
この記事のポイント
- 売却目的でリフォームを行う人は少数派で、買い手が重視するのは立地や価格であるため、リフォームしても売れるとは限らない
- 売却前のリフォームは、コスト回収が難しく買い手のニーズと合わない可能性がある
- 著しい汚れや老朽化がある場合、簡単な修繕やクリーニングを行うことで、売却の成功率を高めることができる
「マンションを売却するときに、リフォームは必要なの?」
「リフォームせずにマンションを売却するメリットを知りたい」
マンションを売却するときに、リフォームをするべきか迷う方は多いのではないでしょうか。一般的にリフォームは不要といわれていますが、「資産価値が高くなるのになぜ?」と気になりますよね。
そこで今回は、マンション売却とリフォームの関係について詳しく解説します。この記事を読むと、リフォームが不要といわれる理由が分かります。
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記事の構成
マンション売却のためにリフォームする人は少ない
中古マンションを売却する際、「リフォームすれば高く売れるのでは?」と直感的に考える方は多いと思います。しかし、実際にリフォームをする人は少数派です。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が実施した調査結果によると、リフォームを実施した人のきっかけでは「住宅の構造部分の更新・修理」が41.9%、「設備や機器の更新・修理」が40.3%、「水回りや家事動線の使い勝手の改善」が24.1%、「今の家に長く住むため」が20.3%となっています。
一方で、「資産価値を高めるため」と答えた人は、わずか4%にとどまります。大多数のリフォームのきっかけは、自分が快適に暮らすためであり、マンションを高く売るためではないことがうかがえます。
では、なぜ売却前のリフォームが推奨されないのか、次の章で詳しく解説していきます。
参照:2023年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査|住宅リフォーム推進協議会
マンション売却前のリフォームは必要ないとの声がある理由
マンション売却時はリフォームをせずに売却するケースが多く、「リフォームは不要」との声も多く聞かれます。その理由は、大きく分けて3つあります。
リフォームしても必ずしも売れるとは限らないから
中古マンションの購入を検討するとき、買い手が最も重視するのは、「立地」と「価格」です。どれだけ内装をリフォームしても、立地が悪かったり価格が相場より高かったりすると売却につながりません。
また、リフォームの内容が買い手の好みに合わなければ、かえって敬遠される可能性さえあります。こうした理由から、売却のためのリフォームは必ずしも必要ではないのです。
リフォーム費用を回収できないケースのほうが多いから
マンションの売却前にリフォームをする場合、その費用を売却価格に上乗せして回収しようと考えるのが自然でしょう。しかし、リフォームにかけた費用をそのまま売却価格に反映させても、実際に売れるとは限らないのが現実です。
仮にリフォームに200万円投じたからといって、物件価格を200万円引き上げて買い手が現れる保証はありません。
中古マンションの魅力の一つは「割安であること」です。リフォームによって価格が上がると、「それなら新築を買ったほうがいい」と考える買い手も出てくるかもしれません。リフォームにより、かえって売れづらくなってしまう可能性があるのです。
リフォームの内容が買主のニーズとズレる可能性があるから
売却前にリフォームを行っても、買主の好みに合わなければ無駄になってしまうことがあります。むしろリフォームせず、そのままの状態で売却したほうが買主にとって好都合なケースも多いのです。
全国宅地建物取引業協会連合会の調査によると、中古マンション購入者の40.8%が購入後にリフォームを行っている一方、リフォーム済みの物件を購入した人の割合は20.4%にとどまっています。
買主の多くは、自分の世帯構成やライフスタイルに合わせてリフォームを検討しているため、売主が行うリフォームでは、ニーズとズレてしまう可能性があるのです。
金銭的なメリットを最大化するためには、リフォームに限らず、個々の物件の状態に応じた販売戦略を練ることが重要です。マンションの販売に精通した、信頼できる不動産会社と相談しながら売却を進めるといいでしょう。
参照:土地・住宅に関する消費者アンケート調査 ウェブアンケート調査結果|公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会
マンション売却前にリフォームしたほうがよいケース
これまで、マンション売却前のリフォームは基本的に不要であることを説明してきました。しかしながら、リフォームを行ったほうが売却に有利に働く場合もあります。
この章では、売却前のリフォームが効果的なケースについて解説します。
「汚い」など買い手の印象を著しく損ねる場合
マンションの売却の手続きの中で、買い手は内覧に訪れます。その際、部屋が汚れていたり、不潔な印象を与えてしまうと、第一印象が悪くなり売却が難しくなります。
クリーニングで落ちる程度の汚れであれば問題ありませんが、壁紙の黄ばみや黒ずみ、床のひどい傷などがある場合は、リフォームを検討するとよいでしょう。
コストを抑えた効果的なリフォーム例として、次のものが挙げられます。
- 壁紙を明るい白系に張り替える
- フローリングを張り替える
買い手の第一印象を大きく損ねる要因がある場合は、最低限のリフォームを行うことで売却がスムーズになる可能性があります。
建物が古く、老朽化が激しい場合
築20年〜30年以上の築年数が経過したマンションでは、設備や建具の老朽化が進んでいることが多く、そのままでは買い手の印象が悪くなるケースがあります。
特に水回りや給湯器などの設備が古くなっている場合、買い手に「購入後にすぐ修繕費用がかかる」と思われてしまい、敬遠されがちです。
次のような不具合が発生している場合、リフォームを検討しましょう。
- 給排水設備が古く水漏れが発生している
- 給湯器が故障している
- ドアや窓の建てつけが悪くなっている
生活に支障をきたすような老朽化が見られる場合は、リフォームによって売却の可能性を高めることができます。
近隣の売却物件と比較して競争力が低い場合
売却するマンションがあるエリアで、同じような築年数・間取りの物件が複数売りに出されている場合、競争力を高めるためにリフォームが有効になることがあります。
買い手は通常、複数の物件を内覧して比較検討するため、近隣の売却物件と比べて明らかに見劣りすると、購入の選択肢から外されやすくなります。
自分の物件が次の条件に当てはまる場合は、リフォームが有効な可能性があります。
- 近隣の同条件のマンションと比べて、内装が明らかに古い
- 築年や広さでは差別化が難しい
壁紙やフローリングの張り替え、簡単にできる設備の交換など、費用対効果の高いリフォームを行うことで、効率よく競争力を向上させることができます。
マンション売却前のリフォームにかかる費用相場
マンション売却前にリフォームを検討する際、どの程度の費用がかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。以下に、リフォーム箇所ごとの一般的な費用相場をまとめました。
| リフォーム箇所 | 費用相場 |
|---|---|
| 壁クロスの張替え | 6万〜30万円 |
| 温水洗浄便座(ウォシュレット)設置 | 8万〜16万円 |
| バスタブ交換 | 14万〜20万円 |
| 畳をフローリングに変更 | 15万〜60万円 |
| 洗面化粧台の交換 | 20万〜50万円 |
| トイレ全体の改装(タンク式) | 20万〜100万円 |
| タンクレストイレに交換 | 30万〜50万円 |
| システムキッチンの交換 | 40万〜80万円 |
| システムバスの交換 | 50万〜100万円 |
このように、リフォームの内容によって費用には大きな幅があることがわかります。売却前のリフォームでは、必要最低限の工事にとどめてコストを抑えることが重要です。
マンション売却におけるリフォーム費用と税金の関係
マンション売却時のリフォーム費用は、税務上どのように扱われるのか気になる方も多いでしょう。不動産売却益がある場合は譲渡所得税が課税され、確定申告により税額を決定する必要があります。
リフォーム費用は「取得費」または「譲渡費用」として計上され、税額を抑える効果があります。この章では、どのようなリフォーム費用が計上できるのかを詳しく解説します。
リフォーム費用で経費計上できるもの・できないもの
リフォーム費用は、取得費、譲渡費用、経費にもならないものの3つに分けられます。
設備費や改良費として取得費に含めるもの
取得費とは、購入代金のほか設備費や改良費など資産価値を高めるための費用です。例えば、以下のようなものは取得費に該当します。
- 利便性を向上させるため部屋をバリアフリー化した
- エネルギー効率を高めるため窓を一重から二重にした
これらは、物件の資産価値を上昇させるリフォームであり、売却時に取得費として譲渡所得の計算に組み込めます。
売却目的のリフォームとして譲渡費用に含めるもの
譲渡費用とは、物件を売却するためにかかった直接的な費用のことです。以下のようなリフォームが該当します。
- 印象アップのため畳からクロスに張り替えた
- 次の入居者のためトイレを交換した
売却を目的としたリフォーム費用は、譲渡費用に含めることが可能です。譲渡所得の計算時に控除できます。
日常的なメンテナンス・修繕(経費にも取得費にも含めない)
以下のような日常的な修繕は、取得費や譲渡費用に含めることができません。
- 壁や床のキズや穴を修理した
- 故障した設備を同じ型式のものと交換した
これらは日常の維持管理にあたるため、売却時の税務上の計算には含めません。
リフォーム費用は譲渡費用もしくは取得費用に含める
マンション売却時の譲渡所得は、以下の計算式で算出されます。
譲渡所得 = 収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用 ) – 特別控除
最終的な税額は以下の計算式で求めます。
譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 税率
この計算式から分かるように、同じ金額で物件を売却するのなら、取得費や譲渡費用が大きいほど、譲渡所得が圧縮され税金が安くなります。
取得費には物件の価値を向上させるリフォーム、譲渡費用には売却のために実施したリフォームを含めることができます。リフォーム費用は適切に分類し、漏れなく計上することが節税において重要となります。

確定申告について
上記の計算により、譲渡所得がプラスになり売却益が出るのなら確定申告が必要です。リフォーム代金が分かる領収書や契約書を用意して、正確に譲渡所得を計算します。申告期限は売却翌年の3月15日までとなるので、事前に試算しておくといいでしょう。
なお、自分が居住したマンションを売却する場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を適用できる可能性があります。特例の適用により、支払う税金がゼロになるケースも多くあるので、漏れなく適用するようにしましょう。なお、特別控除を適用する場合は、税金の有無にかかわらず確定申告が必要な点には注意が必要です。
売却金額が高額となり、より厳密な計算が必要な場合は、税理士などの専門家に相談するのもよいでしょう。
リフォームなしでマンションを高く売る方法
費用対効果の観点から、リフォームは基本的にはおすすめできないと解説してきました。では、リフォームなしでマンションを高く売る方法はあるのでしょうか。ここでは、手間や費用を抑えつつ売却価格を引き上げるための3つの方法を紹介します。
ハウスクリーニングや簡単な修繕を行う
清潔感を向上させることで、マンションの印象は大きく向上します。大掛かりなリフォームには及びませんが、ハウスクリーニングも効果的です。キッチンや浴室など、水回りの汚れがあると悪目立ちしますので、特に念入りにするといいでしょう。
また、簡単な修繕も有効です。傷の修理や、ドアノブの交換などは工務店に依頼できるほか、DIY商品を活用して自分で行うことも可能です。安価かつ短期間に実施可能で、買い手の印象アップに直結します。
内覧時の印象を良くする
内覧時の第一印象も売却成功の鍵です。不要な家具や荷物を減らし、スッキリした空間を演出するほか、カーテンを開けて明るい印象となるように心がけましょう。
また、内見者との応対は明るく丁寧に。聞かれたことにハキハキ回答して、住み心地のよさをアピールしましょう。
空間と接遇の2つの面から「この部屋で暮らしたい!」と思わせるのがポイントです。
適正な売却価格を設定する
価格設定を間違えると、売却までの期間が長引いたり、安く買いたたかれるリスクがあります。近隣の中古マンション相場を調査するほか、複数社に査定を依頼し適正価格を見極めることが重要です。
相場の調査は、パソコンやスマートフォンでも簡単にできます。「不動産情報ライブラリ」や「REINS Market Information」を利用すると無料で検索できます。
まとめ
マンション売却時のリフォームについて解説しました。基本的に売却目的のリフォームは成功しづらい傾向にあります。
その理由として、以下の3点が挙げられます。
- 必ず売れるとは限らない
- リフォーム費用の回収が難しい
- 買い手自身がリフォームをするケースが多い
一方で、物件の状態によってはリフォームが有効な場面もあります。
- 買い手の印象を著しく悪くするような汚れ・損傷がある
- 築年数が古く、設備の老朽化が激しい
- 近隣の売却物件と比較して明らかに見劣りする
リフォームをすべきかどうか迷ったら、信頼できる不動産会社に相談するのが確実です。
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