この記事のポイント
- 住宅ローン控除が終了しても、固定資産税の金額は変わらない
- 家計負担が増える主な理由は、所得税・住民税の控除終了による手取りの減少
- 控除終了後は、繰上返済や借り換え、各種節税制度を活用して家計を見直すことが重要
「住宅ローン控除が終わったら、固定資産税も上がるの?」
「控除がなくなって手取りがぐっと減りそうで不安……」
そう感じている方は多いはずです。制度の仕組みを正しく理解すれば、終了後の家計変化にも冷静に備えられます。
この記事では固定資産税との関係についてよくある誤解を解きながら、実際に何がどう変わるかを解説します。
記事の構成
住宅ローン控除終了しても固定資産税は上がらない
結論から言うと、住宅ローン控除の終了は固定資産税の金額に直接影響しません。
ただし、家計の負担感が変わる可能性はあります。

住宅ローン控除と固定資産税は無関係(別制度)
住宅ローン控除は、所得税と住民税を直接減らす制度です。国税庁の定めにより、年末のローン残高の0.7%(令和4年以降に居住した場合)を所得税から差し引き、控除しきれない分は住民税からも一部差し引かれます。
あくまで税額を減らす仕組みであり、固定資産税とは税の種類からして別物です。
参照:令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に対して市区町村が課す地方税です。
税額は固定資産税評価額に標準税率1.4%を掛けて算出されます。ローンの残高や収入とは無関係で、控除の有無にかかわらず毎年同じ評価額の計算に基づいて課税されます。
つまり、住宅ローン控除が終了しても固定資産税の金額は変わりません。課税主体も計算方法もまったく異なる制度なので、混同しないようにしましょう。
家計負担は増える可能性あり
住宅ローン控除が終わると、これまで減額されていた所得税・住民税がそのままかかるようになります。年間の控除額は数万円から数十万円規模になることもあるため、終了後は同じ収入でも手元に残る金額が確実に減ります。
もう一点、注意したいのが「新築住宅の固定資産税軽減措置」との混同です。
新築一戸建ては3年間、マンションなど中高層耐火建築物は5年間、建物分の固定資産税が2分の1に軽減される制度があります。この軽減措置が終わるタイミングが、住宅ローン控除の終了時期と重なるケースがあり、「控除が終わったら固定資産税も上がった」と感じる原因になりやすいです。
増えているのは固定資産税ではなく、軽減措置終了による固定資産税の「元の水準への戻り」と、ローン控除消滅による所得税・住民税の増加です。この2つが重なると、家計への影響はそれなりの大きさになります。
住宅ローン控除終了後に増える税負担と手取り減の理由
固定資産税は控除終了で変わりません。それでも「家計が苦しくなる」と言われるのは、所得税の還付がなくなり、住民税の天引き額が増えるからです。
ここでもう少し深く掘り下げて解説します。
年末調整での所得税還付の終了
住宅ローン控除は、その年に納めた所得税から一定額を直接差し引く仕組みです。会社員の場合、毎月の給与から源泉徴収された所得税が年末調整で精算され、控除分がまとめて還付されます。
控除期間が終わると、この還付がゼロになります。年間10万〜20万円ほど戻っていた方は、その分が12月の給与明細から消えるかたちになります。「今年は年末調整の還付が少ない」と気づいた時点で、控除終了を実感する方が多いです。
翌年6月からの住民税負担の増加
住宅ローン控除は所得税だけでなく、所得税から差し引ききれなかった金額を住民税からも控除できます。この住民税分の軽減も、控除期間が終わると同時になくなります。
住民税は前年の所得をもとに計算され、毎年6月から翌年5月にかけて毎月の給与から天引きされます。控除が終わった翌年の6月から天引き額が増えるため、年末の還付減に続いて、今度は毎月の手取りが下がります。
| 時期 | 何が変わるか | 家計への影響 |
|---|---|---|
| 控除終了の年・12月 | 年末調整の所得税還付がなくなる | 年間数万〜20万円超の還付が消える |
| 翌年6月〜 | 住民税の天引き額が増える | 毎月の手取りが数千〜1万円単位で下がる |
| 固定資産税 | 控除終了による変化なし | 控除制度とは別の話のため影響なし |
住宅ローン控除終了後、なぜ「固定資産税が高い」と感じるのか
固定資産税の額そのものは変わっていないのに、控除終了のタイミングで「急に高くなった」と感じる背景には、新築住宅の固定資産税に適用される減額措置の終了が重なっていることが多いです。
新築住宅を取得すると、一定期間は固定資産税の税額が2分の1に減額される特例が適用されます。一戸建ての場合は3年間、マンションなどの耐火建築物は5年間です。この期間が終わると、税額は自動的に本来の水準に戻ります。
住宅ローン控除の適用期間は最長13年です。控除が終わる時期と減額特例が終わる時期は必ずしも一致しませんが、どちらも「購入から数年後」に終わるため、同じ時期に重なるケースがあります。所得税の還付がなくなり、住民税も増え、さらに固定資産税も倍近くに戻る。この三重の変化が、「固定資産税が上がった」という印象を生んでいます。
実際には税率が変わったわけでなく、減額されていた期間が終わっただけです。固定資産税の標準税率は原則1.4%で、これは購入時から変わっていません。
「増税」ではなく「特例終了」という認識を持っておくと、家計の見通しを立てやすくなります。
住宅ローン控除終了後の家計影響シミュレーション
控除が終わると実際にどれくらい手取りが減るのか、気になりますよね。
年収と控除額という2つの軸で、おおよその影響をつかんでおきましょう。
年収別

住宅ローン控除は所得税から差し引く税額控除なので、そもそも所得税額が少ない人ほど控除の恩恵も小さくなります。逆に言えば、年収が高い人ほど控除終了時の影響は大きくなります。
所得税の税率は課税所得195万円以下で5%、330万円超695万円以下で20%、695万円超900万円以下で23%と段階が上がります。
年収400万円台の場合、控除額が所得税を上回り、住民税への振り替え(上限あり)で吸収されていたケースも多く、控除終了後の手取り減は年間10万円前後に収まることが少なくありません。一方、年収700万円台以上になると控除をほぼ満額活用できている分、終了後の負担感は年間20万円を超えることもあります。
控除額別

控除額は「年末時点のローン残高 × 0.7%」で決まります。たとえば残高2,000万円なら年14万円、3,000万円なら年21万円が控除されていた計算です。この金額がそのまま消える、と考えると手取り減のイメージがつかみやすいです。
注意したいのは、控除額が所得税額より大きかった場合です。超過分は住民税から一定額を上限に差し引かれていましたが、控除終了後は住民税も元の水準に戻ります。所得税と住民税の両方で増加が起きるため、「思ったより減った」と感じる人も出てきます。
【節税】住宅ローン控除終了後の税金対策
控除が終わったからといって、打てる手がなくなるわけではありません。
リフォームの予定がある方も、そうでない方も、使える制度を組み合わせれば税負担を抑えられます。
リフォームによる「固定資産税の減額措置」の活用
耐震改修・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化といったリフォームを行うと、翌年度分の固定資産税が一定期間減額されます。
減額割合は工事の種類によって異なり、省エネ改修やバリアフリー改修では3分の1、耐震改修では2分の1が目安です。工事内容によっては所得税の控除も受けられます。
参照:
住宅:リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について|国土交通省
住宅をリフォームした場合に使える減税制度について|国土交通省
「どうせリフォームするなら」という方は、工事前に市区町村の窓口で適用要件を確認しておきましょう。申請期限を逃すと減額が受けられなくなるので、工事完了後の手続きスケジュールも合わせて押さえておくと安心です。
ふるさと納税による住民税・所得税の節税
ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄附することで、自己負担2,000円を除いた金額が所得税と住民税から控除される制度です。住宅ローン控除が終わった後も引き続き使えるため、手取り減のカバーとして機能します。
注意したいのは、控除上限額は年収や家族構成によって変わるという点です。住宅ローン控除との併用期間中は、控除額の合計が所得税額を超えると恩恵が薄れることがありました。控除が終了した後は、ふるさと納税の上限額をフルに使いやすくなるとも言えます。会社員であればワンストップ特例制度を使えば確定申告も不要です。
iDeCoによる所得控除
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月の掛金が全額、所得控除の対象になります。
たとえば毎月2万円を拠出すれば、年間24万円が課税所得から差し引かれ、所得税と住民税の両方が下がります。
参照:全額所得控除・大きな控除・非課税で再投資|iDeCo公式サイト(厚生労働省)
会社員の場合、掛金の上限は月1万2,000円から2万3,000円程度と職場の年金制度によって異なります。老後資金を積み立てながら毎年の税負担も下げられるため、住宅ローン控除が終わったタイミングで始める方が増えています。受取時の課税ルールもあるので、加入前に概要を確認しておくと安心です。
住宅ローン控除終了後における住宅ローン見直し
税負担が増えたぶんを節税で補う方法は前の章で触れましたが、家計の支出そのものを減らすという視点も忘れてはいけません。
ローンの組み方を見直すことで、税負担増の影響を吸収できる場合があります。
繰上返済による総利息の削減
繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。総利息を大きく減らしたいなら期間短縮型が有効で、元本に充てる金額が増えるほど将来払う利息を削れます。住宅ローン控除が終了した後は、繰上返済しても控除額が減るという心配がなくなるため、タイミングとしては動きやすい時期です。
ただし、手元の現金を減らしすぎると教育費や急な出費への対応力が落ちます。生活費の6か月分程度を手元に残したうえで、余裕資金を充てるのが現実的です。
借り換えによる毎月返済額の圧縮
現在の金利が借入時より低い場合、借り換えによって毎月の返済額を抑えられます。たとえば金利3.00%から1.50%への借り換えでは、返済期間が同じでも毎月の返済額と総返済額がどちらも下がるケースがあります。
一方、借り換えには諸費用(事務手数料・登記費用など)がかかるため、残りのローン期間や残高によっては効果が薄れることもあります。
一般的に「残高1,000万円以上・残期間10年以上・金利差1%以上」が借り換えを検討する目安とされていますが、実際には個別の条件で変わるため、複数の金融機関に試算を依頼して比較するのがおすすめです。
【FAQ】住宅ローン控除終了後の固定資産税に関するよくある質問
ここまで扱いきれなかった住宅ローン控除と固定資産税に関する疑問をまとめました。
固定資産税はいつ安くなる?
新築住宅を購入すると、一定期間は固定資産税が半額になる軽減措置が適用されます。一戸建ては最初の3年間、マンションなどの中高層耐火住宅は最初の5年間が対象です。この期間が終わると、税額は本来の金額に戻ります。
また、固定資産税の評価額は3年に1度の「評価替え」で見直されます。地価や建物の状況によって税額が変わるタイミングがあるので、評価替えの年(直近では2024年が基準年度)は納税通知書をとくに確認してみてください。
築年数で固定資産税は下がる?
建物(家屋)部分の評価額は、経年減点補正率という仕組みによって、築年数が増えるほど下がります。木造住宅は比較的早いペースで評価額が下がりやすく、鉄筋コンクリート造のマンションはその下がり方が緩やかです。
ただし、土地部分は地価の動向に連動するため、築年数が増えても地価が上昇していれば固定資産税全体では下がらないこともあります。
「築20年だから安くなるはず」と思い込まず、毎年の納税通知書で土地と建物それぞれの金額を確認する習慣をつけておきましょう。
ローン期間最後の固定資産税はどうなる?
ローン期間の最終年や完済した年も、固定資産税の計算方法は何も変わりません。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税される税金で、ローン残高や控除の有無とは無関係です。
住宅ローン控除が終わると所得税や住民税の負担が増えますが、固定資産税の額そのものは変わりません。
「ローンが終わったら固定資産税も高くなった気がする」という感覚は、前述のとおり新築軽減措置の終了や控除消滅による手取り減が重なって生じるものです。
まとめ
住宅ローン控除が終わっても、固定資産税そのものは上がりません。ただし、所得税の還付消滅・住民税の増加・固定資産税の軽減措置終了が重なると、家計へのダメージは思った以上に大きくなります。
対策としては、前述のとおり繰上返済や借り換えでローン負担を減らしながら、ふるさと納税やiDeCoを組み合わせて課税所得を抑えるのが現実的なアプローチです。
もう一つ、見落としがちな視点が「今の住まいの資産価値」です。控除終了を機に「このままローンを払い続けるか、売却して住み替えるか」を判断する世帯も少なくありません。そのためにも、現在の不動産価値を把握しておくことは、家計見直しの第一歩になります。











































