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工事現場などで赤白のポールを三脚付きのカメラからのぞいて測量をしている姿をみることがあります。最近はレーザーやGPSも使われるものの、あの姿は伝統的な測量の方法です。こうした測量を経て測量図が作成されています。
測量図にもいくつか種類があり、その中のひとつが確定測量図です。確定測量や確定測量図には大きな役割がありますが、一般にはなじみがありません。
ここでは、境界確定測量や確定測量について解説します。確定測量は土地利用の基本となるものです。境界確定測量とはどんなものなのか、みていくことにしましょう。
目次
境界確定測量では何が分かる?
自宅の敷地を見渡すと、角に杭を見つけることがあります。実はこれ境界の杭なのです。隣地境界の印は杭や鋲によって示されています。この境界を定めるのが境界確定測量なのです。
この境界確定測量、ただ測量して杭を埋めればよいものではありません。隣地の所有者や利害関係者の承諾が必要なのです。勝手に自分で杭を打つことは禁止されています。それほど厳密な作業なのです。
境界確定測量が終了し登記も完了すれば、隣地や道路との境界線が定まったことを意味します。隣地や道路との境界線を明確に分けることが境界確定測量の役割なのです。
境界確定測量が必要になるシーン
境界確定測量が必要なシーンはどんな場合でしょうか。それは建物を新たに建てるとき、土地や建物の売却時、相続のときなど、土地や建物の所有権を移転する場合や土地建物を改変する場合です。土地や建物に手を加える場合には確定測量が必要になります。それぞれのシーンについてみていきましょう。
建物を新たに建てるとき
建物を新築する際、土地の面積や間口、奥行といった寸法が重要です。建物を建てるには建築基準法をはじめとして多くの規制があります。土地の面積や寸法が正確にわからないことには精密な建物を建築することができないのです。特に都心部では法令制限ギリギリまで建物を建てます。敷地を有効活用するには、境界確定測量が不可欠なのです。
土地・建物の売却時
不動産の売却時には、買主に対して土地の境界を明示することが必要です。買主には境界確認書を手渡します。境界が不明確な場合はそれを確定するように買主から要求されるようになりました。
このように要求されるようになったのは、コンプライアンスの観点や不要なトラブルを回避することが目的です。隣地境界の紛争はそれだけリスクの高いものと認識されるようになりました。もし境界確定せずに不動産を売却した場合、売却後に買主と隣地所有者の争いが発生すると瑕疵担保責任に問われて損害賠償請求にまで発展する可能性もあります。
土地・建物の相続時
相続の際にも確定測量は必要になります。相続税の申告の際には土地の境界確定書が求められるからです。登記簿、現在の登記事項証明書の面積は場所によっては現況とずれています。住宅地でもずれはあるものの、農地や山林になると面積の大きく相違することも。土地の単価に面積を乗じて評価額を計算する以上、正確な相続税を計算するには正確な面積が必要なのです。
境界確定測量の方法
境界確定測量をどうやって行うのか、期間や費用はどれくらいかかるのかは興味のある人も多くいます。境界確定測量は多くの人が携わる業務です。中には利害が対立する場合もあり、時間が予想以上にかかる場合もあります。境界測量の方法と費用について確認してみましょう。
境界確定測量の流れ
境界確定測量の流れをまとめてみました。
内容 | およその期間 |
①土地家屋調査士に依頼 | 1~2日 |
②必要資料の収集・整理・提出 | 2週間 |
③隣地所有者との話し合い | 1カ月 |
④現地での事前調査・現況測量 | 2~3週間 |
⑤立ち合い・境界確定・境界杭の設置 | 1カ月 |
⑥図面・境界確認書の作成 確定測量図への署名・捺印 |
1カ月 |
⑦登記 | 2週間程度 |
およその期間は土地の大きさや形、隣地所有者の数によっても変動します。複数の工程を同時並行で進めることも可能です。特に隣地所有者との話し合いはうまく進めていかないと最悪の場合には境界確定測量が完了しないこともあります。日ごろから隣地所有者との関係を良好に保っておきましょう。
こうした段取りは自分で進めてもよいですが、専門家に任せることをおすすめします。測量を業務としている資格は大きく測量士と土地家屋調査士です。
このふたつの資格は部外者からはその区別がつきません。ただ、明確な住み分けもあるのです。実は測量士は登記を目的とした測量ができません。一方の土地家屋調査士は登記を目的としない測量ができないのです。測量士は主に道路やトンネルをつくる際の測量を行っています。境界確定測量を行うのは土地家屋調査士なのです。実務では土地家屋調査士も「測量士さん」と呼ぶこともあります。土地家屋調査士もあえて否定や訂正をしないのでこうした混乱も発生するのです。
境界確定にかかる費用
境界確定には多くの関係者がかかわることもあり、料金もそれなりに高額です。一般に現況測量では35万円から45万円、確定測量では60万円から80万円程度が相場といわれています。目安としていわれているのは、現況測量では杭1本当たり10万円、確定測量は杭1本当たり15万円程度が目安です。
土地の形によって杭が増える、つまり境界線が複雑になるとその分費用がかかります。また、隣地所有者や利害関係者の数が多くなったり、官民境界という道路境界の立ち会いがあったりするとこれも増額要因です。
その一方で境界確定測量が不要なケースもあります。地価が著しく安い場合や隣地所有者の承諾が取れていない場合などです。こうしたケースでは確定測量をせずに売買する場合もあります。
確定測量図・現地測量図・地積測量図の違い
ひとくちに測量図といっても多くの種類があります。それぞれ役割が違うからです。その測量図には大きく分けて確定測量図、現地測量図、地積測量図の3種類です。これらは用途や隣地所有者の承諾の有無によって種類が分けられています。それぞれの概要と役割についてみていきましょう。
確定測量図 | 現地測量図 | 地積測量図 |
すべての利害関係者に承認された測量図。最も信頼性が高い。 | 現地測量図とも言う。隣地所有者の了承をもらっていない。 | 分筆された際に作成される図面。法務局で取得できる。 |
確定測量図
確定測量図は隣地所有者に境界の承認を得て作成された図面です。この隣地所有者には市町村や都道府県などの行政も含まれています。土地は多くの場合道路にも面しており、道路管理者の承諾も必要だからです。道路との境界を官民境界、私有地との境界を民民境界とも呼びます。確定測量図はすべての利害関係者に承諾された測量図であることから、いわばフルスペックの測量図です。このため、最も信頼性の高い測量図とみなされています。確定測量図は冒頭でお話ししたような、売買や相続、建物建築などの場面で使用される測量図です。
現地測量図
現地測量図は現況測量図とも呼ばれています。確定測量図との違いは隣地所有者の承諾をもらっていないことです。ブロック塀などの敷地境界と思われるところを境界線とみなして測量を行います。このため、測量の信頼性は確定測量図には及びません。現地測量図はひとまず敷地のおおまかな面積を知りたい場合などに作成されます。
地積測量図
土地を複数に切り分けることを分筆といいます。分筆をする場合には法令によって測量図を添付して申請しなければなりません。この際に作成される測量図が地積測量図です。この地積測量図の役割は分筆した土地の面積算定の証拠になります。地積測量図は昭和30年代以降に分筆をした土地には備え付けられている図面です。この地積測量図は隣地所有者の承諾を要しません。地積測量図は分筆の証拠という、確定測量図とは異なる性質と役割が与えられているのです。
まとめ
不動産は高価な買い物です。わずかな面積の違いでも金額に響きます。このため、面積をはっきりさせる必要があるのです。境界をはっきりさせないためにお隣同士で争っている例もあります。不測の損害や争いにならないためにも境界を確定させることが必要です。自分が売主であればきちんと確定測量に協力し、買主であれば確定測量をきちんと要求するようにしましょう。
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