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不動産売却でかかる費用まとめ!目安の金額や費用を抑える方法も紹介

不動産売却でかかる費用まとめ!目安の金額や費用を抑える方法も紹介

掲載日:2024.10.02

不動産売却の費用まとめ
「不動産の売却ではどんな費用がどれくらいかかるのだろう」
「税金まで考慮すると手元にどれくらいお金が残るのだろう」

不動産売却にはさまざまな費用が生じるので、それらの名目や総額を把握しておくことが大切です。

この記事では不動産売却でかかる費用を税金とそれ以外とに分けて、目安額や費用を抑える方法を解説していきます。

不動産売却でかかる費用一覧

まずは、不動産売却でかかる費用を一覧で確認しましょう。

費用一覧
費用の名目 概要
仲介手数料 不動産会社に支払う、成功報酬型の費用
印紙税 売買契約書に貼付する印紙にかかる税金
抵当権抹消費用(登録免許税など) 抵当権抹消などの登記にかかる登録免許税(税金)と司法書士への報酬
譲渡所得税 売却で生じた所得(譲渡所得)にかかる税金
不動産の所有期間により異なる
解体費用 建物を取り壊す必要がある場合に発生する費用
測量費用 土地の境界が不明確な場合や、確定測量図がない場合に測量を行う費用
引っ越し費用 売却後、物件から退去するための引っ越し費用
物件の規模や引っ越し先の距離によって異なる
リフォーム・ハウスクリーニング費用 リフォームやクリーニングにかかる費用
売却前に推奨されることがある
住宅ローンの繰上返済費用 一括返済をする際にかかる手数料

上の表で紹介した費用について、特筆すべきポイントを説明します。

仲介手数料

仲介手数料とは、仲介で売却した場合で不動産会社に支払う手数料のことです。

成功報酬なので、不動産会社と媒介契約を交わして売却活動をしていたとしても、売買契約が成立しなければ仲介手数料は発生しません。

また、仲介手数料には通常の営業活動に必要なほぼすべての経費が含まれるため、それ以外で不動産会社に費用を請求されることは、基本的にはありません。

ただし、新聞一面への広告など売主が特別に依頼した場合や遠方に出張して契約してもらうなど、通常の営業活動の範囲を超える場合は、別途費用が発生することがあります。

仲介手数料の金額目安

印紙税

印紙税とは、課税対象の書類を作成した際にかかる税金です。印紙税が必要な書類に収入印紙で納税していない場合、本来の税額の3倍の過怠税が課せられます。

不動産売却においては、売買契約書が課税対象となり、契約書に記載された金額(売却金額)に応じて、税金を支払う必要があります。平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書については、軽減税率が適用されます。

印紙税の金額目安

登録免許税

不動産売買に伴う不動産登記の際に必要になるのが、登録免許税です。法務局で不動産登記の手続きをする際に支払います。

不動産登記にはいくつか種類があり、売却時に関わってくるのは「抵当権抹消登記」です。売却金で住宅ローンを完済する場合など、不動産に抵当権がついていれば必要になります。

また、抵当権抹消登記は司法書士に依頼することが多く、その場合は司法書士への報酬も費用として見込んでおく必要があります。

なお、売却後に所有権を買主に移転する「所有権移転登記」の費用は、一般的には買主負担です。

登録免許税の金額目安

譲渡所得税

不動産を売却して得られる利益部分は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税・住民税の課税対象です。

この譲渡所得にかかる所得税・住民税は総称して譲渡所得税と呼ばれます。また譲渡所得税は不動産の保有期間が5年超えか以下かにより、適用される税率が異なってきます。

なお、譲渡所得税は譲渡所得が発生した場合のみ課税されるため、赤字を計上する場合は課税されません。

譲渡所得税の金額目安

その他費用

不動産売却の状況に応じて以下のような費用も発生します。

  • (更地にする場合)解体費用
  • (測量が必要な場合)測量費用
  • 引っ越し費用
  • リフォーム・ハウスクリーニング費用
  • 住宅ローンの一括返済にかかる費用・手数料

(更地にする場合)解体費用

不動産売却前に建物の解体が必要な場合、解体費用は大きな出費となることが多いです。

そのため、解体業者の選定は信頼できる業者を選ぶことが重要であり、事前に複数の見積もりを取得し、費用の比較を行うことをおすすめします。

また、地中埋蔵物が見つかった場合、追加費用がかかることもあるため、これも事前に確認しておくとよいでしょう。

(測量が必要な場合)測量費用

土地の境界を明確にするためには測量が必要です。特に土地売却の場合、境界の確認が取れていないとトラブルに発展する可能性があるため、隣地所有者の協力も欠かせません。

費用の範囲は測量の種類や土地の面積によって異なりますが、測量費用を抑えるためには信頼できる測量士を選び、必要以上の測量を行わないようにすることがポイントです。

引っ越し費用

不動産の売却により、売主が引っ越す必要がある場合は、その費用も計画に含めておく必要があります。

費用は、引っ越し業者の選定や引っ越しのタイミングによって大きく異なることがあります。オフシーズンに引っ越しを計画することでコストを抑えられる可能性が高まります。

リフォーム・ハウスクリーニング費用

不動産を少しでも高値で売却したいのなら、リフォームやハウスクリーニングを行う方法もあります。

ただし、どこまで手を入れるべきかは事前に不動産業者に相談し、売却にどれだけの影響があるかを見極めることが重要です。無駄に費用をかけすぎないように、最低限のリフォームに留めることが賢明でしょう。

住宅ローンの一括返済にかかる費用・手数料

売却時に住宅ローンが残っている場合は、一括返済が必要です。

金融機関によっては、一括返済の際に手数料がかかることがあるため、あらかじめ金融機関に問い合わせ、具体的な金額を確認しておくことが大切です。売却金額でローンを完済できない場合は、ほかの資金計画も必要になります。

次章より、この章で紹介した費用一覧について、具体的な金額の目安を「税金以外」「税金」に分けて解説していきます。

【税金以外】不動産売却でかかる費用の金額目安

不動産売却でかかる税金以外の費用のうち、仲介手数料は、金額が大きく、多くの場合に発生する費用です。

ここでは、仲介手数料とそれ以外の費用とに分けて、金額の目安を紹介します。

仲介手数料の金額目安

仲介手数料は、上限額が法律によって以下のように定められています。

仲介手数料の計算
売買価格 仲介手数料の計算式
200万円以下 売買価格 × 5%(税別)
200万円超〜400万円以下 売買価格 × 4% + 2万円(税別)
400万円超 売買価格 × 3% + 6万円(税別)

例えば、売買価格が3,000万円なら仲介手数料は96万円(税別)が上限になります。

なお、令和6年7月1日からは法改正により、低廉な空き家等について売却金額が800万円以下の場合に一律で33万円(税込)の仲介手数料を請求できるようになっています。

参照:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し|国土交通省

仲介手数料を除く諸費用の金額目安

仲介手数料以外の諸費用の目安額は以下のとおりです。

諸費用の目安額
費用の名目 金額の目安 支払うタイミング
解体費用 木造:1坪あたり3〜5万円
鉄筋コンクリート造:1坪あたり7〜10万円
解体業者に依頼後、通常は作業完了後に一括で支払う(売却活動前)
※契約時に一部の前払いが求められるケースあり
測量費用 地域や土地の状況により異なり、30〜100万円程度が一般的 土地の測量を依頼した業者へ、測量完了後に支払い(売却価格の決定前)
引っ越し費用 数万円〜十数万円 引っ越し作業完了後(引き渡し前)
※前払いを求められるケースあり
リフォーム・ハウスクリーニング費用 範囲により費用は変動し、10万〜100万円以上 売却活動の開始前
住宅ローンの一括返済にかかる費用・手数料 金融機関やローンの種類によって異なり、数千〜数万円が一般的
※変動金利で借り入れをしている場合には「未払利息」の支払いが必要なケースあり
物件の代金が買主から支払われた後(売却完了後)

これらの費用は、不動産や売主の状況により発生しないケースもあります。

余計に支払うことにならないよう、必要性と金額を十分に確認しておきましょう。

【税金】不動産売却でかかる費用の金額目安

不動産売却でかかる主な税金は「譲渡所得税」「印紙税」「登録免許税」の3つです。消費税は、仲介手数料など一部の費用に対してかかりますが、個人が別途計算して納めることはありません。

金額の計算は、譲渡所得税はやや複雑ですが、印紙税と登録免許税はシンプルです。それぞれ詳しく紹介します。

譲渡所得税の金額目安

譲渡所得税は、売却の利益に相当する「譲渡所得」に対して、所有期間に応じた税率を乗じることで算出できます。

譲渡所得は、以下の計算式で計算します。

譲渡所得  =  譲渡価額 –  ( 取得費 + 譲渡費用 )

取得費は不動産購入時の代金を含む、取得時の経費のことです。譲渡費用は売却にかかった経費のことです。

条件を満たせば、譲渡所得から特別控除分を差し引くことができます。

課税対象の譲渡所得に乗じる税率は、以下のとおりです。

所有期間によって異なる税率
区分 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
長期譲渡所得(5年超) 15% 5% 0.315% 20.315%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9% 0.63% 39.63%

なお、所有期間を判断する基準日は「売却した年の1月1日」です。

実際の所有期間は5年を超えていても1月1日時点で5年経過していなければ短期譲渡所得に区分されるため、5年ギリギリで売却する場合は期間に気を付けましょう。

印紙税の金額目安

印紙税は、売買契約書に記載された金額によって税額が決まります。具体的な金額は以下の表のとおりです。なお、令和9年3月31日までは軽減措置が適用されます。

印紙税の一覧
契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え
50万円以下のもの
400円 200円
50万円を超え
100万円以下のもの
1千円 500円
100万円を超え
500万円以下のもの
2千円 1千円
500万円を超え
1千万円以下のもの
1万円 5千円
1千万円を超え
5千万円以下のもの
2万円 1万円
5千万円を超え
1億円以下のもの
6万円 3万円
1億円を超え
5億円以下のもの
10万円 6万円
5億円を超え
10億円以下のもの
20万円 16万円
10億円を超え
50億円以下のもの
40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

引用:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

登録免許税の金額目安

抵当権抹消登記は不動産個数×1,000円です。

土地と建物は別にカウントされるため一般的な戸建ての場合、土地と建物で2,000円かかります。

不動産売却費用のシミュレーション

不動産売却の費用は、売却価格の5~10%ほどといわれています。

本当にそれくらいになるのでしょうか。

ここで、以下の条件で具体的な費用を算出してみましょう。

  • 対象不動産:マンション
  • 所有期間:15年
  • 売却価額:5,000万円
  • 取得費:3,000万円
  • 譲渡費用:300万円
  • 抵当権:あり

この条件で計算した場合の各費用は以下のとおりです。

各費用
費用の名目 金額
仲介手数料 171万6,000円
譲渡所得税 345万3,550円
印紙税 1万円
登録免許税 2,000円 + 2万円(司法書士費用)
住宅ローンの一括返済にかかる費用・手数料 3万円

譲渡所得税は、長期譲渡所得に区分されるため税率20.315%で課税され、以下のような計算結果になります。

5,000万円 – ( 3,000万円 + 300万円 ) = 1,700万円

1,700万円 × 20.315% = 345万3,550円

しかし、居住目的で所有していた自宅であれば、特例の適用によって譲渡所得税が0円になるケースも少なくありません。特例については、次章でも触れています。

このシミュレーションでの費用は、合計で523万1,550円です。売却価格の約10.5%なので、概算費用と概ね一致します。

費用によっては自己資金で支払わなければならないものもあるため、事前にトータルの費用をシミュレーションして売却計画を立てるようにしましょう。

不動産売却でかかる費用や税金を抑える方法

ここで、不動産売却で生じる費用や税金を抑える方法として、以下の3つを紹介します。

  • 費用を漏れなく経費計上する
  • 譲渡所得には特例を適用する
  • 仲介手数料を上限より安くする

費用を漏れなく経費計上する

譲渡所得を計算する際の取得費や譲渡費用を漏れなく計上することで差し引ける経費が増えて、利益を圧縮でき、節税につながります。

取得費や譲渡費用として計上できる費用には、以下のようなものがあります。

計上できる費用
取得費 譲渡費用
売却した不動産の購入代金
仲介手数料
登録免許税
不動産取得税
印紙税
立退料
造成費用
測量費 など
仲介手数料
印紙税
立退料
取壊費用
名義書換料 など

費用として計上するためには、領収書や契約書など額を証明できる書類が必要です。

また、相続した家のように所有してから年数が経過していると、取得費が分からないというケースも珍しくありません。

その場合は、概算の取得費(売却金額 × 5%)を計上することになります。

概算取得費は、基本的に本来の取得費よりも低くなるため、節税対策のためにもできるだけ購入時の資料を用意できるようにしておきましょう。

譲渡所得には特例を適用する

先述したように譲渡所得は、控除の特例を適用することで額を減らすことが可能です。

譲渡所得税に関する代表的な特例には、以下のようなものがあります。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 10年超所有軽減税率の特例

3,000万円の特別控除の特例は、一定の要件を満たすことで、マイホームを売却する際に譲渡所得から3,000万円までを控除できる特例です。譲渡所得3,000万円未満であれば、譲渡所得税が発生しなくなるので大きな節税が見込めるでしょう。

参照:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

また、所有期間が長いマイホームを売却した際に検討したいのが、「10年超所有軽減税率の特例」です。

この特例では、所有期間が10年を超えたマイホームを売却した場合、譲渡所得6,000万円以下の部分にかかる税率を14.21%まで、6,000万円以上の部分にかかる税率を税率20.315%まで引き下げられます。

10年超所有軽減税率の特例は、3,000万円の特別控除の特例との併用ができるため、より高い節税効果も期待できるでしょう。

参照:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

ただし、それぞれ適用要件があるので国税庁のホームページで内容を確認して検討することが大切です。

仲介手数料を上限より安くする

仲介手数料の計算式として紹介した金額は、あくまで上限です。

法律で上限は定められていますが、下限については定められていないため、不動産会社で決めることができます。

不動産会社の事情によっては、媒介契約前に安い手数料率を提案してくることもあるので、検討するとよいでしょう。

ただし、注意点が2つあります。

1つは、仲介手数料を減額する場合、同じ不動産会社が買手の仲介もしている、両手取引の可能性が高い点です。

両手取引自体が悪いわけではなく、むしろ買手候補がすでにいれば好条件を提示されることもあります。
一方で、売手に不利な条件提示もありえるので、複数の会社を比較するなどして、売却価格の妥当性を見極める必要があります。

もう1つは、値下げ交渉はおすすめできない点です。

仲介手数料は不動産会社の利益であり、必要経費も含まれます。

過度な値下げ交渉をすることで営業の優先順位が下がり、高値での売却が期待できなくなる可能性があります。

不動産売却で手元に残るお金を多くするには、費用を抑えること以上に高く売ることが重要です。

費用を抑えることに固執して本来の売却に影響が出ないように注意しましょう。

まとめ

この記事では、不動産売却にかかる費用について解説してきました。

不動産売却では仲介手数料や譲渡所得税といった費用や税金が必要となり、総額で5~10%程が目安といえます。

どのような費用がかかるかは不動産の売却金額や状況によっても異なるので、事前にトータルの費用を把握したうえで売却計画を立てるようにしましょう。

また、費用を抑えることより、高く売ることに注力したほうがかえって手元に多くのお金を残せることもあります。どこの不動産会社に依頼して、どのような計画で売却活動を進めるのか、慎重に検討するようにしましょう。

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