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更新日:2025.08.26

実家の売却方法のベストは?気をつけたいこと、後悔しやすいことを解説

実家の売却方法のアイキャッチ

この記事のポイント

  • 実家の売却は早い段階で相続登記や名義確認を含む準備をしたほうがよい
  • 実家の売却方法には「売買仲介」「買取」「個人間売買」など複数あり、適切な方法を選択することが大事
  • 住み慣れた実家の売却では、費用・税金・特例制度を理解しておくことが重要

「実家を売るべきか、このまま残しておくべきか迷っている」
「相続した実家を手放したいけど、何からはじめればいいのかわからない」

実家の売却については、相続や税金といった複雑な手続きに加えて、感情的なためらいも生じるものです。誰かに相談しにくいテーマですが、正しく情報を整理することで解決できます。

今回は、実家を売る方法や費用、税金について幅広く解説します。この記事を読むことで、実家を売るべきかどうか、どう手続きを進めればよいか見通すことができるようになります。

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逆瀬川勇造さん

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

監修者 逆瀬川勇造さん

  • 所属:

    合同会社7pockets

地方銀行、住宅会社勤務を経て住宅や不動産を中心としたライターとして活動。現場で多くのお客様の対応で経験させていただいたことをもとに、専門知識に基づいた分かりやすい記事執筆に取り組んでいます。

記事の構成

実家の売却方法

実家を売る際の選択肢は、1つではありません。まずは、代表的な3つの売却方法を紹介します。

売買仲介

売買仲介は、不動産会社の仲介により買主を探してもらう方法で、多くの人が利用する最も一般的な売却手段です。

メリットとして、市場価格に近い金額での取引が可能で、後述の買取と比較して高値がつきやすい点が挙げられます。

主なデメリットは、買主が見つかるまでに時間がかかる点や、仲介手数料がかかる点でしょう。売り急いでおらず、スケジュールに余裕がある人におすすめの売却手段といえます。

買取

買取とは、不動産会社に実家を直接買い取ってもらう方法です。買い手を探す必要がないため、仲介よりも短期間での売却が可能となります。内見対応が不要で、販売にかかる手間も省けるのがメリットです。

買取の注意点として、売却価格は売買仲介のときよりも一般に低くなることが挙げられます。「確実に早く売りたい」という方におすすめの売却方法です。

身内や知り合いに個人間売買

親戚や友人など、近しい人に実家を売却するという方法もあります。信頼関係があるため交渉しやすい反面、売買がうまくいかなかった場合、人間関係にしこりが残るリスクをはらむ点には注意が必要です。

トラブル回避のためには、多少の手数料がかかったとしても司法書士や不動産会社など専門家を間に挟むといいでしょう。

実家売却の流れ・手順

実家を売却するには、以下のようなステップで進めるのが一般的です。

  • 実家の状態を確認する・片付ける
  • 売却に必要な権利関係を整理する
  • 不動産会社に査定を依頼する
  • 媒介契約〜販売活動〜売買契約を行う
  • 売却代金を受領する・確定申告する

それぞれのステップを詳しく解説します。

1)実家の状態を確認する・片付ける

売却する実家の状態を確認します。長年空き家だった場合や、親が高齢で住み替えたあとの場合、建物や設備が傷んでいるケースが多く見られます。売却前に最低限の修繕や片付けを行うことで、買い手の印象アップが期待できます。

古い実家の場合、思い出の品や家具がそのまま残っていることが多くあります。整理に時間と労力がかかるため、遠方に住んでいる場合は片付け代行業者の利用も検討しましょう。

実家の状態がよくない場合、リフォームをすべきか迷う方もいますが、基本的には不要です。売却前に過剰に手を加えても、買い手の需要に合致するとは限りません。

無駄な出費となるリスクを背負うよりは、「古家付き土地」として現状のまま売却するほうが無難です。

2)売却に必要な権利関係を整理する

実家の売却では、名義や相続の状況によって手続きが大きく変わります。

例として、以下の3パターンが挙げられます。

実家売却時の権利関係例
ケース 概要
親が健在の場合 ・売却には親本人の意思確認と立会いが必要。
・認知症など判断能力に問題があると、成年後見制度等の利用が必要になることもある。
親が亡くなっている場合 ・相続登記を完了しない限り売却不可。
・親名義のままの場合、相続人全員と話をまとめて、相続登記を済ませる必要がある。
実家が共有名義になっている場合 ・兄弟姉妹など複数人で共有している場合、全員の同意が必要。
・合意形成がスムーズにいかないと、売却が遅れる要因になる。

3)不動産会社に査定を依頼する

実家の状態や権利関係を整理したら、不動産会社に査定を依頼します。査定は原則無料で行われ、現地調査のうえ価格の目安を出してもらえます。

複数の会社に相談することで、相場だけでなく担当者の対応も比較可能です。金額や信頼性を総合的に判断して、媒介業者を選定しましょう。

査定の段階で、「仲介」か「買取」か売却方法も検討します。築年数が古く市場価値が付きづらい実家の場合は、買取が有力な選択肢となります。

4)媒介契約~販売活動~売買契約を行う

売買仲介で売却する場合は、不動産会社と「媒介契約」を結び、販売活動がスタートします。不動産ポータルサイトへ掲載し購入希望者が現れたら、現地案内、条件交渉を経て売買契約を締結します。

売買契約では手付金の授受や契約条件の明記が行われ、契約締結後はキャンセルに制約がかかる正式な取引段階に入ります。

5)売却代金を受領する・確定申告する

売却代金の残金の支払いと同時に所有権移転登記が行われます。決済完了により、売却手続きは一区切りです。

売却益が出たり、税に関する特例を利用したりする場合は、確定申告が必要です。特例の適用により税金が数百万円単位で軽減されることもあります。適用漏れを防ぐため、早めに税理士や不動産会社に確認しておきましょう。

実家の売却で後悔しやすいポイント

実家の売却には、通常の不動産売買にはない特有の難しさがあります。手続きや税金といった制度面の知識だけでなく、感情や家族との関係性といった目に見えない要素にも配慮しなければなりません。

ここでは、実家売却で特に後悔が残りやすい3つのポイントを取り上げます。

実家を手放す「つらさ」「寂しさ」に向き合えなかった

実家の売却は、単なる「不動産取引」ではなく、家族の思い出の場所との別れでもあります。慣れ親しんだ部屋、壁に残る成長の記録、親のぬくもりが感じられる空間。いざ現地に入ってから、そうしたものを手放す寂しさに気づくという方も少なくありません。

売却に際しては、「合理的に考えないと」と気持ちを抑え込もうとする方も多いのですが、心の整理がつかないまま進めたことで、あとから強い後悔が残るケースもみられます。

時間的に余裕があるなら、片付けの前にゆっくり実家を訪れ、写真を撮る、思い出を整理するなど、心の準備期間を持つことをおすすめします。

相続登記や名義変更を後回しにしてしまった

実家を売却しようと思ったとき、故人名義のため売却手続きがストップしてしまうことがあります。かつては相続登記が任意であったことから、親が亡くなって長期間が経過した空き家でよくみられるケースです。

法改正により、2024年4月以降は相続登記が義務化され「知らなかった」で済まされなくなりました。2024年4月以前に発生した相続も含めて相続登記を完了する必要があり、未完了だと過料のペナルティを課されるリスクもあります。

相続登記には戸籍収集、相続人調査、遺産分割協議が必要で、手間とお金がかかります。司法書士など専門家を頼りながら解決することが求められます。

参照:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)|東京法務局

想定外の売却にかかる費用を見込んでいなかった

「空き家だったからそのまま売れると思っていたけれど、思った以上にお金がかかった」というケースもよくあります。

古い実家の場合、長年放置された家財道具がそのままであることが多いため、片付けや処分費用が高くなりがちです。タンスや布団、大量の食器、古い家電など、自治体の回収では対応しきれず、業者に依頼せざるを得ないケースもあります。

建物が老朽化している場合は「古家付き土地」としてではなく、解体して更地にして売ったほうがよいと判断されることがあり、その場合は解体費用が数十万〜数百万円かかることもあります。

そのほか、登記手続きを専門家に依頼する場合の司法書士報酬、税金計算を依頼するための税理士報酬などの専門家費用もあらかじめ見込んでおくとよいでしょう。

【状況別】実家売却の進め方のポイント

実家の状況によって、売却活動の進め方や必要な手続きは大きく異なります。特に高齢の親が関わるケースや相続が関係するケースでは、特別な配慮が求められます。

ここでは4つの状況ごとに、売却を進める際のポイントを解説します。

認知症で施設に入っている親の実家を代わりに売るケース

親が認知症で意思能力がない場合でも、子どもが勝手に実家を売却することはできません。このような場合は、家庭裁判所を通じて「成年後見人」を選任する必要があります。

成年後見人は、親(被後見人)の代わりに財産の管理や処分を行う法的な代理人です。本人居住用不動産の売却であれば家庭裁判所の許可が必要ですが、非居住用の不動産であれば、成年後見人の判断で売却することができます。

手続きには時間がかかるため、売却を検討している場合は、早めに専門家に相談するとスムーズです。

親から相続した実家を売却するケース

親が亡くなったあと、相続した実家を売却するケースでは、先に解説した「相続登記」が必要です。

相続人が複数いる場合は、全員の合意を得たうえで名義人を決定します。親族間で意見調整が必要ですが、関係が希薄だと同意を得られなかったり、同意の見返りに金銭を要求されたりするなど難航することもあります。

売却をスムーズに進めるには、事前に親族間で話し合いの場を持ち「売る」という方向性を共有しておくとよいでしょう。

亡くなった親の実家を相続せずに売却するケース

登記名義人が故人のままの不動産は、相続登記をして登記名義人を変更しないと所有権移転登記ができません。つまり「相続せずに売却する」ということは不可能です

「実家の維持が難しい」と相続放棄をしてしまうと、民法上はじめから相続人ではなかった者として扱われます。この場合、故人から承継できたはずのすべての権利を失うため、実家の売却に関して無権利者となります。

相続放棄が受理されると原則として撤回できないため、長期的な目線に立ち慎重に判断しましょう。

実家を売却してから分配するケース

相続人間で実家を相続し、その売却益を分け合うケースの場合は、以下のいずれかの方法がとられます。

  • 共有名義にしてから売却する
  • 1人が名義人となり売却後に分配する

相続人間で意見がまとまるのであれば、共有名義にせず単独名義で相続登記をしてから売却するほうが手続きがスムーズです。共有名義だと、実家の売却には相続人全員の合意が必要で、1人でも反対すると売却は進まなくなります。

単独名義で売却する場合でも、売却後の分配比率や精算時期もあらかじめ決めておきましょう。「いつ分けるのか」「誰が管理するのか」で揉め事になることもあります。弁護士や司法書士を交えて、書面(遺産分割協議書)を作成しておくことで、トラブル回避につながります。

実家が売れない場合に考えられる理由と対策

実家の売却を進めたものの、なかなか買い手が見つからないというケースは少なくありません。

「いつまで経っても売れない」と感じたときは、物件自体の特性だけでなく、販売戦略や選択肢を見直すことも大切です。

実家が売れない主な理由

実家がなかなか売れない場合、次の原因が考えられます。

実家が売れない場合に考えられる原因
原因 内容
築年数が古く、建物の劣化が進んでいる ・雨漏り、シロアリ、耐震性などの問題により、買主が高額なリフォーム代を負担するリスクがあり敬遠される。
・建物の資産価値がゼロと評価されることがある。
価格設定が相場と乖離している ・「高く売りたい」という思いが先行し、市場価格よりも高めに設定すると反響が少なくなる。
立地や周辺環境のニーズと合わない ・郊外や交通アクセスが悪いエリアでは、買い手のニーズが少ない。
・高齢化が進み、空き家の多い地域では、エリア全体の人気が低下。
管理状態が悪く、印象が悪い ・雑草、郵便受けのチラシ、老朽化した外観などが放置されていると、買い手に「長年放置された家」という印象を与え、購買意欲を損ねる。

これらの要因が複雑に絡み合い、結果として「売れない」状態となっているケースも多く見られます。

実家を確実に売るための対策

売却の停滞を打開するには、現状を客観的に見直し、方針を切り替えることが重要です。

たとえば、築年数の古さがネックになっている場合は、建物を解体して更地として売る方法もあります。土地としての需要が見込めるエリアであれば、建物付きよりも多くの買い手の目に留まることが期待できます。

価格については、周辺エリアの成約事例を参考に相場とのギャップがないかを確認しましょう。販売価格を見直すことで、反響が増えることもあります。

また、媒介契約を結んでいる不動産会社の販売姿勢に不安がある場合は、媒介先の変更も視野に入ります。広告の打ち出し方や内見対応など、売却活動そのものが十分かどうかを見直すことも大切です。

購入検討者の第一印象を意識した「見せ方」も意識しておきたいポイントです。最低限の清掃や庭の手入れなど、外観を客観的に見直してみましょう。

売却以外の選択肢

どうしても売却が難しい場合は、相続人の間で合意して「売らない」という選択を取ることもできます。

空き家を活用して賃貸物件に転用すれば、一定の家賃収入が得られる可能性があります。空き家バンクや自治体の制度を使って、期間限定で貸し出す方法もあります。

ただし、保有には固定資産税や管理コストがかかり続けるため、出口戦略もあわせて検討することが大切です。

実家売却にかかる費用・税金

ここでは、実家の売却にかかる主な費用と税金、そして税負担を軽減できる特例について整理します。

費用

実家を売る際に発生する費用として、次のものが挙げられます。

実家売却にかかる費用
項目 内容 目安金額
仲介手数料 不動産会社への報酬 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税(取引価格400万円超の場合)
登記関連費用 抵当権抹消登記など 数千~数万円(司法書士報酬含む)
測量費用 境界が不明確な場合など 20万~50万円程度
解体費用 古家を更地にする場合 50万~150万円程度
残置物処分費用 家財道具の撤去・片付け 数万~数十万円程度
ハウスクリーニング費用 内覧前の清掃 2万~10万円程度

築年数が古く、空き家化している実家ほど、事前準備にかかる費用がかさむ傾向があります。

税金

実家の売却で利益(譲渡益)が出た場合、譲渡所得税が課されることがあります。基本的な計算式は以下のとおりです。

譲渡所得 = 売却価額 -( 取得費 + 譲渡費用)

取得費には、建築当時の建物代や購入時の諸費用(登記費用・仲介手数料など)が含まれます。古い実家では取得費が不明なケースも多く、その場合は売却価格の5%を概算取得費として扱います。

基本的には、概算取得費を用いるよりも建物の購入費から減価償却費を厳密に計算するほうが譲渡所得税は安くなります。可能であれば、建物の取得費がわかる資料を揃えておくといいでしょう。

計算された譲渡所得に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得税率は、所有期間5年以下なら短期譲渡で税率39.63%、5年超であれば長期譲渡として税率20.315%となり、所有期間が長いと税金が少なく済みます。

実家売却の税金控除に関連する特例

特例を活用することで、譲渡所得税を大幅に軽減できる場合があります。実家を売却する際は、次のような特例を適用できないか確認しましょう。

実家売却の税金控除に関連する特例
特例 概要 主な適用条件
マイホームを売ったときの特例 譲渡所得から最大3,000万円を控除 ・自宅として居住した実績があること。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 相続した空き家を売却する場合に3,000万円控除 ・建築年や耐震性能の基準を満たすこと。
・相続から3年以内であること。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 相続税の一部を取得費として加算 ・相続税が課税されていること。
・相続後3年10か月以内に売却していること。

参照:
No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

実家を売るタイミングについて

実家を売却するタイミングによって手続きの難易度や税控除の適用の有無が変わります。ここでは、実家を売るタイミングについて深掘りします。

相続の前と後はどちらがいい?

親が元気で意思がしっかりしている場合は、生前に売却活動を進めると手続きの面でスムーズです。所有者本人が売主になるため、相続登記や遺産分割協議といった煩雑なステップを避けられます。

一方、親が売却に後ろ向きだったり、判断力に不安があったりするケースでは、相続後に売却を検討するのが現実的です。登記や相続人の合意形成などは必要ですが、落ち着いたタイミングで家族と話し合いながら相続・売却手続きを進めることができます。

相続してから3年以内に売れば節税に

相続後の売却には、税制上の特例がいくつか設けられています。遺産が高額のため相続税の課税対象となった場合は「取得費加算の特例」が利用できます。相続税を支払った人が、相続開始から3年10か月以内に不動産を売却した場合、その一部を取得費に加算することで譲渡所得税の負担を抑えられるものです

築古の実家を相続して売却する場合に適用される「相続空き家の3,000万円控除」も、相続後3年以内の売却という条件があります。

節税を視野に入れるなら、制度の適用期限を把握したうえで計画的に動くことが大切です。

参照:
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

実家を売るか住むか悩んだときの判断ポイント

相続や親の施設入居などをきっかけに、実家をどうするか悩む人は少なくありません。

「せっかく残された家だから自分で住むべきか」「思い切って手放すべきか」。その選択に正解はありませんが、判断軸を明確にすることで後悔のない決断に近づくことができます。

ここでは、3つの視点から整理します。

自分のライフスタイルと立地の相性

実家の立地が今の暮らしに合っているかを見つめ直してみましょう。

たとえば、実家が最寄り駅から遠く、通勤に1時間以上かかるような場所であれば、実家に住むことで負担が増える可能性があります。仕事面以外でも、駅遠物件だと周辺にスーパーや病院が少なく生活全般が不便になるかもしれません。

一方で、テレワークが中心で、自然に囲まれた静かな環境に魅力を感じる方には、実家の立地が合う場合もあります。住むかどうかの判断は「思い出」だけでなく、「今とこれからの生活との相性」も考えることが重要です。

家の状態と将来的な維持コスト

築年数が経っている実家では、住み続けるためにリフォームや修繕が必要になることがあります。

外壁の塗り替え、屋根の補修、水回りの更新など、想像以上に費用がかかるケースも多く、実家の入居準備だけで多額の資金が必要になるかもしれません。

住まない場合も、固定資産税や草木の管理、空き家対策としての見回りなど、毎年一定のコストと手間がかかります。将来的な負担を天秤にかけて冷静に判断することが大切です。

感情・思い出との折り合い

実家には、家族との記憶や懐かしい風景が詰まっていて、どうしても手放すことにためらいを感じてしまうものです。「親が大事にしていた家だから」「思い出があるから」と、感情面を大切にするのは自然なことですが、その思いにとらわれすぎると、決断を先延ばしにしてしまい、管理の手間や費用の負担が長引く原因にもなります。

定期的に掃除だけしているつもりでも、気がつけば生活に支障が出ていたという人もいます。やがて自分が実家に通えなくなったり、代替わりしたりするときを考えると、早めに自分で実家を処分するほうが家族のための行為になるのではないでしょうか。

「家を手放すこと=(イコール)思い出を失うこと」ではありません。写真を撮って記録を残す、思い出の品を一部持ち帰るなど、感情と折り合いをつけながら向き合う方法を考えましょう。

【FAQ】実家の売却に関するよくある質問

実家の売却は、手続きや家族間の調整だけでなく、周囲への配慮や感情面の整理も必要です。ここでは、実際に寄せられることの多い疑問や見落としやすいポイントについて解説します。

実家売却の際は近所に挨拶すべき?

義務ではありませんが、実家の近所の人に挨拶をしておくほうが無難です。空き家だった実家に人が出入りし始めると、周囲の住民が驚いたり、不安を感じたりするケースがあるためです。

一人っ子と兄弟がいる場合での違いは?

親名義の実家を相続して売却する場合、一人っ子だとスムーズに相続登記を進めることができます。例えば、父親が既に亡くなっている状態で母親が亡くなった場合、法定相続人は自分1人のため、遺産分割協議の必要はありません。

一方で、兄弟姉妹がいる場合は、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の合意と署名・押印が必要となります。話し合いが難航すれば、売却そのものが先送りになる可能性さえあります。

親の実家を勝手に売却できる?

親名義の実家を売るには、所有者本人の同意が必要です。たとえ実の子であっても、親の意思確認なしに勝手に売却を進めることはできません。高齢で判断力が不安視される場合は、意思能力の確認が必要となり、状態によっては成年後見制度の利用を検討するケースもあります。

相続前に売却を検討する際は、親の気持ちを尊重しつつ、無理のない形で協議を進めていく必要があります。

本籍地も変更すべき?

不動産売却の際に本籍地の変更は不要です。たとえ売却によって住民票や実際の居住地が変わっても、本籍地を移す義務はなく必要性もありません。

相続登記の必要書類として戸籍謄本を取り寄せる必要がありますが、2024年3月より戸籍謄本の広域交付が可能となり、本籍地以外の市町村でも戸籍を手に入れられるようになりました。

残置物や荷物の処理はどうする?

実家に残っている家具や荷物は、原則として売却前にすべて撤去します。ただし、遠方に住んでいて整理が難しい場合や、すぐに処分できない事情があるときは、「現状有姿(ありのまま)での売却」とすることも可能です。

ただし、現状有姿取引では買主が廃棄物の処理コストを引き受けるため、マイナスのイメージを与えます。現状有姿とするかどうかは、不動産会社とよく相談して決定しましょう。

解体して更地で売るメリットは?

築年数が古く、建物としての価値がほとんどない場合は、更地にして売り出すことで購入希望者が現れやすくなります。更地化により、家を建てたい買い手にとって、解体コストを抑えられるうえ、着工もスムーズとなるため、物件人気の向上を期待できます。

ただし、売り手目線だと解体費用を売値に100%転嫁できないリスクがあったり、更地化により固定資産税が高くなったりするリスクもあります。

まとめ

実家の売却は、単なる不動産の手続きにとどまらず、自分の感情との向き合い方、相続人との調整など、多くの要素が複雑に絡み合います。いざ売ろうと思っても、考えるべきことが山積みで、何から手をつけていいかわからないという方も多いでしょう。

そんなときこそ、経験豊富な専門家に早めに相談することで、見落としや思わぬトラブルを防ぐことができます。

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続直後の初期相談から、長年放置された空き家の売却、築古物件の買取まで、さまざまなケースに対応できる体制を整えています。税理士や司法書士との連携もあり、売却以外の選択肢まで含めたご提案ができるのが強みです

「売るべきか残すべきか迷っている」
「親が住んでいた家を、どう扱えばいいかわからない」

そうした段階からでも、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

逆瀬川勇造さん

逆瀬川勇造さん からのコメント

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

実家の売却は親や兄弟など関係者が多くいる場合、難航しやすいです。関係者の誰かが売却に反対している場合、実家を活用できないでいるのに管理の手間がかかり、また毎年の固定資産税を納めなければならないといった事態になる可能性もあります。また、相続登記を済ませておらず、年数が経過した場合は、相続人のうちの誰かが死亡し、その子供に相続権が移ることで関係者が膨大になり実質的に売却が不可能になってしまうリスクもあります。実家の売却は気持ちの面で話を進めにくいことも多々ありますが、将来のことを考えて、早い段階から対策をしておくことが大切です。

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