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この記事のポイント
- 借地権は地主の承諾や契約条件、登記状況などによって売却の可否や難易度が大きく左右されるため、事前の確認と調整が不可欠
- 建物の名義や境界の測量といった基礎的な準備を怠ると、売却時にトラブルとなる可能性がある
- 借地権は第三者への売却だけでなく、地主への売却や不動産会社による買取といった選択肢もあるので、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切
「借地権って売れるの?」
「借地権を売りたいけれど、地主との関係や手続きの複雑さが気になって動き出せない」
借地権の売却は、一般的な土地や建物の売却とは異なり、法律や契約内容、地主の承諾など、特有の知識と準備が求められます。しかし、正しい手順とポイントを押さえれば、スムーズかつ納得のいく条件での売却も十分可能です。
この記事では、借地権を売却する際に確認すべき条件や手続きの流れ、地主との交渉のポイント、建物付き借地権の注意点、さらには税金やトラブル事例までを幅広く解説します。
この記事を読むことで、自分の借地権をきちんと評価し、損せずに手放すための具体的なアクションがとれるようになるはずです。
借地権売却で後悔しないための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
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地方銀行、住宅会社勤務を経て住宅や不動産を中心としたライターとして活動。現場で多くのお客様の対応で経験させていただいたことをもとに、専門知識に基づいた分かりやすい記事執筆に取り組んでいます。
記事の構成
借地権が売れるのかは各種条件による
借地権はその種類や契約条件によって、売却の可否や難易度が大きく変わってきます。
まずは、現行法に基づく代表的な借地権の種類と特徴を整理してみましょう。
| 借地権の種類 | 特徴 | 更新の可否 | 売却のしやすさ |
|---|---|---|---|
| 普通借地権 | 建物所有を目的とした借地権。地主側に正当な自由がなく借主側が希望すれば期間満了後に更新される | あり | 高め |
| 定期借地権 | 契約期間時は原則として更新されない。更新・建物買取請求権なし | なし | 条件付きで可 |
また、旧法に基づく旧法借地権は、平成4年(1992年)以前の契約に基づくもので、非常に強い借主保護が特徴です。
たとえば、旧法借地権では契約期間が満了しても、借主が引き続き土地を使いたいという意思を示せば、地主が正当な理由(正当事由)を持たない限り、契約を更新することができます。この「正当事由」は非常に厳しく判断されるため、実際には借地人の希望が優先されるケースが多く、地主が一方的に契約を打ち切るのは難しいとされています。
現在は新規で設定することはできませんが、継続中の契約であれば引き続き有効です。名義や契約内容によっては売却可能ですが、条件の確認が必要です。
借地権が売却できるかどうかは、以下のような条件によっても左右されます。
- 地主の承諾が得られるか
- 契約書の内容に譲渡制限がないか
- 借地権が登記されているか
まず大前提として、多くの借地契約では、借地権を第三者に譲渡したり転貸したりする際に、地主の書面による承諾が求められます。この承諾を得るためには、一般的に「承諾料」と呼ばれる費用が発生することがあり、その金額や条件は契約内容や地主との関係性によって異なります。売却の準備段階で、確認しておきましょう。
また、契約書には譲渡や転貸に関する制限が設けられていることもあります。たとえば「無断譲渡は禁止」「譲渡には地主の承諾が必要」といった条項があれば、売却にあたって法的な制約が生じます。契約書の条項を事前に読み込み、不明点があれば専門家に相談するのが安心です。
加えて、借地権そのものが登記されているかどうかも重要なポイントです。借地権が登記されていないと、買主がその権利を法的に主張しにくくなり、売却に不利となることがあります。登記の有無は不動産会社や司法書士など、専門家に確認してもらうとよいでしょう。
借地権売却の手続き・流れ
借地権の売却は、通常の土地や建物の売却とは異なり、地主の関与や法的な制約が多いため、より慎重な準備と手続きが求められます。
借地権売却の一般的な流れを以下のステップごとに解説します。

契約内容と借地権の種類を確認する
まずは、自身が保有する借地権の契約内容を確認しましょう。特に重要なのは、契約の種類や、譲渡に関する条項の有無です。売却可能かどうかを判断する基礎となるため、契約書を取り出して内容をしっかり読み込む必要があります。
地主に承諾を取る
地主の承諾を得るには、地主に文書または面談で売却の意向を伝え、正式な承諾書の発行を依頼します。承諾書には、譲渡内容・新たな借地人の情報・承諾日などを記載し、署名押印をもらいます。
交渉の場では、承諾料の支払い条件なども合わせて確認し、必要に応じて不動産会社や司法書士に同席してもらうとスムーズです。
測量や境界確認を行う
特に長期間使用されてきた借地では、境界線が曖昧になっているケースもあります。測量や境界確認を行うことで、買主とのトラブルを未然に防ぐことができます。借地権売却においても、境界が明確であることは安心材料のひとつです。
不動産会社に査定を依頼する
借地権の売却価格は、通常の土地とは異なり、建物や権利関係、地域の事情など複合的な要素で評価されます。借地権に精通した不動産会社に査定を依頼することが成功のカギとなります。
不動産SHOPナカジツでは、借地権付き物件の取り扱い実績も豊富で、複雑な権利関係にも配慮した査定が可能です。「ほかで断られた物件でもまずは相談だけでもOK」という姿勢でお受けしているため、初めての方でも安心してご相談いただけます。
必要書類をそろえる
売却手続きに必要な書類としては、以下のようなものがあります。
- 借地契約書
- 建物の登記簿謄本
- 本人確認書類
- 地主からの承諾書 など
不動産会社から配布されることもありますが、事前にチェックリストを用意し、不備がないようにそろえておきましょう。
売買契約を締結する
買主が決まったら、事前に合意した条件に基づいて売買契約書を作成します。借地権の場合は、地主の承諾書の有無や、承諾料の負担者など、通常の売買よりも契約条項が複雑になりがちです。契約書の作成は、不動産会社や司法書士と連携しながら進め、双方が内容を確認・納得したうえで署名押印を行います。
登記手続きを進める
契約が完了したら、借地権や建物の登記変更手続きに入ります。名義変更などの手続きは、司法書士に依頼するのが一般的です。登記されていない借地権の場合は、同時に登記の手続きも進めましょう。
売却代金の受け取りと清算を行う
買主からの売却代金を受け取り、必要経費や税金、承諾料などを清算して売却手続きは完了です。不動産会社のサポートがあれば、資金の流れや手続きもスムーズに進められます。
建物付き借地権の売却について
借地権を売却する際、建物の有無によって手続きや売却のしやすさに違いが出てきます。
ここでは「建物付き借地権」にフォーカスし、その特徴や注意点、場合によっては解体を検討すべき理由などを解説します。
建物付きと更地との借地権の違い
借地権は基本的に「建物と一体の権利」として成立しています。そのため、建物がある状態で売却するのが一般的です。建物付きであれば、そのまま居住や事業に使えるという実用性が評価されやすく、買い手も見つかりやすくなります。
一方で、更地の借地権は「建物を建てる前提」の購入になるため、地主の承諾や用途制限などがより重くのしかかることもあります。また、建物がないことで借地権の評価が難しくなり、価格交渉が複雑になることもあります。
建物がある場合の注意点
建物付き借地権の売却では、建物の名義、状態、築年数が重要なポイントになります。特に注意すべきなのは、登記名義が売主本人になっているかどうか。名義が他人のままだと、売却前に名義変更の手続きが必要です。
また、建物の老朽化が進んでいる場合、買主がリフォームや建て替えを前提とすることが多く、交渉材料にもなります。こうした点を踏まえ、事前に建物の状態を把握しておくことが、円滑な売却につながります。
建物を解体してから売るべきケース
築年数が古く、再利用が難しい建物や、倒壊の危険がある空き家が建っている場合には、建物を解体してから売却するほうがよいケースもあります。解体によって、土地の利活用がしやすくなり、買主の選択肢が広がるため、結果的に売却しやすくなることがあります。
ただし、解体費用は売主負担になることが一般的で、事前に見積もりをとって採算がとれるかを確認することが大切です。また、解体後に更地として売る場合は、地主の承諾や地代の再契約など、新たな調整が必要になることもあるため、事前に不動産会社へ相談しておくと安心です。
地主に買い取ってもらう選択肢もある
借地権の売却先として、第三者だけでなく「地主自身に買い取ってもらう」という選択肢もあります。このルートは手続きが比較的シンプルになることが多く、条件が合えばスムーズに話が進む可能性もあります。
地主に買い取ってもらう選択肢がある理由
地主が借地権を買い取ることで、その土地を一体利用できるようになります。土地の価値や活用の自由度が高まるため、地主にとってもメリットがあります。
また、将来的に売却や再開発を考えている地主にとっては、借地権を整理しておくことが資産戦略の一環となることもあります。
地主に売却する場合の相場
地主に借地権を売却する場合、価格は「借地権割合」に基づいて決まるのが一般的です。借地権割合とは、その土地の更地価格(=土地を完全に所有していた場合の価格)に対して、借地権がどれだけの価値を持つかを示す割合のことです。
たとえば、借地権割合が60%であれば、その土地の更地価格に60%を掛けた金額が基準となります。ただし、実際には借地契約の内容や地域性、地主との関係性などにより調整が入るため、相場より低めに設定されることも少なくありません。
また、借地権割合は相続税評価の際に使われる国税庁の指標で、地域ごとに設定されています。実際の売却では、この割合を目安に交渉されることが多いものの、売買価格は契約内容や需要によって変動することもあります。
借地権売却におけるトラブル事例と注意点
借地権の売却では、通常の不動産取引とは異なる特有のリスクが潜んでいます。
ここでは不動産業に20年以上携わる筆者が見聞きしたトラブル事例を紹介し、それぞれから学ぶべき注意点を解説します。
建物の名義に関するトラブル事例
あるケースでは、売主が借地上の建物を相続で引き継いだものの、登記名義が亡くなった親のままになっていました。そのまま売却を進めたところ、買主が住宅ローンの手続きを進められず、契約が白紙撤回に。結果として、売主は買主を逃し、予定していた資金計画も見直しを迫られました。
注意点・教訓
建物の登記名義が自分になっていることは、売却の前提条件です。特に相続や贈与で取得したケースでは、事前に登記簿謄本を確認し、必要であれば名義変更(相続登記など)を済ませておきましょう。
相続登記を行うには、相続人全員の戸籍謄本が必要になることもあり、特に親が亡くなってから期間が経ってしまい相続人の誰かが亡くなってしまったような場合に代襲相続となるなど手続きが複雑化していってしまう点に注意が必要です。
測量に関するトラブル事例
借地の境界線を長年確認せずに使用していたケースで、隣地所有者との境界確定協議が難航し、売却のタイミングが大幅にずれ込みました。関係各所に迷惑をかけることとなり、売主はかなり後悔したそうです。
注意点・教訓
境界トラブルは、売却を大きく遅らせる原因になります。隣地との境界を確定するには、隣地の所有者との立ち合いが必要になるからです。特に古くからある借地や長期間利用されてきた土地では、早めの段階で測量士に依頼して現地の状況を確認しておくことが大切です。
借地権売却後にかかる税金
借地権の売却で利益が出た場合には、一定の税金が発生します。たとえば、土地や建物の売却と同様に、借地権にも「譲渡所得税」が課されます。
まずは、どのような税金が関係してくるのかを一覧で整理しておきましょう。
| 税金の種類 | 概要 | 課税されるタイミング |
|---|---|---|
| 譲渡所得税 | 売却によって得られた利益(譲渡所得)に対して課税される所得税 | 売却翌年の確定申告時 |
| 住民税 | 譲渡所得に基づいて自治体ごとに課される税 | 売却翌年の確定申告後(6月頃) |
| 登録免許税 | 借地権の移転登記にかかる税金(買主側が支払うのが一般的) | 登記手続き時 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する印紙代 | 売買契約時 |

借地権の売却にかかる税金の計算方法
借地権の売却によって得た利益(譲渡所得)は、以下の計算式で求められます。
譲渡所得 = 売却価額 -(取得費 + 譲渡費用)
この譲渡所得に対して、税率(所得税+住民税)が課されます。保有期間が5年以下か5年超かによって、税率が変わります。(5年以下の短期:39.63%、5年超の長期:20.315%)。
取得費
借地権を取得した際の費用を指し、購入価格、仲介手数料、登記費用などが含まれます。相続や贈与による取得の場合、被相続人・贈与者が当初支払った取得費を引き継ぐ形になります。
譲渡費用
売却にかかった経費(仲介手数料、測量費、登記費用など)です。これらは譲渡所得から差し引くことができます。
借地権における特別控除や優遇措置
条件によっては、譲渡所得から一定額を控除できるケースがあります。
たとえば、自宅として使用していた建物付き借地権を売却する場合、「居住用財産の3,000万円特別控除」が適用されることがあります。また、買い替え特例や相続税の取得費加算制度など、状況に応じた優遇措置も検討しましょう。
借地権の確定申告
借地権を売却した翌年には、譲渡所得の金額を計算し、確定申告を行う必要があります。会社員であっても、給与とは別に借地権の売却で一定以上の所得が発生した場合は申告義務が生じます。申告に必要な書類(売買契約書、取得費の領収書など)は、売却時から整理・保管しておくとスムーズです。
【FAQ】借地権の売却に関するよくある質問
ここでは、これまでに寄せられた質問の中から、いくつかをピックアップし、実務に即した視点でわかりやすく回答しています。
借地権を譲渡する際の「承諾料」は誰が負担する?
一般的には、買主が承諾料を負担するケースが多いですが、最終的には売主・買主間の交渉によって決まります。売買契約前に「どちらが負担するのか」を明確にしておかないと、後からトラブルになることもあります
借地権は転売できる?
借地権も不動産の所有権売却と同様、適切な条件を満たせば転売は可能です。ただし、地主の承諾が必要であったり、譲渡制限の特約がある場合がありますので、契約書の確認が重要です。
借地権にも買取という選択肢はある?
はい、借地権にも「買取」という選択肢はあります。特に、第三者に売却するのが難しい場合や、地主との交渉がまとまらない場合には、不動産会社による直接買取が有効な手段となります。
まとめ
借地権の売却は、地主の承諾や契約内容、建物の状態など、多くの条件が絡むため、通常の不動産売却よりも慎重な対応が求められます。しかし、ポイントを押さえた準備と、信頼できる専門家のサポートがあれば、スムーズに売却を進めることは十分可能です。
私たち不動産SHOPナカジツでは、毎月100組以上のお客様が来店されており、地域によっては取引シェア率53%を超える実績を誇っています。さらに、契約内容によっては「買取保証」もご利用いただけるため、「売れるか不安」という方も安心してご相談いただけます。
借地権売却で後悔しないために、まずは一度、専門スタッフまでお気軽にご相談ください。きっと、最適な選択肢が見つかるはずです。








































逆瀬川勇造さん からのコメント
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
借地権の売却は一般的な所有権の売却と比べて、さまざまな制約があります。また、借地権の売却は所有権の売却と比べて買主を見つけにくいこともあり、不動産会社側が積極的に取り組んでくれなかったり、取り組んでくれたとしてもうまく買主を見つけられなかったりすることがある点に注意が必要です。買主視点から見た借地権のメリットは、初期費用を安く抑えやすい点や固定資産税がかからないといったことが挙げられるでしょう。こうしたポイントをしっかり買主に伝えられる、実績豊富な不動産会社に売却を依頼することが大切です。