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住宅ローン控除の還付金とは?受け取れる条件や申請の流れなど

住宅ローン控除の還付金とは?受け取れる条件や申請の流れなど

掲載日:2021.03.31

納め過ぎた所得税を確定申告によって返還してもらうことを還付と言い、その時返還されるお金のことを還付金と呼びます。
そして住宅ローン控除は、住宅ローン年末残高の0.7%相当分が所得税から10年間、または13年間にわたり控除される制度です。
住宅ローンを組んだ場合、条件を満たせば控除の対象となり、還付を受けることが可能になります。
今回は住宅ローン控除の還付金に関して、内容や申告方法についてチェックしていきましょう。

↓2024年の住宅ローン控除の内容はこちらからご確認ください。

住宅ローン控除の還付金とは?

住宅ローン控除(減税)制度の正式名称は住宅借入金等特別控除と言います。

金融機関で住宅ローンを組んで住宅を購入すると、中古住宅は10年間、新築住宅、買取再販物件は13年、住宅ローンの年末残高の0.7%に相当する金額が所得税や住民税から減税され還元される制度です。
また、2024年からは2023年よりも控除内容が縮小される予定でしたが、子育て世帯・若夫婦世帯に限って内容が継続されることとなりました。住宅購入を検討されている方は是非ともチェックしておきたいお得な制度なのです。

住宅ローンの還付金を受け取れる条件

それでは、住宅ローンの還付金は実際にどのような条件で受け取ることができるのか、こちらから見ていきましょう。

条件

住宅ローンの還付金対象となるには、まず銀行などの金融機関や住宅金融支援機構から、住宅ローンを10年以上の借入期間で借りることと、自身が居住するための家を購入することが前提です。
また住宅ローンについて、勤務先からの無利子もしくは0.2%(平成28年12月31日以前にその家に住み始めた場合は1%)に満たない利率での借入金、親族や知人からの借入金は控除の対象となりません。
そして土地のみの購入や別荘や投資用の住宅などは対象外となるほか、転勤などであってもその家に誰も住んでいない期間は控除が受けられないので注意しましょう。

他にも、ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であることや、原則として住宅を購入してから6カ月以内に入居すること、住宅の床面積は50㎡以上(一定条件を満たすと40㎡以上も可)あることなど、上に挙げた主な条件以外にも、細かい条件が設定されていますので、事前に確認が必要です。
詳しくは国税庁のホームページをご覧下さい。

参照リンク:
No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

還付金を受け取るまでの手順

スムーズに還付金を受け取るために、初めて行う手続きと、2年目以降の手続きの流れについてしっかり確認していきましょう。

初年度

住宅ローン控除で還付金を申請するには、一般的に確定申告で手続きを行います。物件を購入した翌年に、税務署へ住宅を購入したことを申告し還付を受けましょう。
確定申告するためには、勤務先からもらえる源泉徴収票確定申告書をはじめ、いくつか書類の用意が必要となります。
申告に必要な書類をまとめてみましたので、チェックしながら着実に進めていきましょう。

必要な書類 入手先 備考
確定申告書 税務署、国税庁ホームページ

会社員は『確定申告書A』を使用します。
国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

源泉徴収票 勤務先から交付  

住宅借入金等特別控除額の計算明細書
(特定増改築等の場合)

税務署、国税庁ホームページ 国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
建物・土地の登記事項証明書 法務局、法務局ホームページ 国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
建物・土地の請負契約書または売買契約書の写し 契約先の建築業者・不動産会社 住宅購入の契約時に渡されます。
住宅ローンの残高証明書 住宅ローンを契約した金融機関 送付時期は金融機関によって異なります。住宅ローン契約をした金融機関へ事前に確認しておくと良いでしょう。
本人確認書類   運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど。
住宅性能を示す書類 動産会社、建築会社、設計会社など

長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH、省エネ住宅など該当するもので提出書類が異なるため注意。

※④……証明書の発行手数料は窓口交付請求が600円、オンライン請求は500円となっており、ネットバンキング決済やPay-easy対応ATMからも納付ができます。そしてオンライン請求した場合自宅や勤務先へ郵送指定ができるほか、最寄りの登記所や法務局サービスセンターで受け取りもできるなど、非常に便利なシステムとなっています。

申請手続きの方法に関して、税務署窓口での申請・郵送申請・オンライン申請の3つがあります。確定申告書やその他必要書類を入手後、記入して税務署へ持参もしくは郵送で書類を送付するか、e-taxというサイトを利用してオンラインで入力・申請を行います。

万が一申告を忘れた場合は、住宅購入の年を含めて5年間は確定申告が可能です。しかし、住宅購入してから最初の確定申告の際に申請しなければ控除の権利を放棄したとみなされてしまいます。毎年確定申告が必要な方は住宅ローン控除の出し忘れ、書類不備が無いよう注意が必要です。

不明な点は早めにローン契約の金融機関や税務署、建築業者に確認し、早急に手続きしましょう。
また、住宅ローン控除の還付申告は入居の翌年に一度申請してしまえば、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きが可能になります。詳しくは次の項目で見ていきましょう。

2年目以降

2年目以降は確定申告ではなく、年末調整時に下記の書類を勤務先へ提出します。

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書は年末調整に間に合うよう、10月頃に金融機関から送付される書類となります。金融機関によって名称が違うことがあるため、一度金融機関に確認してみた方が良いでしょう。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書税務署より送られてくる書類です。住宅ローン2年目に対象のローン控除年数分がまとめて送られてきますので、無くさないように気を付けて取り扱いましょう。

もし万が一無くしてしまった場合は、国税庁サイトから年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書をダウンロードし記入後、最寄りの税務署へ持参するか郵送にて再交付の手続きをすることで再発行が可能となります。

還付金を受け取れる時期

還付金を受け取れる時期は、確定申告の申請方法によって変動していきます。申請の方法は税務署窓口』『郵送での手続き』『e-tax(オンライン申請)の全3種類。
窓口もしくは郵送での申告は申請から約1ヵ月~1ヵ月半ほどで、e-taxを利用したオンライン申請の場合は約3週間で書類に記載した預貯金口座に振り込まれることになります。
順調に申請が通過すると、税務署より国税還付金振込通知書というハガキが届き、その後4~5日程で還付金を受け取ることができます。

申請から入金まで時間がかかるので、
・『還付口座』の口座番号相違
・名義人が本人と異なる口座を記載してしまった
など、ちょっとした記載ミスがないかどうか、還付金が少しでも早く手元に入って欲しい時ほど、しっかり慎重に見直してからの申請が安心ですね。

住宅ローンの還付金はいくらもらえる?

住宅ローンで借りた金額に応じて還付金が受け取れるということをご案内してきましたが、実際にもらえる還付額はいくらになるのでしょうか。納めた所得税によって異なりますが申告書で計算できますので、事前に確認して手続きを進めましょう。
モデルケースとして、下記の収入と借入額の場合の控除額を、実際に計算していきます。

・年収400万円(所得税率20%)
・借り入れ金3000万円
・住宅ローンの控除額

住宅ローンの控除額は、年末の時点で残っているローンの0.7%となります。
注意したいのは、住宅を購入した年に支払った所得税額をチェックしておきたいということです。この年末残高0.7%の額より所得税が少ない場合は、還付金上限が少なくなり残りが住民税から減額される仕組みとなっています。

住宅が認定住宅であるか、新築か中古などで借入限度額が変わります。今回は一番借り入れ限度額が高い『新築の認定住宅』というケースで計算していきます。

※それぞれの住宅での借入限度額の詳細は後述します。

所得税から控除分を引く

戻ってくる還付金の金額は、源泉徴収票に記載のある所得税から住宅ローン減税の控除額を引くと算出できます。
まずは所得税額を計算してみましょう。
年収400万円で所得税率が20%なので、

年収400万円 × 税率20% = 20万円の所得税となります。

次に控除額を計算します。
控除額は年末の時点で残っているローンの0.7%でした。

新築住宅の認定住宅の借り入れ限度額は5,000万円のため、3,000万円がそのまま借入額となり、
借入額3,000万円 × 0.01(1%) = 30万円となりますね。

還付金額

それでは、実際の還付金額を確認しましょう。
今回のモデルケースでは、住宅ローン減税での還付金上限は21万円という計算になりました。そして所得税は20万円でしたので、『年末残高0.7%』の額より所得税が少ないということが分かりました。この場合は20万円が還付金として、残りの1万円は翌年度の住民税から減額される、ということになります。

住宅ローンの還付金が少ないと思ったら

入金された還付金の額を見たとき、「思ったより少ない」という場合があります
もし、還付金が思ったよりも少なかった場合は、以下の点を確認してください

還付金が思っていたより少ないということがある

実際に戻った金額が思っていた金額より少ないと感じた人は多いのではないでしょうか。
住宅ローン控除での還付金額は、『年額でローン残高の0.7%』となるのですが、控除の対象となるローン残高には制限が設定されています。
それを踏まえると、還付金は最大で『5,000万円の0.7%』となるので『35万円』となり、13年間で考えると最大『455万円』まで還付されます。
例え6,000万円を借りたとしても、戻ってくる最大額は『年35万円』ですので注意しましょう。

※1…認定住宅は上限4,500万円(子育て世帯・若夫婦世帯は上限5,000万円)

参照リンク:No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)|国税庁

所得税を確認する

住宅ローン控除は、所得税を還付するための制度となります。そのため、還付金は納めた所得税額以上の金額が返ってくることはなく、少なくなることがあります。
仮に住宅ローン残高が4,000万円だったとしても、所得税額が20万円なら、還付金は20万円までという仕組みになっています。
所得税額が低くなればなるほど、受け取れる還付金額の額も低くなってしまうのです。

所得税が戻りきらないときは住民税が減っている

納めた所得税額が還付額の上限を割ってしまい住宅ローン控除で還付しきれない場合は、翌年の住民税から減額されています。
確定申告をすると、税務署から自分が住んでいる市町村へと自動的に情報が行き、その情報を参考に住民税を計算し減額してくれるのです。
しかしながら住民税から控除する場合にも上限があり、住宅の種類で上限が変わります。
9万7,500円が上限となり、これを超えてしまう分は住民税からも控除ができないということを頭に入れておきましょう。

次年度以降金額は変動する

10年間、または13年間毎年受けられる住宅ローン控除ですが、毎月しっかりと返済していけばローン残高は当然減っていきます。
そうすると、次年度以降還付額が変更になり、初年度より減額されて還付されることになります。
初年度と2年目とでは、住宅ローンの控除額に数万円~数十万円の差が生まれてしまう場合も……
また、夫婦の共有ローンにしていても、どちらかが専業主婦(夫)になって所得がなくなると、所得が無くなった方は所得税がそもそも無くなるため住宅ローン還付金はありません。さらに、ご自身での確定申告が必要となりますので、注意して下さい。

まとめ

マイホームを購入するために、長い年数をかけて返済していく住宅ローン。
その負担を少しでも軽減するための仕組みが住宅ローン控除です。
節税で税金を減らして、その分を上手に活用することも大切ですが、しっかり控除を受けるために、ご紹介した内容を含め、控除が受けられる条件を把握しておくことが大切です。
分からないことや住宅に関するお問い合わせは、是非一度ナカジツへご相談下さいね。

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