二重サッシという言葉を聞いたことはありますか?
そもそも窓というと、皆さんはどんな役割を思い浮かべるでしょう。外の景色を眺めたり、外の光を取り込んだり…?確かに、窓は建築基準法で採光のため最低限の大きさが決められています。しかし大きければ良いというわけではありません。
窓は光を取り込む以外にも、太陽光の熱や外気の熱が入ってきたり、逆に室内の温度が逃げてしまうという問題があります。窓から逃げてしまう室内の熱は全体の約50%と言われており、家の断熱性能には窓が大きく影響しているのです。また、窓の温度差は結露の原因となり、水分が建物の構造の劣化に繋がってしまうこともあります。
今回は、そんな重要な窓をバージョンアップ。二重サッシを用いることで改善できる防音、断熱効果をはじめとするメリット・デメリットについてご紹介します。
目次
二重サッシとは
二重サッシとは、文字通りサッシ(窓)が二重になっていることを指します。「サッシ」だけでは窓枠のみを指すこともありますが、この場合は窓です。
既存の窓の内側、または外側に新たに窓を設置します。リフォームなどで二重サッシにする際、内側に取り付ける窓を内窓やインナーサッシ、外側に設置する際は外窓と言います。二重窓とも呼びます。
二重サッシとペアガラスの違い
二重サッシが窓を二重構造にするのに対し、ペアガラスは窓のガラス部分が空気の層を挟んで二重となっています。そのためサッシの枠は一つで、見た目は一重の窓と変わりません。複層ガラスとも呼ばれます。
二重サッシのメリット
窓が二重になることで、どんな効果があるのでしょうか。二重サッシのメリットを見てみましょう。
断熱
ガラスが二重になり、間に空気の層ができることで断熱性が上がります。
既存のサッシが断熱性能が低いアルミサッシであっても、熱伝導率が低く気密性の高い樹脂製サッシの内窓を設けることで、きっちり外の冷気や熱気を締め出し断熱性を高めることができます。
結露防止
結露とは、冬場に室内の温められた空気が窓、サッシなど外気に冷やされた箇所に当たって空気中の水分が水になる現象です。
結露が発生し、水分が溜まると家具などが傷むだけでなく住宅の構造部分の劣化にも繋がります。
カーテンである程度の冷気を防ぐことも可能ですが、湿気までシャットアウトすることはできず、窓で結露が発生してしまいます。二重窓であれば、温められた室内の空気が、直接外気に冷やされた窓に触れることがなく結露を防止できるのです。
防音
窓を二重にすることで防音性が高まります。リフォームで新しく内窓または外窓を追加するケースには、防音性の高いサッシ、ガラスを選択するとより効果があります。
防犯
窓は空き巣などの侵入経路となりやすい箇所です。しかし、窓が二重になることで「侵入に時間がかかる」と思われるため、空き巣に狙われにくくなります。
省エネ
断熱性能が上がることで、部屋の中の温度が逃げにくくなり冷暖房を効率的に使用できます。断熱性を高めることで、省エネを実現できるのです。
二重サッシのデメリット
次に二重サッシのデメリットを見てみましょう。
コストが高い
窓をもう一つ設けるわけですから、その分余計にお金が掛かります。
さらに、サッシを設置するスペースが無い場合は「ふかし枠」という窓枠を増設する必要があります。特に家の外側に二重窓を設ける場合、足場を組む必要があるなど、さらに料金が上がる可能性があります。
換気しにくい
二重窓にすることで窓や枠が干渉して物理的に開けづらくなる、ということはないでしょう。しかしながら開閉の手間が2倍になることで面倒になり、ついつい喚起を怠りがちに…という気持ちもわかるような気がします。
掃除しにくい
サッシって掃除しにくいですよね。引き違い窓の場合なおさらです。さらに、窓面も窓を開けた際に重なる引き違い窓は手が届きにくかったりします。
二重窓にするということは、つまりそれが二重になるわけですから、それは掃除しにくいといえるでしょう。
見た目が変わる
窓を追加することで、内装、または外装に影響します。二重窓にすることで結露の心配がなくなるため、内窓の枠(インナーサッシ)を木製にすることもできます。樹脂製のサッシは色のバリエーションも豊富で、部屋のイメージに合わせて選ぶことができます。
施工条件に制限
まず窓の種類で二重サッシが取り付け可能かどうかが分かれます。二重サッシが取り付け可能な窓は「引き違い窓」「FIX窓(はめ殺し窓)」「上げ下げ窓」「すべり出し窓」などです。内窓を設置する際に、既存の窓の縁に開閉のレバーや、防犯ブザーなど邪魔になるものがある、逆に取り付けに必要な壁のペースがないと設置できない場合があります。
ガラスの種類と選び方
二重サッシは窓そのものを二重に設けることをいいますが、ガラス自体が二重になっている複層ガラスや、断熱性、防音性などの性能を備えているものがあります。。
窓は家の断熱性、防音の観点からとても重要な箇所です。性能が上がれば価格が上がってしまいますから、予算も合わせよく検討してくださいね。
単板ガラス
ガラス窓が一枚のガラスで作られているものを単板ガラス(たんぱんがらす)またはシングルガラスとも呼びます。
厚みが違ったり、表面に凹凸が付いているものもありますが、性能はどれもあまり変わりません。価格は安い傾向にあり、費用を抑えたい場合に用います。
一般的な単板ガラスの厚みは3~6mmです。
ペアガラス
ペアガラスとは、2枚のガラスで空気など(乾燥空気やアルゴンガスなど)の層を挟んだ窓ガラスです。複層ガラスともいいます。
「ペアガラス」はもともと旭化成の登録商標でしたが、現在はこの呼び名が普及しているため複数層を持つガラスをペアガラスとも呼びます。
単板ガラスに比べ高い断熱性を持ち、結露を防止します。
高断熱複層ガラス
名前に「複層ガラス」とありますので、こちらもペアガラス同様、ガラスが2重になっており、中空になっているところは同じです。
ペアガラスとの違いは、断熱性を上げるため室内側のガラスに特殊な金属膜加工が施されている点です。Low-Eガラスと呼ばれ、放射熱を低減する効果があり一般的なペアガラスの1.5倍の断熱性能を備えます。
室内側のガラスがLow-Eガラスになっていることで、太陽の日射熱を室内に取り込みつつ、室内の熱が家の外に逃げることを防ぎます。それにより省エネ効果も期待できます。
遮熱高断熱複層ガラス
先にご紹介した「高断熱複層ガラス」と同じくLow-Eガラスを使用した複層ガラスです。しかし、Low-E加工がされたガラス面の位置が違います。
室外側のガラスにLow-Eガラスを用いることで窓の外側で太陽の日射熱を遮り、室内に伝わる熱を約60%も軽減します。明るさはそのままに、冷房効果を高めることが可能です。
単板ガラスに比べ複層ガラスは透明度が若干下がります。ガラス面の加工がされているLow-Eガラスは表面が加工されているため、さらにその傾向があります。また、単板ガラスに比べ厚みがでるため、単板ガラスから複層ガラスに変更する際はサッシの取り換えも必要となります。
二重サッシのコスト
弊社の二重サッシのリフォーム施工事例をご紹介します。二重サッシをリフォームで取り付ける際は基本的に窓に合わせた特注です。窓のサイズ、設置する箇所に窓枠を取り付けられるかどうか、使用する窓ガラス、サッシの種類などによって商品価格、施工費ともに金額が変わります。予算に合わせて検討しましょう。
施工例 約25万円(施工費含む)I様邸
【施工箇所】掃出し窓:2か所、腰窓:1か所 (単板ガラス、樹脂サッシ)
大きな開口部は冬場は外の冷気が入り込み、夏場は室内の冷房を外に逃がしてしまう原因になります。掃き出し窓(窓の最下部が床に接している大きな引き違い窓)を二重サッシにすることで、外気の影響を受けにくい快適な室内環境にすることができます。
木製の建具は高額になってしまいますが、ブラウン調の樹脂サッシを使用することで費用を抑えつつ柔らかい雰囲気になります。
二重サッシ施工例 約41万円(施工費含む)S様邸
【施工箇所】掃出し窓:2か所、腰窓:3箇所、小窓:1か所(単板ガラス、樹脂サッシ)
掃き出し窓の他、大きな腰窓が3箇所、キッチン側に小窓一箇所のLDKでの事例です。内窓の窓枠を白い樹脂にしたことで、たくさんある窓も圧迫感がなく明るい印象ですね。
窓の断熱化の補助金「先進的窓リノベ」
環境庁が推進する「先進的窓リノベ」は、窓のリノベーションに対して最大200万円の補助金が受け取れる制度です。
弊社ナカジツは事業の登録業者ですので、お気軽にご相談ください。
家の省エネ化は「先ず“窓”より始めよ」!
見た目だけではない窓の重要性、お分かりいただけたでしょうか。窓ガラス自体の性能も色々ですが、サッシがアルミ(金属製)か樹脂製かの影響も大きいです。耐久性のあるアルミ、気密性の樹脂のいいとこどりのアルミ樹脂複合サッシ、全て樹脂でできた樹脂サッシも主流になりつつあります。
快適なマイホームライフのために、新築時、リフォーム時には是非窓にもこだわってみてくださいね。
リフォーム・リノベーションのことなら、Asobi-リノベにぜひご相談ください。