中古住宅を購入して、新生活をスタートさせるという夢。その実現に向けて多くの方が抱く不安のひとつが、「古い家は寒そう」「光熱費がかさむのでは?」というものです。
中古住宅を購入する際、内装や設備交換、間取り変更などのリフォームを計画する方が多いですが、同時に断熱性能の向上も検討するのがおすすめです。適切な断熱リフォームをすることで、快適な暮らしを手に入れつつ、家計にも優しい住まいづくりができますよ。
今回は、断熱リフォームの効果的な手法や費用について詳しく解説します。さらに、中古住宅購入を検討している方向けに、物件の断熱性能を事前に評価する方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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断熱リフォームの効果は?
断熱リフォームには、初期費用が必要です。そのため、その効果と投資価値について疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。まずは、断熱リフォームがもたらす具体的な効果と、家計への影響について、詳しく解説していきます。
冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる
適切な断熱リフォームを行うと、家全体が魔法瓶のようになります。冬は外気の冷たさを遮断し、暖房の熱を逃がしにくくなるため、窓際や足元からの冷気を感じにくく快適に。一方、夏は屋外からジリジリと伝わってくる熱を防ぎ、冷房の効きを大幅に向上させます。朝の寒さや、夏の2階の寝苦しさなどの悩みも軽減できるでしょう。
光熱費が節約できる
断熱リフォームは、快適性の向上だけでなく、家計の負担軽減にも貢献します。冷暖房効率が劇的に向上するため、年間の光熱費を大幅に削減できるのです。
一般社団法人 住宅生産団体連合会の試算によると、断熱性能の違いによる光熱費削減効果は顕著です。
平成28年基準相当の住宅 | 約6万円/年の削減 |
ZEH基準相当の住宅 | 約12万円/年の削減 |
※建設地は6地域の東京23区を想定し、光熱費単価は 電気26円/kWh、ガス180円/m3、灯油100円/Lにて試算した場合。あくまでもシミュレーションのため、実際の光熱費を保証するものではありません。
引用元:なるほど快適・安心なすまい省エネ住宅(発行:一般社団法人 住宅生産団体連合会)
健康にも良い影響がある
断熱リフォームは、快適性と経済性だけでなく、健康面でも多くのメリットをもたらします。
適切な室温維持により睡眠の質が向上すると、心身の回復が促進し、日中の生産性の向上に。特に冬において、室温が暖かく保たれることで、お子様や高齢の方も活発に動けるようになります。
また、家全体の温度差が少なくなることで、急激に血圧が上下して体に負担がかかる「ヒートショック」のリスクが減らせます。浴室や脱衣所なども適温に保たれるため、冬の入浴中の事故防止にも効果的です。
断熱リフォームが必要かチェックする方法
現在の住まいで断熱リフォームが必要かどうかは、日々の生活で感じる寒さや暑さから判断できます。中古住宅を購入する場合は、事前に断熱性能を予測し、リフォーム計画を立てることが大切です。次のような方法を参考にしながら、断熱性能をチェックしましょう。
新築された年代を調べる
住宅の断熱性能を予測する上で、建てられた年代は重要な手がかりとなります。一般的に、建築年代が古いほど、断熱性能が不十分である可能性が高くなります。
日本で初めて省エネルギー基準が制定され、住宅の断熱性能向上への取り組みが本格化したのは昭和55年(1980年)のこと。それ以前に新築された住宅は無断熱のことも多いため、注意が必要です。その後、基準は段階的に強化され、現在使用されているのが平成28年基準です。
ただし、これらの基準はあくまでも参考指標であり、建築年代だけで断熱性能を断定することはできません。実際の住宅の断熱性能は、新築時の個別の施工方法や、その後のリフォーム状況によって大きく異なります。
図面から断熱仕様を確認する
中古住宅の断熱性能を詳しく知るには、図面を確認するとよいでしょう。特に役立つのが「矩計図(かなばかりず)」という、建物の断面に各部分の寸法や材料などが記入された図面です。外壁・屋根・床などの厚さや材料、使用されている断熱材の種類などが記載されており、建築士などの専門家が見ると住宅性能がわかります。
※矩計図イメージ(イラストAC)
プロに建物を調査してもらう
図面上の性能が高くても、施工状態により断熱性能が下がるケースもあります。そのため、中古住宅を購入する際には、専門家に依頼して床下や小屋裏などの状態を調査することが重要です。
断熱材の劣化や施工不良などの問題を事前に発見し、適切なリフォーム計画を立てることができます。
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断熱リフォームの方法&費用相場
断熱リフォームにはさまざまな方法があり、住宅の状態や予算に合わせて選択します。ここからは、代表的な断熱リフォームの方法と、一般的な費用目安を紹介します。
※金額はあくまで参考値であり、実際の施工単価は会社によって異なります。ナカジツの施工単価とは異なりますので、具体的な見積もりについてはご相談ください。
窓の断熱リフォーム
窓は熱の出入りが最も多い場所であり、断熱リフォームの優先度が高い部位です。主な方法として、カバー工法による窓の交換、内窓の設置があります。
イラスト出典:ナカジツ「Asobi-創家TheBook」
カバー工法
日本で高断熱住宅が広まってきたのは2000年代で、それ以前の戸建て住宅やマンションの窓は「単板ガラス+アルミサッシ」がほとんど。
カバー工法で断熱性の高い「複層ガラス+樹脂サッシ」に交換すると、断熱性が向上します。
イラスト出典:対象工事の詳細【外窓交換(カバー工法)】|先進的窓リノベ2024事業【公式】
掃き出し窓 | 23~43万円 |
腰高窓 | 16~30万円 |
小窓 | 14~27万円 |
※工事費込み。いずれも引き違い窓の場合。窓の性能によって価格は変動します。
内窓の設置
今ある窓の内側に断熱性の高い「内窓」を設置して、二重窓にするリフォームもよく行われます。
マンションの管理規約で窓の工事が禁止されている場合でも、室内側の工事として許可を得やすい断熱リフォームです。窓が二重になるため開閉の手間はかかりますが、カバー工法よりも短時間かつ低コストで実施できます。
イラスト出典:対象工事の詳細【内窓設置】|先進的窓リノベ2024事業【公式】
※イラストの50cm以内は関係ありません
掃き出し窓 | 8~20万円 |
腰高窓 | 4~13万円 |
小窓 | 3~10万円 |
※工事費込み。いずれも引き違い窓の場合。窓の性能によって価格は変動します。
大きい窓の場合や、断熱性能の高いガラスとサッシを使用すると、リフォーム費用は高くなります。一度にリフォームする窓の数が多い場合は、1窓あたりの金額が割安になる場合もあります。
玄関ドアの断熱リフォーム
戸建て住宅では、冬の玄関の寒さが問題となることが多々あります。断熱仕様の玄関ドアに交換すると、冷気が侵入しにくくなります。
外壁を壊して玄関ドアを交換すると大掛かりなリフォームになるため、推奨されるのはカバー工法です。今ある枠の上から新しいドア枠をつけるため、外壁を壊す必要がなく、ローコストで実施できます。
ドア交換のみの場合 | 20~60万円 |
※工事費込み
お住まいの地域によっても玄関ドアに求められる断熱性能は異なり、性能が高いほど費用も高くなります。また、間口を広げたい場合など、カバー工法では対応できない場合は、内外装工事を伴うため費用が高くなります。
床の断熱リフォーム
底冷え対策として検討したいのが、床の断熱リフォームです。床下に断熱材を施工することで、足元から伝わってくる冷えを軽減できます。
床下空間に作業員がもぐりこめる場合、既存床をはがさずに床下側から断熱材を施工できます。室内側から作業をする場合は、床材を張り替える内装リフォームと同時に行うのが現実的です。既存の床仕上げ材や下地合板を撤去した上で断熱材を施工し、新しい床材を使って再仕上げ工事を行います。
床下からの施工の場合 | 20~30万円 |
床材の張り替え+断熱施工の場合 | 70~140万円 |
※工事費込み。床材や断熱材のグレードによって費用は変動します。
壁の断熱リフォーム
壁の断熱リフォームは、室内側と屋外側のどちらから行う場合であっても、既存の壁の解体が必要となります。そのため外装リフォームもしくは内装リフォームと同時に行うのが理想的です。
戸建て住宅の外壁を張り替えるタイミングであれば、ボード状の断熱材を躯体の外側に張る「外張り断熱工法」を採用します。建物の外側からの作業となるので住みながらの工事がしやすいですが、断熱材の厚み数cmが外側に出るため狭小地では注意が必要です。
内装リフォームと同時に行われるのが、既存の壁を解体し、柱と柱の間の空間に断熱材を入れる「内断熱工法」です。外部の足場が不要となるメリットはありますが、工事中は仮住まいが必要になることもあります。
外壁張り替えを伴う場合 | 350~500万円 |
内装リフォームを伴う場合 | 80~250万円 |
※工事費込み。壁材や断熱材のグレードによって費用は変動します。
屋根の断熱リフォーム
2階が暑くてぐっすり眠れないなど、暑さ対策を考える際に重要なのが屋根の断熱性能です。屋根からの熱の侵入を防ぎ、夏の快適性向上が期待できます。
多くの戸建て住宅では、天井を解体することなく小屋裏から断熱材が施工できます。リフォーム費用はおおむね住宅の面積に比例し、2階の床面積が広い家ほど高額になります。
屋根の葺き替えを行うタイミングであれば、屋根の上側から断熱材を外張り施工する方法もありますが、葺き替え費用もかかるため、まとまったリフォーム費用が必要です。
小屋裏から断熱材を施工する場合 | 10~60万円 |
屋根の葺き替え+断熱施工の場合 | 200~260万円 |
※工事費込み。壁材や断熱材のグレードによって費用は変動します。
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断熱リフォームにかかる費用を安く抑える方法
断熱リフォームは快適性向上と光熱費削減につながる魅力的な投資です。しかし、初期費用がかかるということで躊躇している方も多いでしょう。
ここからは、効果的にリフォーム費用を節約しながら、理想の高断熱住宅を実現するための秘訣をご紹介します。
内外装リフォームと同時に行う
断熱リフォームを他の内装や外装のリフォームと同時に行うことで、工事の効率が上がり、全体的なコストを抑えられます。
(例)
- 内装リフォーム+壁の充填断熱工法
- 外壁の張り替え+壁の外張り断熱工法
- 屋根の葺き替え+屋根の外張り断熱工法
- フローリングの張り替え+床の充填断熱工法
- 浴室リフォーム+浴室窓のカバー工法
- 家全体の古リフォーム(内装工事・間取り変更など含む)+家全体の断熱リフォーム
リフォーム範囲を限定する
家全体の断熱リフォームを行うのが理想的ですが、予算が限られている場合は効果の高い部分から実施するのがおすすめです。
また、寝室やリビングなど、最も多く時間を過ごす場所から断熱リフォームをはじめることで、効果を実感しやすくなります。
補助金制度を活用する
国や地方自治体の補助金制度を利用することで、工事費用の一部を補助してもらえる可能性があります。具体的な補助金の内容や申請方法は、お住まいの地域やリフォーム時期によって異なります。
2024年8月現在実施されている補助金制度をいくつか見ていきましょう。
子育てエコホーム支援事業
断熱改修などの省エネリフォームを実施すると、子育て対応改修やバリアフリー改修などさまざまな工事が補助される制度です。リフォームの場合は全世帯が対象で、工事内容ごとに補助額が決まっています。
先進的窓リノベ2024事業
窓やドアの交換、内窓設置など、開口部の断熱リフォームで補助金がもらえる制度です。1戸あたり最大200万円を上限として、窓のサイズや断熱性能に応じた補助金額が定められています。
減税制度を活用する
断熱リフォームを含む住宅の省エネ改修工事を行った場合、所得税や固定資産税の減税措置を受けられる場合があります。これらの減税制度を利用することで、長期的な視点で見た場合の費用負担を軽減することができます。
所得税
断熱リフォームを行うと、一定の金額をその年の所得税額から控除することができる場合があります。住宅ローンを利用しなくても適用できますが、所得金額や住宅の床面積などの要件があるので確認しましょう。
固定資産税
年1回支払う固定資産税に関しても、断熱リフォームをした場合に軽減される制度があります。床面積などの要件があり、減税のためには市区町村への申告が必要です。
贈与税
リフォームのための資金を父母や祖父母などの直系尊属から贈与された場合、一定金額の贈与税が非課税となる制度もあります。所得金額や床面積のほか、断熱性能や耐震性能など質の高い住宅としての要件を満たさなければなりません。
まとめ
リフォームにおいてはデザイン性だけでなく、断熱性を高めることも重要です。夏は涼しく冬は暖かい環境を実現でき、光熱費の削減にもつながります。初期費用はかかりますが、長期的な視点で見ると、住まいの価値を高め、より豊かな暮らしをもたらしてくれるでしょう。
今なら国や自治体の補助金制度や税制優遇措置も充実しており、うまく活用すれば手の届きやすい金額で実施できることも。費用対効果の高い場所から段階的に進めることもできるので、予算や生活スタイルに合わせて計画を立てましょう。
住宅ライター 村田日菜子さん
断熱リフォームを含めた中古+リノベは『ナカジツ』におまかせ!
ナカジツでは住環境の快適性の向上や省エネのため、断熱リフォームにも対応しています。
ナカジツでは中古戸建や中古マンションをご購入後、全面リノベーションを行われるお客様が多くいらっしゃいますが、間取りを変更したり壁を作り直すこのような施工の際は断熱リフォーム、耐震リフォーム(戸建のみ)の良い機会なのです。
物件の内覧時からリフォームスタッフが同行し、ご予算や物件状況に合わせてリノベーションのデザインプランだけでなく、断熱リフォームや耐震リフォームのご提案をさせていただきます。
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戸建てまるごと『高断熱パック』で定額 断熱リフォーム
屋根、壁、床、開口部(窓・玄関ドア・勝手口)の断熱がすべてそろった定額プラン『高断熱パック』。見た目だけではなく、住み心地も良くリノベーションしましょう!
ナカジツ ラクリノ2024.05『高断熱パック』より
窓の断熱(開口部断熱パック)
主要な居室の窓だけ断熱したい・・・といったご要望や、すべての開口部を対策したいというご要望にも、おこたえします。
掃き出し窓、腰窓、小窓、玄関ドア、勝手口といった開口部をまとめて対応する『開口部断熱パック』もございます。
ナカジツ ラクリノ2024.05(戸建)『開口部断熱パック』より
※記事公開時の情報のため、内容が変更になっている場合があります。ご了承ください。
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