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日本で建てられている戸建て住宅の大半は、木造軸組工法(在来工法)です。しかし、工務店選びをする際、「ユニット工法」という単語を目にする方もいらっしゃるかもしれません。今回はユニット工法の特徴や他の工法との違い、注意点などをお伝えします。家づくりや住宅会社選びの参考にされてください。
目次
ユニット工法とは
ユニット工法は、一つの建物をいくつかの「ユニット」に分けたものを工場でつくり、それを現場に運んで組み立てる工法です。詳しい手順や分類などを見ていきましょう。
概要
一般的にユニット工法は、以下のような手順で進めます。
- 工場でユニットを製作する
- 大型のトラックで現場へ運ぶ
- クレーンを使い、ユニットを繋ぎ合わせて固定する
工場では箱型のユニットをつくり、壁や天井を張るだけではありません。ドアやキッチンなどの建具・設備の取り付けや、配線や配管の設置といった細かい作業も工場で行い、ほぼ完成形に近い状態で現場へ運びます。現場での作業は、箱型のユニットを組み立てて固定するだけとなります。
プレハブ工法の一種
ユニット工法は、プレハブ工法の一種。プレハブと聞くと、工事現場にある事務所のような簡易的な建物を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は一般の住宅として使えるようなタイプもあります。
日本の新築戸建て住宅の工法別の割合(※)を見ると、プレハブ系は全体の1割程度。全体の約7~8割を在来工法が占めており、プレハブ系の住宅はまだ珍しい状態といえます。
※出典:国土交通省/住宅着工統計
木質系と鉄骨系
ユニット工法は、構造部分に使われる素材によって「木質系ユニット工法」「鉄骨系ユニット工法」などに分けられます。
ユニット工法のメリット
大半の作業を工場で済ませるユニット工法には、品質安定や工期短縮などのメリットがあります。
品質が安定している
ユニット工法の最大のメリットが、品質のバラつきが少ないこと。全体の8~9割の作業を工場で行うので、職人の技術による差が生まれにくいと言われています。
工期が短い
ユニット工法は、現場での作業がぐっと短縮されるのが一つの特徴。工期が短いと、現場での人件費が削減できる、希望の入居時期に合わせやすいなどのメリットがあります。
【ユニット工法の工期目安】
・工場でユニットをつくる作業:約3~4ヶ月
・現場での組み立て作業:約1日
【木造軸組工法の工期目安】
・着工から完成まで:約2~6ヶ月
現場での作業は少ないものの、トータルの期間でいうとそこまで大差はありません。
大空間がつくりやすい
ユニット工法に多い「鉄骨ラーメン構造」は鉄骨の柱や梁を溶接した構造で、高層ビルなどにも使われるもの。ユニット工法に限ったことではありませんが、鉄骨ラーメン構造だと壁や柱の少ない大空間がつくりやすいと言われています。
ユニット工法のデメリット
反対にユニット工法特有のデメリットもあるので、そちらも理解したうえで選ばれることをおすすめします。
間取りに制限がある
ユニット工法最大のデメリットが、間取りの制限。箱型のユニットを組み合わせるので、ある程度の規格に沿った間取りやデザインから選ぶことになります。外観も「箱を組み合わせた形」になるので、好みは分かれるところかもしれません。
施工できない土地もある
意外とハードルになりやすいのが、狭い土地や道路が狭い土地では施工できないということ。大きなユニットをトラックに載せて運ぶため、そもそもトラックやクレーンが現場までは入れなければ建築不可となります。
リフォームしにくい
新しくユニットを加える増築はしやすいのですが、ユニットの制限でリフォームがしづらいことも。将来的なリフォームを考えると、従来の木造軸組工法のほうが自由度は高く、対応できる工務店も多いでしょう。
その他の工法
最後に、ユニット工法以外の工法の特徴も見ていきましょう。
木造軸組工法(在来工法)
日本の新築戸建て住宅のうち7~8割を占めており、選べる施工業者も豊富な木造軸組工法。木の柱や梁で骨組みをつくり、斜めに筋交いを入れて強度を高めます。柱や梁といった「線」で支えるので、同じ木造のユニット工法や2×4工法に比べて、イメージ通りの間取りやデザインを叶えやすいのが特徴。大きな窓をつくりやすく、お部屋の区切り方も柔軟に考えられます。
【関連記事】在来工法とは?メリットやデメリット、2×4との違いなどを解説
木造枠組壁式工法(2×4工法)
木造軸組工法に次いで多いのが、「面」で支える2×4(ツーバイフォー)工法です。2インチ×4インチの角材と合板でつくったパネルを、床・壁・天井として組み合わせます。木造軸組工法に比べると工期は短めで、職人によるバラつきも少ないのがメリット。その反面、間取りの自由度が低いというデメリットを持っています。
【関連記事】2×4(ツーバイフォー)工法とは?在来工法の違いは?メリット・デメリットを解説
パネル工法
パネル工法は、軸組工法+枠組壁式工法を組み合わせたような工法です。縦横の骨組みを鉄骨や木材でつくり、工場で生産したパネルを組み合わせます。骨組み以外は工場で生産するので品質にばらつきが少なく、短工期で建設できるのがメリットです。
鉄骨軸組工法
木造軸組工法のように柱や梁などの「線」で支える工法ですが、構造体に鉄骨が使われています。戸建て住宅では、主に厚さ6mm未満の「軽量鉄骨」が使われます。大空間をつくりやすいですが、木造に比べると建設費用は高め。シロアリの心配が少ない反面、防火や防サビには気を付けなければなりません。
RC在来工法
いわゆる「鉄筋コンクリート造」です。集合住宅のイメージがあるかもしれませんが、戸建て住宅に採用されることもあります。圧倒的に火に強い素材で、遮音性と断熱性能が高く、静かで快適な住まいがつくれます。建設費用は高めですが耐久性が高いため、長い目で見た資産価値を重視したいという方に人気です。
【関連記事】RC造(鉄筋コンクリート構造)住宅の坪単価はいくら?他の構造より高い?
まとめ
ユニット工法は現場作業が少なく、職人の腕による品質のバラつきが少ないのが魅力。しかし設計の自由度の低さや、搬入経路による制限があるため、自分の希望通りの家づくりができるか事前確認が必要です。工法は最初に決めてしまうとあとから変更できないため、じっくりと考えて決めることをおすすめします。
■執筆:住宅ライター 村田日菜子さん
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