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更新日:2025.10.24

不動産売却の税金対策5選!特別控除や経費計上でいくら節税できる?

不動産売却の税金計算方法のアイキャッチ

この記事のポイント

    • 不動産売却では複数の税金がかかるが、もっとも大きな負担は譲渡所得税
  • 節税の方法は所有期間5年超・特別控除・取得費や譲渡費用の計上など、5つに整理できる
  • 売却のタイミングや条件次第で数百万円単位の節税が可能で、事前確認と専門家への相談が重要

「不動産を売ったときの税金って、どれくらいかかるんだろう?」
「節税の方法があるなら、ちゃんと知っておきたい…」

不動産を売却すると、所得税や住民税といった税金がかかります。利益が出た場合、その金額は数百万円単位にのぼることもあり、事前に対策をしておくかどうかで手元に残るお金が大きく変わります。

この記事では、不動産売却にかかる主な税金の種類や仕組みから、所有期間や特別控除、損益通算、経費計上など、知っておきたい節税のポイントまでをわかりやすくまとめました。これを読み、余計な税負担を避けて賢く資金を残すための参考にしてください。

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逆瀬川勇造さん

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

監修者 逆瀬川勇造さん

  • 所属:

    合同会社7pockets

地方銀行、住宅会社勤務を経て住宅や不動産を中心としたライターとして活動。現場で多くのお客様の対応で経験させていただいたことをもとに、専門知識に基づいた分かりやすい記事執筆に取り組んでいます。

不動産売却で生じる税金一覧

不動産を売却すると、さまざまな税金が発生します。主なものは以下のとおりです。

不動産売却で生じる税金一覧
譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税) 売却益(譲渡所得)が出た場合に課税されます。長期譲渡で20.315%、短期譲渡で39.63%の税率がかかります。
印紙税 売買契約書に貼付する収入印紙にかかる税金です。契約金額に応じて発生します。
登録免許税 登記を行う際に必要となる税金です。比較的高額な所有権移転登記は、一般的に売主ではなく買主が負担します。
消費税 土地は非課税です。また、建物部分は消費税を課税されますが個人が居住用不動産を売る場合は消費税を納める必要がないケースがほとんどです。ただし、仲介手数料などの諸費用については課税対象になります。

このように複数の税金が関わるものの、実際に負担額が大きく、節税の余地があるのは譲渡所得にかかる税金です。売却益が出た場合、数百万円単位の課税になることもあり、対策を講じるかどうかで手元に残る金額が大きく変わります。

そこで本記事では、譲渡所得税に関する具体的な税金対策に焦点を当て、詳しく解説していきます。

5つの不動産売却の税金対策

不動産売却の税金対策には細かな方法がいくつもあります。この記事では、特に多くの方に当てはまり、実際に効果が大きい主要な対策を5つに整理してご紹介します。

まずは、一覧表で全体像をみてみましょう。

不動産売却の税金対策一覧
税金対策 ポイント
1. 所有期間5年超で長期譲渡所得にする 所有期間が5年を超えると税率が20.315%に軽減(短期譲渡所得だと39.63%)。
2. 特別控除を適用する 居住用財産の3,000万円控除や買換え特例、相続空き家控除など。
3. 譲渡損失の損益通算・繰越控除を使う ほかの所得(給与など)と損益通算、または翌年以降に繰越できる。
4. 取得費をもれなく計上する 購入時の仲介手数料・登記費用・リフォーム費用などを漏れなく含める。
5. 譲渡費用をもれなく計上する 売却時の仲介手数料・測量費用・解体費用などを経費にする。

このように、税率の違いを活用する方法から特別控除、経費の計上まで節税の切り口はいくつも存在します。どの対策が自分に当てはまるかは、売却する物件の種類や取得経緯、売却額などによって変わってきます。

次章からは、それぞれの方法をより具体的に解説していきます。

所有期間5年超で長期譲渡所得にする

不動産の売却益にかかる税率は、所有期間によって大きく変わります。特に「5年」を境に税率がほぼ倍違うため、売却時期の判断は節税の観点で非常に重要です。

ここでは、所有期間による税率の違いや判定の仕組みを整理し、実際にどれくらい手取り額が変わるのかシミュレーションを交えて解説します。

所有期間による税率の違い

不動産売却による譲渡所得は、所有期間が5年を超えるか、5年以下かで課税率が大きく異なります。

税率
区分 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
長期譲渡所得(5年超) 15% 5% 0.315% 20.315%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9% 0.63% 39.63%

長期譲渡所得に該当するケース / しないケース

実際の売却事例を使って確認してみましょう。なお、所有期間は「売却日」ではなく「その年の1月1日時点」で判定します。

<売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合>

例)2019年12月に購入 → 2025年7月に売却
所有期間は6年超なので、長期譲渡に該当

<売却年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合>

例)2020年2月購入 → 2025年3月売却 
所有期間が4年+αとなり、短期譲渡に該当

期間による税金対策シミュレーション

次に、具体的な金額を使って、譲渡所得から税額を引いた手取り額を試算してみましょう。

例)譲渡所得が1,000万円の場合

税金対策シミュレーション結果
区分 税率 税額 手取り額
短期譲渡(5年以下) 39.63% 約396万円 約604万円
長期譲渡(5年超) 20.315% 約203万円 約797万円

わずか数カ月の違いで、手取りが100万円以上も変わる可能性があります。

そのため、売却時期が5年目前かどうかを確認し、可能であれば売却を数カ月ずらすことで大きな節税につながるケースがあります。

特別控除を適用する

不動産を売却したときに使える節税策の代表例が「特別控除」です。ここではそれぞれの仕組みと注意点を整理し、シミュレーションを交えて解説します。

居住用財産の3,000万円特別控除

自分が住んでいたマイホームを売却した場合、最大3,000万円までの譲渡所得を非課税にできる制度です。

主な条件

  • 自分の居住用財産であること
  • 家屋を取り壊した土地を売却する場合も、一定の期間内であれば適用可
  • 過去2年間に同様の特例を使っていないこと

例)譲渡所得 2,800万円の場合
3,000万円まで控除できるため、課税額は0円。

特定のマイホーム買換え特例

マイホームを売却して新しいマイホームを購入した場合、一定条件のもとで譲渡益への課税を繰り延べできる制度です。

主な条件

  • 売却したマイホームが居住用財産であること
  • 新しいマイホームを、売却年の前年から翌年末までに取得すること
  • 売却益よりも新居の購入額が大きい場合に適用可能

例)旧宅売却益 1,000万円、新居購入額 4,000万円
課税対象を繰り延べできるため、この時点では税金は0円。ただし、将来この新居を売却する場合には、繰り延べた額を含めて譲渡所得を計算。

参照:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

相続空き家の3,000万円特別控除

親が住んでいた住宅を相続後に売却する場合、一定条件を満たせば最大3,000万円の控除を受けられます。

主な条件

  • 1981年5月31日以前に建築された耐震性のない住宅
  • 相続後、取り壊すか耐震リフォームをして売却すること
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること

例)相続空き家の譲渡所得 2,500万円
3,000万円控除で、課税額は0円。

参照:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

特別控除はケースごとに条件が異なりますが、いずれも使えると数百万円単位の節税につながります。売却の際は、事前に適用条件をよく確認しておくことが大切です。

譲渡損失の損益通算・繰越控除を使う

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出れば税金がかかりますが、反対に売却損が出た場合には「損益通算」や「繰越控除」を使うことで節税につなげられます。

ここでは、その仕組みと条件を紹介します。

損益通算の仕組みと対象になる損失

損益通算とは、不動産売却による損失を他の所得と相殺できる仕組みです。

対象となるのはマイホーム(居住用財産)の譲渡損失です。不動産を売却したときの利益に課される譲渡所得税は申告分離課税のため、通常は、損失が出ても給与所得などの総合課税と合算することはできません。

しかし、特例の適用を受けることで譲渡所得税と給与所得など他の所得を合算することが可能になります。このことを損益通算と呼びますが、損益通算により、課税所得が減少し、所得税・住民税の軽減につながります。

繰越控除を受ける条件と期間

損益通算で控除しきれなかった譲渡損失は、最長3年間繰り越して控除可能です。

ただし以下のような条件があります。

  • 売却したのが居住用財産(マイホーム)であること
  • 住宅ローンが残っていて、その返済のために売却したケース
  • 確定申告を行うこと(年末調整では手続きできない)

参照:No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|国税庁

損益通算・繰越控除による税金対策シミュレーション

具体例を用いて、もう少しイメージを膨らませてみましょう。

例)給与の課税所得 400万円の会社員が、マイホーム売却で譲渡損失 500万円を出した場合

税金対策シミュレーション結果
損益通算適用前 損益通算適用後
課税所得(給与所得などからの控除後) 400万円 400万円 − 500万円 = マイナス100万円
所得税・住民税 約60万円 この年は課税なし
繰越控除 控除しきれない損失100万円は、翌年以降に繰り越して控除可能。

このように、損益通算や繰越控除の仕組みを使えば、不動産の売却損を将来の節税に活用できることになります。

ただし、損益通算や繰越控除は対象条件が厳しく、確定申告をして初めて適用される制度です。不安な点がある方は、専門知識を持つ人に相談をしながら進めるとよいでしょう。

取得費をもれなく計上する

不動産売却時に課税される譲渡所得は「譲渡価格 −( 取得費 + 譲渡費用 )」で計算されます。つまり、取得費を正確に計上できれば、その分課税所得が減り、税額も軽減できます。

取得費に含められる費用の例

取得費には、不動産を購入した際に実際に支払った金額や関連費用が含まれます。代表的なものは以下の通りです。

  • 購入代金(土地・建物の価格)
  • 仲介手数料
  • 登記費用、登録免許税
  • 不動産取得税
  • 印紙税(売買契約書に貼付したもの)
  • 建築費(注文住宅の場合)

概算取得費とそのデメリット

購入時の資料が残っていない場合、譲渡価格の5%を「概算取得費」として計上できます。

しかし実際に購入した価格がわかれば、通常は5%を大きく上回るため、概算取得費に頼ると税額が増えてしまうケースが多いです。領収書や契約書はできる限り保存しておくことが重要です。

取得費計上による税金対策シミュレーション

例)マンションを3,000万円で購入し、4,000万円で売却したケース(譲渡費用など、取得費以外の費用は割愛)

<概算取得費を使う場合>

概算取得費 = 4,000万円 × 5% = 200万円
譲渡所得 = 4,000万円 − ( 200万円 ) = 3,800万円

<実際の取得費を使う場合>

取得費 3,000万円
譲渡所得=4,000万円 − ( 3,000万円 ) = 1,000万円

この計算では、概算取得費では課税対象が3倍以上に膨らみ、税額も大幅に増えてしまいます。また、今回は関連費用を考慮していませんが、少しでも取得費を多く計上できれば節税になることがわかりますね。

譲渡費用をもれなく計上する

譲渡費用とは、売却のために直接かかった費用のこと。これを正しく計上することも、節税につながります。

譲渡費用に含められる費用の例

  • 仲介手数料(売却時に不動産会社へ支払うもの)
  • 売買契約書の印紙代
  • 抵当権抹消登記費用
  • 売却に必要な建物の解体費用
  • 測量費用、境界確定費用
  • ハウスクリーニングやリフォーム費(売却を成立させるために行った場合)

譲渡費用計上による税金対策シミュレーション

例)譲渡所得1,000万円のケースで、仲介手数料150万円を譲渡費用に計上した場合

譲渡費用の計上が「あり」なら、課税対象が850万円となるため、これだけで数十万円単位の節税効果が生まれる可能性があります。

取得費・譲渡費用の両方を正しく計上することで、「無駄な税金を払わない」ことが税金対策になります。

その他の方法

ここまで解説した主要な節税策以外にも、不動産売却における税金対策として意識できる方法があります。

配偶者や親族への贈与を活用

売却予定の不動産を、あらかじめ配偶者や親族に贈与して持ち分を分けておく方法です。

たとえば、夫婦それぞれが持ち分を持つ形にすれば、譲渡所得を分散させられるため、課税額が抑えられる可能性があります。

ただし、贈与税の課税や名義変更のコストが発生する場合もあるため、税理士や専門家に事前相談することが不可欠です。

売却タイミングに注意

売却する年度やタイミングを工夫することで、税負担を軽減できるケースがあります。

売却タイミング別の税負担軽減例
会計年度をまたぐかどうか 個人の課税年度は1月~12月。売却時期を調整することで、その年の収入・経費との兼ね合いから納税額が変動することがあります。
期間限定の軽減税率や特例 過去には震災後の特別措置などが設けられていたことがあります。時限的な特例が設けられる場合があるため、売却時は最新の税制を確認しておきましょう。

つまり「誰に売却するか」だけでなく、「いつ売却するか」を意識することも、不動産売却における重要な税金対策のひとつといえます。

まとめ

不動産を売却するときに発生する税金は決して小さな負担ではありません。しかし、今回紹介したように 所有期間・控除・経費計上・特例の活用 といったポイントを正しく押さえれば、納める税額を大きく減らせる可能性があります。

とはいえ、税金の取り扱いは複雑で、誤解や見落としがあると本来受けられる控除を逃してしまうこともあります。売却を検討している方は、早めに専門家へ相談し、自分に合った対策を確認しておくことが安心につながります。

不動産SHOPナカジツでは「まずは相談だけ」でも大歓迎です。売却価格の査定から税金対策のアドバイスまで、トータルでサポートいたします。不動産売却や節税でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

逆瀬川勇造さん

逆瀬川勇造さん からのコメント

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

不動産売却時の税金のうち、最も高くなりやすいのが譲渡所得税です。とはいえ、実際には取得費や譲渡費用を差し引いたうえで、3,000万円特別控除の適用を受ければ納税額を0円にしたり、かかっても数万円程度にしたりできることも多いものです。一方で、土地だけの場合や住まなくなってから年数の経った家を売却するような場合で、要件を満たさない場合には特例の適用を受けられません。こうしたケースでは納税額が大きくなることも多いため十分注意が必要です。いずれにせよ、売却後の税金を納めることができないといったことにならないよう、売却前から納税額をしっかりシミュレーションしておくことが大切です。自分で計算するのが難しい場合は不動産会社や税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

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