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基礎断熱とはいったい何でしょう?基礎って家の外側のことでしょう、と思ってしまいますよね。
確かに基礎も断熱も家づくりのスポットライトを浴びにくい存在です。ですが、快適な住居環境をつくるために必要な断熱性、気密性を高める一つの方法として、そして家を支え続けてくれる土台を傷ませることなく維持するためにも、ぜひ知っておきたい内容なのです。従来の工法である床断熱についてもご紹介します。
目次
基礎断熱とは?
基礎断熱とは、住宅の基礎の立ち上がりとそこに繋がる基礎床に施工される断熱、またその工法を指します。基礎に断熱なんて必要なの?と思われるかもしれませんが、床下に施していた断熱を基礎に行うことで床下も含めて断熱をし、床下も室内と一体とする考え方です。断熱効果に優れているとされ、床下も室温と同じ温度となるため冬場の底冷えも軽減されます。
基礎断熱工法は寒さが厳しく住宅の断熱が重要となる北海道で生まれ、今では北海道の住宅の45%と半数近くで採用されています。(出展:令和2年度国土交通省補助事業住宅省エネルギー技術講習テキストp17)
基礎断熱には「基礎内断熱」と「基礎外断熱」、「基礎両側断熱」がありますが、基礎の外側に断熱材を張る方法はシロアリ対策が難しいため、あまり普及していません。今回は「基礎内断熱」について解説します。
そもそも断熱材の役割って?
断熱材とは、その名の通り熱を遮断する素材のことです。素材は無機繊維系(グラスウール、ロックウール)や木質繊維系(セルロースファイバー)、発泡プラスチック系など様々ですが、仕組みは同じで、ダウンジャケットのように空気の層を保持することで熱を伝えにくくします。住宅においては外気と室内を隔て、室温を快適に保つてだすけを役目をしてくれます。
もし、断熱材を使用していない家だったらどうでしょう。夏の暑さ、冬の寒さが直に室内に伝わり、室内の環境は外気とあまり変わらない過酷なものになってしまいます。さらに、室温を快適に保つために冷暖房をフル回転させれば光熱費が恐ろしくかさむのは想像に難くありません。つまり、断熱材には室温を保つことで住まい手の健康を守り、光熱費の節約する役割があるのです。
断熱材が効果を発揮するためには隙間なく層を作り外気をシャットアウトしなくてはなりません。そのため、断熱性を高めるためにはただ断熱材を張るだけでは成り立たず、気密性が欠かせない存在です。
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基礎断熱と床断熱の違い
基礎断熱と床断熱の違いを説明する前に、まずは従来の方法である床断熱について紹介しましょう。ちなみに、この床断熱もオイルショック後1980年代以降の「省エネルギー」の考えの広まりに伴い断熱が注目されだしてから普及したものです。住宅の寿命が30年(現代はさらに長寿命が目指されていますが)とされるなか、比較的築年数が浅い場合であっても無断熱の住宅があることは実は珍しいことではないのです。
床断熱とは
床断熱とは住宅1階の床の下面に断熱材を張る工法です。そうして床下に断熱層をとると、床下つまり基礎内部は断熱層の外側となります。さらに、基礎の中はカビやシロアリの原因となる”湿気”がこもらないよう通風孔や基礎(コンクリート部)と土台(木部)の間に挟む基礎パッキンで外気からの通気が確保されている ため、ほぼ外気と同じ温度になります。つまり、床断熱では下は家の外部と変わらない環境となります。
また、一般的に床断熱は基礎断熱に比べ室内の温度を保つために必要な気密性が保たれにくいと言われています。その理由は「基礎断熱の おすすめポイント」の章で解説します。
二つの違いは断熱材の設置位置
基礎断熱と床断熱の違いは、簡単に言えば断熱材をどこに張って、どこに断熱層を設けるかです。
そもそも住宅の内部の温度を保つためには、断熱層で室内を途切れずに囲む必要があります。断熱層にぐるりと囲まれた内側は外気の影響を受けず温度変化を受けにくくなります。各工法の説明でもあったように、床断熱では床下は外部と同じ環境となり、基礎断熱では室内と同じ環境となるという考え方です。
このように断熱層の位置が変わることで床下の環境が変わり、通気の取り方や温度変化も変わってきます。繰り返しになりますが、家の基礎はシロアリの侵入口になるため湿度をこもらせない配慮が欠かせません。床断熱、またはそれ以前の昔ながらの木造住宅では必須だった、湿度がこもらないための外気を通す工夫。それが基礎断熱では室内換気の一部として行われることとなります。
床断熱 | 基礎断熱(基礎内断熱) |
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基礎断熱にする前に知っておくべきデメリット
基礎断熱と、従来の工法である床断熱の違いがわかったところで、ここでは基礎断熱にした場合に気を付けたいデメリットをご紹介します。
シロアリ侵入のリスク
先にも解説した通り、基礎断熱には「基礎外断熱」と「基礎内断熱」があります。シロアリ被害の遭いにくさで言えば「基礎内断熱」に軍配が上がります。なぜならば基礎外断熱を採用した場合、断熱材に隠れてしまいシロアリの侵入(蟻道)を発見することが難しく、断熱材の中や断熱材の間といった侵入経路を増やしてしまうことになるからです。そうした理由から、気づいた時には被害が進行していた、ということになりかねません。
断熱性能の点では優れている基礎外断熱ですが、このようにシロアリ侵入のリスクが大きなデメリットとなり普及していません。いくら薬剤を散布しても完璧にシロアリ被害を抑え込むことは難しく、早期発見がキーポイントとなるのです。
カビ発生のリスク
湿度を好むシロアリが侵入してくるということは、基礎内はシロアリたちが好む湿度が高い環境となっていることを示しています。住宅の基礎に使用されるコンクリートは打設から1~2年間は水蒸気が放出されます。特に最初の1年間の水分放出量は多く、結露とカビの要因となってしまいます。新築のマンションに結露が発生しやすいのも同じ理屈です。ですが、床下エアコンを利用する場合や、床下の換気がきちんと行われていれば問題ありません。
基礎断熱に対するデメリットをご紹介しました。それらの中でもリスクに関しては適切な対処をすることで減少させることができます。きちんとリスクを知り、あらかじめ施工業者に確認をしておくと安心ですね。
基礎断熱のおすすめポイント
続いて基礎断熱のおすすめしたいポイントをご紹介します。
気密性を高くできる(暖かい)
床断熱では根太(床下の木材)や配管が邪魔になり断熱材を隙間なく敷き詰めたり、気密シートを隙間なく施工したりといったことが難しくなります。そのため施工レベルにばらつきが生じやすく、期待した断熱効果が得られない可能性もあるのです。一方で基礎断熱ならば気密性を高く保ち、暖かい室内に保つことが可能になります。
配管が凍結しにくい
配管が凍結すると水道が使えず困ってしまいますよね。
基礎断熱ならば床下も室内と同じ環境となるため、床下を通る配管が冬場の冷たい外気に晒されることがなくなります。そのため、凍結を起こしにくくすることができるのです。
基礎コンクリートで省エネ効果
基礎の下の地面は年間を通じて14~16度程に保たれています。基礎断熱では床下が断熱層の内側、つまり室内と同じ空間になるため、地熱を利用して冬は外気より暖かく、夏は涼しくする効果を得られます。
また、基礎コンクリートには熱を貯めこむ効果があるため暖房や冷房で変化した温度を持続させる効果も期待できます。ただし、あくまで補助的な役割だと思っておきましょう。
基礎断熱の特徴を知って快適な室内空間を
いかがだったでしょうか。床下まで室内と同じと考える基礎断熱。快適な住居環境のための断熱性、気密性を高める方法の一つとして、ぜひ知っておきましょう。
ナカジツは基礎内断熱が標準仕様!
ナカジツの新築住宅「Asobi-創家(アソビスミカ)」は基礎内断熱、第一種換気システムが標準仕様。床下までを室内と考え、計画的に換気を行うことで底冷えや温度変化の少ない快適な住空間を保ちます。
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