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離婚時には、共同で積み上げてきた財産を、原則として半分ずつ分け合います。結婚後に購入した持ち家も財産分与の対象となり、どのように分けるか協議しなければなりません。持ち家をどちらか一方が住み続ける場合、もう一方へ代償金を渡す必要があることから、持ち家の「売却」を選択する人も少なくありません。この「売却」の方法にはいくつかあり、最適な方法を模索している人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「離婚時に持ち家を売却する最適な方法を知りたい」「持ち家を売却する際の注意点を知りたい」と考えている人向けに、売却方法と注意点について解説します。
離婚時に持ち家を売却する最適な方法は?
離婚で持ち家を売却する場合、いくつかの方法があります。それぞれの方法の特徴を理解し、メリットとデメリットを踏まえたうえで、状況に合った方法を選ぶ必要があります。
ここでは、離婚時に持ち家を売却する方法を4つ紹介します。ご自身に合った方法について考えてみましょう。
「買取」~持ち家を不動産会社に売却する方法~
「買取」とは、持ち家を不動産会社に売却する方法です。次に解説する「仲介」としばしば比較され、それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解して、自身に合った方法を選択しなければなりません。
「買取」は、不動産会社に直接売却するため、売主を探す手間と時間が省けるメリットがあります。離婚協議では、さまざまな財産をどのように分割するか話し合わなければなりません。このような状況で、持ち家を早く売却して現金化できれば、離婚協議を進めやすくなるでしょう。
一方、「買取」にはデメリットもあります。不動産会社は買い取った住宅を売却して利益を得るため、相場よりも安く買い取るのが一般的です。そのため、少しでも多くの資金が必要なケースではあまり向いていません。
「仲介」~不動産仲介会社に売主探しを依頼する方法~
「仲介」とは、不動産仲介会社に売主探しを依頼し、住宅を希望する個人に売却する方法です。持ち家の価格を査定してもらい、買主の動向・需要を考えながら売却価格を調整します。
購入を希望する人を探すまでに時間はかかりますが、「買取」と比べると、売却価格を自ら決定できることから、「買取」よりも高く売れるのが一般的です。時間に余裕があり、少しでも高く売却したい人向けの方法といえます。
「任意売却」~住宅ローンの一括返済が難しい場合の方法~
「任意売却」は、住宅ローンの返済が困難な状況で、持ち家売却を優先したい場合に選ぶ方法です。
離婚後もどちらかが住み続けると、収入の減少などから住宅ローンの返済が厳しくなることが予想され、売却することが最適である場合があります。しかし、離婚による財産分与で、持ち家を売却する予定だったが、住宅ローンの一括返済ができず、「買取」や「仲介」という方法を選択できないことがあります。
基本的にローンの残債がある住宅を売却することはできず、売却を希望する場合、手持ちの資金で一括返済するか、売却資金で完済しなければなりません。しかし、ローン残債が多いと、完済するのは難しくなります。
このような状況でも、住宅ローンを利用している金融機関に相談のうえ、交渉がまとまれば、持ち家を売却できるのが任意売却です。残債がある状態で売却するため、「買取」や「仲介」と比べると、売却金額には期待できず、売却自体を優先したい人に向いている方法です。
リースバック~持ち家の売却と賃貸契約を同時に行う方法~
「リースバック」は、リースバック会社に持ち家を売却し、賃貸住宅として住み続ける方法です。売却代金としてまとまった資金を受け取ることができるだけでなく、慣れ親しんだ持ち家・環境で生活することが可能です。また所有権を手放すため、固定資産税や修繕費の支払いは不要となります。
ただ、賃貸契約となるため、ずっと住み続けられる保証はなく、また割高な家賃になることもあり、契約内容を十分確認し、慎重に検討しなければなりません。前述の3つの方法よりも複雑であり、決断するまでに時間がかかる可能性があります。
持ち家売却で最適な方法はどれか?
ここまで4つの売却方法について解説しましたが、どの方法が最適か検討しなければなりません。持ち家の売却では、「仲介」を基本とし、早く売却したい場合は「買取」を検討するとよいでしょう。
住宅ローンの残債を一括返済できない場合は、「任意売却」が最適です。金融機関との交渉が難航するケースもあるため、売却までにある程度の期間が必要です。
最後の「リースバック」は、住み慣れた持ち家に、賃貸であっても住み続けたい人向けです。リースバックの場合、リースバック会社が買い取り、賃貸人となるため、比較的短期間で売却可能です。しかし、賃貸借契約であり、ずっと住み続けられるわけではないため、注意が必要です。
売却価格 | 売却までの期間 | 残債あり | |
買取 | 〇 | ◎ | × |
仲介 | ◎ | 〇 | × |
任意売却 | △ | △ | ◎ |
リースバック | △ | ◎ | × |
離婚時の持ち家の売却での注意点
ここまで4つの売却方法を紹介しました。しかし、離婚が成立し、財産分与が実施されるまでの期間や状況は人それぞれです。
持ち家を売却する場合、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。離婚時の持ち家を売却する際の注意点について解説します。
持ち家が共有名義になっている
近年、共働き世帯が一般的になり、住宅を夫婦で購入するケースは珍しくありません。たとえば、住宅の持ち分を50%ずつとし、ローンも50%ずつ返済すれば、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるメリットがあります。
住宅購入時にメリットも多い共有名義ですが、離婚する場合には離婚協議が整いにくいという特徴があります。夫婦どちらかが持ち家を引き継ぐ場合、もう一方から50%分を購入しなければなりません。余裕資金(現金)が不足していると、持ち家のみしか分与されず、いきなり生活が困窮することも考えられ、現実的ではありません。
共有名義のまま、どちらか一方が住み続け、もう一方に家賃を支払うことも可能です。しかし、修繕費やリフォームをどうするかなどの協議が必要となり、離婚後も話し合う機会を設けなければなりません。
このような共有名義の特徴をお互い理解し、持ち続けるか売却するかを十分に検討する必要があります。
持ち家がどちらか一方の名義になっている
たとえば、持ち家が夫の名義になっている場合でも、共同生活で形成した財産で購入した住宅であれば、財産分与の対象となります。一方、夫が住宅を購入したあとに結婚している場合は、夫独自の財産となり財産分与の対象外となります。
このように、財産分与の対象は名義で決定するわけではないため、注意が必要です。自分の名義ではないから対象外とはせず、財産分与の対象かどうかを見極めるために、結婚してから築き上げてきた財産を洗い出しておきましょう。
住宅ローンの残債がある
住宅ローンを返済中の場合、前述した「買取」と「仲介」の方法では、手持ち資金で一括返済しなければなりません。また持ち家の売却額をローンに充当する場合、売却代金では返済しきれないケースが考えられます。
たとえば、住宅ローンの残債が2,000万円で、持ち家の査定を依頼したところ、1,500万円だった(オーバーローンの)場合、500万円を一括返済しなければなりません。建物の価値は経年により価値が下がりますので、ローンの返済以上に価値が減少すると、オーバーローンとなります。
オーバーローンの状態では、売却方法が限定的となり、ある程度の売却価格を見込める「買取」や「仲介」を選べなくなります。
売却は離婚前に行う
持ち家を売却して財産分与する予定の場合、売却は離婚前に行うのが理想です。財産分与を離婚と同時期に行うためには、財産分与の準備はできる限り進めておかなければなりません。離婚前に売却し、分与する財産額を確定しておくと、財産分与はスムーズに進むでしょう。
一方、離婚後に売却を行う場合、お互いの連絡や売却条件の合意などで時間がかかる可能性があります。財産分与は、離婚してから2年以内に行わなければならない点にも留意しておく必要があります。
財産分与は離婚後に行う
財産分与を離婚前に行うと、贈与とみなされ贈与税が課せられる可能性があります。一方、離婚後の財産分与がなかなか進まないと、その間に財産が減少してしまい、予定通りの財産分与が難しくなることも考えられます。
離婚後では連絡が取りにくくなることも踏まえると、離婚前に財産一覧を作成し、離婚と同時または離婚後すぐに財産分与をするように進めましょう。
財産の有無や金額を確認する
財産分与は、夫婦が共同生活で形成した財産を公平に配分することが原則です。退職後の生活資金準備が難しい状況で、将来に備えるために、夫婦の財産の種類と金額を普段から共有している家庭もあります。しかし、夫婦であってもお互いの所有財産について詳しく把握できていないケースも考えられます。
財産分与は、相手が財産を隠していると公平に分割することはできません。持ち家で、50%ずつと登記していれば明白ですが、はっきりしない財産もあるでしょう。明確な持ち分割合がない財産であっても、共同生活で形成した財産であれば財産分与の対象となります。できるだけ、財産の状況を把握しておくことが重要です。
また離婚について話し合う機会と時間があれば、財産の有無や金額を確認する余裕はあるでしょう。一方で、身の危険を感じて、やむなく別居せざるを得ず、財産の把握が難しいケースもあります。複雑な状況下での持ち家売却の場合は、法律の専門家と相談しながら進めるとよいでしょう。
離婚時の持ち家売却で損をしないために
離婚で持ち家を売却する予定の場合、この記事で解説した注意点を踏まえ、適切な方法を選択することが大切です。できるだけ高く売却したい場合は「仲介」、ローンが残っている場合は「任意売却」など、特徴を活かした選択が必要となります。
持ち家の売却では豊富な経験と知識が必要で、解決までに時間がかかる可能性もあるため、必要に応じて専門家に相談するなどして、なるべく早めに行動に移すとよいでしょう。
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