一戸建をはじめ、マイホームの購入には資金計画が重要です。長期間にわたって毎月の支払いをしていくにあたり、頭金をいくら払うかはトータルの支払金額に影響します。また、頭金を多く払っても、手元にお金が残らなくては購入時の諸費用に現金が必要なため、不足があっては大変です。
一般的に頭金はどれくらいの額払われているのでしょうか。また、頭金ゼロの良い点、悪い点をご紹介します。
ナカジツの分譲住宅
一戸建てを買う際の、頭金とは?
マイホームを購入をする際は、まず資金計画からスタートします。家は高額ですから、自己資金100%(つまり全て現金)で購入する方は少数で、大多数が住宅ローンを利用します。そこで、まず自分が借り入れをいくらできるか(住宅ローン借入可能額)、購入予算をいくらにすべきか検討することになるのです。
住宅ローンの頭金とは、物件購入時に現金で支払う分のことを言います。契約時に売主に対して支払う手付金をそのまま頭金として支払う場合もあります。
手付金と頭金の違い
【手付金を頭金に充当するケース】
手付金とは、契約時に売主に対して納めるお金です。この手付金は契約の証拠という役割の他、手付金を放棄することで買主は契約を解除することができます。金額は100万円から、未完成物件では物件の全体金額の5%、完成物件では全体金額の10%とすることが多いようですが、売主や買主、物件などの条件によって様々です。
一方頭金は物件価格からローン融資の金額を差し引いた部分のお金をいい、そもそも手付金とは性質が違います。契約時に支払った手付金をそのまま頭金に充当するケースも多くあります。
頭金に支払っている平均的な価格は?
一戸建ての頭金として、いくらくらい支払われるのが一般的なのでしょうか。
契約締結時に現金で支払う手付金を、そのまま頭金に充当する場合もあります。さらに、そこへ支払う現金の額を追加し頭金の分量を増やすことも可能です。
「2018年度フラット35 注文住宅融資利用者の主要指標」の全国のまとめによると、636.5万円(「土地取得+建築費」の18.7%ということですから全体では3403.7万円)を手持ち金として調達していることがわかります。この指標での世帯年収の平均は592.8万円となっています。
土地取得+建築費(注文住宅) | 3403.7万円 |
手持ち金 | 636.5万円(総額の18.7%) |
世帯年収平均 | 592.8万円 |
出典:フラット35利用者調査:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
1~2割と言われる理由は
一般的に、購入金額の1~2割を頭金として支払うことが理想と言われるのは、民間の金融機関のローン借り入れ可能額が物件価格の80~100%であるためです。この融資限度割合は返済能力が十分だと判断される人の場合緩和されます。
また、2000年代の初めころまでは頭金が2~3割程度無くては銀行が住宅ローン融資をしなかったことから、その時期に住宅ローンを組んだ方はその認識があるのでしょう。その後、リーマンショックの世界的不況によって、銀行が企業に貸し出すよりも安全な住宅ローンへの融資に積極的になった、という背景があり、融資条件が緩和されているようです。
貯金があり、ローン期間が短くなるとしても、全額頭金にすることは危険
頭金を多く払えば、ローンの借入額は少なくなるため月々の返済額が少なくなったり、返済期間が短くなります。しかし、だからといって貯金を全て頭金に回してはいけません。
購入諸費用を用意しなければならない
【住宅購入時の諸費用は一般的に物件価格の5~10%程度】
一戸建てだけでなく、不動産を購入する際には様々な諸費用が発生します。売買契約書に貼付する印紙税、登記費用、不動産取得税、その他司法書士への報酬、ローンの事務手数料、火災保険、引っ越し費用などがあります。この諸費用はおよそ100万円から200万円といわれています。
この諸費用用のローンを用意している銀行もあるようですが(住宅ローンも借りることが前提、利率は高い傾向)、頭金の自己資金もなく諸費用もローンで用意しようという人は、いずれ滞納するのでは…という見方から積極的に融資はしないようです。
「もしも」の時の貯金、生活予備費を確保する
ローンの支払いだけ考えるのでなく、今後の人生において失業や疾病時などの”もしも”の時のお金を残しておくことも大切です。一般的に給与の3~6か月分を目安に生活予備費として貯蓄があると安心です。
貯蓄額、親からの資金援助などの自己資金から、購入時の諸費用、生活予備費を差し引いた金額を頭金として考えましょう。
頭金ゼロだと家は買えない?
先ほど、一般的に1~2割を頭金として用意する場合が多いことをご紹介しました。
しかし、自己資金がなく頭金がない状態でも家を購入できる場合があります。美味しい話には裏がある、とは言いますが、どんなことに注意したらよいのでしょうか。
頭金ゼロでも家は買える
2020年現在、低金利でトータルの返済額が抑えられるため、住宅ローンを利用する側としては借りやすい状況になっています。銀行も住宅ローンの融資に積極的になっていることから、条件によっては物件価格の100%をローンで組めるケースもあります。
しかし、多額の借金を背負うわけですから、借り入れ可能な額だからといって安易にローンを組むのは考え物です。ライフプランが変わる可能性も含め長期にわたって返済ができるかどうか検討することが肝心です。
中古住宅では全額ローンはおりない
返済能力の他に、担保となる購入物件の価値によっても借り入れ可能額が変わります。
担保となる住宅の評価額が金額に見合わないなどで(中古住宅である、性能基準を満たさないなど)は物件価格の全額を借りられない場合があります。その場合は頭金0円での購入はできません。
家が値下がりした際のリスクが大きくなる
一戸建てを購入した後、ローン返済の途中で住み替えなどの理由で売却を検討することもあるかもしれません。その際、家が値下がりしてしまっていると、家の売却価格がローン残高を超えてしまい、自己資金で返済しなくてはならいというリスクが発生します。
特に頭金0で一戸建てを購入した場合はローン残高が大きくなりますから、このリスクは増大するといえます。
金利が高くなる可能性
例えば住宅金融支援機構の【フラット35】では、頭金が1割を超えるか超えないかで金利が変わります。
お金を貸す側も商売ですから、金額が大きくなり、返済のリスクが大きくなる場合はその分多く利率をとるという仕組みになっています。
貯蓄の習慣がないことが大きなリスク
頭金がないということは、そもそも貯蓄の習慣がなかったということではありませんか。ローンを組むということは今後何十年と返済を続つつ、固定資産税や家の修繕費も支払っていくということです。頭金ゼロで購入をする方は、将来のライフプランを立て、まずは貯蓄をする習慣づけをしていきましょう。
頭金を貯めてから買うか、頭金ゼロで買ってから貯めるか
頭金がなくとも、条件によっては住宅の購入が可能なことが分かりました。しかし、頭金がある場合と無い場合では、生涯にわたって支払う金額はどの程度変わってくるのでしょうか。
今現在頭金になる自己資金がないからといって貯金をしてから購入するのが最善とも限りません。先にも述べた通り、2020年現在は低金利ですから、頭金が貯まった頃には金利が上昇してしまっている可能性もあります。
また、賃貸住宅に住んでいる場合家賃の支出に加え自己資金の貯蓄をしなくてはならないことも忘れてはいけません。
シミュレーション
さて、ここで頭金なしで今すぐ購入する場合と、頭金を貯めてから購入する場合のシミュレーションをしてみましょう。
モデルケースは下記の通りです。
今、購入する場合 | 左の条件から頭金を貯めて、将来購入する場合 | ||
現在の年齢 | 32歳 | 何年後に購入するか | 5年後 |
購入物件価格 |
3000万円 |
その間の毎月積立金は? | 5万円/月 |
現在の自己資金 | 0万円 | 物件価格上昇率は? | 1.00% |
ローン返済期間 | 30年 | 購入までの毎月の家賃は? | 8万円/月 |
ローン金利 | 1.500% | 将来購入時の返済期間は? | 30年 |
将来購入する場合、月に5万円ずつ、5年間貯蓄しますので、トータルで300万円の頭金が用意できることになります。
5年間、頭金を貯めている間は月5万円の積み立て金と家賃8万円が重ねて必要です。
さて、シミュレーション結果を見てみましょう。
今、購入する場合 | 将来、購入する場合 | |
購入時自己資金 | 万円 | 万円 |
うち積立金額 | 万円 | 万円 |
ローン返済額 | 万円 | 万円 |
家賃支払い額 | 万円 | 万円 |
生活住居費総額 | 万円 | 万円 |
60歳時のローン残債額 | 万円 | 万円 |
生活住居費総額は、今、購入する方が861万円安くなります。
1日あたりに換算すると頭金を貯めている期間、なんと毎日4,719円損をしている計算になります。
※計算にはハイアス・アンド・カンパニー株式会社 「HyAA FP」を利用しました。
一戸建ての購入はナカジツ
いかがだったでしょうか、一戸建てに限らず、不動産の購入は金融や税、法律など(もちろん建築に関しても)専門知識が多く必要です。特に資金計画は、予算からどんな家を購入できるかを考える重要な段階です。ナカジツにはファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフも多くおります。マイホームの購入を考えているけれど、どのように資金計画を立てたらよいかわからない、そんなお客様も、ぜひお気軽にご相談ください。