に希望した旨を記載することが望ましい。
以上のようにIT重説を行う際消費者が自ら自宅などクーリング・オフの対象とならない場所の指定をし、そのまま契約を行う場合は従来の対面での契約同様クーリング・オフの対象外となると考えられます。
契約には売主も立ち会うため、オンラインで契約をする場合には売主の同意を得なければなりません。事前に不動産会社を通して可能かを確認しておきましょう。
【2022/5/18改正宅地建物取引業法施行】
法改正では、クーリングオフにあたって、非対 面での契約締結等の場合は、顧客の所在場所及び顧客が当該所 在場所での契約締結等を希望したことを確認し、記録すること が望ましいとされました。
不動産取引のクーリングオフは書面で行う
クーリング・オフをする場合は書面で不動産業者に通知する必要があります。送ったことが証明できるよう内容証明郵便を利用しましょう。書面はコピーをして手元に残しておくとよいでしょう。
買主の立場だけでなく売主としても知っておきたいクーリング・オフの知識
不動産は大きな買い物ですから、本来あってはならないことですが考える時間をとることができない状況で契約をさせられてしまった場合の救済措置としてクーリング・オフの制度があります。これは宅地建物取引業者が売主の場合にのみ適応されますから、個人の売主がこれに応じる必要はありません。
不動産の購入・売却はお近くの不動産SHOPナカジツまで
不動産売買には多くの専門知識が必要となります。信頼できる不動産会社に依頼することで安心して契約を進めましょう。その際は、ぜひお近くの不動産SHOPナカジツまでご相談ください!
参考にさせていただいたページ:クーリング・オフ(テーマ別特集)_国民生活センター