日本古来の伝統工法で建てられた、趣ある古民家。解放感のある間取りに、団欒の場になったり季節の移ろいを感じられる縁側。スローライフで人生をゆったり楽しみたい、そんな要望が古民家でなら叶いそうです。
近年人気の古民家リノベーション、どんな点に気を付けたらよいのでしょうか。
古民家リノベーションとは
そもそも古民家の定義とは一体何なのでしょうか。一般社団法人「全国古民家再生協会」の定義より引用させていただきますね。
一般的に古民家とは建築後50年経過した建物とされるが、
一般社団法人全国古民家再生協会での「古民家」の定義は、昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた「伝統的建造物の住宅」すなわち伝統構法とする。
どうやら、以下の2点がポイントのようです。
- 築50年が経過している
- 伝統的建造物の住宅、つまり木造軸組工法
これらの条件に当てはまる中古住宅をリノベーションする、それが古民家リノベーションです。
築後50年経った建物が残っており、再利用できる状態であるという二つの条件は、なかなかハードルが高そうです。
古民家リノベーションのメリット
「古民家をリノベーションしたい!」という希望は、単純に「中古住宅をリノベーションしたい」とは違った願望がありそうです。”古民家”の魅力とは一体何なのでしょうか。
古風な日本家屋を残すことが出来る
建築物が好きな方に多いようです。国の文化財登録制度で建物が登録される条件は築50年を超えていること。その当時の工法をうかがい知ることのできる貴重な存在です。
そんな家に住むことができるなんて、とっても素敵ですね。
強度がある
古民家は、50年以上も風雨や地震などの災害を乗り越えて無事に今まで立ち続けているということです。しかしながら、この「現在まで残っているんだから今後も大丈夫」という理論は意見の分かれるところではあります。
現在の建築基準法では壁の量を増やし地震に対する耐力を強める方法をとっていますが、伝統構法の家では太い柱や梁を組み合わせることによって強度を生み出しています。
資源保護
家を建てるためにはたくさんの資源が必要です。
またそれだけにとどまらず、人口減少が始まってしまった日本では日本各地で空き家問題も発生しています。既存の住宅を再生し利用することが注目されています。
税金の軽減、補助金
古民家に限らず、住宅リフォームには税金の軽減制度があります。省エネ性能を上げる、バリアフリーにする、耐震リフォームなどが対象です。リノベーションの際には、内容が減税対象となるか確認しましょう。
また、古民家限定の制度としては、新潟県では「ふるさと古民家再生事業」として古民家を再生するための補助金が出される取り組みがあります。地域の伝統文化、建築技術を保存し受け継ぐことを目的としています。
このように各県などで特別に制度が設けられている場合もあります。
古民家リノベーションのデメリット
魅力が多い古民家リノベーションですが、懸念点もあります。
耐震性
現在ある建築基準法(新耐震基準)は古民家が建てられた後に改定されできたものです。
古民家は現在の耐震基準に沿っては建てられていないため、耐震基準を満たしていない可能性が高いのです。
<関連記事>新耐震基準法とは?旧耐震基準との違いや確認方法などを解説
断熱性
兼好法師の徒然草の「夏をもって旨とすべし」という言葉が表すように、古民家は多くの場合広い開口部を持つ風通しの良い構造を持ち、そこが特徴であり長所ともいえます。
しかしながら、最近の新築住宅事情では気密性を上げ、外気からの熱を遮断し冷暖房効率を良くする傾向にあるため対極的と言えるでしょう。
費用がかさむ
安心して古民家に住むためにも、耐震強度は確保したいもの。しかし、柱や梁といった構造に関わる部分が劣化している場合、耐震補強を行うためかなりのコストが必要になります。
また、デザインや材料などにこだわると、やはり費用がかさんでしまいますので注意しましょう。
古民家リノベーションの相場
坪単位でみる古民家リノベーションの相場
木造軸組工法の坪数別相場です。目安ではありますが、広い坪数程単価が安くなります。
少ない坪数でも、こだわりやアイデアを詰め込んだ素敵な空間にすることができます。
坪数 | 坪単価(万円) | |
29坪以下の | 57.2 | |
30坪以上35坪未満の坪単価 | 31.0 | |
35坪以上の坪単価 | 23.9 |
※ナカジツ過去リノベーション実績 木造軸組工法案件より
リフォーム個所によって修繕費用が異なる
坪単価はあくまで目安です。キッチンや浴室など、リフォームを行う個所によって必要となる設備は違うため、もちろん修繕費用も異なってきます。
全体の予算を決めてから、修繕したい個所やこだわりの優先順位に沿って業者と相談しましょう。
古民家リノベーションをする際の注意点
業者(依頼先)選びのポイント
古民家のリノベーションをする際には、古民家の伝統的な工法に精通し実績豊富な業者を探しましょう。また、古民家をリノベーションして使いたい!というこだわりを持つ方であれば、きっとデザインのこだわりもあることでしょう。古民家の良さを損なわず、現代のライフスタイルに合ったデザインと機能面の提案ができる業者を探しましょう。
古民家を選ぶ時のポイント
立地
これは普通の住宅(土地)探しの際も同じです。古民家が建っている土地は比較的不便なところも多いようです。今後の生活をしていく上で、道路や水、ガスなどのインフラ、周辺施設も含め思い描くライフスタイルが叶うかどうか、検討をしましょう。
老朽化の度合い
建築後長い年月を経たものですので、柱・梁など構造部に問題がないか、屋根に雨漏りはないかのチェックは必須です。
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古民家のリノベーションもナカジツ
いかがだったでしょうか。趣と伝統的価値のある古民家ですが、現実には物件探しや耐震性への安心感、住環境の快適さといった点で難しい部分もあるようです。
最後に、ナカジツのリノベーション事例をご紹介します。
築50年以上経過した伝統工法の古民家を見つけることはなかなか難しいですが、断熱性も耐震性も備えた快適な「古民家風」リノベーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。
古民家風リノベーション 事例データ
- 築年数:33年
- 木造軸組み在来
- 面積:77m2
- リフォーム費用:1,382万円
- 工事期間:4ヶ月