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不動産の「告知事項」とは?説明義務はいつまであるの?

不動産の「告知事項」とは?説明義務はいつまであるの?

掲載日:2021.10.29

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とある賃貸物件に住んでいたチューカイくんは、お部屋の更新期間が近づいてきたため、せっかく更新するなら、と引っ越し先を探していました。

この間物件検索していたら、とってもきれいなお部屋を見つけたんだ!
立地もいいし、お値段もびっくりするくらい安かったから、もうここに決めちゃおうかなって思ってるんだ…!

ちょっとまって!その物件、もしかして『告知事項あり』って書いてない?

『告知事項』……?あ、本当だ、書いてある……!すごいね、どうして分かったの?もしかして、超能力……(ごくり

超能力は使えないけれど、『告知事項』があるということは、【契約前にお知らせしたいことがある】物件なので、絶対確認しておきたい大切な項目だよ。

そうなんだね……!契約前に伝えたいって言うくらいだから、余程大切なことなのかなぁ。

どんなことが告知事項になるか、一緒にチェックしていこう。

不動産の「告知事項」とは 

告知事項とは、契約前に必ず確認が必要な内容であるということが分かりました。実際にどのような内容が告知事項となるのか、チェックしていきましょう。

何かしらの訳あり物件である

告知事項があるということは、その物件は何かしら問題を抱えている、という状態になります。告知事項ありの物件は、一般的に事故物件』『心理的瑕疵物件』『訳あり物件と呼ばれ、現状は人を選ぶ不動産として認知されているのが現状です。

インターネットで情報収集をする際、掲載物件の良し悪しは掲載されている物件写真を重要視している方がほとんどなのではないでしょうか。ところが、実際に告知事項ありとなっている物件写真は、何が問題なのか判断が付かないほどきれいな状態の写真が掲載されていることも多いのです。

広告上では告知事項の内容まで深堀りすることができないため、物件写真のみで判断し契約する行為は非常にハイリスクであることを認識しておきましょう。

相場の価格より安くなっていることが多い

告知事項ありとなっている物件は、価格相場を大きく割り込んだ価格設定がされているパターンが多く確認されます。
値段だけに注目しながら検索結果を追っていくと、突然相場より2~3もお安い物件が現れるため、その低価格に目を疑う方もいるのではないかと思います。

瑕疵の内容や状況に影響されるため一概には言えませんが、詳しい内容を知りたい方は情報提供先に問い合わせてみると良いでしょう。

いわゆる事故物件であることが多い

告知事項がある物件のことを事故物件と呼ぶようになった背景に、居室内にて様々な事情で死亡事故が発生しているという事実があり、今では業界用語として定着しています。
事故物件を見分けるためのホームページも存在しているため、気になる方は事前に調べておくと良いかもしれません。

告知事項の種類

告知事項ありと記載される理由は事故物件だから、というだけではありません。告知事項にはいくつかの種類があります。
告知事項部分がいわく付き物件』『訳あり物件とマイルドな表記となっていることもあるため、チェックする際には注意して見てみましょう。

自殺や殺人など

心理的瑕疵と呼ばれています。
過去に死亡事故が発生している物件に住むとなると、多くの人は嫌悪感を抱くことと思います。この心理的な抵抗感のことを心理的瑕疵と言って、生活に影響を与える可能性が高いと思われます。
殺人事件や死亡事故、自殺などの不審死が発生している物件には心理的瑕疵が発生するため、告知義務が生じることになります。

自然死であったとしても、死後~発見までの時間経過により、遺体の状態が悪く特殊清掃が発生してしまった場合などでは告知する義務があるので、貸主からの説明が必須となるのです。

漏水や土壌汚染など

物理的瑕疵は心理的瑕疵とは真逆の関係で、大雨や地震、火災などの影響で建物自体に受けたダメージが未解消の状態であることを言います。
物理的欠陥があると、いざ住んでみてからすぐに修繕が必要になってしまう可能性も十分に考えられます。
賃貸であれば、原則として賃貸人が修繕義務を負担するよう定められています。
しかし、契約書の特約に特約として、修繕義務を免れることができるような契約内容を記載している可能性もあるため、サインの前に念のため確認しましょう。

心配であれば購入前にホームインスペクション(住宅診断)を実施したり、すでに調査済の物件を購入したりできれば安心ですね。
難しい場合は売主側から貰える『告知書(付帯設備及び物件状況確認書)』を確認し、記載がない瑕疵が原因で建物自体の維持が難しい状態と判明された場合は、『契約不適合』として責任の追及が可能です。

瑕疵部分を修繕・交換してもらうことや、売買の金額を値下げしてもらうなどの対応が可能になりますので、瑕疵を発見したら可能な限り早めに売主へ連絡しましょう。契約不適合が適用できるのは、特約がない場合『瑕疵に気付いた日から1年以内』となっています。
引っ越し前から荷物搬入直前くらいまでに改めて部屋全体をチェックして、写真を撮っておくといいかもしれません。
また、工業系の用途地域にて土地や建物を購入する予定であれば、土壌汚染にも注意が必要です。 住みたい街の用途地域を把握することで、その土地や周辺環境の違いにも目を向けてみる良い機会になるでしょう。  

≪関連記事≫ 用途地域とは?土地探しに役立つ用途地域の一覧とその応用

行政のルールに抵触している

法的瑕疵とは、法律により建物に使用制限がかかっている状態のことを指します。
ここで言う法律とは建築基準法』『消防法』『都市計画法などが当てはまり、容積率や建ぺい率、防火扉、避難はしごなどが適切に適用・設置されているかなどがチェックのポイントです。
また、法的な制限がついていることによって建物の建て替えができない『再建築不可能』な物件も法的瑕疵物件の一つ。昔からの下町や法施策の前に建てられた中古物件がこちらに該当する場合が多く見られます。

≪関連記事≫
再建築不可物件の購入前に知っておきたい基本、メリット・デメリットを解説
家を建てるなら知っておきたい「建築基準法」ってなに?

周辺環境が悪い

該当物件の周辺環境が劣悪な状況である場合、環境的瑕疵が適用となる可能性があります。
周辺環境の状況は、暴力団・宗教団体の施設の有無から、異音、騒音の状況なども含めて判断基準としています。
生活を送る上で必要だとでも、自分の住んでいる家の近くにあると住むことを躊躇してしまうような施設と言われると、どんな施設を思い浮かべるでしょうか。

火葬場、ゴミ処理場、下水処理場、発電所などが思い浮かぶ方は多いのではないかと思います。
また、保育園や幼稚園、学校に関しても人によっては騒音が気になり、生活スタイルによっては環境的瑕疵になり得る建物となります。

環境的瑕疵は事前の調査や現地を実際に見てみることで、引っ越し前に様々な情報を得られることが多いです。百聞は一見に如かず。現地を直接目視できることが一番ですが、難しい場合ハザードマップも併せて確認しながら、Googleアースなどで希望地の周辺散策を行っておくだけでも、かなり違うはずです。

告知事項の説明義務はいつまで? 

不動産会社側には、このような瑕疵が発生した不動産の購入希望者に関して、物件説明の義務が生じます。また、どんなに伝えづらい内容であっても必ず告知事項として重要事項説明書に記載し、説明が必要になります。
この説明義務は、一体いつまで有効となるのでしょうか。

心理的瑕疵の告知義務期間は、瑕疵発生から3年間

国土交通省にて令和3年10月8日に策定された人の死の告知に関するガイドラインによると、このようないわゆる『事故物件』の告知事項は、賃貸の場合3年間と言われています。
病気や老衰による自然死であっても、ご遺体の状況や事故死と自然死の区別がつかない場合は告知義務が発生します。
また、建物外で発生した事故告知義務の対象外となります。

≪参考≫宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)

売買契約の場合、経過期間に関わらず告知義務がある

先ほどは賃貸の場合の告知義務をご紹介しました。
一方で売買契約の場合には、いかなる内容であっても期間によって告知義務がなくなることはありません。
これは『人の死の告知に関するガイドライン』がトラブルの未然防止を期待するために策定されたものであるという視点から、賃貸物件よりも売買契約の方が契約金などの額が大きく、トラブルへ発展した際の経済的影響が大きいと考えられるためです。

入居後に瑕疵があると判明した場合は、不動産会社の説明義務違反となり、契約解除や損害賠償請求も可能となります。引っ越し代金も請求可能とはいえ、短期間で何度も引っ越しを繰り返すのは、肉体的にも精神的にも負担が大きいものです。

気になるポイントがある場合は遠慮せずヒアリングし、写真やメモに残し一定期間保管しておきましょう。

金銭的に負担の大きい物件に対してはより厳しい

不動産の告知事項説明義務違反の判例において、売買契約時の告知期間については特に厳しい現状となっています。

20年前に自殺が発生した物件に関しての告知義務違反が認められ、慰謝料の支払いが決定した判例があるほど、特に心理的瑕疵に関しては、瑕疵の内容や入居状況などをもとに個別に判断されることも多いようです。
契約書を取り交わす前の重要事項説明において告知をすればよいとされていますが、直前にこのような重要なことを言われても、その場ですぐに判断できるツワモノはそういないでしょう。
決断に時間をかけたいのに、契約を急かしてくるような不動産会社には、注意が必要です。

自然死などは告知しなくてもいいとされている

心理的瑕疵について、自殺や不審死が発生した物件には告知する義務があります。
しかし、老衰についてはどうなのでしょうか。
こういった、直接的な原因がなく身体機能の衰えによる死『自然死』と定義され、告知の義務はないとされています。

日常生活を送る上で起こってしまった家庭内事故が原因による、階段からの転落死や浴槽での溺死、誤嚥による窒息死などに関しても、すぐに病院に搬送され死亡確認となった場合も告知する義務はなくなります。

しかし、自然死であっても時間が経過してからの発見、特殊清掃が必要になる状態で発見された場合などに関しては告知が必要な事項に該当します。賃貸、売買いずれの場合でも、最初から告知事項ありの物件は考慮対象外であることを不動産会社に伝えることで、無用な時間を少しでも省略しましょう。

告知事項のある不動産に住むメリットとデメリット 

瑕疵物件と言うと、マイナス面が主張しがちな印象がありますが、最近では心理的瑕疵物件を積極的に選んで住む方や、瑕疵物件を専門として取り扱うホームページが作成されるなど、しばしば話題に上ることも。

人によって価値観は異なるため、自分にとって魅力的な面が大きいならば選択肢に入れてみる価値はあるのではないでしょうか。
以下にて、告知事項がある不動産に住むにあたってのメリット・デメリットをご紹介いたします。

メリット

まずは、告知事項がある物件に関して、メリットになると思われる面について見ていきます。

家賃が安い

告知事項がある物件にて、一番のメリットと言っても過言ではないポイントが、こちらの費用面になります。
基本的に、こういった瑕疵物件に関しては需要が少なくなる傾向にあるため、他の物件と比較すると、価格がグッとお安くなっていることが多く見られます。

設備的な問題も見当たらず、築浅で広さも申し分なく好条件であったとしても、家賃や価格が非常に安い場合は告知事項の有無を確認してみると良いでしょう。
何を差し置いても、とにかく安さ重視!という方にとっては魅力的な不動産であると言えるでしょう。

しかし、今後不動産売買の可能性がある場合は、不動産の価値が下がることも考慮した上での購入が必要です。

リフォームされていることが多い

室内で特殊清掃が必要になるような死亡事故が発生した場合、壁や床が一部分だけシミになってしまったり、悪臭がいつまでも取れなかったりすることで、必要箇所もしくは居室内全てをリフォームしている可能性があります。
もしくはリフォームまではいかなくとも、退去時の通常清掃よりはしっかりと清掃が行われているため、物件写真を見る限りは非常にきれいな状態であるケースも多々あるのです。

お部屋の特徴や備考欄に一部リフォーム済み』『フローリング張替え済などの記載があった場合や、写真を見ると1枚だけ畳が新しいといった場合は、事故物件である可能性も念頭に置いた上で内覧などを進めると良いでしょう。

デメリット

次に、デメリットについてご紹介します。いくらメリット面が魅力的であっても、告知事項があるということは何かしらの瑕疵が存在するということになります。
契約前には、必ず確認しておきたい部分です。

精神的な恐怖感がある

心臓に毛が生え、地肌がとても見えないような状態の方でない限り、誰かが命を落としている部屋で生活するという事実が毎日脳裏をよぎることになるのですから、神経質な方にとっては嫌な意味でたまらない状況になってしまうでしょう。
お化け屋敷のような一時的な恐怖が継続的に続くことを考えるだけで、とても耐えられる環境でないことが容易に想像できるのではないでしょうか。

環境的な要因に不備がある場合でももちろん生活環境にダメージを与えることが予想されますが、精神的な負荷がかかることで身体を壊してしまうと、回復にも時間を要する場合が多いです。

また、瑕疵に事件性がある場合は、テレビなどで報道されている可能性も十分考えられます。そういった場合に、住所が特定されやすくなってしまったり、勧誘や訪問営業が来訪したりする回数が増えるといったようなことも念頭に置いておくと良いかもしれません。
神経質な方や、色々なコンテンツに影響を受けやすい方などは、こういった不動産は避けた方が良いでしょう。

生活環境として悪い

毎日、嫌悪施設が原因で深夜まで続く騒音や、周辺の施設から発生する異臭に悩まされる生活は、考えただけでも頭が痛くなりそうな状況であることは確実です。
どんなに精神的に強い方であっても、五感の自由を侵害されるのは非常にストレスがかかると言えるでしょう。
日々ストレス社会で生活する私たちにとって、せめて住居くらいはリラックスできる場所であってほしいと願うのは当然のこと。一時的な居住であっても、これから長期的に居住することを考えるのであれば尚更、こうした瑕疵物件は避けることが無難であると言えるでしょう。

まとめ

それでは、今回の記事をまとめてみましょう。

  • 告知事項あり = 一般的に何かしら不都合がある不動産のこと
  • 瑕疵の種類は大きく分けて心理的瑕疵』『物理的瑕疵』『環境的瑕疵』『法的瑕疵の4つ
  • 瑕疵物件は、人によっては魅力的な不動産になる!
  • 告知事項の内容は説明義務があるが、告知期間がある。不安な場合は担当者に聞いてみよう!

文中で紹介させて頂いた宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省)は、2021年10月8日に発表されたもので、比較的タイムリーな話題となっています。
売主・貸主側には説明義務があるとはいえ、既にトラブルが発生している状況なのが瑕疵物件。
興味本位で住んでみると、取り返しのつかないことになるかもしれないと言うことを良く考えてから選択してみても、遅くはないと思われます。

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