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不動産査定はなぜ無料?無料査定の背景と「鑑定」との違いを解説

不動産査定はなぜ無料?無料査定の背景と「鑑定」との違いを解説

掲載日:2024.09.11

「不動産査定は無料」のアイキャッチ

「自分の持ち家を査定してもらいたいけど、本当に無料でやってくれるの?」

「すぐに売る予定ではないのに、不動産会社が無料で査定してくれるのはどうして?」

不動産の売却を考える際には、最初に不動産会社による不動産査定を受ける流れが一般的です。ほとんどの場合、不動産会社による査定は無料で行われます。

本記事では、不動産査定を無料で受けられる理由や、有料になるケース、また無料査定のよくあるトラブルやデメリットなどを紹介していきます。

この記事を読むことで、ご自身の希望に合った査定方法がわかるのに加え、無料査定をめぐるトラブルを事前に回避できる情報を得ることができます。

原則的に、不動産の査定は無料

不動産を売却しようとする際には、最初に不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。

その際、原則として不動産の査定は無料です。

査定には簡易査定(机上査定)や訪問査定などの種類があり、それぞれ査定の精度や不動産会社の負担は異なりますが、いずれも基本的には無料で利用できます。

査定書も無料でもらえる

査定後は、不動産会社から物件の査定の結果を記した査定書を受け取ることができます

依頼者は査定書を確認することで、物件の現状や市場における立ち位置を把握することができます。また、査定書は適正な価格での売却や購入の判断材料として利用されます。

査定書には、不動産会社の担当者が概ね2〜3カ月以内に売れると考える価格が記されています。また、査定価格以外にも以下のような情報が記載されているケースが多いです。

  • 物件概要
  • 市場価格の評価
  • 査定価格の根拠
  • 売却に関するアドバイス
  • 法的・技術的な評価(建築基準法や都市計画法に関する事項など)

この査定書も、基本的には無料でもらえます。

不動産査定が有料になるケース

不動産会社による査定は基本的には無料で受けられますが、以下のようなケースでは有料になることもあります。

不動産鑑定士に査定してもらう場合

この場合は、正確には不動産査定ではなく不動産鑑定といいます。不動産鑑定士に不動産の価格を鑑定してもらう際には、費用が発生します。

不動産会社が作成する査定書は法的な書類ではなく、具体的な記載内容も不動産会社によってばらばらです。

一方、不動産鑑定は鑑定評価基準に基づいて鑑定が行われ、鑑定結果は裁判でも有効な資料として認められるものです。

鑑定書を作成できるのは「不動産鑑定士」の資格所有者のみであり、鑑定の依頼には数十万円以上かかる場合もあります。

上記のように「査定」と「鑑定」には大きな違いがあります。不動産鑑定が必要なのは、税務署や金融機関などに適正な評価額を掲示するなど、法的に根拠のある証明として用いるシーンに限られます。

不動産を売却することが目的であれば、不動産鑑定士に鑑定を依頼することはほぼないと考えてよいでしょう。

参考:不動産会社の査定が有料の場合は違法

不動産会社による査定は基本的に無料である旨をお伝えしましたが、不動産会社に査定を依頼した場合、有料になることはあるのでしょうか?

結論からいうと、不動産会社が査定の実施および査定書の作成費用を依頼者に請求することは禁止されています。

この点については、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に記載があるので、ご参考まで、以下に引用しておきます。

根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できないものであること。

出典:宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方|国土交通省

不動産の査定が無料でできる理由

不動産の査定が無料なのは、査定後に売買契約が成立した場合、不動産会社は仲介手数料を受け取ることができるからです。

原則として、不動産売買の仲介手数料は売買契約成立時にしか受け取ることができないルールになっています。

先述の通り、売り手が不動産の売却を検討する際は、不動産会社による査定からスタートするのが一般的です。そして、不動産会社からすると査定依頼者は未来の顧客候補となるため、物件査定は積極的に実施したいと考えるのが通常です。

また、そもそも査定の実施にかかった費用は依頼者に請求できない点も、無料である理由です。

無料で不動産の査定をしてもらう方法

ここでは、無料で不動産の査定をしてもらう方法として以下の3つを紹介します。

  • 不動産会社のサイトから申し込む
  • 不動産会社の店舗で依頼する
  • 不動産一括査定サイトを利用する

それぞれ見ていきましょう。

不動産会社のサイトから申し込む

まずは不動産会社のサイトから直接査定を申し込む方法です。

査定依頼時に、物件の所在地や面積などを入力する必要があるため、手元に登記簿謄本などの書類を用意しておくとよいでしょう。

自宅にいながら申し込むことができるため、不動産会社に足を運ぶことなく、不動産の査定額を知ることができます。

一方で、サイト上でのやりとりとなるため、担当者の人となりを知ることが難しく、簡素なやりとりになる点はデメリットといえます。

実際に売却を考えているのであれば、結局不動産会社に足を運ぶことになるため、最初から直接店舗に来店したほうがよいという考え方もあるでしょう。

不動産会社の店舗で依頼する

不動産会社に足を運び、直接査定を依頼する方法です。

物件の情報について伝えるために、登記簿謄本などの書類を持っていくとよいでしょう。

また、事前に電話で査定の予約をしておくと、不動産会社側も必要な準備ができるのでスムーズに進められます。

とはいえ、不動産会社に足を運んだところで、査定を申し込む段階でできることはあまり多くありません。不動産に関する情報を伝える程度です。

場合によっては、来社しなくてもよいと伝えられる可能性もあるでしょう。

一方で、実際に不動産会社を訪問したときに、受付や担当者の対応を見て、信用できる不動産会社かどうかを判断できるというメリットもあります。

不動産一括査定サイトを利用する

不動産一括査定サイトは、不動産に関する情報を入力するだけで、複数の不動産会社に査定を依頼できるサイトです。

不動産の査定は、不動産会社の担当者ごとに基準が異なることもあり、査定結果は不動産会社ごとに異なるのが一般的です。

なかには、ひとまず媒介契約を獲得しようと、相場より高い価格で査定価格を提示する悪質な不動産会社も存在します。

もちろん、実際に相場より高い価格で売却できればよいのですが、根拠もなく高い価格で売り出しを始めたところで、売れる可能性は低いといえるでしょう。

売れない期間が長引いてしまうと、売れ残り感が出てますます売れにくくなってしまいます。

場合によっては、後になって値引きをしたところで適正価格でも売却しづらくなってしまう可能性があるのです。

そのため、不動産の査定は1社のみならず複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。

不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社に査定依頼を申し込めるため、査定しながら物件の相場観をつかみやすいというメリットがあります。

その際、相場より高い査定価格を提示する不動産会社がいた場合には、なぜその査定価格なのか理由を確認するとよいでしょう。

不動産の無料査定を依頼するデメリット・注意点

ここでは、不動産の無料査定を依頼するデメリットや注意点を解説します。

主に把握しておきたいポイントは以下の3点です。

  • 査定結果の金額が高すぎる場合がある
  • 簡易査定だと実態と乖離しやすい
  • 査定だけのつもりが、売却するよう営業されることもある

それぞれ見ていきましょう。

査定結果の金額が高すぎる場合がある

先述した通り、根拠もなく相場より高い査定価格を提示してくる不動産会社には注意が必要です。

不動産査定は無料で利用できるため、複数の不動産会社に査定依頼するケースは珍しくありません。実際のところ、提示した査定価格次第で依頼者と媒介契約を結べるかどうかが決まる状況も多いです。

そのため、実際に売れる根拠がないのに、とりあえず高い査定価格を提示する不動産会社がでてきます。

しかし、すでにお伝えした通り、理由もなく相場より高い価格で売却を始めても買主が見つかる可能性は低いのが現実。

依頼者は、査定価格だけでなくその査定価格をつけた根拠をしっかり確認することが大切です。

簡易査定だと実態と乖離しやすい

不動産査定には「簡易査定」と「訪問査定」があります。

簡易査定とは、実際に現地を訪れることなく、物件の情報をもとに書面上でのみ査定を行う方法です。

一方、訪問査定は実際に現地を訪れて査定を行います。

簡易査定は、査定依頼から短期間で査定結果を得られるといったメリットがありますが、訪問査定に比べると査定価格の精度が劣る可能性があります。

より正確な価格を算出するには、実際に現地を訪れて現地でしか得られない情報を価格に反映させる必要があります。例えば、経年劣化が進んでいる箇所が多い場合は、その劣化分を価格に落とし込むなどの調整です。

反対に、想定以上に人の通りが多く、交通利便性が良いことに気付くといった場合もあるでしょう。

訪問査定の場合、結果が出るまでに数週間かかるケースもありますが、実際に売却を考えているのであれば、より精度の高い査定価格を把握できる訪問査定を依頼するのがおすすめです。

査定だけのつもりが、売却するよう営業されることもある

ひとまず「持ち家の査定額だけ知っておきたい」といった方もいるでしょう。

ただし、不動産会社は媒介契約〜売買契約まで進めることができなければ報酬を得ることができません。

そのため、売却意思がないと伝えているにもかかわらず、不動産会社から執拗に営業されるケースが発生することもあります。特に一括で複数社に問い合わせをする査定サイトを利用した場合は、不動産会社からの電話が鳴り止まないケースなどもあります。

さらに不動産会社によっては「売る気がない」ことが伝わってしまうと、簡易査定で済ませる、もしくは査定自体をしないところもあります。

不動産の無料査定に関するトラブル

不動産の無料査定に関するトラブルとしては、次のようなものがあります。

  • 相場より高い査定価格をつけられて長期間売却できていない
  • 査定依頼後に執拗に営業されて困っている

不動産の売却は人生にそう何度もあることではないため、上手な進め方がよくわからないという方もいるはずです。

ここで紹介したトラブルを避けるためには、以下のポイントを押さえておくと安心です。

  • 複数の不動産会社に査定依頼を出す
  • 査定価格は価格の根拠とセットで判断する

まず、複数の不動産会社に査定依頼をし、査定結果を比較することで、相場観を養うことができます。

理由なく相場より高い価格を掲示してくる不動産会社については要注意です。

もちろん、相場より高い査定価格自体が悪いことではありません。高値で売買を成立させてくれるのであれば御の字です。

本当にその金額で売却できるのかを見極めるためには、査定価格だけでなく査定価格の根拠とあわせて判断することが大切です。

【FAQ】不動産の無料査定に関するよくある質問

最後に、不動産の無料査定に関して疑問に感じやすいポイントをまとめましたので、それぞれ回答していきます。

不動産の種類によって査定のやり方が変わることはある?

依頼する不動産の種類やエリアによって査定のやり方や精度が変わることがあります。

例えば、土地や戸建ての場合、簡易査定では情報が少なく、査定価格の精度として不安が残ります。これは、土地や戸建ては個別性が高く、実際に現地に足を運ばないとわからないことが多いためです。

一方、マンションの場合は近隣に類似する物件が多く、物件情報を伝えるだけでさまざまな情報を得られるケースがあります。

この場合、簡易査定だけでも、ある程度精度の高い査定結果を得られやすいでしょう。

また、不動産会社によって戸建ての売買を得意とする会社や、マンションの売買を得意とする会社など、得手不得手があります。

不動産会社の公式サイトやSNSでの口コミ、過去の売却実績などを参考に、査定を依頼する不動産会社が得意とする不動産の傾向をつかんでおくのがおすすめです。

収益不動産の賃料査定も無料?

収益不動産の賃料査定についても、基本的には無料と考えて問題ありません。

なお、収益不動産はその収益性に着目して査定が行われるため、居住用不動産とはやや考慮されるポイントが異なる点は押さえておくとよいでしょう。

買取のケースも無料で査定してもらえる?

不動産会社が買い手として、不動産を買い取る不動産買取の場合も、基本的に査定は無料です。

購入者である不動産会社が直接査定するため、より実際の買取額に近い価格で算出してもらえる可能性が高いでしょう。

ただし、不動産会社は不動産を買い取った後、リフォームなどを実施したうえで、自社の利益を乗せて不動産を再販することがあります。

それらの費用や利益分は査定額には反映されないので、留意しておきましょう。

訪問査定だと費用が発生する?

先述の通り、査定方法が訪問査定だとしても、原則費用はかかりません。

ただし、簡易査定に比べて訪問査定は不動産会社側の労力もかかるので、依頼者に売却意思がない場合は、簡易査定を案内されることもあるでしょう。

無料かつ匿名で査定してもらうこともできる?

査定サイトによっては、匿名査定をしてもらえるものもあります。

匿名の査定とは、物件の情報を入力するだけで、売主の個人情報を伝えることなく、査定結果を得られるといったものです。

売主としては、自分の情報を伝えることなく査定が依頼できるため、不動産会社から営業をされるといった心配がありません。

しかし、物件を査定する側としては、物件の情報について、より詳しく知りたいことがあっても、入力された以上の情報を取得することができません。

そのため、査定の精度は通常の査定より低くなってしまう可能性が高い点は覚えておきましょう。

不動産査定を弁護士に頼む場合も無料?

相続が絡むようなケースでは、弁護士に不動産査定を依頼する場合もあるでしょう。

ただしこうしたケースであっても、査定するのは弁護士ではなく、弁護士と提携している不動産会社や、弁護士から紹介を受けた不動産会社が査定します。

この場合、査定自体は無料で行ってもらえますが、別途弁護士に報酬を支払わなければならない場合もあります。

また相談内容によっては、裁判などに必要な書類として不動産鑑定が求められるケースもあります。

その場合は不動産会社の不動産査定ではなく、不動産鑑定士に不動産鑑定を依頼することになります。

鑑定士による不動産鑑定には数十万円の費用がかかるのが一般的です。

まとめ

今回は不動産査定が無料である理由や、不動産査定を依頼する方法、不動産査定の注意点などを解説しました。

不動産の査定は、原則無料です。なぜなら不動産会社は査定後、媒介契約を結び、最終的に売買契約が成立した段階で仲介手数料を受け取ることができるためです。

不動産所有者が、「とりあえずいくらで売れるのか知りたかっただけ」という場合であっても、不動産会社からすれば、査定依頼をしてくれる人は未来の顧客候補という認識です。

そのため、査定依頼を行う際は、このような不動産会社のスタンスや思惑があることを理解しておきましょう。

また、実際に売却を検討する場合はどの不動産会社と媒介契約を結ぶか、じっくり検討することが大切です。先述した通り、査定額だけで契約先を選ぶのではなく、これまでの売却実績や口コミ、査定結果に対する信憑性など総合的に判断することをおすすめします。

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